魔法科高校の魔導士   作:ウィングゼロ

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入学編9

「あ、あのまるで話がついてこないんですが……どうして俺が教員枠からの推薦で?」

 

予測の上をいく話に星空は流石に動揺して摩利に訪ねるとちゃんと説明してやると摩利は言って少し間を開けてから口を開いた。

 

「今回、卒業して空いてしまった風紀委員の選定は生徒会推薦と教員会推薦の二つ……生徒会枠は今、司波に決まったわけだが」

 

そういって達也を横目でみる摩利だが達也は未だ納得のいかない様子だった。

 

「教員会は教員の総意で新入生の中から風紀委員が決まる。そして選定した結果最後に残ったのは森崎と君だった訳なんだが」

「昨日の一件は教員会にも既に報告されています。これによって昨晩、全員一致で教員会からの星空くんの風紀委員推薦が決定したのよ」

「…………何で、僕なんですか?」

 

摩利と真由美の説明で大体の経緯を聞いてある程度納得した星空だが根本的な所で……なぜ最終選定まで星空が残っていたのかそれが気になり訪ねてみると摩利は何を今更といった表情で星空の問に答えた。

 

「昨日の動きから君は風紀委員としてやっていけるのは既に見て分かっているし、それに君の場合はあれもあるんだろう?」

「……真由美さん?」

「ごめんね。ついうっかりあの事件のこと話しちゃったの」

 

ごめんねっとウィンクしながら星空に謝る真由美を見て頭に手を当て項垂れる星空。

その光景から達也と深雪も何かあったのだろうと察し、そしてそれから直ぐにチャイムが鳴り響く。

 

「おっと、予鈴が鳴ったな。この話は放課後に話し合おう」

 

摩利は予鈴がなったことで話の途中だが話を切り上げ、放課後にまた話し合うことになり星空達はそれぞれの教室へと帰っていく。

 

教室に帰り次の授業の準備をする星空に心配する表情をだすほのかとそれに連れ添う雫が星空のもとへやってくる。

 

「星空さん。あの……どうでした?」

「え?どうって」

「星空さん。生徒会室に呼び出されたじゃないですか。やっぱり昨日のことで……ですよね」

「ああ、昨日のことは全然関係…………な……くもないか」

「やっぱり、昨日のことで呼び出されたんですか!?」

「ほのか、落ち着いて……」

 

昨日の騒動で呼びたされたのかと訪ねたほのかに星空は別件だと言い切ろうとしたが風紀委員に選ばれたことに関して関係がないとも言い切れず。あやふやな回答を口にすると声を荒げるほのかに落ち着かせようと雫もほのかを抑える。

 

「お昼休み中、ほのかは星空さんのことを気にして仕方がなかったみたいで」

「そうだったんだ。安心して、別に怒られたり罰則されたわけでもないから……」

 

心配掛けてしまったと星空はほのか達が思っている様なことは何もなかったことを軽く説明し、それから魔法実技の授業が始まる。

 

Aクラスの生徒達がCADが内蔵された装置に触れその少し先にある四角形の台座を移動魔法で動かすと言った内容だった。

 

「それじゃあ、星空さんは風紀委員に選ばれるってことですか?すごいじゃないですか!」 

 

装置を使う待ち時間に星空は生徒会室で何があったかほのかと雫に説明するとほのかは風紀委員に選ばれたことを賞賛する。

 

「でも以外……それならてっきり星空は教員枠じゃなくて、生徒会枠で推薦されそうなものなのに」

「本当ですね。星空さん。生徒会長さんと仲良かったですから」

 

あっ、私の番だっと雫の番が回ってきたので装置の前に立つと魔法を行使して台座を動かし始める。

 

「雫も中々上手いな」

「雫、細かい作業が苦手なだけで実技は私より上だから」

「…………さっきの何で生徒会枠じゃなかったかって話。生徒会枠は達也が推薦されたんだ」

「達也さんがですか?」

 

雫の魔法の行使を見ながら二人は雫に対して感想を述べ、間を開けて星空は先程のほのかの疑問に答えるとほのかは驚いた顔をして星空を見た。   

 

