敷地内に入り、校内を見回ることにした星空達三人だったが結局のところお目当ての達也を見つけることは出来なかった。
「敷地が広すぎるよ~」
「かなり歩いたけど、まだ見て回ってない所もかなり多い」
「一番居そうな図書館も生徒IDなしだといけないとなると……完全に虱潰しだったからね」
ほのかと雫は歩き疲れたのは少し疲れた表情で達也を見つけられなかったことに落胆する中、ある程度の目星を絞っていたのに、まさかの現状では新入生では入れないことから地道に探したのだが見つからなかった。
「もうすぐ、入学式が始まりそうだから行きましょうか」
「はい、そうですね。きっともう向かっちゃったかもしれませんし」
星空も達也の探すのを諦め、入学式の時間も迫っていたことから入学式が執り行われる講堂の中へと入っていく。
中に入ると既にかなりの新入生が集まっている。
(前は一科生、後ろは二科生か…………既にここから差別意識があると本当に胸くそ悪いというか)
軽く見渡すと直ぐに差別されているのが見て取れた星空は誰にも聞こえないようにため息を吐き、一緒に来たほのか達をみた。
「あの、高町さん。私達も座りましょう」
「…………ああ、そうだな……」
ほのかに呼びかけられ、星空達は一科生が集まる前の空いている席に座った後、しばらくして入学式が執り行われた。
式は順調に進んでいき、生徒会長のスピーチが終わった後、新入生の総代によるスピーチが行われた。
「ほのか、もしかして、あの人が?」
「うん、私が言ってた人…………」
(やっぱり、男女問わず見惚れているな……それにしても平等とか魔法以外とか思いっきり一科生に反感を覚えそうな言葉を次々と、でもまあ深雪に見惚れているからか。殆どの人が気付いていないようだけど……)
そんなことを星空は思っていると無事に深雪のスピーチが終わり、壇上から降りる最中、星空と視線が合う。
(あっちもこっち気付いたか……)
「雫……司波さん。今こっち見なかったかな?」
「……気のせい……だと思う」
「いや、明らかにこっちを見てたよ。言ってしまえば僕を見つけたからだと思うよ」
ほのかと雫も深雪が星空を見つけ視線を向けていたことに気付き、小声で話し合っていると星空はその話し合いに加わるように先程のことを補足する。
その後何事もなく入学式を終えて、講堂から出たあと星空達にIDカードが配布され星空は確認する自身のクラスが記載されていた。
「私Aクラスだったけどて、雫は?」
「私も同じ」
星空の隣でお互いクラスが1-Aということで安堵するほのかと雫。すると雫は星空に視線を向け、ほのかも不安げに星空に顔を向けた。
「あ、あの、高町さんは」
「光井さん達と同じ1-Aだよ」
「本当ですか!?よかった……」
同じクラスだということに喜びの安堵を浮かべるほのか、隣にいる雫もあまり表情を変えないが笑みを浮かべているのがわかる。
「高町さん、もしよろしければ一緒にホームルームを見ていきませんか?」
「いや、明日に見ることにする。取りあえず友人の方を探さないといけないから……いたいた」
ほのかの提案を優しく断り。入学式前から探していた達也を探そうとする星空は前方に見える人集りからある人物の姿を確認する。
「あれって総代の司波深雪さん?」
「うわ、凄い人集りだね」
「……深雪らしいと言えばらしいな」
(けど、深雪の周りに居る奴らは全員一科生で……ブルームとか良く言ってるし…………差別意識が高そうだ)
新入生の一科生に囲まれて冷静に受け答えをする深雪を囲いの外から星空は眺めていると更にその奥にお目当ての人物を見つけることが出来た。
「あ、見つけた」
「え、どこ?」
「ほら、あの囲いの向こう側、赤髪と黒髪に眼鏡掛けてる女子生徒の近くに居る」
「あっ!あの人だ!漸く見つけ……ぇ?」
「お兄様!」
星空は達也を見つけて話しかけようと動き出そうとすると新入生の喧騒の中、深雪の声が響いた。
深雪の存在感が別格だからこそその一声で周り生徒が静まり返り深雪の向かう方向に男女問わず左右に分かれて道を空ける。
そうして、空いた道から深雪は笑みを浮かべながら達也の元へと向かっていった。
その光景を見て苦笑いの笑みを浮かべる星空。しかし直ぐにその笑みも消える。
達也と深雪がいつも通りの話し合いをしている中、周りの生徒がブルーム、ウィードと差別言語を陰口で達也達二科生を言っているのを見て星空も流石に良い気分には慣れなかった。
