不死者の迷い込み   作:ブラッキーlove

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『盾の勇者の成り上がり』の別世界のお話です。

短編です。


靴の勇者の覆し

僕たちはある世界で束の間の一時を過ごしていた。

 

「いや~ 楽しかったね~ いくら能力は使っていないとはいえ走りで負けそうになるとは思わなかったよ」

「・・・そう言いつつもセイは手加減していた」

 

先日、僕はこの世界で熱狂的に開催されているレースに参加していた。それは己の肉体だけで行うスポーツ。スタート地点から始まり市街の中を走り抜け、いち早くゴール地点へと駆ける競技。道具の使用は身に着ける衣服以外禁止。妨害も無し。誰もが安全に行えるスポーツ・・・という訳でもない。交通規制がされていない為、人の多い通りを進むことが出来ないからだ。市街の外を大回りして進んでもルール上は問題ないが時間がかかる。出場者は自然と街中の建築物を障害物に駆け抜けることになる。

 

回りくどく話したが要するにパルクールの大会だ。この世界ではパルクールが一代スポーツとして認識されている。

 

「いや、あまり目立たないように三位を狙ってたからな 手加減しないとダメだろ」

「・・・それはそうかも?」

 

この大会なかなかの賞金を貰うことが出来る。例え、三位でも生活に困らないほどの金額だ。これでまたしばらくの間は気長に過ごせるというものだ。

 

「リアナ、今日はどうする?たまには外食でもするか?」

「ん、いいと思う」

 

大会も無事に終わり資金が手に入った。明日には本屋にでも寄ろうかな?ここ最近は大会のルート調査で忙しかったからしばらくはのんびりとしたいものだ。

 

 

 

 

 

「・・・今、何があった?」

「・・・私も気づかなかった」

 

リアナと手を繋ぎ横断歩道を渡ろうとしたら景色が一瞬にして変化した。高層ビルの立ち並ぶ街並みから一転、深い森の中へと場所が移動している。

 

「セイ、大地に魔力の流れ」

「ああ、僕も感じる 違う世界に来たみたいだ」

 

ついさっきまでは感じることのなかった魔力の流れを感じるのだ。これは地脈というべきか?龍脈と表現するのが正しいかもしれない。

 

「渡ったものは仕方がない 荷物の確認をしよう」

「ん、分かった」

 

様々な世界を渡り歩いたのだ。この程度では動揺することは無くなってしまった。

手早く所持品を確認する。・・・一通り確認したが忘れ物はない。何度かこのような経験もあるのでなるべく全ての物を収納空間に保存するようにしている。嵩張るような物はリアナの箱庭に置いてあるので問題ないはずだ。

 

「僕は大丈夫 ビーちゃんも一緒だよ」カランコロン

「ん、箱庭も問題なし」

「さてさて、ここはどこなんだという事なんだけど・・・この遺跡が手がかりかな?」

 

僕たちが立っていた後ろには何かを祭っていた様な小さな祭壇がある。祭る場所が三ヶ所あり中央と右の祭壇には何も置かれていない。左の祭壇にはペン?万年筆?あれだ、漫画家が使うようなペンが祭られている。

 

「これ、何の祭壇だと思う?」

「わからない」

 

リアナは箒を持ちながら話した。

 

「なんで箒持ってるの?」

「え?」

 

リアナは不思議そうに右手の箒を見つめている。何度も手をブンブンと振っては不思議そうにしている。

 

「リアナ?」

「コレ、手から離れない」

「はあ?」

 

リアナは手をパーの状態で箒を落とそうとブンブンと振っている。人外の身体能力を駆使して動き回るが離れる様子がない。箒は体から離れることなく最後には諦めて背中に付けることで落ち着いた。

 

「どうなっているんだ、それ? いつから持ってたの?」

「わからない たぶん、ここに来た時?」

「う~ん? 削れるかナイフを使ってみるか」

 

箒を切断しようとナイフを手元に出し握った時、ナイフが拒絶するかのように電流が走り抜けた。

 

「うぉお!?」

 

慌てて取り落とさないように握りしめると電流が弾け始め拒絶を強める。僕は本来のステータスの力で離れようとするナイフを握りしめているとステータスウィンドが勝手に表示された。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『伝説武器の規則事項、専用武器以外の所持に触れました』

