不死者の迷い込み   作:ブラッキーlove

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セイの気まぐれ護身術

 

ヒーロー社会とよべる世界。人口の約八割が特殊な能力『個性』が発現する。個性により悪事を働くものをヴィラン、個性により善行を働くものをヒーローと呼ぶ。

善悪を見える形で分けることでどうにか均衡を保っている酷く不安定な世界。そんな世界に僕たちは渡ってきた。

 

個性があることを除けば近代社会とそう大きく変わらないため、僕たちは一般的な生活の中に溶け込んで過ごしている。

理由としては獲得した個性がヒーローとして使えるようなものでなかったからだ。

 

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セイ・ヴォフク

能力名称:変態

見た目を筋肉や骨格の形から変化させる。デフォルトは13歳の男の娘な見た目。90歳以上の高齢の姿や40歳ほどの中年の姿、20歳の前半の最も肉体年齢が最適な姿などの年齢ごとの姿に加え性別も操作する。

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アドリアナ・ヴォフク

能力名称:ハッキング

電子製品にハッキングし操作する。意識を電脳空間へと接続し自在に情報の海を渡り歩く。

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僕とリアナの個性はどちらも戦闘向きではない。

僕の能力は見た目年齢を大きく変えることはできるが、人外の筋力や骨格にすることは出来ない。ジョーカーのカードを使うことで元々性別を変えることができたので、裏技のように女体化時の見た目年齢も変えることができる。

リアナは名称通りにハッキングに特化した個性。意識を直接電脳空間へと接続することができる。霊体化も併用することで電子の海に入ることができる。

 

簡単に説明したがどちらの能力も戦闘では役に立たない。ヒーローというよりは諜報向きな能力だ。

有用な能力だとは思うが強くなるという目的からすると少しずれているので限界まで能力を鍛えた後は娯楽にかまけて自堕落に過ごしていた。

 

 

 

ヒーローが活躍する番組が多く、映画もそういったジャンルに偏っていたため飽きてきたころ気分転換に散歩をしていた。

 

夕陽が沈む午後六時頃。家から少し離れたところまで足を延ばすと暗くなり始めた公園に辿り着く。遊んでいた子供たちは帰ったのだろう。砂場の忘れ物が目についた中、一人ブランコで黄昏ている少年を見つける。

小学生にしては大きいので中学生だろうか?なにをするでもなくボロボロのノートに視線を落として読み続けている緑髪の少年。

 

僕は暇つぶしもかねてなんとなしに話しかける。

 

 

彼、緑谷君は今のこの世界では珍しい無個性なのだそうだ。でも、ずっと子供のころからヒーローになりたくていくら馬鹿にされても諦めきれないのだそうだ。

 

初対面の僕にポツポツと話してくれた緑谷君。ボロボロのノートには彼独自のヒーローの考察がビッシリと綴って在りその目標の大切さ、頑固さ、諦めの悪さ、そして無力感が伝わってくる。

 

これは只の気まぐれ、この世界の娯楽にも飽き始めていた長い時を生きる不死者の気まぐれ。一番最初の僕の無能な僕の打ちひしがれる影と重なっただけの気まぐれでしかない。

 

「無個性なら無個性なりにまずは体を鍛えようか」

「え?」

「ヒーローになりたいんだろう?」

「・・・」

「諦めきれないんだろう?」

「---ッ」

緑谷君は奥歯を強く嚙み締め、その表情の苦渋に濁す。

「一ヶ月だ 一ヶ月だけ僕が鍛えてあげる 諦めきれないなら自分が納得するまで全てを試すしかない 無垢性でも個性といった能力に頼らない凡人の足掻きを少し教えてあげる」

「君は僕と同い年じゃ・・・」

僕はその場で『変態』を行い、一瞬にして二十代の女性の姿に変身する。

「僕の個性は『変態』姿形、性別を自在に変化させることが出来る 僕の見た目年齢は当てにはならないよ ・・・って、あれ?」

「ーーー~ーー~~ーー~~ーっっっ」

緑谷君は赤面しながら、何やら声にならない声で呻いており・・・って、あぁ、衣服は変化の対象外だから短パンにへそ出しパーカーっていうちょっと目のやり場に困るスタイルだったわ。

ポンっといつもの僕の姿に戻り話を戻す。

「コホン、まぁそういうわけだから僕なら個性の力に頼らない護身術程度は教えることが出来るよ やってみる?」

「ブンブンブンッ!」

まだちょっと余韻が抜けきらないのか赤面しながらも全力で首を縦に振ってくれている。

「よし! じゃあ、また明日同じ時間にここで落ち合おう」

 

最後にそう締めくくり、その日は帰宅した。

 

それからきっちり一ヶ月。学校終わりの夕方の時間にちょっとした緑谷君の特訓を行った。

教えた内容は、些細なもので毎日行う筋トレ体幹トレーニングと護身術となる様々な武術の基礎だ。

重点的に教えたのは力の流れについて。自身の力、相手の力、大地の力それらの力を理解し読み取り・・・といった基礎の基礎を緑谷君に伝えた。

僕が教えた内容はどれをとっても基礎の基礎であり応用は一切教えていない。人であるならば誰でも訓練次第で扱うことのできる技術の基礎を教えて終了となった。

 

それ以降、僕は緑谷君とは会っていない。僕も終始自分の名前は伝えずに一ヶ月を終えたから緑谷君からでは探しようがないだろう。彼は今頃何をしているのやら。

 

 

その後、僕とリアナは大きなことに巻き込まれることもなく自堕落に休暇を過ごし娯楽関係を収集した後、次の世界へと渡った。

 

 

 

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セイに武術の断片を教わった緑谷出久は原作よりもほんのちょびっとだけ戦闘が上手くなったとかならなかったとか。。。 彼の動きには力のムラが減っていたことは確かだ。

 

 

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