新暦76年11月某日
第一管理世界ミッドチルダの聖王病院の一室。病室のベッドに身を預け、眠っている赤子を抱きかかえる栗色の髪の女性とベッドの横でまじまじと赤子をみる金髪の少女がいた。
「よしよし……にゃはは、本当に良く泣く子だね。泣き疲れて眠っちゃったみたい」
「ママ大丈夫?」
「問題ないよ。それにちょっと前のヴィヴィオと比べたらへっちゃらだから」
「酷いよ!?ママ!?」
ごめんごめんっとやんわりとした口調で金髪の少女……ヴィヴィオを宥める女性。すると病室の扉が開き外からヴィヴィオと同じ金髪の女性が入ってくる。
「フェイトママ!」
「フェイトちゃん、いらっしゃい……仕事終わりで来たの?」
「なのは!うん、一時的にミッドに戻ってきただけでまだお仕事も残ってるんだけど……ティアナとシャーリーに行けって……」
「ごめんね、わざわざ時間割いちゃって……」
「そんなことないよ。それで……この子が?」
「うん、私の子供、泣き疲れて寝ちゃったけど……元気な子だよ」
そう赤子の頭を優しく撫でる。なのはにフェイトも笑みを溢すが、この場にいなければならない人物が見当たらないことに気付き首を傾げた。
「あれ?そういえば……なのはとヴィヴィオだけなの?」
「パパは地球にいる士郎さん達の所に行ったよ」
「地球とここじゃあ……やっぱり時間が掛かるから……」
「確かに……あっ、そうだ……なのはその子の名前決めたの?」
父親が不在という疑問に答え納得がいったフェイトは気になっていた赤子の名前を聞く。それに対してなのはは笑みを浮かべ口を開けた。
「もちろん、決まってるよ。この子の名前は…………」
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新暦91年4月……
「
「ん、んん」
地球の極東の島国、日本の首都、東京の某所……星空と呼ばれる少年の一室に母親からの声が響く。
星空もその声に反応してベッドから体を起こす。
「……もう朝……ふぁぁ……!」
カーテンから差し込んでくる朝日に朝だと実感する星空はベッドから起き上がり部屋に立てかけられた制服に着替えてからリビングへと向かう。
リビングには既に朝食が並べられていて星空はその朝食を見て少し顔を引きつらせる。
「母さん、また結構手のこった料理を……」
「えっへん!自信作!ちょっと試してみたいレシピを使ってみたんだ」
そういって腰に手を当て、凄いでしょ?っと主張するなのはに軽めで良いのにっと星空は手の込んだ料理を見にして心の中でそう思った。
そして椅子に座りなのはと談話しながら母親の料理を食べているとなのはの表情が少し曇る。
「母さん?」
「あ、ごめんね……今日は星空の入学式の日なのにこんな暗い顔しちゃって……けど」
「……母さん、心配してくれるのはとても嬉しいよ。国立魔法大学付属第一高等学校……九校しかない魔法師を育成する高等学校……現状魔法師は兵器としての観点が強くて世間からは危険視されている節がある……」
「うん、本当は星空には魔法師になって欲しくないって思ってるんだけどね……それじゃあ星空の意思に反することになる。」
「……自分で選んだ道だから……母さんの心配ももっともだけど、大丈夫、なんせかのエースオブエースの高町なのはの息子だよ。僕は」
そうはっきりと言い切った星空になのはは目を丸くしたが直ぐに笑みが零れる。
「もう、ちょっと生意気」
「いや、今良いこと言わなかったかな?」
「にゃはは、今更止めても無駄だね。でも約束だけはして……無理はしないって」
「うん、星に誓って」
「……よろしい。あっ、もうこんな時間、少し校内を見て回るつもりなんだよね?そろそろ他の出る準備もしないと間に合わないよ」
「本当だ。ご馳走様、それじゃあ他の支度も済ませるよ。」
そういってリビングから出て行く星空をなのはは見つめた後、ふと思い出にふける。
「お父さんやお母さんもこんな気持ちで私を見送ったのかな……」
自身は二桁にならない年で実戦を経験し二度も世界を救った。そのあとその出来事で知った組織に入り中学卒業後に故郷を離れた。
その時もきっと両親は自分と同じ気持ちだったんだろう。そうなのはは思わざるおえなかった。
魔法……それは伝説やおとぎ話などではなく一世紀前に現代に確立した一つの技術である。
その魔法を生業とする人達を魔法技能師……通称魔法師と呼ばれ……世界は魔法師の育成に尽力していた。
しかし、魔法師以外にも全く違う魔法を使う者達が居る。魔導師……異界の技術を用いて繰り出される全く別系統の魔法。今年度、優等生の妹と劣等生の兄、そして世界を何度も救った魔導士の息子である三人は第一高校へと入学する。