『伝説武器の規則事項、専用武器以外の所持に触れました』

『伝説武器の規則事項、専用武器以外の所持に触れました』

『伝説武器の規則事項、専用武器以外の所持に触れました』

『伝説武器の規則事項、専用武器以外の所持に触れました』

   ・

   ・

   ・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

なんだこれ?延々と同じ文章が続いている。伝説武器とはなんだ?規則事項?専用武器?なぜ勝手にステータスが開いた?何が起こっているのかわからない。電流はずっと流れているし視界が文字で埋まるしほんと何のなのだろう。

 

「リアナも何か武器を持ってみてくれないか?」

「ん、分かった」

 

リアナもレイピアを持つと同じ事が起こる。拒絶するように電流が走り、同じ文章が視界を埋め尽くしているのだろう。文字を読むように瞳を動かしては首を傾げている。

 

その後もこの現象が何なのか調べてみた。手から迸っている電流に攻撃性はない模様。ナイフを持っている手を下草や木々に近づけても引火しなかった。何度かナイフを振るってみるが拒絶感が激しくなっただけで特に変化なし。戦闘を行おうと思えば視界がうっとおしいがすることが出来る。何度か軽く、リアナと模擬戦してみたがやはり拒絶感が激しくなっただけだ。

 

そうこうしていると文章に変化が表れ始める。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『伝説武器の規則事項、専用武器以外の所持に触れました』

『Deん説ぶKION規則Ji項、戦用ぶきイガイの所じにHUREMATASI』

『電設ブキノ気息時効、占用蕪木遺骸のショジニフレマシタ』

『くぇrちゅいおp、ぽいうytれwqぽいうytれwq』

『あsdfghjkl;:、くぁzwsぇdcrfvtgb』

『fぱおいうえrんc;、psづfcm;うぇおい』

『伝説 武器 規則 事項 専用 武器 以外 所持 抵触』

『エラー えらー ERROR error ---------』

 

『すみませんでした 何でも聞きますんでどうか私どものお願いを聞いてはくださいませんでしょうか?』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

完全にバグったなと思ったら何やら会話のような文章が現れ始めた。

 

「僕の言葉は通じているのかな?」

 

『はい!! 通じておりまする』

 

どうやら会話が可能らしい。

 

「ん? セイも変なのになった?」

 

「? ああ、うん 僕の方も文章が変わったよ しばらく会話してみる」

 

「わかった 私もそうする」

 

リアナも同じような状況のようだ。

 

「いくつか質問してもいいかな?」

 

『もちろんです!!』

 

それから質問することで分かったことは以下の通り。

 

Q、ここはどこ?

A、異世界です。大陸南方の森林の中です。

 

Q,僕たちは何故ここにいるの?

A、私たちが召喚しました。世界を救ってもらうためです。

 

Q、あなたたちは何者?

A、精霊です。この世界を脅威から退ける為に存在しています。

 

Q、僕たちに何をしてほしいの?

A、今侵されている脅威から世界を守ってください。

 

Q、伝説武器とは?規則事項とは?

A、伝説武器とは私たち精霊が宿った武器です。私はあなた様の靴の武器として装備されています。規則事項とは、伝説武器を扱う上でのルールなのですが・・・もういいです。そんなものはありません。規則事項などありませんので問題ありません。

 

Q、伝説武器は何ができるの?

A、成長することが出来ます。素材や同系統の装備品などを吸収させることで成長させることが出来ます。また、発生した装備同士を合成させることで強化することが出来ます。他の伝説武器、眷属武器と繋がることで強化方法が増えます。

 

Q、伝説武器、眷属武器は何個あるの?

A、伝説武器が四つにその眷属武器が二つずつの八つ。合わせて、12種類です。あなた様の所持している物が靴の伝説武器、お連れ様の一人が所持している物が掃除用具の眷属武器です。そして、そこに祭られている筆がもう一つの眷属武器です。

 

Q、これからどうしようか?

A、どうか、どうか!この世界を救ってください!