(ここまで酷いとはね…………普通兄妹の仲を引き裂く理由がどこにあるんだか……まああの二人は度が過ぎてる気がするけど)
達也と深雪を見つけることが出来た星空だがやじを飛ばす周りが邪魔でとてもすんなりと行ける気はしなかった。
(って、別に周りのことを気にしてても仕方ないか…………達也は今、周りと深雪に意識が向いてるはずだから……)
笑みを溢し良いことを思いついた星空は早速気配を殺し、無音歩行で達也に近づいていく。
そんな星空を周りの生徒はおろか隣にいたほのか達も星空が居なくなっていることに気付かない。
そうして、気付かれることもなく星空は達也の背後を取り肩を手で叩こうと振り下ろす中、達也が星空のいる背後に目線を向けた。
「数ヶ月ぶりとはいえいきなり気配と足音を殺して近づいてくるのはどうかと思うぞ。星空」
「あれ?いつから気付いてた?」
肩に触れる直前に達也がそういうと不意に手を止め、いつ頃から気付いていたかの確認を取る星空。
周囲はいつからあそこにっと達也が声をかけ漸く気付いたようで、先程まで隣にいた雫もいつの間にっと星空が立っていた場所に視線を向けて驚き、達也の近くに居た深雪は星空の名前を呼び。他の達也と一緒に居た女子生徒は突然後ろに現れた星空に目を丸くして唖然として驚いた。
「お前が不敵に笑みを浮かべて行動し始めた辺りからだ」
「それ、初めから俺に気付いてたってことか?だったら声をかけてもよかったのに」
「あのな……」
周囲のことを気にしていない星空に達也はため息を溢し実際に周囲は少し取り乱しただけで直ぐにブルームの自覚がなんとかと言い始めた。
「友達なのに余所余所しくする理由……ないだろ?」
「……はぁ……相変わらずだな」
嫌みに聞こえる言葉を達也が口にするが表情は少し笑みを浮かべていて満更ではないようす。
「お久しぶりです。星空くん」
「ああ、深雪も久しぶりだね……会ったのは実技試験以来か。」
「……所で深雪、生徒会の方は大丈夫なのか?」
深雪が久しぶりに星空と話をした後、近くに居た生徒会のメンバーに気付いた達也が深雪にそういうと生徒会長である七草真由美が近付いてくる。
「いえ、大丈夫ですよ」
「な!?会長、それでは予定が…」
「前から約束していたのならまた次に話せばいいわよ。それよりも……」
達也と深雪を見て、真由美は問題ないと答えると真由美の隣に立つ男性が取り乱し次回に話せば良いと言い切ると割り切ると次に視線は達也と深雪ではなく星空へと向かう。
「入学おめでとう。星空くん……制服よく似合ってるわ」
「こんにちは……真由美……いえ此処では七草会長と呼んだ方が良いですね」
「……知り合いか?」
「まあ……どっちかって言うとあっち関連で……」
星空と真由美が知り合いということでまた周囲が驚きで響めく中。達也が小声でどういった関係なのかと訪ねると星空は簡単に説明するとなるほどっと達也は納得する。
「もう……いつも通りに真由美お姉ちゃんって言ってくれても良いのよ」
「……はぁ、そんなことを言った記憶はないんですけど……先輩後輩ということで真由美先輩って呼ばせてもらいます」
「真由美先輩か……うんそれはそれで良いわね。それにしても残念だわ。星空くんなら首席入学もいけると思っていたんだけれど」
「上には上がいた。そういうことですよ……それでも次席入学してますけど」
「それもそうね……司波深雪さん。それでは後日、お話しさせていただきます。」
星空との話し合いを終えるとまた深雪を見て後日に今回の件を話し合うことを告げた後、真由美はこの場から離れていき一緒に来た男性も星空を睨みつけた後。直ぐさま真由美の後を追いかける。
「……深雪、本当によかったのか?重要な話だったと思うんだが……」
「お兄様との約束以上に重要なことなどありません!」
「相変わらずのブラコン……あっそうだ。達也お前に会わせないといけない人が居るんだった」
「俺に?どういうことだ?」
真由美が去った後いつもの達也と深雪のやり取りを見て苦笑いをした後、漸くほのかことを思い出した星空は達也に話をしほのか達の方に視線を向けると星空は一瞬固まった。
「……………………」
「ほのか…………大丈夫?」
完全に現実に思考が追いついていないのか完全に固まってうんともすんともしない。ほのかに肩を揺さぶり現実に引き戻そうとする雫の姿。
そんな光景を達也達も見て、呆然とする中。星空はほのか達に達也が二科生であることを伝え忘れていたことを思い出し……伝えておけばよかったと内心で後悔した。