─インフィニット・ストラトス─ 温羅物語(仮題) 作:バリスタ
箒
「セシリア…」
セシリア
「…どちらに行かれるのですか?」
箒
「いやなに、体冷ますために換気をな」
セシリア
「更衣室は冷房も完備されています…それで十分なハズですが?」
箒
「…篠宮たっての希望でだ」
セシリア
「…そうですか」
箒
「ただ、離れる訳にもいかんからな…
篠宮が起きるまでここに居るつもりだ」
セシリア
「……」
ギリッ
箒
「……」
拳を握り締めるセシリア
その拳から血が滴る
箒
「……オルコット…お前にとって篠宮は何だ?」
セシリア
「…急になんです?」
箒
「……」
セシリア
「…あぁ…そういう事ですのね…」
インター・セプターを構えるセシリア
セシリア
「貴女が篠宮さんの1番ですのね!」
振り下ろされるインター・セプター
箒
「な!?」ギャリン!
ギリギリで回避をする箒
箒
「何を言っている!」
セシリア
「あぁ…貴女を消せば…」
瞳孔が開いているセシリア
箒
「目を覚ませセシリア!」
ラウラ
「無駄だ…」
箒
「ボーデヴィッヒ!」
ラウラ
「あの状態になってしまったら最後だ
もうどうしようも無い…」
箒
「何!?」
セシリア
「ああああああああぁぁぁ!」
ラウラ
「…!」
手をかざす、すると動きが不自然に止まるセシリア
セシリア
「…!」
ラウラ
「…篠ノ乃」
箒
「なんだ…」
ラウラ
「解決方法があるとすればお前が死ぬしかない」
箒
「…だろうな…」
セシリア
「ああああああああぁぁぁ!」
ラウラ
「どうする?」
箒
「私は…セシリアを信じる」
ラウラ
「…いいんだな?」
箒
「あぁ…大丈夫だ」
手をおろすラウラ
動き出すセシリア
箒
「セシリア…」
セシリア
「ああああああああぁぁぁ!」
再び振り下ろされるインター・セプター
箒
「………」
セシリア
「ぐっ…ぐああァ!」
ギリギリで止まるインター・セプター
セシリア
「に…げて…ください!」
ラウラ
「な…」
箒
「私は逃げん、お前を信じている…セシリア」
セシリア
「…ああああ…ああああぁぁぁ!」
ラウラ
「篠ノ乃!オルコットを殴れ!」
箒
「は?」
ラウラ
「篠宮のあれは精神干渉と精神汚染を有する!
だからこの状況で一瞬とはいえ拮抗したオルコットになら
強い衝撃で正気に戻る可能性は大いにある!」
箒
「いや、しかし!」
セシリア
「ああああああああぁぁぁ!」
箒
「ええい!なるようになれ!」
右フックがセシリアの左頬を的確に打ち抜く
セシリア
「っ!」
ふらつき、倒れるセシリア
箒
「大丈夫か!セシリア!」
セシリア
「…痛い…ですわ…」
箒
「その…すまなかった…」
セシリア
「…謝らないでくださいませ…
自我を失った私の責任ですわ…」
ラウラ
「…あの時より薄いのか?」
箒
「…ボーデヴィッヒ…お前、なぜ篠宮のあれを知っている…」
ラウラ
「…オルコット…貴様は篠宮と同室だったな?」
セシリア
「え、えぇ…」
ラウラ
「…なるほどな…」
篠宮
「…ラウラ、余計な事はするな」
箒
「篠宮、もう良いのか?」
篠宮
「扉開いた状態で叫ばれたら寝れないよ…」
セシリア
「…篠宮さん…説明してくださいませんか?」
篠宮
「全部ボーデヴィッヒの言った通りだよ…」
セシリア
「…なんですの…それ…」
箒
「…セシリア」
篠宮
「これ以上話す事は無い…」
セシリア
「ちゃんと説明してくださいませ!」
篠宮
「…はぁ…めんどくさ…
分かったよ、言うよ」
セシリア
「!?」
篠宮
「オルコット、君の俺への感情…あれ、偽物だから
俺に都合のいい女になる様に植え付けた認識なだけで
別に俺、お前の事どうでもいいんだわ
だから答えを曖昧にして流してたの…
それも気付かないでさ、いつ答えてくれるんだろうって
答え待ち続けてるの滑稽だったわ!」
セシリア
「っ!」
箒
「篠宮…」
ラウラ
「……」