 

 

という事らしい。

 

「リアナも終わった?」

「ん、終わった」

「これからどうする?特に予定があるわけでもないし強くなる手段があるなら突き詰めたいんだけど・・・」

「ん、それでいい セイについて行く」

 

突然転移させられるなんてことがあったが僕たちはいつも通りに行動を開始した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

靴の精霊武器 所持者セイ

・合成による強化(武器性能上昇、魔法威力上昇、スキル威力上昇)

武器同士の合成 アイテムによる強化合成 スキル同士、魔法同士の合成発動

 

掃除用具の眷属器 所持者リアナ

・施設による強化(拠点を充実させることで強化される)

環境、物資、衣食住が充実するほどステータスが強化される

 

作図の眷属器 所持者なし

・マッピングによる強化(情報量が増えることで強化される)

ステータスマップに記載される情報量が増えるほどステータスが強化される

 

共通事項

・ステータス

・武器種ツリー

・ウェポンコピー

・ドロップアイテム

・アクティブスキル

・パッシブスキル

・基礎レベル上限なし

・EP(エネルギーブーストによるスキルや技術の強化)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

========================================

 

 

靴の武器精霊に僕が初めから所持していた精霊の靴をウェポンコピーすると靴の武器精霊と精霊の靴が融合してしまい靴の武器精霊が僕の眷属になってしまった。性格も一変しどうも精霊の靴が主導権を握って吸収した形になったらしく精霊の靴が意思を持つようになったというのが正しいのかもしれない。

主導権を握ってしまったようだが精霊の意思が無くなったわけではないので予定どうりこの世界を救うために自己強化に入りたいと思う。

 

この世界を脅かしている存在は絶大なのだとか。今のままでは不安が残るそうなので、この世界のステータスを極限まで強化したいと思う。

その為にすることは以下の通りだ。

 

・レベルを上げる。

・他の伝説武器、眷属武器から強化方法を知る。

・素材を吸収させツリーを解放する。

・様々な種類をウェポンコピーさせる。(もしくは作り上げる)

・共有された強化方法を行う。

 

僕たちは早速行動を始めた。

 

他の精霊武器の所持者、所在を探しながら魔物を片っ端から倒していき武器種ツリーを解放していく。必要量が集まれば討伐を辞め、他の地域へと移ることを繰り返した。

途中から解体して骨や肉、部位毎にもツリーが発生することが判明。それまで倒してきた魔物をもう一度倒さなければならなくなったのはとてもめんどくさかった。

武器種ツリーは順調に開放していき、ステータス値やスキルが増えていく。

ステータス値は1~3と微々たる上昇量だが塵も積もれば何とやらだ。能力を上げる手段があるのならば全て試すのみ。

スキルは時折解放されている。スキルを取得する武器が何なのか規則性が見えない。簡単な武器から取得することもあれば入手するのが困難な武器種も多い。比較的、完成品からのウェポンコピーによって取得する機会が多いように感じる。

僕が今まで履いていた精霊の靴と比べるとどれも能力値が低い。それも仕方がないのかな?長年この靴を強化し続けてきたのだ。一つの世界でこの靴を上回れるような物が出来上がるとは到底思えない。方針としては今まで通り愛用している靴を強化していこうと考えている。

 

レベルは魔物を倒していれば勝手に上がるものだ。収集していれば魔物をそれ相応に倒すことになるので意識してレベル上げしなくても問題ないように思う。

 

強化方法として難しいのが掃除用具と作図の眷属器の強化方法だ。

拠点による強化はリアナの箱庭でも上昇するが現実と違う空間なためか効率が悪い。この世界に新たに拠点となる場所を切り開いて作ることでやっとまともな上昇量になった。

拠点作成はリアナを中心に僕も手伝いつつ強化していっている。

マッピングによる強化もなかなか難しい。単純に地図を埋めていくだけでも上昇するがもっと具体的にかつ正確に高低差や分布図、魔物の生息地などを記入することで上昇量が増える。

幸い、マップは共有することが出来た為、それぞれ手分けして少しずつ埋めているところだ。海の向こうの大陸まで考えると一番時間の掛かる強化方法かもしれない。

 

武器種ツリーは順調に埋まっているのだが他の精霊武器の情報が一向に入ってこない。この世界では精霊武器の所持者は勇者として代々語り継がれているほど有名なのだが今の時代で所持者が現れたという情報がないのだ。

これは所持者である勇者が隠しているのだろうか?そうなると探すのがめんどくさくなるのだがどうしよう。

 

「リアナ 何か情報あったか?」

 

情報収集に遠出をしていたリアナが帰って来た。

 

「ん、ない 不自然なほどに情報がない」

「勇者は召喚されているはずなんだが・・・どういうことだ?」

「何も情報がない 私たちの情報が独り歩きしてる」

 

勇者の情報が僕たちの事しか出回っていないなんてことあるのか?今は世界の危機なのだ。聖武器は世界を維持させるために勇者を召喚なり選定なりしているはずなのだ。それが行われた形跡すらない。・・・どういうことだ?