「うん、達也は魔法式を見る目があるからね。渡辺先輩もそこを高く評価している。だからこそ蟠りもなくてすんなり推薦が出来たんだけど…」

「星空さん?」

「次ほのかの番だよ」

「あ、うん今行く」

(達也の場合は周り以上に自分だな……達也は自己評価が低いからな……)

 

達也に関して説明する星空だが途中で黙って考え込み、ほのかも気になって星空を訪ねたがちょうど雫の番が終わり、気になったが後で聞こうと雫と代わり装置に触れて魔法を行使した。

 

(昔に色々あったとはいえ、達也の強さは既に上から数えた方が早いと言ってもいい)

 

謙虚すぎるのもあれだなと達也のことを思って苦笑いしていると少し離れたところからおおっ!っと言った響めきが聞こえる。  

 

星空は視線をそちらに向けるとそこには深雪がいてどうやら先程まで深雪の番で他とは一線を越えた魔法力だったのだろう。 

周りからはお膳立てもあるとはいえ賞賛する人達が多い

 

「司波さん……魔法発動が早い」

「やっぱり、司波さん凄いな……私なんかより上手だし」

 

雫と今戻ってきたほのかがそれぞれ深雪の魔法を見て賞賛する中、星空の出番がやってきたために星空が装置に近付き触れてサイオンを流し込み起動式を展開して台座動かす。

 

「凄い。前方、停止、後方の三つの移動魔法を殆ど立て続けに使えてる。魔法発動スピードなら司波さんと同じ位早い」

「うん、それでいて全くサイオンに無駄がない」

 

台座を所定の位置に戻し魔法を終え、振り返りほのか達の元へ歩く星空。そんな星空に周囲は深雪と同じ圧倒的な力を見せられ響めきが起きる。

 

「なんだよ……あれは」

「司波さんと同じ位すごい。」

「あれが次席の力だっていうのか」

「っ!くそっ!」

 

周囲の驚く中、星空を見ていた森崎が悔しそうな顔つきで圧倒的な力を見て言葉を溢す。

 

「お疲れ様です!すごいです!星空さん!」

「うん、私達じゃ真似できない」

「ありがとう。ほのかに雫も……」

「星空さんなら風紀委員になってもやっていけますよ!」

 

星空の魔法に賞賛するほのかと雫、ほのかはこれなら風紀委員になっても問題はないと絶賛し、星空もそれを聞いて微笑みを浮かべた。

 

そして授業も終わり、放課後になると星空は同じクラスの深雪と一緒に生徒会室に向かい途中で達也とも合流し生徒会室に入る。

 

「失礼します」

「三人ともいらっしゃい」

 

中に入ると昼休みにいた真由美達の他、入学式に真由美の横で立っていた男子生徒も居て、入ってきた星空を見て目つきが険しくなるがそれは一瞬で星空達に近付き横にいる達也を素通りして深雪の前に立つ。

 

「副会長の服部刑部です。司波深雪さん。生徒会にようこそ」

(この人が真由美先輩が言っていた噂のはんぞーくんか……でも)

 

深雪に向かって挨拶をする服部を横から観察する星空は真由美から聞いていた人物だと分かるが達也のことを無視し良く思っていないのは明白だと分析する。

 

「早速だけど、あーちゃんお願いね」

「あ、はい!」

「星空くんと達也くんは着いてきてくれ、案内する」

「はい、分かりました」

 

深雪には生徒会の仕事を教えるために真由美からあずさにレクチャーを頼み。摩利も教えるより実際に見てもらった方が早いと踏んだのか風委員会室に案内しようと部屋から出て行こうとすると摩利に声をかけて呼び止めたのは服部だった。

 

「渡辺委員長」

「何だ? 服部刑部少丞範蔵副会長?」

「フルネームで呼ばないでください!」

「じゃあ服部範蔵副会長」

「服部刑部です!」

「そりゃお前の名前じゃなくて官職だろ、お前の家の」

「今は官位なんてありません!学校には服部刑部でちゃんと届けています!……って、そんなことが言いたいのではありません」

 

自分の名前など今は置いておいてと服部は達也睨んだ後再び麻里を見た。

 

「一科生である高町を任命されるのは分かりますがそちらの二科生を風紀委員に任命するのは反対です。過去、ウィードを風紀委員に任命した例はありません」

 

