星空と達也が風紀委員会に入った翌日、星空はお昼休み、ほのかと雫の三人で食堂の一画で昼ご飯を食べていた。
「勧誘合戦……ですか?」
星空が話した内容に気になったほのかは星空の言った言葉を口ずさむと星空はそうそうと、そのことについて知っている限りの情報をほのか達に教える。
「要するに各クラブによる今日から一週間の新入生の取り合い。人数確保と今年出される予算なんかもこれで決まるとかなんとか、ただ色々と物騒みたいでね……」
「物騒って?」
「各クラブはデモンストレーションで校内でのCADの使用が許可されていて、毎年問題が発生してる。真由美先輩の話だと各クラブには新入生の情報も出回ってるって話だから優等生は確実に狙われるね」
遠回しにほのかと雫に警告する星空。
二人も各クラブから標的対象であることを自覚すると思わず言葉を詰まらせ、少しだけ間が空くとほのかはあることに気付き、星空に尋ねた。
「それじゃあ、星空さんも狙われるんじゃ……」
「ん?ああ確かにね……けど上手くやり過ごすつもり。元々お店手伝うつもりだったけど風紀委員会まで入ってその上クラブまで入ったら流石に両立がね……」
成績優秀者がこぞって狙われるということはほのかや雫だけではなく。説明している星空自身も標的になり得ると気づいたほのかは心配して尋ねると星空は当然そのことにも気付いていて、上手くやり過ごしてクラブには入る気はないと断言する。
それを聞いたほのかはそうなんですかと、理解はしたが何処か落ち込む様子で星空は首を傾げた。
「ほのかは星空さんと一緒のクラブなら入りたいって言ってた」
(し、雫!!?)
二人の様子を見かねた雫がほのかの心情を察して、ほのかが思っていることを代弁すると落ち込んでいたほのかは星空に本音を聞かれたことで顔を赤くする。
「そ、そうだったんだ……でもごめん。やっぱり全部両立するのは厳しそうだから……」
(とは言いつつも、母さんならお店のことはいいから、星空はやりたいことをやれば良いって言うんだろうな)
ほのかのことを察して気まずい表情を浮かべる星空。その上で頭の中では、なのはがもしもこの話を持ちかけたら翠屋のことは言いから自分がやりたいことを優先するようにというのは星空でも簡単に想像が出来た。
そしてお昼休みも過ぎていき放課後、星空と達也は風紀委員全員が集まる風紀委員会本部の座席に座り、今日から始まる過酷な一週間のミーティングが行われていた。
「さて、今年もまたあの馬鹿騒ぎの一週間がやってきた。 クラブ活動新入部員勧誘期間だ。いや… 新入生獲得合戦と言うべきかな? 原因は魔法科高校ならではのクラブと九校戦だ。九校戦の結果は 学校全体の評価に反映されるのはもちろん活躍した生徒とそのクラブは学校側から優遇される。というわけで有力な新人の獲得は最重要課題であり各部間のトラブルは多発する。しかも勧誘期間中はデモンストレーションようにCAD携行許可が出ているから余計に厄介だ。ヒートアップしたクラブ同士、影で殴り合いどころか魔法の打ち合いになることもある。学校も将来の九校戦の為か、多少のルール破りは黙認状態。学内は無法地帯化してしまう。この状態を沈められるのは我々風紀委員だけだ。 今日から一週間フル稼働してもらう!今年は幸い新人の補充も間に合った。紹介しよう。1-A 高町星空。1-E 司波達也だ」
摩利に紹介されると星空と達也は席から立ち上がり。二人は他の風紀委員から注目され主に達也を見て少し動揺する。
「委員長、役に立つんですか?」
「 二人とも腕前は見た。私の目が不安なら自分で確かめてみるか?」
「や、やめておきます…」
二科生ということで本当に戦力になるのかと不信な目で達也を見る風紀委員が摩利に尋ねると摩利はため息を吐き、実力は知っていて問題ない。摩利の言葉が信じられないなら自分で確認するかと返されると尋ねた風紀委員も押し黙った。
その後、質問がないかを摩利から全員に尋ねられると誰も発言する人はおらず。
それを確認すると摩利は風紀委員全員に向けて号令を上げる。
「ないなら直ちに出動!!」
その号令に風紀委員ははいと二つ返事で応えて早速校内の見回りに動き出し本部は摩利と達也、星空の三人だけになる。
「 まずはこれを渡しておこう。風紀の腕章とビデオレコーダーだ。巡回の時は常にその二つを身につけておくこと。レコーダーは胸ポケットへ、 違反行為を見つけたらすぐスイッチを入れろ。また風紀委員はCAD携行を許可されている。だが不正使用は厳罰だからな」
達也と星空は摩利から渡された風紀委員の腕章を腕に取り付け、レコーダーを胸ポケットにしまうと摩利から注意事項を説明されると二人は理解して頷いた。
「渡辺先輩、CADは 委員会の備品を使用しても良いでしょうか?」
「構わないが理由は?」
「 あれは旧式ですがエキスパート仕様の高級品ですよ」
「そ、そうなのか?」
「ええ。ではこの二機をお借りします」
「二機?本当に面白いな…君は。そうだ高町。君はCADはあの術式解体用のCADを持ってきているが他の魔法は使えないのか?幾ら起動式を破壊できるとはいえ、逃げられては意味がないぞ」
何だったらCADを借りていくか?と摩利は星空に向けて問いかけると星空は問題ありませんとズボンのポケットから端末型のCADを取り出し、上着内で付けているホルスターから術式解体用のCADを出して見せた。
「その端末は?汎用型のようだが……」
「こっちは一般的な汎用型を軽く弄った代物ですがこっちに使う魔法の起動式を入れています。速度は汎用型ですから望めませんが。僕にはこれがありますから」
そういって説明した後。術式解体用の拳銃を軽く振って問題なしとアピールする星空になるほどなと理解した摩利。
風紀委員の説明も終わり本部から出た星空と達也はこれからどうするかで互いに顔を合わせる。
「さてと、僕はまずグラウンドの方を見ていくけど……達也は?」
「俺は中庭や校舎周辺を見回るつもりだ。」
「そっか……それじゃあまた後で」
「ああ」
そういって途中まで一緒に移動し校舎から出るとお互い別れて風紀委員の初の警邏を始めた。