 

リアナと共に悩んでいると拠点に近づく集団を感知する。

 

「来る 集団 武装してる?」

 

どうやらリアナも気づいたようだ。

 

「だな、軍隊ほどの集団だ 友好的って訳でもなさそうだな」

 

僕とリアナは少し離れ、拠点を見渡せる高木に潜伏する。

ほどなくすると先行している軽装の部隊に続いて完全武装した集団が拠点を包囲し始める。軽く千はいるだろうか?拠点を作るために大きく開いた森の一角を完全に包囲した。

すると『降伏せよー』的なことを話し始める。とりあえず、話半分に聞き流す。

 

「リアナ コレどこかの国の軍か?」

「そう、この森の所有国」

「みたいだな で、二人ほど見えるあいつとあいつはもしかしなくても勇者か?」

「んー、反応 弱いから眷属器?」

 

見覚えのある宝玉があしらわれた武器?を掲げている二人を注視する。

一人は大きな棍棒のような・・・いや、所々に穴が開いているしあれは楽器か?巨大だが笛に分類されるのかもしれない。多分、笛の眷属器だろう。

もう一人は宝玉をそのまま持っている。・・・いや、何の眷属器だ?玉か?宝石か?鉄球?よくわからないがそんな眷属器を持っている。

 

しばらく考察していると相手さんは反応がないことに痺れを切らしたのか拠点を攻撃し始めた。

雨あられと色とりどりの魔法が降り注ぐ。その全てが拠点に着弾・・・することなく手前で障壁に阻まれ消失した。

 

「ん、防衛機能は完璧」

 

という事らしい。

拠点の自動反撃が発動し矢や火を除いた様々な属性の槍が武装集団へと降り注いだ。予想外の反撃の密度に相手さんは阿鼻叫喚の地獄絵図となっている。一瞬にして血みどろだ。

 

「拠点の防衛能力えぐいな」

「初めて試した 私も驚き」

 

口調はいつもどうりだが表情をよく見る限り本当に驚いているようだ。

 

「これ、拠点を移動できるようになれば戦力になるんじゃないか?」

「なりそう 移動拠点を目指す」

 

この戦力の拠点が動き出したら最早移動要塞だな。リアナはヤル気みたいだし実現したら恐ろしいことになりそうだ。

今はその話は置いておこう。都合よく情報源になりそうな人物が攻めてきたのだから生け捕りにするのがいいかな?

 

「とりあえず、あの二人は生け捕りにするとして・・・他はどうする?」

「私がこのまま殲滅する」

「了解 じゃ、行動開始だ」

 

行動を起こしたら片付くのは早い。僕が二人の眷属器所持者を背後から奇襲し回し蹴りの一撃で気絶させる。

リアナは自動防衛を手動に切り替えて僕が撤退した後、殲滅戦を開始した。貯蓄していた魔力を放出し魔法の物量で集団を削り取る。数分としない内に立っている者はだれ一人いなくなった。

 

余りの殲滅力に頬を引きつらせながらも生け捕りにした二人をリアナに渡す。尋問は専門外のため後はリアナにまかせるのだ。

リアナが尋問している間は拠点周辺の掃除をする。半分ほど靴に吸収させ残り半分をリアナの為に一角に集める。血みどろの森の景色は僕の得意魔法である生活魔法で綺麗にしたら終わりだ。

 

う~む、それにしてもこの精霊武器、人の死体ですらも素材として吸収してしまうとは・・・。素材の判定にNGはないようだ。山ごとの水や土でも解放された武器が違ったし解放される種類に終わりはあるのだろうか?

