魔法科高校の魔導士   作:ウィングゼロ

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入学編24

4月22日

放送室立てこもり事件から翌日。星空は合流したほのかや鋼と共にいつも通り他の生徒達と同じぐらいの時間帯で通学路である第一高校へ向かう坂道を歩いていた。

 

「星空。昨日の騒動なんだけど……」

「昨日の立てこもり事件のこと?まあ知ってるよね……」

 

鋼は昨日事の発端であった放送を聞いていたからか風紀委員である星空に事の顛末を聞こうと尋ねるとあれだけの騒ぎになっていたから気になって当然かと少しため息を溢しながら言える程度の事を話し始める。

 

「色々詳細は省くけど。要するに二科生の不当な扱いに対して異議を申し立ててるの……ただまあ……仮に二科生の意見が通ったとしても一科生との間の亀裂が更に酷くなるだけなんだと思うけど」

「やっぱり」

「え?どうしてなんですか?」

 

要点だけで昨日のことを説明した後。星空は一科生と二科生の間の溝が更に深まるだろうと口にすると雫はそれがわかっていたことで呟き。それを聞いた、ほのかはわからないからか雫と星空に尋ねた。

 

「教師の有無なんかもあるけどカリキュラムに関しては一科生、二科生問わず全く同じ内容だってことは知ってるよね?」

「はい、そうですよね。でも……その差は大きいですよ?」

「確かに教えてくれる教師がいるっていうだけでアドバンテージに感じるかもしれないけど……それは教師の少ない現状で全体を賄えないからという理由があるわけだし……生徒がとやかく言ったところでどうしようもない現状だしね。仮に差別撤廃が通ったとしても今度は一科生が反発することになる。」

「それは今まで通り授業を受けられなくなるから反発もするだろうね。そうか……そういうことか」

 

二科生有志が掲げる差別撤廃が通った場合の仮定の話をしていると鋼は腑に落ちた表情で星空が言いたいことを理解するとそれを見たほのかと雫は知りたそうに星空と鋼を伺う。

 

「鋼はわかったみたいだね。ごく少数の一科生が二科生を差別しているというのは確かだけど、それは見下しているという感じだ。だけどここで差別撤廃が通ったらどうなる?」

「えっと、二科生にも教師がついて一科生にも教師が付かない日が出来るから……」

「一科生からも二科生のことを恨む人達が現れる?」

「その通りだよ雫。少なくとも両者の間の険悪化はより一層深くなるのは明白だろうね」

 

一科生と二科生との更なる関係悪化そのことを理解した二人も状況がかなり悪いということで顔を青くして星空はそんな二人を見ながらも話を続ける。

 

「ただその件は真由美先輩に任せるしかないかな。真由美先輩ならきっと両者納得いく形で上手く納めると思うから」

 

だから大丈夫だよと顔を青くする2人を落ち着かせ、校門にたどり着くと既に明日に行われる差別撤廃を掲げる有志同盟の二科生が賛同者を募っている光景が目に映り討論会がどういう風に終わろうと今のあり方が変わることは間違いないと星空は確信しながら昨晩のことを思い浮かべる。

 

 

 

昨晩

「1人で乗り込むだと!?何を考えているんだ!」

 

星空の発言に直ぐ達也が声を荒げる。

 

「それが一番安全だから言ったんだよ」

「なら一人で行くこともないだろう。エガリテの一件が終われば……その後行けば……」

「その時確実に十文字先輩か真由美先輩はいますよ。怪しまれないことを第一にするんだったらそれは避けるべき。仮に2人がいなくてもブランシュのメンバーはどうやって連行するつもり?公共の機関の手は借りるのも全く同じことだよ」

「それは……叔母様達の力を借りて……」

「それじゃあ、七草辺りに勘づかれる。かといって制圧した後密告してブランシュの場所を教えても捕まった構成員が達也や深雪と口を割ってしまう可能性が高い。」

 

2人の反論に星空は一つ一つ論破して黙らせるとそれを見て後一押しだと話を続ける。

 

「それと僕一人で行く場合ならアリバイと正体の隠蔽。両方こなせる自身がある」

「……確かに星空なら可能だな」

「お兄様!?」

「だが、こっちも黙っているつもりはない。エガリテの事が終わればブランシュ殲滅を周りに促す。先に乗り込んでいる星空の安全とブランシュを一人も逃がさないためにな」

 

