第一高にある第三演習場。
主に魔法の実験や練習などで使われる演習場には星空と服部が相対し演習場の隅には観覧する達也達が二人を見ていた。
「お兄様」
「大丈夫だ。星空の強さは深雪だってよく知っているだろう」
「大丈夫かしら……本当に」
「会長……大丈夫なんかじゃないです。星空くんが危ないですよ。服部副会長も何処か遠慮する気もありそうにありませんし」
不安になりながらも星空を見つめる深雪に達也は問題ないと自分たちが知る星空を信じようと囁き。真由美も心配するがあずさはいてもたってもいられないようで今すぐにでも止めさせたい気分だった。しかしあずさのことを聞いて真由美は首を横に振る。
「そうじゃないの……その……星空くんやり過ぎないかなって……服部くんの方が心配で」
「はい?ど、どうして副会長の方が心配なんですか?幾ら星空くんが次席だとしてもそれは一年の話です。一つ年上で魔法の知識がある服部副会長の方が有利なはずですよ?」
「あーちゃんは二年だから知らないわよね……星空くんのあの噂」
「噂?」
噂とは何なのか?服部の方が一年のキャリヤがあり服部に分があると分析するあずさに真由美はそれでも星空が勝つと思っていて、ふとあずさが2年で星空に関する噂を知らないからかと納得していると
服部が未だにCADを、出さない星空に声をかけた。
「高町、CADはどうした?まさかこの期に及んで持っていない……とは言わないな?」
「言いませんよ。」
そういって星空は懐から紺色の大型のリボルバータイプの拳銃を取り出す。
(あれは……星空、本気だな……この戦い一瞬で終わる。だがそれを使うということは今のCADの情勢を一変しかけないぞ)
「真由美……あのCADだが……」
「ええ……見たことがないわね……」
「司波くん……星空くんの友達なら何か知っていますか?」
星空のCADを見て達也は戦慄し横では真由美達が星空のCADを見たことがないのでどこで作られたものなのか見当がつかず。あずさが達也なら何か知っているのではと問いかけると達也は簡単に答えてくれた。
「あれは星空の自作です」
「自作!?星空くんCAD作れるの!?」
「ええ、星空は昔から手が器用ですから、その手のことはかなり。といっても性能はやはり正規の会社で製造されている商品の方が上でしょうが」
自作だと答えた達也に知らなかった真由美は驚く。
しかし所詮はプロが作ったわけではないCAD性能はメーカー品の方が上だと達也は分析した。
「ルールを確認する。魔法、体術あり……殺傷のある魔法は禁止……勝負があったと判断した場合は両者とも戦闘をやめてもらう」
「異論ありません」
「こちらもです」
ルールを確認し両者とも異論はないと言い切ると星空はCADを左手に持ち臨戦態勢を取ると、違和感を覚えたのは星空を知る達也、深雪、真由美の三人だった。
(これは……なるほどそういくか)
「はじめ!!」
その中で達也は星空がどういった戦法で決めるのか大体察して摩利の号令により決闘の火蓋が切って落とされた。
(手加減はしない。上級生の実力を見せる!)
開始された瞬間服部はCADを操作して起動式を展開、対する星空は左手に持つCADを服部に向けてトリガー引き。すると服部の起動式が壊れた。
(なっ!?)
