石田秋彦は、公立七百中学校の三年二組の、
学級副委員長である。
今日も、学級副委員長に依頼が来ていて…
「なぁ、学級委員だろ?
何とかしてくれよ!」
「よーしっ、この俺が、学級委員の名に懸けて、
ぱぱっと、解決しちゃうぞ!」
内容は、喧嘩の仲裁だった。
「おいおい、何があったんだ?」
「実はよ、宗田と田上がケンカしてさ、
プロレスごっこして、大変なんだよ!」
「どういう訳で?」
「いつもの口喧嘩のはずなのに、
ヒートアップしたって感じでさ」
「わかった。俺に任せろ」
「さっすが、うちの学級副委員長!」
と、同じクラスメイトの、松岡が、
体育館の入り口に案内された。
早速、その現場に
「おい、ケンカはよせって」
「あー実はよ~コイツと口で口論していたけどさ…」
「思わず、殴り合っちゃって…」
「プロレスごっこは、立派な暴力だろ?」
「そうだけど…」
「あの二人、仲悪いはずなんだけどな~」
「まぁまぁ、ケンカする位だったら、
距離を取ったらいいじゃねーのか?」
「あぁ、そうだけどさ…
俺と田上、高校も同じなんだよな」
「どこなんだ?」
「公立の旭正高校だ」
「あの共学の高校か」
「進路先を、別々にしたいけど、
俺らの学力じゃ、これ以外に通えれないしよ~!」
「そこは、進路指導の先生だな…」
「お前等、元々、どんな関係なんだ?」
「昔は、仲良しだったけど、中学になってから、
いがみ合うようになってさ」
「女の子一人を奪い合ってたしな…」
「それで、仲が悪く?」
「あぁ」
「マジか…」
「しかしも、あの子、俺らの後輩が好きで、
確か、高木雅利って奴が好きでさ…」
「二年生の高木雅利か」
「あぁ」
「アイツ、俺ら三年生を差し押さえて、
二年生のくせして、女の子にモテモテなんだよ!」
「地味に腹立つ!」
「…そうか、そうだよな」
「おい、石田はどうなんだ?」
「俺?」
「幼馴染がいるんだろ?」
「どうだろうな…付き合っているか、
まだ、不確かなモンだしな…」
「その取り合っていた女の子は?」
「高木と同じ二年生の、中村って女の子」
「その子が好きだったのか?」
「あぁ、一目ぼれでな」
「救いようがねーケンカだったな!」
「あぁ、悪かったな…」
「俺もだ、この子が好きだったのにな…」
「しかも、中村って子は、高木が好きでな…」
「マジかよ…」
「中村梨子…あの子のお姉ちゃんたち、
宮益坂女子学園に通っているらしいぜ?」
「それも、中等部と高等部」
「そうか、みのりと同じ学校だな」
「石田はいいよな~みのりって子がいて!」
「羨ましいな~おい~」
「アハハ…」
笑うしかなかった。