バーチャルだけど現実 対戦(合法ロリ)編   作:道長(最近灯に目覚めた)

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 前回の反省を踏まえて巻き気味で説明しています。

 なんか色々禁止になりましたね。環境を健全にするにはいいですが、ここまで来るとTier1組むの躊躇っちゃいますね。
 ジャンド大勝利ですけど(小並感)

 なおレガシーはアルカニスト禁止の模様。


アーキタイプ2(アーキタイプについて知りたい方はここだけで十分です)

「『アーキタイプ』というのはデッキの分類だ。妹の言ってたとおりだな」

「それは何となく知ってた」

「まぁ、俺もそんな感じだと思ったわ」

「つまりはそういうことだ」

 

 …………。

 

 沈黙が場を支配する。

 

「いや、何か話してよ!」

 

 それに耐えられなかったのは妹だった。

 

「配信とっとと終わらせたいって言ったのはお前だろう? ということでまた次回、以上! 解散!」

 

 言ったじゃん最初に。さっさと終わらせて帰るって。

 

「早く終わったし焼肉行くかー。開幕5分出て投げ銭は折半でしょ? チョロい仕事だわー。残りはよろしくね、スズちゃん」

 

 焼肉か、そういえば数年は行ってない。陰の者には行く金も機会も動機もないしね。金は……、米と塩があればなんとかなるだろう(適当)。

 

「あー、久しぶりに牛タン食いたくなってきた。塩とレモンで」

「俺カルビで白飯かっこみたい。普通にチェーン店でいいっしょ?」

「いいぞ」

 

 あんまり高いとね。肉に遠慮しちゃうからね。「焼肉は肉が従」って大◯ハンチョウが言ってた。

 ゾノがスマホを取り出すのを見ながらも、視界の隅で顔を白黒させる妹に注意を向けるのも忘れない。

 

「もしもし? 久園です。タクシー一台寄越してくれません? 手持ち20円しかないんで請求書はウチの社長宛てで。ダイジョブ?じゃ、お願いしまーす」

「ぶっ!?」

 

 連絡をとるゾノの言葉に、むせずにはいられなかった。

 

「手持ち20円!?」

「社長持ちだから大丈夫でしょ。社長の奢りだからアニサンも遠慮しなくていいよ?」

「すまん。奢られるのとTwittarは宗教上の理由でダメなのよ。自分の分は自分で出す」

「こまけぇこたぁいいんだよ。とにかく行きましょ」

「……私は自分の分しか出さんからな」

 

 こうね。奢られるのは性にあわない。精神的に悠々しないから。

それ以外は大賛成だ。

 

「「へい! やっきにく! へい! やっきにく!」」

「いい加減にしろよバカども」

 

 やっと妹が突っ込んだ。スルーならスルーで面白そうだったんだが。

 

「おいおい。もうゾノがタクシー予約しちゃったんだけど? 今更なんだ」

「私1人で出来るわけ無いじゃん。やめてくれないと」

「「やめてくれないと?」」

 

 満面の笑みで妹はこう言い放つ。

 

「泣くぞ。本気で泣くぞ。現役女子大生が恥も外聞も投げ捨てて大泣きするぞ」

「オーケー、説明を始めよう」

「もしもし?久園です。すいません。さっきのタクシーキャンセルです」

 

 眼尻に光るものが見えたことには絶対に突っ込むまい。

 調子に乗りすぎたね。途中から全力でふざけてたからね。すまんかった。

 

「繰り返すが、『アーキタイプ』というのはデッキの分類だ。具体的なデッキ名を出せば『白ウィニー』、『MoMa』、『ネクロディスク』、『バーン』、『緑トロン』。マジックの長い歴史において様々なデッキが生まれたが、カードや環境が変わっても、そのデッキの動き方と勝利手段でデッキの種類を定義出来る、という分類方法だ」