服部が堂々と二科生、ウィードと差別用語を使ったことにより一気に生徒会の空気が険悪になり、摩利もほうっと毅然と対応する。

 

「いい度胸だな、服部。生徒会の一員でもあるお前が、委員長である私の前で禁止用語を口にするとは」

「取り繕っても仕方がないでしょう。それとも、全校生徒の3分の1以上を摘発するつもりですか?そんなこと出来るわけがありませんよ」

 

そういう問題じゃないだろうと摩利と服部の会話を聞いてそう思う星空は服部のことを批難する。

 

「風紀委員は実力で違反者や騒乱行為を取り締まる役職です。実力で劣る二科生には務まらない」

「確かにその通りだが、実力にも色々あってな。達也君には発動された起動式を正確に読み取る眼と頭脳がある」

「そんな馬鹿な。単一工程の起動式でもアルファベット3万文字相当になる。そんなこと出来るはずがない!」

 

無理だと断言する服部。しかしそれを可能としているのが達也なのだと彼の力の一端を知る星空は心の中で達也のことを肯定し、服部と摩利の話を聞く。

 

摩利は二科生だからこそ、今の風紀委員に必要だと述べ、一科生が二科生を取り締まる現状の鍵となると言い。それでも梃子でも認めない服部が真由美や摩利に達也の風紀委員入りを断固拒否を訴えかけるが黙って聞いていた深雪がこれ以上黙っているはずもなかった。

魔法実技では著しい結果ではなかったが達也に勝てる人間などいないと断言する深雪に対して、魔法師のあるべき冷静さを掛けていると指摘する服部。

流石の星空も黙って静観する気もなかったのか服部を見て憤っていた感情を冷静にだが口にすることにした。

 

「服部副会長。少しよろしいでしょうか?」

「なんだ?高町」

「あなたはそれでも生徒会の副会長なのでしょうか?」

「…………どういう、ことかな?高町?」

 

完全に服部の感に触った星空に敵意に満ちた視線を向ける中、星空は冷静に言いたい言い分を口にする。

 

「学園の見本となるべき生徒会メンバーの中に一科生、二科生に明確に差別している人間がいる。とても生徒会に属する人間とは思えない言動です。」

「ちょ、ちょっと……星空くん?」

「真由美さん。ちょっと黙っていてください

「はい、すみません」

((立場が逆転してる))

 

憤り、冷静に服部を批難する星空。流石に見かねた真由美も星空に声をかけるが星空の微笑みながらの一喝に黙り。それを見た達也と深雪は立場が逆転していることに内心でツッコんだ。

 

「っ!だから何だと言うんだ。二科生が一科生より優れていると言いたいのか?」

「少なくとも服部副会長と達也……戦ったとなれば達也の圧勝で終わるでしょう」

「なっ!?」

「僕は達也の実力の一端を知っていますし……それを風紀委員で生かせると高く評価できます。たかが二科生と見下し完結している副会長より見る目はあると踏んでいます」

「っ!!僕が二科生より劣るだと!?その言葉取り消せ!」

「魔法師は常に冷静でいなければならない。そうおっしゃった服部副会長がそのようでは……先程の言葉の重さも軽く思えますね」

「っ!!?」

「服部落ち着け!高町も幾らか言葉が過ぎるぞ」 

「すみません。ですがここで言わなければいつまでもこの一科生、二科生の問題は解決しないかと」

 

今にも飛びかかってきそうな服部に流石に見かねた摩利も静止させ、星空にも非があると指摘するが星空も譲れない一線があるのかその言葉を譲らない。

 

「ですがここで言い争っていても拉致が明かないのもまた事実……ここは決闘といった方々を取るべきでしょう」

「っ!下級生の分際でいい気になるな!会長!自分も決闘を申し込みます!」

「自分と戦った後は達也とも戦ってもらいます。これならば風紀委員として見合う実力があるかはっきりもするでしょう」

「いいだろう。だが負けて言い訳なんて見苦しい真似はするなよ」

「その言葉そのままお返ししますよ」

「っ!!」

完全に一触即発でしかもしれっと達也まで巻き込んだ星空は真由美に視線を向けるともういいわよ……っと頭を抱えて決闘を受諾した姿が見えて……内心迷惑を掛けたと思いつつも、今は眼前の敵と服部に視線を戻した。

 

 

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