剣と剣がぶつかり合う音、何かが軽く引き裂かれる音が響く森の中……黒い長髪の女性と白い金髪の騎士と亡霊達が、迫り来る巨大人形と亡者達を相手に立ち回っていた。
「フィナ! 此処から絶対に通させないで!!」
「わかってますよ、姫様。 愛しの彼を狸婆なんかに渡したくないしね」
黒い女性が白い騎士に指示を出して、白い騎士も当然とばかりに応える。 二人が戦う理由はある人物を現在襲撃してる奴等のバックに居る亡者の女王に一人の男を渡さない為だ。
「やれやれ戦力差は歴然。 質はそちらが高いですが、こちらも精鋭とまでは言わずとも私の【城】も加えて高い質と言っても良いし、数も我々が勝っている。 いい加減彼を渡してくれ」
私も今後のスケジュールというモノがあるのだ。と、高級なビジネススーツを優雅に着こんだ女性が黒い女性と白い騎士に言う。
黒い女性はキッとビジネススーツの女性を睨みながら、群がる亡者達を薙ぎ倒していく。
何時間経過したのか、この森は日の光を遮る程の木々のせいか、夜のような闇に包まれており、今が何時で何日過ぎたのかもわからないのだ。 その為、黒い女性と白い騎士の顔に焦りが見え始めた。 正常の彼女達ならば永久的にとは行かないまでも、多少の時間経過で焦るような存在ではない。
だが、それはあくまでも正常であって、現在の彼女達の状況は正常ではなかった。 それが彼女達が襲われてる原因でもある。
彼女達が匿うある人物は裏の世界に関わる者達にとって、喉から手が出る程の存在なのだ。 しかし、その人物が守られる程の人かと問われれば、それは否と言える。
では、何故長時間側に居ないことが不安になるかと言えば、その人物は一定の場所に何時間も居られる程、気が長くないのだ。
だが、気が短いという程でもない。 性格的に言えば彼は非常に暢気な性格で、自由気ままに行動する猫のような存在なのだ。
「姫様!」「姫!」
「なっ!! リィゾ、プライミッツ!!」
「ッ!! 君達が此処に来るってことは……」
「む?」
突然、奥からやって来た黒い騎士と白い獣人の女性に、戦闘をしていた黒い女性と白い騎士、ビジネスウーマンは一瞬にして理解し、二人が続く言葉にどうか違ってくれと淡い希望を乗せて待つが、全員の考えはその希望の逆だった。
それは―――
「「東に面白い事が起こりそうな予感すると言って、我らの眼を欺いて姿を消しました」」
―――――逃げた!である。
だが、当の本人は周りが言うほど逃げたとは認識して居らず、ちょっとその辺のコンビニに行ってきま~すといった感覚なのだ。 その考えが取り残された者達に激しく怒りを買ってるのだが、その事にまったく気付いていない。
「
――ズバァアンッ!!
そう言って立ち去ろうとするビジネスウーマンの足下の大地が爆発する。 チラッとビジネスウーマンが後ろを見ると、そこには怒りのオーラを纏った黒いお姫様が幽鬼の如く佇んでいた。
「…………ふむ、私も時間が押していてね。 あと5分後に会議なんだ。 亡者の女王への報告もある……そんな多忙な私だが彼を求める者同士、用件だけ聞こう?」
「何年掛けて彼を捕捉したと思ってるの? それをそれをたった数時間で水の泡にした貴女が多忙だから、彼が居ないから帰るですって? 生きて帰れると思ってるの?」
ギンッ!!と黄金の瞳で睨みつけると、ビジネスウーマンに向かって跳んだ。
この日、日の光を遮る森は動植物すら生きるのに困難な死の砂漠と化した。