「動き方と勝利手段?」

「そうだな。クリーチャーで殴って勝つデッキと、相手のライブラリーアウト、デッキを0にして勝つデッキが同じ種類だと思うか?」

「あー……、やったことはないけど違う、かな?」

「格ゲーで言うスタンダードキャラと投げキャラ、ハメキャラみたいな感じか」

「ゾノの例が分かりやすいかもしれん。流行りのA◯exだっけ? それだって色んなキャラがいるらしいけど、おおまかな分類はされてるんだろ?」

 

 やったことないから知らんけど。FPSみたいな人間性能要求されるゲームは膝邪魔な人に任せてるから。エ◯バで弟とアカ共用して、勝率5割越えてるとか控えめに言って頭おかしいでしょ。

 フ◯ムゲー? あれは慣れだから。

 

「そういう感じで、数多のデッキを大体3種類から6種類くらいに大別するのが『アーキタイプ』という訳だ。3種類で分けるなら『ビートダウン』、『コントロール』、『コンボ』。6種類に分けるとビートダウンが『アグロ』と『ミッドレンジ』に分かれて、『ランプ』、『撹乱的アグロ』が加わる。一般的には3種類の方が市民権を得てるな」

 

 とは言ってもこの分け方も万能じゃないんだが。

 

「それでも全てのデッキがこれに当てはまる訳じゃない。『バーン』が本当に『アグロ』かと言われれば首をひねらざるをえないし、『トロン』は『ランプ』だが、人によっては『土地コンボ』の一種として括る場合もある」

「じゃあなんで分けてるの?」

「1つは自分のデッキをブラッシュアップする時の基準だな。それこそ赤白で組んだ速度重視の『バーン』に、クリーチャーが優秀だからといって緑を足すか?」

「えっ、ありじゃないの?」

「……なるほどね。いくら強いからって緑を足したら『バーン』を選ぶ意味がないわな」

 

 妹とゾノで真逆の反応だった。

 これはTCG未経験者と経験者の違いだな。判断自体はどちらが正しい、という話ではない。

 

「赤白の『バーン』に緑を足すと最大の武器である速度が失われる。いかに素早く3点ダメージを6~7セット当てるか、というデッキだから、普通は2色で、入ってくるクリーチャーも限られる」

「あ、そっか。速攻がないクリーチャーは召喚酔いがあるから、出してもすぐにはダメージを与えられないね」

「3色だとどうしても出足は遅くなるしな。ただお前の考えも、頭ごなしに否定は出来ない。仮に『バーン』が流行ったら、直接火力への対策に対する対策でクリーチャーの採用枚数が増やすのも1つの答えだ」

「でもそれって火力主体の『バーン』ってより、クリーチャー主体の『ビートダウン』じゃないか?」

 

 そして『アーキタイプ』の答えはゾノが言ってくれた。

 

「ゾノの言うとおりだ。今回の事例なら『アグロ』の強みを消してまでクリーチャーを足すなら、最初から『ミッドレンジ』を組めばいい」

 

 赤白の『バーン』を無理に環境に合わせるくらいなら、いっそ『ナヤビートダウン』にするか、割りきって対策してないデッキを狩るくらいの戦略の方がよほどスマートだろう。

 『バーン』自体が小回りの効かないデッキということを差し引いても尚、だ。

 

「いくら強いからって、『アグロ』に15マナ必要なエムラクールは入らない。逆に序盤が手薄になる『ランプ』デッキが、それを補うために僧院の速槍を積みこんだらコンセプトが崩壊する。強いなと、思ったカードを自分のデッキに入れるか迷った時、『アーキタイプ』のことを覚えていると、少しだけ判断しやすいかもしれない」

「メタ読みだけじゃないんだ」

「むしろメタ読みは流行ってるデッキの中心カードに焦点が当たる場合が多い。だから『アーキタイプ』目線だと若干大雑把すぎる」

 

 『コントロール』相手だからといって、自然とメタれる『アグロ』系のデッキが次点になる訳じゃない。『コントロール』でも回復ギミックが無理なく入ると、途端に『アグロ』は厳しくなる。

