魔法科高校の魔導士   作:ウィングゼロ

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入学編18

生徒会での集まりで第一高に蔓延る反魔法団体の影を知った星空達。

だが今のところ打てる手がないために後手に回ることを覚悟で今できることをしようと反魔法団体のことは十師族である真由美に任せ星空達は一度自身を請け負う業務に取り組む。

 

そして忙しかった部活動勧誘期間も過ぎ、風紀委員のローテーションも通常通りに戻ると星空はMMAの部室で鋼と練習を励んでいた。

 

「やっぱり。星空は凄いね。本当に一般家庭だよね?」

「何度も言ったろ?本当に何所にでもある家庭だって」

 

そういって、星空は答えるが鋼は何処か納得のいかない顔つきで星空を見る。

今年度のMMA新入部員は2人だけではなく。それなりに人数を確保することは出来た。

しかし鋼は数字付き(ナンバーズ)という魔法の家系生まれで他の人より魔法を扱うことに完全に長けている。

新入部員の中では間違いなく最強と拳を交えなくても新入部員の中では口をそろえてそう答えるだろう。

しかしそんな新入部員の予想を裏切るように同等の力を持つ星空がいた。

数字付き(ナンバーズ)である鋼と互角に渡り合う星空の強さに疑問が尽きない鋼は何度も同じ質問を星空に尋ねているが星空の返ってくる答えは変わらない。

 

「そうだ。鋼は部活終わったらそのまま家に帰るんだよね?それなら翠屋に寄っていかない?」

 

百聞は一見にしかずと星空は鋼を翠屋に誘い。鋼は少し考えた後、星空の誘いを受けて部活後翠屋へと向かった。

部活動も終わり時刻も6時前と夕日ももう直ぐに完全に沈みかけている中、翠屋の中は未だに一高の生徒などが多く見られる。

 

「お待たせ、翠屋オリジナルブレンドカフェオレとイチゴタルト」

 

そういって厨房からケーキとカフェオレを鋼がいるカウンターまで持ってくると鋼の前に置き、御盆を片付けると星空も鋼の隣のカウンター席に座り持ってきたカフェオレを一口飲む。

 

「美味しい。このカフェオレ、星空が垂れたの?」

「うん、そうだよ。意外だった?」

「いやそんなことはないよ。」

 

飲んだ感想に星空が垂れていたのを見て目を大きくして星空に尋ねる鋼。

星空もそんな鋼に意外だったかと尋ね返すと鋼はそれを首を振って否定する。

 

それからも他愛もない話をする2人。すると翠屋の入り口が開いて外から三人の第一高生徒が入ってくる。

 

「あっ!星空さん!」

「部活帰り?お疲れ」

「ほのか?雫も……後は……」 

「明智さんじゃないか。他クラスの人と一緒なんて珍しいね。同じ部活動の?」

 

翠屋に入ってきたのはほのかと雫。そして赤髪の少女で星空の隣にいた鋼が彼女の名前を呼びほのか達と同じ部活動仲間か尋ねた。

 

「違うよ。偶然知り合っただけだよ!私、英美=アメリア=ゴールディ=明智。エイミィで良いよ!」

 

そういってエイミィーは星空に自己紹介をした後まじまじと星空をみつめる。

 

「えっと……エイミィ?」

「なるほどね~」

 

流石に見つめられてなにかあるのかと星空はエイミィに尋ねるとエイミィ何かを察したのかにやついた笑みで肘で少し赤らめているほのかの脇を突く。

流石に理由が分からない星空と鋼は首を傾げたがそんな中黙っていた雫が前に出て星空に声をかける。

 

「星空さん。今日個室の予約入れてるんだけど……」

「個室の予約?ちょっと待ってね」

 

予約のことを聞くと星空は座っていた椅子から立ち上がりレジ近くに置いている置き型端末で確認する。

 

「……うん、確かにあるね 予約してる個室は右手の方だから……」

「うん、わかった。ほのか、エイミィ早く行こう」

「えっ!?ああ、うん!」

「……………………」

 

星空が空いている個室の場所を伝えると雫は何処か馳せらせているようにほのかとエイミィを連れて個室へと向かい、その後ろ姿に星空は不信感を覚えた。

 

 

 

「……感づかれたかな?」

「え?星空さんに?」

「うん、私達のこと不自然にだって思って観察してた」

 

翠屋の個室に入った後、扉を閉めて完全に外に声が漏れないようにすると雫は先程の星空の表情から雫達を疑い深く観察していたことに気づき、ほのかは目を丸くして驚く。

雫も時間も無いため馳せらせたとはいえそこまで気づかせないように配慮した。

しかし、完全に不自然だと星空は怪しんでいる。もしかしたら何かしら自然体で聞いてくるかもしれない。

そう雫は頭の中で思いながら据え置きの端末で注文をすると少し間を開けてから口を開ける。

 