篠宮
「まぁ…バレちゃったしもういいや
別のオモチャ探すわ」
セシリア
「……!」
無言で篠宮にビンタをするセシリア
篠宮
「痛ってぇ…」
セシリア
「最っ低ですわね!」
そう言い残し去っていくセシリア
箒
「いいのか?篠宮」
篠宮
「…まぁ…これで二度と俺の影響は受けないだろうし
俺の周りから人は居なくなるから一石二鳥だよね」
ラウラ
「…いくら何でもやり過ぎだと思うが…」
篠宮
「…織斑先生の耳に入ったら退学かね…
まぁ、そうなったらまた旅に出ればいいし
俺的には結果オーライだわ」
箒
「…もう少し何とかならんかったか?」
篠宮
「中途半端にやったらバレるでしょ?」
ラウラ
「…はぁ…私たちが影響を受けないとは言え…
もう少し慎重に行動をしろ…」
篠宮
「…ビンタで頭揺れたっぽいからもう少し寝るわ…」
更衣室前
ラウラ
「……そろそろ授業も終わる時間か…」
箒
「そういえばボーデヴィッヒ」
ラウラ
「ラウラで構わん」
箒
「…ラウラ、お前は授業出なくていいのか?」
ラウラ
「…昔からの篠宮の体の不調を知っていると言って
こっちに来ている…あながち嘘では無いからな」
箒
「…あとはセシリアがどう判断するかだ…」
ラウラ
「どっちに転ぼうと篠宮の希望通りにはなるが…」
箒
「…いや待て……
万に一つの可能性はないか」
ラウラ
「…何を言っている…奴の予測能力は群を抜いている…」
箒
「鈴だ…2組の凰鈴音…
篠宮は鈴の事を完全には考慮に入れていない…
セシリアが誰かに言う前に鈴なら気付く…
奴はそういうやつだから」
ラウラ
「…だとしても…その凰がどう動くか分からんだろう…」
箒
「いや、必ず直談判しに来る…セシリアを連れて
なんならセシリアに対して謝らせる為に動くだろう」
ラウラ
「…なぜそう言いきれる?」
箒
「篠宮と交流が少ない…そして
私と同様に篠宮の能力に対して
抵抗出来る可能性があるからだ
もしそうなら…嫌悪感は伝播しない」
ラウラ
「なるほど、確かに一理ある、が…」
箒
「…問題はその後だ…」
ラウラ
「…おそらく憎まれ役を演じるだろうな」
箒
「…どうすればいいんだ…」
ラウラ
「篠宮の事は私が対処する
篠ノ乃、お前はオルコット達の方を頼む」
箒
「…いいのか?」
ラウラ
「構わん、今日は転校初日だからな…
私の方が都合がいい」
放課後
アリーナ
鈴
「篠宮!」
篠宮
「…何?」
鈴
「事情は知らないし詳細も知らないから
偉そうなことは言えないけど
アンタ、何でもかんでも自分の中で
完結させるのは止めなさいよ!」
篠宮
「……話はそれだけか?」
鈴
「な…アンタねぇ!」
ラウラ
「貴様が凰鈴音か」
鈴
「…アンタは…転校生」
ラウラ
「…あぁ…」
鈴
「…邪魔するの?」
ラウラ
「悪いな…」
鈴
「…!」
身動きひとつ取れなくなる鈴
篠宮
「…」
無言でアリーナを去る篠宮
鈴
「…絶対セシリアに謝らせるから!」
ラウラ
「…」
鈴
「うおっ」
見えない拘束が解け動けるようになった鈴
鈴
「アンタ、なんか事情知ってるんでしょ!」
ラウラ
「…悪いが…今は言えない…すまない…」
鈴
「…何よそれ…」
ラウラ
「…すまない」
夜
寮
屋上
鈴
「あーもう!なんなのよアイツ!
急に人が変わったみたいに冷たくなってさぁ!」
シャルル
「何かあったのかな?」
鈴
「さぁね、セシリアも精神的に参っちゃってて
話もあまり聞けなかったし…」
箒
「…セシリアは何を言ったんだ?」
鈴
「『私の気持ち弄ばれていました』と一言ね
箒はその場に居たんだからわかるわよね」
箒
「…篠宮がセシリアの気持ちを弄んだのは…
ある意味正解かもしれない…だが…」
鈴
「何よ、勿体ぶらずに言いなさいよ!」
箒
「そこにあいつの意思は存在しない…」
鈴
「…何よそれ…」
箒
「私も詳しくは分からない…ただ、これだけは確かだ」
シャルル
「…篠宮君…」