 

現在、解放されている武器種を眺めながら整理しているとリアナによる尋問が終了したようだ。分かったことは以下の通り。

 

・彼らは転生者である。眷属器の本来の持ち主ではない。

・他の聖武器、眷属器の所持者は殺されている。

・現在の眷属器の持ち主は彼ら同様、転生者である。

・聖武器は扱うことが出来なかったため厳重に保管されている(封印)。

・彼らは他の世界へ侵略を始めている。

・彼らに反対していたものは既にこの世にいない。

・今回は靴の聖武器の情報をもとに奪いに来た。

 

リアナの話をまとめると要するにこの世界は末期ということだ。

聖武器の所持は僕のみ。正当な眷属器の所持者もリアナのみ。全ての国の上層部が転生者を擁護する人で占められているため協力は仰げない。国家に味方はいない。実質、僕とリアナだけでこの世界を救わなければならない。

 

厄介な状況に呼び出してくれたものだな。靴の聖武器とその眷属器が奪われていないのはその一切の情報がなかったからだそうだ。どの国が管理しているのか、どこに安置されているのか、秘境の奥深くということもあり今まで何一つ情報がなかったからだ。

 

なぜこんな状況なのか文句を言いたいところだが時間がない。僕たちはこの世界を救うと約束した。ならば、やることはすでに決まっている。

 

 

反撃の狼煙は上がった。ここからが始まりだ。

 

 

========================================

 

 

今まで以上に迅速に動き出した。

まず、隠密をフル活用し全ての龍刻の砂時計に接触する。靴の精霊の協力により全ての波に対応できるように時刻になったら転移できるようになった。

次に尋問で得た情報をもとに転生者を駆逐する。何人かと会話することがあったがどれも考え方が腐っている。この世界をゲームか何かと勘違いしている。自分の思いどうりにならなければ喚きだす。何度も戦闘する内に彼らを害虫と判断するようになってしまった。

各地へ赴き勇者の情報を流せばホイホイ現れる。探す苦労が減って楽だが中には潜伏しようとする者もいる為、めんどくさい。

それでも、波が来る前日までには聖武器を解放することに成功した。強化方法も共有したことで更なる強化を計ることが出来るようになる。

 

波を沈めながら他世界へ侵攻していた転生者を駆逐していく。波の戦闘はクソッたれだ。神と名乗る存在が面白半分にゲーム感覚で世界同士を衝突させている。どうやら実況しながら中継しているようで僕とリアナは見つからないように細心の注意を払いながら戦闘を行った。

まだ、聖武器の強化もしきれていない。ここにいる神を僭称する者も実態ではない様なので奇襲をかけても意味はない。リアナとも話し合い、チャンスが来るまで潜伏する方向性で方針を決めた。

 

世界に被害が出ないように波を迎撃しながら転生者を駆逐していく。一ヶ月ほど集中的に眷属武器の回収を目標に行動していると全ての精霊武器の救出に成功する。同時に強化方法も全てが判明した。

 

増えた強化方法を全て行うには人手不足になる。これを解消させるために魔物と奴隷を使役し始める。

解放されたスキルの中に配下や仲間を強化するものがあったので本来であればこの世界の住人と協力してことに当たるべきなのだろう。だが、今のこの世界には僕たちの味方は限りなく少ない。

契約を交わし縛ることの出来る奴隷を中心に人手を増やすことになった。また、拠点の防衛力の向上や戦力補強を見込んで魔物も使役を開始。

 

波を退き、拠点を充実させ、ステータスを強化する。慌ただしい日々はあっという間に過ぎていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

布の精霊武器

・信頼(強化の共有、戦意)

信頼し信頼されることで強化される。戦意が高まるほど影響されやすい。

 

棍棒の眷属器

・討伐数(種類毎の討伐履歴)

魔物の種族毎に討伐数がカウントされ対応したステータスが強化されていく。

 

小手の眷属器

・耐久率(種族毎の被弾率)

魔物の種族毎に被弾数がカウントされ対応したステータスが強化されていく。

 

騎士の精霊武器

・熟練度(使用率、愛着度、拘り具合)

武器の使用熟練度に合わせて強化される。感情が動かされるほど強化率が上がる。

 

笛の眷属器

・スキルレベル(十段階 ポイント割り振り)

熟練度リセットなどによるポイントを割り振りスキルレベルを強化する。

 

水晶の眷属器

・魔法レベル(十段階 ポイント割り振り)

熟練度リセットなどによるポイントを割り振りスキルレベルを強化する。

 

侍の精霊武器

・課金(ステータス上昇、レアリティ上昇、強化補助)

金を使うことによりステータスの上昇、武器レアリティの上昇、強化率を上昇させる。

 

扇の眷属器

・レベルダウンによる素質の強化

レベルダウンすることによるポイントを割り振り素質を強化する。

 

