4月20日
その日の夜、第一高からそう遠くない場所にある廃工場の外周に星空は隠れながらエリアサーチで中の状況を調べていた。
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「これはあたりかな?」
ブランシュの拠点を第一高からそう遠くないことを推測してから数日が経ち。割り出した地区に拠点と思われる施設を夜間に調査しそして今日、第一高からもそう遠くない廃工場に普通ではあり得ない生体反応を確認しブランシュの拠点だと星空は断定する。
「70人もいる時点で普通じゃないし……何より……」
そういってエリアサーチを廃工場内に忍び込ませたことで内部の様子が星空の目の前に開いたモニターに表示されて内部状況が映し出される。
「銃火器で武装している時点でチンピラなわけないよね」
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銃火器を所持している事を確認しレイがこのまま殴り込むかと星空に尋ねられると星空は首を振り。レイに向かって告げる。
「いや、止めとこう。拠点を捜し出したことだけでも充分。攻め込むのは時期を見てから……それじゃあ今日は帰ろうか」
[Yes.master]
そういって星空は空中に浮きそのまま夜空をゆっくりと飛んでいく。
次の日……授業が終わり放課後になって星空は今日は風紀委員としての見回りに出る日だったので淡々と帰る準備をして風紀委員会本部へ向かおうと思った矢先深雪が達也の元へ向かおうとしているのを見て星空は深雪を呼び止める。
「あっ、深雪待ってくれ」
「?星空くん?どうしたんですか?」
呼び止めた深雪に星空は歩きながら話そうと告げると深雪も特に問題がないのか二つ返事で頷き。教室に出て達也の元へ向かう深雪に星空は平行して歩く。
「この前のほのかの……強いて言えばブランシュの一件だけど」
「はい。その件については……」
「うん。そっちも調べてるんだよね?だからお互い持ってる情報共有しておこうと思って、今晩達也と一緒に翠屋に来れる?」
「はい。問題ありません。お兄様も星空くんとの情報共有のことは今朝、おっしゃっていましたから」
「そっか……それじゃあ今晩に……『全校生徒の皆さん!!』っ!?」
お互い同じ事を考えていたのか星空は達也の事を聞いてくすりと微笑み。途中で星空達は別れようとした瞬間、学園内全域に響く放送が流れる。
音量を完全に間違えたのかノイズが酷く。星空が見渡した限りでも何人かの生徒が耳を塞いでいるのが見てわかった。
そして直ぐに音量を調節して一言先程のことで謝罪の言葉を述べると続けて本題に入る。
『僕たちは、学内の差別撤廃を目指す有志同盟です』
「これは……動いたのか?」
「星空くん!」
続けて流れた放送に星空はエガリテが動き出したと予感し隣にいる深雪は星空の名前を呼ばれ。放送室に向かおうという意味が込められていることを察した星空は深雪と共に放送室へと向かう。
放送室前にたどり着くと既に渡辺摩利を始め風紀委員の生徒に一際体格がでかく威圧感のある男性率いる部活連の生徒達が集まっていた。
「来たか高町」
「お疲れ様です。渡辺先輩それと……」
「久しいな。高町二年前の謝罪以来か」
「はい。ご無沙汰してます。十文字会頭」
畏まった口調で話す星空の先にいる巨漢。真由美達と同じ3年の十文字克人は星空に視線を向けられていることに気づくと顔を向ける。
「十文字先輩とはお知り合いなんですか?」
「まあ、二年前にね」
顔見知りということに深雪は意外だと思いながら星空にその理由を尋ねるとあまり言いたくないのか苦笑いをしながら上手く茶を濁す。星空。
そんな中達也も漸く放送室前にたどり着く。
「遅いぞ司波!」
「すいません」
「状況を窺ってもよろしいですか」
「いいだろう。他の者も聞いてくれ」
達也が駆けつけたことで摩利は現状の説明を語り出す。
「連中は中から鍵を掛けて立て籠っている。電源をカットしたからこれ以上の放送はないが、問題は連中がマスターキーを盗んだ上で事に臨んでいる点だ」
「用意周到……計画的に行われたのは間違いないみたいですね」
厄介だなと正攻法では開けられない扉を前にどうしたものかと考える星空はふとポケットに入れているレイに念話で語りかけた。
