ある声が聞こえた。
「よ、学級委員」
「前田…」
前田柊一
3年2組で、俺と同じクラスメイト。
卓球部の補欠部員で、俺の友人だ。
「お前、七百卒業したら、どこ行くんだ?」
「何も無かったら、神山高校の全日制だが」
「そっか。俺もそこを受験したいって思っているぜ?」
「そっか」
「俺も一年も二年も補欠。
三年生になっても結果は出せれない。
卓球の才能が無いって事を、自覚せざる負えなくなったな…」
「一年の時は、主将になる!
って、気合入れていたのに?」
「あぁ。実際に見ただろ?球技大会。
後輩の高木にボロボロに負けられて、
未経験者の二年生に負ける俺が情けねぇから、
卓球は二度とやらない」
「それでいいのか?」
「俺の決めたことだ。才能や能力に恵まれないまま、
開花する訳ねぇし」
「…なんだろう…俺も諦めるなって、気持ちなった」
「そりゃ、諦めないって気持ちも大事だ。
俺も卓球は二年前からやっているけど、自主練のやり方、
知らないから、未だにやってないよ」
「…」
「石田はどうするつもりだ?」
「俺には夢は無いな…」
「アイドル好きだろ?」
「それと、これとは、また別だろ?」
「カメラマンに向いていると思うよ?
アイドルの追っかけ、俺とやっていたじゃん」
「それもそうだけど…盗撮扱いされるのが嫌だからな…」
「カワイイ女の子の写真を撮るのが得意なのに?」
「そんなのを職業にはしたくないよ」
「そっか…」
「あぁ」
「いよいよ、中学生活も終わりだな。
後、数か月したら」
「あぁ」
「高校に上がっても、ナメられるなよ」
「あぁ、わかってるし」
もう、時期的に11月も下旬になっていた。
「寒くなってきたな…」
と、七百中学の学ランを着るのも、
残りわずかだと思うと、名残惜しい気持ちだった。
石田秋彦の中学生活は、可もなく不可もなく、
とはいえ、普通とは言い難かった。
むしろ、純粋に楽しかった三年間と言えるだろう。
「期末テスト。俺は大体、平均点位だし…
社会科以外は、難なく問題ないが…」
どういう訳か、社会科だけは頭に入らない。
むしろ、社会科の勉強は一度もやったことが無いのだ。
やっても、無駄な時間だと感じるようになった為。
12月末頃の期末テストは…社会科に目をつぶれば、
大丈夫だろうと、本人はそう判断したのだった。
「さて、国語の勉強するか」
と、石田秋彦は古文漢文や漢字の読み書きのテスト範囲を
予想しつつ、勉強していたのだった。
彼にとって、国語は最も得意な科目である。
もうすぐ、12月。中学生活も終わろうとしていた。