農具の眷属器

・食事による強化

高価な食事やより美味しい物を食すことでステータスを上昇させる。

 

奴隷

鬼人 亜人 妖人を中心にそろえ強化した。(人族から迫害を受けている種族)

使役

魔物は多種多様 今まで討伐した中で優秀な魔物を中心に使役している。

飛べない鳥が最強種なのは納得がいかない。 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

======================================

 

 

奴隷や魔物のレベルは最大レベルが100ということもあり何度もレベルダウンを繰り返し素質を向上させることで強化を計った。

風の噂で転生者たちは100を超えてレベルを上げられるようになっているようだが僕たちには方法がない為レベル上限をあげることが出来ない。

 

何度も波を退け、転生者を駆逐し、ステータスを強化し続けていると状況が変化した。

 

神を僭称する者が僕らの存在に気づき始めた。

戦闘した痕跡や僕たちが動いた痕跡を徹底的に隠しながら活動をしていたが先兵となる転生者の数が目に見えて減ってきては気づかれてもしょうがない。

 

まだ、ステータスの上限が見えて来ない。強化に集中していたかったが状況が動いてしまってはそういうわけにもいかない。

 

龍刻の砂時計のカウントも一つを残して全てが停止した。

 

僕らは次の波が最後の戦いになると予想し戦闘の準備を進める。

靴の聖武器の強化具合はまだ未練が残るがまずまずだろう。(※200レベルを約20回繰り返している)

リアナもほぼ同等の強化具合のはずだ。

奴隷との関係はよくもなく悪くもなく?リアナの指導もありなんだかヤクザの一味のような関係になってしまっているが問題ないはずだ。(狂信的ともいう)

それぞれのステータスも武具の充実具合も現状のベストを揃えることが出来た。

 

無情にも時間は過ぎて行き、最後の波の時刻となる。

 

「これがこの世界での最後の戦いになるのかな?」

「ぅん?旅立つまでに色々する」

「まぁ、そうか 波が終わってもその後があるよな」

「国家が無法地帯 酷く荒れる」

「うへぇ めんどくさい」

 

この後のことを考えて気が滅入っていると転移が完了した。

 

世界と世界の境目となるホログラムのような穴が広がり始める。穴の向こう側は別の大陸。こちら側をニヤニヤと気色の悪い笑みで見つめる眷属武器の所持者たち。その後ろには数えるのも億劫になる大軍が犇めいている。

対して此方に立っているのは国家連合軍という名の烏合の衆が整列している。僕とリアナ、配下の仲間たちは転移終了と同時に神を僭称する者に見つからないように各地に潜伏した。

 

波の穴は広がっていき、広がっていき、広がって・・・。

 

「え?は? どこまで広げる気だ?」

 

穴は止まることなく広がっていき・・・最後には境目が無くなってしまった。

 

『出てきやがれ!!害虫が!!』

 

二つの世界、、、八つの世界が繋がるとどこからともなく一人の人間が現れた。『こそこそ、コソコソ隠れやがって・・・』とかなんとか話しているがとりあえず無視。

 

「リアナ これヤバくないか?」

「ん、ヤバイ」

 

二つの世界を無理矢理繋げるだけでも不安定で危険なことなのに八つもの世界が繋がっては今にも崩壊しそうになっている。大地のエネルギー、世界のエネルギーというべきだろうか?それがちぐはぐなのだ。

これまでは精霊武器たちによりギリギリ均衡が保たれていたが今の状況はダメだ。抑える力が足りない。エネルギーが不足している。

 

どれぐらい持ちそうか確認していると視界の端に時間が表示される。靴の精霊武器が分かりやすいように表示してくれた。

 

「これがタイムリミットか・・・」

 

 

残り時間はあと5分。

 

 

僕とリアナが調べている間に全面戦争が始まっている。配下たちは僕とリアナの指示がない為困惑している様子。

 

「仕方ないか・・・」

「使う?」

「ああ、使おう 手加減なしだ」

 

配下たちは全面戦争の攪乱を指示として出すと音もなく散開する。

 

「行くぞ」

「ん」

 

僕は制限していた他ステータスの力を全て開放する。威圧感が上がることはない。ただ、静かに力が全身に巡る。

元に戻った知覚能力をフルに使い戦場を俯瞰する。

相手陣営に聖武器の所持者はいないようだ。遠くの方に微かに感じることからどうやら最悪を想定して隠れている様子。眷属器の所持者は魂が濁っていることから十中八九転生者だろう。