 お前のことだよウーロ。

 しかし妹の口からメタ読みという言葉が出るとは。半年前の自分は思いもしなかったろうに。

 

「そもそも『アーキタイプ』という概念が一番大事になるのは、『自分がどういうデッキを使いたいか』というデッキビルドの際、最も基本的な部分を見定める時になる」

「格ゲー、アクションゲームの持ちキャラ、装備選びの段階ってわけね。どのキャラがしっくりくるか」

「理解が早くて助かる。そういうビデオゲームよりも調整は効くが、合わないキャラを選んだら悲惨だろ」

「勝率とモチベに直結するからクッソ大事だな。それ」

「そんな感じで初心者にこそ『アーキタイプ』は重要だ」

 

 懸念材料だったゾノが話についていけてる、むしろ追い越す勢いなので、このまま各タイプの説明にいけるだろう。理解の早さは格闘ゲームや対戦型アクションゲームに、TCGとの類似点が少なからずあるのも起因してそうだ。

 

「先に断っておくがメインはモダン環境の話だ。また私の主観が多々入るということを忘れないで欲しい。ではまず『アグロ』から。戦術は軽いクリーチャーを並べて、相手が動き始める前に殴り倒す。イメージ的には1ターン目からクリーチャーを出していって、4~6ターンでほぼゲームを決める」

「これは分かりやすいね」

「兵は拙速を尊ぶってやつか。速いってのはそれだけで強いよな」

 

 分かりやすい強さというのは大事だ。ただ突き詰めるとかなりシビアだったりする。

 

「強みは2人が感じたとおり、速さ=強さの『アーキタイプ』。弱点はそれしかないこと。相手がどんなデッキだろうと、攻める以外に選択肢がない。ゲームが長引けば長引くほど不利になる」

「パンジャンドラムみたいなヤツだな」

「微妙に間違ってる気がするぞ。ゾノ」

 

 火ダルマになって襲いかかるという意味では正しいが、自爆はしないからな。どちらかというと軽装兵のナイフで一突きな気がする。

 首を傾げた妹が口を開く。

 

「なにそれ?」

「イギリスが作った珍兵器、詳しくはググれ。ただ選択肢の無さは分かりやすさでもあるから、初心者でも回しやすい。デッキ全体が前のめりだから手札事故も比較的少ない方。また1点のダメージが想像以上にデカイ、極まるとパズルゲームみたくなる。使う方も使われる方も神経質になるデッキだ」

「じゃあ私にピッタリだね」

「……ハッ」

「今鼻で笑ったよね!?」

 

 ちょっとなに言ってるか分からなかった。

 所詮は私の妹だぞ? 弁えろ。

 

「有名どころは一応『バーン』と『青赤果敢』、『黒赤ビートダウン』。このあたりをうまく使える人は本当に計算が早い。対応を誤ると3ターン目ライフ15くらいから即死する」

「謝罪もお詫びも早い方がいいかなー」

「そういうところだぞ」

「スズちゃん向きじゃない気がするけどね。もうちょい自由度があった方がいいんじゃない?」

「……まぁ、久園先輩にしては良いこと言ってくれましたかね。ありがとうございます」

「お礼はデート一回でいいよ」

「やっぱ今のなしで」

 

 そろそろ次に入るか。

 

「つぎは『ミッドレンジ』。『アグロ』はスピードに全振りしてたが、こっちはスピードを落とす代わりに1枚1枚のカードパワーを意識したデッキ。ぶっちゃけ私の『ジャンド』だな。『ジャンドコントロール』なんて呼ばれることもあるが」

「つまり兄さんみたく単純な人が使うデッキ、と。パワーカード投げつけて勝つんでしょ?」

「いや、逆じゃね? スズちゃん」

「えっ、だって私の兄が使うデッキですよ?」

「そうだな。我ながら身の程知らずだったと思う」

 

 妹にお返しとばかりに煽られるが返す言葉がない。

 なんでこんな択の多いデッキを選んだのか、自分で使っていて分からなくなる時がある。

 アホなの?死ぬの?

