「さあ!!戦闘訓練一組目、スタート!!」
戦闘訓練一組目が始まって早々、爆豪が緑谷に攻撃を仕掛けるが、緑谷はその攻撃を避ける。
(へえ、不意打ちだったのに避けれるのか、勘か?いや、そこまで研ぎ澄まされてねぇ。ありゃ、付き合いの長さから分かった必然の回避か)
猛はその攻防を見て考えを巡らせ始める。
「爆豪の奴、奇襲なんて男らしくねぇな!!」
「いやいや、奇襲も立派な戦術だぞ!!」
(緑谷少年、ここではあくまで教師と生徒、贔屓目無しに見させてもらうぞ!!)
避けられてから、緑谷が麗日を先に行かせる。爆豪はそれを止めずに行かせる。
(あらあら、私怨丸出し、情けねぇ)
そこから、爆豪が右の攻撃を入れようとするが、緑谷はそれを見こしてかカウンターで一本背負いをする。
「すげぇ!!緑谷の奴、爆豪の奴を投げ飛ばしたぞ!!」
(へえ、いいタイミングで投げるじゃん、だけど……なんだか、違和感があるな?)
猛が考えていると、今度は爆豪が己の籠手を使って攻撃しようとするのが見えたが、それを見ていたオールマイトが止めようと無線を入れる。
「爆豪少年ストップだ!!緑谷少年を殺す気か!?」
(いや、間に合わねぇなこりゃ)
オールマイトがストップをかけるが、爆豪は無視して籠手を使う。その瞬間
ドォォォン!!
画面を覆い尽くすほどの大爆発が起きる。
(馬鹿が、殺してたら終わりなの分かってんのか?)
やがて煙が晴れるが、ぼろぼろになりながらも立ち上がる緑谷が映る。
「爆豪少年!!次にそれを撃ったら強制終了で君らの負けとする!!」
(忠告が遅ぇ、ありゃもう緑谷をぶちのめす事しか考えてねぇ、どの道訓練としては既にやり過ぎだ)
猛の予想通り、その後は爆豪が一方的に緑谷を打ちのめしていた。その時の攻撃の時の個性の使用方法から、爆豪は戦いの才能があるのが見ていた生徒全員が分かった。
(あ~あ、才能の無駄遣い、何が緑谷をそこまで気に入らねぇのか……もしかして、ワン・フォー・オールの事バレてるんじゃねぇの?)
緑谷の過去を知らない猛から見れば、爆豪の緑谷への異常とも言える攻撃性は、そのくらいしか思い浮かばなかった。
「お、おい、ヤバくねぇか!?」
一方的にやられていた緑谷だが、最後の一撃に個性を全力で使おうとしているのが見え、爆豪も全力で攻撃しようとしていた。
「双方訓練中止……!!」
オールマイトがそう言おうとした瞬間、緑谷と爆豪の攻撃が交差するが、緑谷は爆豪に攻撃を当てずに、そのままアッパーをして最上階までぶち抜く。その時の破片を利用して、飯田から核を確保しようとする麗日が核を回収した。
「・・・・・ヒーローチーム、ウィィィィン!!」
「勝った方が倒れて、負けた方が立ってるぞ……」
「なんだったんだ、今の戦い……」
(ただの馬鹿共の茶番劇だろうが、本当に大丈夫かよオールマイト、あれがワン・フォー・オールの後継者で……)
猛の心配を他所に、気を失った緑谷は保健室に連れて行かれ、訓練の講評が始まった。
「今回のMVPは飯田少年だ!!」
「ケロ、勝った緑谷ちゃんか、お茶子ちゃんじゃ無くて?」
「理由が分かる人はいるかな?」
「はい、オールマイト先生」
オールマイトの言葉に、八百万という少女が手を上げ発言する。
「それは、飯田さんが状況設定に順応していたからですわ。見るからに、爆豪さんの行動は戦闘を見た限り、私怨丸出しの独断。そして屋内での大規模戦闘は愚策。緑谷さんも同様、受けたダメージから鑑みてもあの作戦は無謀としか言いようがありませんわ。麗日さんは中盤の気の緩み。そして最後の攻撃が乱暴すぎたこと。ハリボテを核として扱っていたらあんな危険な行為は出来ませんわ。相手への対策をこなし、核の争奪をきちんと想定していたからこそ飯田さんは最後対応に遅れた。ヒーローチームの勝ちは訓練だという甘えから生じた反則のようなものですわ。」
八百万の言葉に、飯田は何故か感動しているのか胸の所で手を押さえていた。
「(思ったより言われた)ま、まあ飯田少年もまだ固すぎる所があるけどな!!概ね八百万少女の言うとおりだ!!」
「常に下学上達、一意専心に励まねば、トップヒーローになどなれませんわ」
(こいつもこいつで固え、難しく考えすぎだっつの)
そうしていると
「紅蓮少年は何か無いかな?」
オールマイトが猛に話を振る。