 

戦場は配下に任せることにする。神を僭称する者が介入しない限り問題ないはずだ。

 

さて、その神擬きはルールがどうのこうのとほざいているが知ったことではない。勝手に決められたルールなど守る必要性はない。

 

僕は一歩踏み出しそいつの背後に回る。

 

「エンチャント ボルト」

『は?』

「瞬刀 一式」

 

僕の放った足による雷の斬撃はその背中に命中し大きな斬撃の後、電流が走り抜け体を炭化させた。

討伐を確認しそのエネルギーを全て回収する。だが、この世界を安定させるにはまだ足らない。

 

残り四分。

 

「リアナ 場所は割り出せた?」

「ばっちし」

 

リアナと手を繋ぎ転移する。

向かう先は神を僭称する者たちが住む世界だ。

 

「何だお前ら!? ここはお前たちが来れるような場所では・・・」

 

「あー、うん こんにちは」

「ん さようなら」

 

僕とリアナは駆除を始めた。

 

子供じみた言動を繰り返す腐った者たちを誰も逃がさず、取り逃しの無い様に殲滅する。戦闘不能にし余すことなくエネルギーとして回収する。

一分もすると誰もいなくなった。二分もすると星が消えた。三分もすると世界が消失する。何もなくなった暗闇から元の世界に転移した。

 

「これだけあれば足りるはずだ」

 

回収した全てのエネルギーを靴の聖武器へ吸収させる。膨大なエネルギー量に苦戦するも八つの世界の精霊の力も借り受けどうにか時間内に安定させることに成功する。

まだ、余っている余剰エネルギーを活用して今後二度と侵略されないように八つの世界の繋がり、強度を強化した。

 

僕とリアナが作業に没頭している間に全面戦争は終結した。どちらが勝つでもなく痛み分けのような形で終結する。配下の者たちが上手く動いてくれたようだ。

 

解放していたステータスを制限する。巡っていた力は元の人の規格内の力へと戻り安定する。

 

「ふぅ~ 久々に使ったが予想以上に能力が上昇している」

「ん、私も強くなってる 精霊の御蔭?」

「ああ、そうかもしれない」

 

最後は何とも言えない終わり方となってしまったがこれでこの世界での役目が終了した。

 

 

====================================

 

 

最後の波から数十年、国家間の関係を比較的安定させるために奔走することになる。

 

配下の奴隷たちを中心に組織を立ち上げ裏の社会を牛耳るような形で安定を図った。

僕とリアナがいなくても問題ない様に作り上げるのに時間がかかった。何度も頭を譲ろうとしては引き止められズルズル時間が流れどうにか脱退することに成功した。

 

これでこの世界に未練はない・・・と言いたいが少しある。

 

それはステータスを極限まで強化できなかったことだ。武器種ツリーは終わりが見えないしレベルダウンを繰り返したら延々と能力値を伸ばすことが出来てしまう。どうにかキリのいい組織の完成までこじつけたのでこれを機に次の世界に渡ろうということになったのだ。

 

「思った以上にこの世界に長居してしまったなぁ」

「長かった 寂しい?」

「んー 少しわなぁ~」

 

転移までの忘れ物がないかを確認し終わりいよいよ転移しようという時だ。

 

「結局、精霊はどちらも憑いてくるのね」

「ん、もう大丈夫だからだって」

 

一生憑いて行きます的な意思を靴の聖武器から感じる。掃除用具の眷属器からも同様だ。

 

「で、一人だけ置いて行かれるのは嫌だと・・・」

「ん、仲間外れは可哀そう」

 

靴の聖武器の眷属器、作図の眷属器もビーちゃんと同化する形で同行することになった。

 

「それ、大丈夫なのか?」

カランコロン~♪

「ん、問題なし」

「なら、いいんだが・・・」

 

まさか、そんな形で憑いてくるとは思わなかった。

 

「よし、次の世界へ行くか!」

「ん!」

 

ビーちゃんをホルスターへしまいリアナと手を繋いで次の世界へと転移した。

 

 

 

 

 

誰もいなくなった草原ではタンポポが静かに揺れていた。

 

 

 

 

 




尚文の世界に迷い込む話もいつか書きたいです。(願望)
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