「(レイ、話は聞いていたと思うけど。この電子ロック。レイなら解除できる?)」
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「(例えだよ。例え)」
いざというときの最終手段は有効と確認することが出来た星空は摩利達の話に耳を傾けると話は進んでいて達也が通信端末で誰かに連絡を取っていた。
「壬生先輩ですか?司波です。……それで、今どちらに? はぁ……放送室に居るんですか。それは……お気の毒です」
達也の連絡している相手が壬生だということに周囲は驚愕する中。そんな周囲のことなどなんとも思って無いように達也は壬生との連絡を続ける。
「十文字会頭は、交渉に応じると仰っています。生徒会の意向については未確認ですが……いえ、生徒会も同様です。ということで、交渉の詳細について打ち合わせをしたいんですが……」
そうして淡々と達也と壬生の話し合いは続き、壬生は自ら出て来ることなり交渉は一段落したのだが星空は苦笑いを浮かべていた。
「さてと、星空。」
「わかってるよ。壬生先輩以外の立てこもり犯は拘束すればいいんだよね?」
全く人が悪いと星空はCADを確りと手に持ちいつでも魔法が使えるように準備していると何事もなく丸く収まると思っている摩利達は星空の行動に首を傾げた。
「ちょっとまて、司波、高町。ついさっき司波が安全は保証すると約束したんだぞ?それを反するわけには……」
「俺が自由を保障したのは壬生先輩一人だけです。それに俺は、風紀委員を代表して交渉しているなどとは一言も述べていませんよ」
「との達也の言葉なので……」
明らかに一言二言足りてないぞと少し愚痴を溢すように星空は達也に向けて言うと悪かったなとあまり反省はしていない様子で星空の愚痴を遇う。
その光景に摩利達は呆気に取られていたがなんとか持ち直して確保の準備に取りかかり。達也の罠に引っかかった壬生が放送室の扉の鍵を開けた瞬間。中に突入して壬生以外の立てこもっていた生徒は直ぐに確保された。
「司波くん!!どういうことなのこれ!私たちを騙したのね!」
「 司波はお前を騙してなどいない。お前たちの言い分は聞こう。交渉にも応じる。だが、要求を聞き入れることとお前たちのとった手段を認めることは別の問題だ」
騙されたと憤る壬生は達也を睨みつけるが十文字は交渉には応じると言った後立てこもりなどの犯した手段については確りと罰を与えると仁王立ちで壬生に言い放ち。その威圧で壬生は後退るとそこに真由美がやってくる。
「 それはその通りなんだけど、彼らを離してあげてもらえないかしら」
「七草会長!?」
「だが真由美!」
「 ごめんね摩利、言いたいことは理解しているつもりよ。でも、学校側は今回の件を生徒会に委ねるそうです」
真由美の登場に驚く風紀委員や部活連の生徒達。摩利も真由美の手を離すようにという指示に容認できず声を上げるが今回の件を生徒会の一存に委ねられることを聞き星空は眉間を寄せ真由美に向かって口を開ける。
「教員達はあくまで静観するということですか?」
「そう捉えて構わないわ」
「幾ら何でも放任しすぎです。教員方は教職員としての自覚があるんですか?」
こんな状況になりながらも一向に動かない教員陣に流石に苛立ちを覚える星空。真由美もその目に映る星空の苛立ちに気圧されかけるが真由美は上手く星空を宥めさせようと話し出す。
「星空くんの憤る気持ちもわかるわ。本来なら教員達が動くべき事態。だけれど私は十師族に連なるものとして信頼されているから任されたのよ」
「…………わかりました。今はそういうことにしておきます」
まだ完全に納得しきっていない星空だがここで駄々を捏ねるだけでは駄目だとひとまずは納得した形を取り。それを聞いた真由美はありがとうと謝礼をいい。壬生に視線を戻す。
「壬生さん、私たち生徒会はあなたたち有志同盟の主張をこれから聞こうと思うんだけどついてくる気はある?」
「 私たちは逃げる気はありません!」
「 じゃあ決まりね。それじゃあみんなお先に失礼するわね」
そういって壬生と一緒にこの場から立ち去っていった真由美。それから今回の件を風紀委員の先輩や部活連に任せた後。当初の予定である見回りを始めた。