「ああ~……?はあ、まずオールマイト、あんただよ」
「え!?私!?」
猛の言葉に、大半の生徒が驚愕の表情を見せる。
「こんな普通じゃあり得ねぇ状況設定にするんだったら最初から大規模攻撃は規制するか禁止にすべきだろうが。それから爆豪がやらかす前の忠告が遅ぇ、緑谷への視線を見れば馬鹿やらかすのは見えてただろうに。初めての授業だとか新任の教師だとか、もろもろ差し引いてもはっきり言ってあんたのミスもデカい。危うく一人死んでたぜ?取り敢えず射線は少し上にずらしてたみたいだが……」
猛の言葉で、オールマイトはどんどん萎縮していく。
「んで、後の奴らは大方八百万が言った。飯田に関しては、1対1で残り時間少ないなら、麗日に接敵して近接戦するべきだった。あいつの個性も屋内じゃ大した効力がねぇし、逃げ回るより戦うべきだった」
猛の言葉に、飯田は「なるほど……!!その手もあったのか!!」と、納得していた。
「ンでまぁ、後は馬鹿共の茶番劇、以上、終わり」
「誰が馬鹿だ!!」
「お前以外誰がいるんだ野良犬」
「なんだとてめぇ……!!」
「やめろよお前ら!!」
猛の言葉に、爆豪は詰め寄ろうとするが、近くにいた赤髪の男子生徒が制止する。
(ぐ、紅蓮少年、相変わらず毒舌だな……)
オールマイトは、猛の言葉の切れ味にすっかり小さくなってしまっていた。
「それじゃ、時間もねぇから次だ次、縮こまってねぇで早く進行しろよナンバーワン」
「う、うむ!!そうだな!!それじゃあ次は、ヴィラン側が紅蓮少年と芦戸少女!!ヒーロー側が轟少年と障子少年だ!!」
そうして、猛の出番がやってきて、ペアの芦戸と供にビルに入っていく。
「よーし!!核は何処に設置する?」
「ああ、それは決まってる。三階」
「なんでなんで?最上階じゃないの?」
「いや、多分今回の相手は階層関係ない」
「へ?どういうこと?」
「すぐに分かる、取り敢えず個性の詳細教えてくれ」
「オッケー!!私の個性は酸!!粘度とか溶解度とか変えれるけと、あんまり強いのを出すと自分の服とか皮膚が溶けちゃう!!対人では調整が難しいんだ」
「なるほど」
猛は、芦戸の個性を聞いて、どういう作戦にするか考えていた。
「(下手すると相手が死ぬか……攻撃には出来ねぇな)俺の個性はオーラ、身体の中にある正体不明のエネルギーを扱える。いろんな事に転用出来るから応用が幅広いってのが特徴、使いすぎるとぶっ倒れるけど」
「オーラ?正体不明のエネルギー?どういう個性?」
「詳しく説明する時間がねぇ、とりあえず……」
『それでは!!戦闘訓練二組目、スタート!!』
ピキピキピキピキ……
「うわわ!!何これぇ!?」
戦闘訓練が始まると同時に、猛と芦戸の足下を、それどころかビル全体を氷が覆った。
(やっぱり……)
「ど、どうする!?溶かす!?」
「落ち着け、奴さんもう来るぜ」
猛の言うとおりに、ビル全体を凍らせたであろう轟が歩いてくる。
「戦ってもいいが、足の皮膚が剥がれたらマトモに戦えねぇだろ?」
轟は、もう既に戦いは終わったという顔をしていた。
「はあ~……轟、お前、馬鹿なのか?」
「は?」
「
ボォォォォォ!!
「な!?」
轟は、猛の足下からビル全体に広がるように出た紅い炎で、一瞬で氷が全て消えた事に驚愕していた。その瞬間を、猛は見逃さなかった。
ヒュッ、ズガン!!
「が……!?」
動きの止まった轟の頭に、猛は容赦なく蹴りを入れる。轟はそのままビルの床に沈む。
「それじゃ、確保テープ巻いといて、障子仕留めてくるから」
「え?う、うん!!」
猛の言うとおりに、芦戸は轟の腕に確保テープを巻く。
コツコツコツ、ガラッ
「ちょ、どっちから行くの!?」
猛は、ビルの窓に近付いて鍵を開ける。猛はそのまま下を見ると、驚愕して動いていない障子を見つける。
「それじゃ、終わらせてくるわ」
ピョン
「ちょっと!?」
ヒュー……ガツン!!
「ごはっ!?」
猛はそのまま窓から飛び降りると、障子の頭に肘を落とす。
「悪ぃな、頭蓋を割らないように手加減したから許してな」
そうして、気絶した障子の腕に確保テープを巻く。
『ヴィランチーム、ウィィィィン!!』
猛の戦闘訓練は、あっさりと勝負が付いたのだった。
やっぱり全体的に雑ですね、すいません。次回は猛達の戦いを見る別の生徒目線から始めます。