それに場所についても他に調べていそうな人に当てがあると言って仕方なく星空の独断を渋々認めると星空もそれを聞いて頷いた。

 

「うん。わかったそちらの方が確実だろうしね」

 

 

 

(さて……どちらにしても明日が正念場だ)

 

有志同盟を見て密かにそう決心する星空。

そして時間は過ぎていき翌日の放課後、討論会が間近に迫り行動にはそれを聞きに来た一科生と二科生が集まっている。

 

「かなり集まってきたな」

 

舞台の端の幕から講堂にいる生徒達の数を見て思いの他集まっていることを呟く摩利。

 

「それだけ、この討論会に興味を持つ生徒達が居たってことなんでしょうが……やっぱり」

「どうした?高町?」

摩利の隣で同じく講堂に集まっていた生徒達を眺める星空はあることに気づき、そのことを思わせる言葉を呟くと同じく控えていた服部が星空の呟いた言葉に反応して尋ねると星空は振り返る。

 

「一昨日の事件で壬生先輩を始め立て籠もっていた生徒達の姿がありません」

「そういえば……つまり彼女達は他に何かしていると言うことかな?」

「はい。ですが講堂にも仲間はいるでしょうから大人数で動けば気取られる可能性があります。取りあえずは僕一人で探してはみますが」

「……確かにそうだな。仕方が無い」

 

だが無理はするなよと完全に納得はしていない様子だが星空の提案にも一理あるという表情で摩利は星空の提案に頷くと星空は講堂から離れ中庭を周りから怪しまれない速度で歩く。

 

(さてと……)

([Master(マスター).Wide area search in the school is completed.(学園内の広域探索が完了。)There are already students in several(既に不審な動きをする生徒達) places who are behaving suspiciously.(が複数の場所に居ます。)])

「壬生先輩の位置は?」

([She is near the library. (彼女は図書館付近にいます。)However, there are other people who are not students(ですが他にもこの学園の生徒ではない) of this school hiding nearby.(人達が近くに潜伏していますね)])

「目的は図書館二階にある特別閲覧室。魔法研究の文献資料かな?」

([Likely(可能性は高いです)])

「このことを達也の端末に送信。達也だから言いふらすことはないだろうし」

([OK(了解しました)])

 

既に配置していたエリアサーチにより既にブランシュ側は動いていることをレイを通して知った星空はこのことを達也にも伝えるために達也の端末にメッセージを送ると星空は見回りしているように装い歩く。

 

「時間的にはそろそろかな?」

 

今頃行われている討論会のことを思って星空は一度講堂に振り返り。直ぐに視線を戻し校門前へと向かっていく。

 

 

(全く。星空の奴は)

「どうされましたか?お兄様」

「……壬生先輩がブランシュのメンバーと行動を共にしているようだ」

「っ!そうですか」

 

達也の端末に星空から送られてきたメッセージを見て既に敵側の動きがあることを知った達也はその情報を手に入れた星空に対して相変わらず手の早いことを苦い笑みを浮かべ、兄の反応に気づいた深雪は周りに聞こえない声で達也に尋ねると達也も深雪に星空が送ってきたメッセージの内容を簡易に伝えて深雪は気づかれないようにそのことを理解して呟いた。

 

既に講堂内では有志で集まった二科生と生徒会長である真由美のお互いの主張を言い争う討論会が行われていた。

 

「一科生が自らをブルームと称し、二科生をウィードと呼んで見下した態度を取る。それだけが問題なのではありません。二科生の間にも自らをウィードと蔑み、諦めと共に受容する。そんな悲しむべき風潮が確かに存在します。この意識の壁こそが問題なのです!現在の制度では、会長以外の生徒会役員は一科生からしか選出することができません。私はこれを、退任時の生徒総会で撤廃することを、生徒会長としての最後の仕事にするつもりです。人の心を力づくで変えることはできないし、してはならない以上、それ以外のことで、できる限りの改善策に取り組んでいくつもりです」

(これは七草会長の独壇場だな……)

 

この学園の抱える問題を解決することが生徒会長としての最後の責務だと断言した真由美の発言は一科生だけではなく二科生からも拍手喝采が起きて、差別撤廃を主張していた二科生有志もそのことを聞いて最早何も言えない表情で俯く。

真由美の完全勝利。更に学園の問題の兆しすら開け何もかも問題なく終わろうとしたその時、外から何かの爆発音が鳴り響き講堂は拍手喝采から戸惑いと悲鳴に変わった。

 

 

 

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