「さてと……取りあえず。状況を確認しよう」

「そうだね。先ずは目安箱に入れた紙。あれは生徒会にちゃんと届いたんだよね」

「多分。あれで上手く達也さんが狙われていることを伝えられてるし警戒もしてる。」

「それと私達、司波くんを襲ってる人を見たもんね。確か剣道部の主将の……」

「司甲先輩。まだ確証があるわけじゃないけど達也さんを狙ってる人が居るのは確か」

 

今分かっていることを口に出して確認する三人。

達也を狙う剣道部の司甲(まだ予測段階)を目撃したのは偶然だったが達也を狙う襲撃犯を突き止めようとほのか達は双眼鏡などを駆使して観察していた。

 

「それでどうする?」

「うーん、まだ何かありそうだから調査は続行ってことで」

 

エイミィの言葉に頷くほのかと雫。このまま調査し続けるという結論に纏まった後、ほのかは不意に何かに気づく。

 

(あれ?)

 

するとほのかは机の下をのぞき、突発的な行動に雫とエイミィも首を傾げる。

 

「どうしたのよ。ほのか」

「え?今机の下に一瞬光ったような……」

「それ本当?ほのか?」

 

ほのかの言葉に眉をひそめる雫。

雫はほのかの光に対する敏感な体質を知っているからこそほのかの言ったことに現実味があるように思う。

しかしほのかが机の下を見ても何もなく魔法を使われた想子の痕跡すらない。

 

「ほのかの思い違いじゃないの?ほら観察してたから物凄く敏感になってたとか」

「……そうなのかな?」

 

観察していたことで周囲への警戒を強めていたからそれで見間違えたのではないかと口にするエイミィにほのかは間を開けてまだ納得も言っていない表情で呟き、雫も黙ってはいるが頭の中では先程のことを考えていた。

 

 

 

(……大体は繋がったかな?)

 

そういってレジ前のカウンターで帰るお客の会計を行う星空は頭の中で手に入れた情報を纏める。

ほのか達に何かあると目星を付けた星空はほのか達や鋼……誰にもに見えないように掌から音声だけ拾えるエリアサーチを作り出しそれを誰にも見えないようにほのか達の使っている個室の机の下に忍び込ませ、念話の要領でほのか達の会話は全て星空に筒抜けだった。

勿論情報を手に入れた後はエリアサーチ自体を消滅させたがその時一瞬だけ光ってしまいほのかに勘づかれかけたことは星空は知るよしもない。

 

「250円のお返しです。ありがとうございました」

 

お客の会計を済ませ、翠屋へと出て行くのを見送った後、また頭の中で情報を整理する。

 

(まず、達也を狙っているのは剣道部の主将、司甲……恐らく達也に目を付けたのは剣道部と剣術部のいざこざが始まりかな?)

 

付け加えるならあの告発書もほのか達が出したものと頭の中で付け加えながらお客が使ったカウンターを拭いて次のお客が使えるように整える。

 

(だけどそれだけじゃない)

 

ほのか達が探っているものは達也を狙っている物だけでは片付けられないと星空は知っていた情報と照らし合わせ考える。

 

(部活連から生徒会に回ってきた。剣術部と剣道部の騒動の調書。桐原先輩が言った剣道部の壬生先輩の剣筋が変わったという事実とと汚染源が剣道部の誰かということ……これは汚染源は司甲……これで間違いない。)

 

頭の中で一つ一つバラバラなピースをはめ込んでいくように星空は情報を整理していくと同時に使った皿などを洗い場で洗う。

 

(だけど、達也を狙う理由が分からない。単に二科生で風紀委員だからっていう理由なのだろうか……いや違う。多分僕が感じたあの視線もエガリテのメンバーのものだと推測すれば僕もその対象だろう)

 

新入部員勧誘期間で感じた視線。それがエガリテのものによるものなら達也と同じく星空も狙われていると考え達也が二科生だから狙われているという推測を否定し他の推測を立てる。

 

(1年だから……いや、魔法の無力化?)

 

これなら納得出来ると星空は自分の使った術式解体や達也のアンティナイトなしでのキャストジャミングもどき。前者は警戒から後者は欲する欲からと捉えれば色々と辻褄もあった。

 

(だけどこれからどうする?司甲が関わっているのは明確だけど。僕一人だと何が出来るか……)

 

幾ら星空でも一人ではこれ以上調べ上げることは難しく。いっそ達也を頼るかと考えるが直ぐにやめた。

 

(駄目だ。僕と達也と一緒に行動していたら更に警戒心を持たれる。となればほのか達?そっちも無理、危険なことに首をつっこんで欲しくないし、寧ろお願いしたら怪しまれる)

 

実際、ほのか達の密談を盗み聞きしていた星空は突拍子にお願いなど言えばほのか達に怪しまれるのも可笑しくはない。

 

(……今は僕一人で調べるしかないか……)

 

となればと星空はこれからのことを考え、先ずは何をするべきか模索し直ぐ出た結論に星空は苦い笑みを溢して呟いた。

 

「これは……母さんと父さんに話さないと……」

 

仕方ないと思いながらもこの方法が絶対で安全と星空は割り切ることしか出来なかった。

 

 

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