一体何がっと動揺を隠しきれない服部だが星空は既に次の行動に移っていた。
服部の起動式を破壊した瞬間、服部へ向かって踏み込み。右手の拳を服部の
「っ!!かはぁっ!?」
踏み込みスピードに全力のストレートが服部のを捉え、言葉にもならない悶絶に苦しみながら服部は膝を降りその場で手を付けた。
もはやこれを見て誰の目にも勝者が誰か明らかで摩利はあまりにも早い決着に戸惑ったが直ぐに宣言した。
「勝者、高町星空!」
一瞬……本当にわずか数秒で服部を倒したことに摩利やあずさ、鈴音は動揺を隠せず。ある程度予想していた真由美も星空が使った魔法に唖然とし、達也と深雪は当然と言わんばかりに動揺もしていなかった。
「いっ……たい……なにが……どう……やって、起動式を……」
苦しそうに蹲りながら何が起きたのか分からない服部は星空を見ながらあの時何が起きたのか言葉が途切れ途切れで口にするがその答えを口にしたのは星空ではなく真由美だった。
「
「真由美?あれのことを知っているのか?」
「術式解体……圧縮されたサイオンの塊をイデアを経由せずに対象物に直接ぶつけて爆発させ、そこに付け加えられた起動式や魔法式と言ったサイオン情報体を吹き飛ばす……まさか、星空くんがそれを使えるなんて……欠点と言えば短い射程と使用する膨大なサイオン。並の魔法師じゃ。1発撃つも撃てないはずよ」
「つまり高町は相当なサイオン量を保有していると」
「そこまでじゃないですよ」
真由美が星空が使った術式解体のことを説明し、星空が術式解体を余裕で放てるサイオンを保有していると摩利は分析するとそれを星空本人は首を振って否定した。
「術式解体を一発撃ったら恐らく僕のサイオン量では次は撃てません」
「ではどうやって使ったんだ?」
「……もしかしてそのCADに使える秘密があるんじゃないですか?」
星空は術式解体を簡単に扱えるほどサイオンを持っていないと断言するがそれでは先程と矛盾すると摩利は指摘すると先程から黙っていたあずさが恐る恐る星空のCADを見てそう指摘すると星空はすんなりと首を縦に振って肯定した。
「その通りです」
そういって星空は自分のCADのシリンダーを横にスライドさせ手首を動かし中に入っている弾薬を全て取り出しそれを見せる。
「これは薬莢かい?」
「厳密に言うと膨大なサイオンが内包されている薬莢です」
「サイオンが内包されているだと!?」
「はい。先程の術式解体もこの弾薬のサイオンを使っただけで実際僕のサイオンは使っていません」
どういう仕組みで術式解体を使ったのか説明し星空が説明を終えると摩利はもちろん。真由美や鈴音もあまりのすごい技術に絶句する。
「これは……凄まじいものですね」
「ああ、魔法社会の常識が一変しかねないぞ」
「でも、そんなものどこで手に入れたの?まさか星空くんが作ったわけじゃ……」
「……星空くん、その技術の出所ってもしかしてエクリプスカンパニーじゃないですか?」
「え、はい。あずさ先輩。よく知っていますね」
あまりにも一変しかけない技術に言葉が余りでない中。あずさはある会社の名前を出すと星空は少し驚きながらその問に肯定する。
「あーちゃん。エクリプスカンパニーってあの?」
「そうです!数年前に海鳴市にあるバニングス社と月村重工が共同で立ち上げたCAD製造・開発をしている大手企業のことです。噂程度で魔法師のサイオン量を覆す技術を開発しつつあるという話はありましたが、まさかその技術を星空くんが扱っているなんて……」
「少し、バニングス社と月村重工につてがあって……そこからです」
CAD好きのあずさに熱が入ったのか感情高ぶる抑えられないあずさの熱弁に星空は簡潔に答える。
「ただ欠点としては使える魔法が特化型以上に制限させること……もうひとつ扱いが極めて難しいこと。これも全てのリソースを術式解体だけに注いでいますから」
「なるほど、術式解体だけ使えるCADか……しかしそれでも……」
「サイオン量が少ない人でもだれでも術式解体が出来てしまうのはやはり驚きを禁じ得ませんね」
自身のCADの説明を終える星空に理解してくれた摩利と明らかに今の常識を覆すものと驚嘆する鈴音。
そんな中、蹲っていた服部も起き上がってきて真由美が心配して声をかけたが服部は問題ないとふらつきながら言い切った。
それから暫くして体調が戻った服部が達也と決闘し達也の圧勝で終わって一騒動あったのは言うまでもない。