 

「格闘ゲームでもさ、スタンダードキャラは動かすのは楽なんだけど、それと勝てるようになるのは別の話なのよ。勝つだけなら、むしろハメキャラ、投げキャラの方が早い」

「ゾノが的確過ぎて私の存在価値が怪しくなってきたな。動きを理解するのと、勝ち筋が読めるのは別物ということだ。タルモゴイフのこと覚えてるか?」

「2マナのやたら強いクリーチャーでしょ?覚えてる」

 

 さて思い出してみよう。4ターン目で妹の場には3/2の男爵領の吸血鬼、私の場には2/3のタルモゴイフ(土地とインスタントが落ちれば4/5)とレンと6番(忠誠度5)。

 

「仮にあの時、除去をうたなかったらお前はもう一体クリーチャーを出せたはずだ。どうして出さなかったんだ?」

「そりゃ、あのクソデカタルモくんを除去しなきゃ、殴り倒されるだけじゃん」

「除去を優先したせいでクリーチャーを展開出来ず、プレインズウォーカー2枚にマウントとられたわけだ。更に言えば、先にレンと6番がいたせいで攻撃を強要されてる」

「あー、アーカイブ見たけど完全に動かされてたね、スズちゃん。カードパワーの違いはあるけどさ」

 

 タルモゴイフはモダンでも『ビートダウン』、『コントロール』問わずに対処を強要するつよつよクリーチャーだ。

 レンと6番に関しては動画のとおりだ。放置したら死ぬ。

 

「待って、兄さんはそこまで分かってたわけ?」

「そりゃあ審問で手札見えてたし。あそこはリリアナ布告との2択だったが、手札の除去を吐かせた方がお前が苦しみそうだったからな」

「性格悪っ!」

 

 ハンデス使うヤツは皆そうよ(偏見)。

 ハンデスと除去の強要で攻守がキレイに入れ替わったからな、あのゲーム。

 

「『ミッドレンジ』は自分から動いて相手を消耗させるデッキだ。『アグロ』の延長線上にあるのもあれば、実態は『コントロール』に近いものもある。『ジャンド』は後者だな。青以外の各色の優秀なカードを集めると、自然と出来る『アーキタイプ』かもしれない」

「グッドスタッフデッキってやつか、だから高いのね。俺にはちょっと組めないかなー」

「色が合えば採用されるカードばかりだから単純に需要が多い。『ジャンド』なんかは土地以外はレガシーでも採用されるカードも多いからな」

 

 流石にそのまま持ち込むには悠長なデッキだが。

 レンと6番、モダン禁止になる前に採用されてた死儀礼のシャーマンに至っては、レガシーで禁止を食らっている。

 

「だからカード自体は強くて分かりやすくても、やれることの多さに比例してやたらと択が多い。そしてゲームによって相手を捌くゲームか、自分から攻めるゲームか一定しない。そのくせ一手の誤りが致命傷になる。60枚全て同じというデッキも滅多に無いし、同じデッキでも使ってる人間によって強さが大きく変わる。定義が一番あやふやで、値段も相まって全体的に上級者向けの『アーキタイプ』だ」

「じゃあなんで組んだの?」

「そんなの私が何も考えてないからに決まってるだろ」

 

 パッと見ハンデスして除去してタルモリリアナレン6出して血編み投げれば勝つ簡単なデッキだったんだもん。

 実際回すと思ったより高いし難しいし、勝てないしで驚いた。

 

「ただし長くMTGをやる気ならオススメする。禁止にはなりにくいし、次に説明する『コントロール』と同じく力量がダイレクトに反映されるから、上手くなったことを実感しやすい。そういう意味では初心者向けだ」

「そういう意味じゃスタンダードキャラか。ただ値段が据え置き機買うより高いのがな。で、『コントロール』ってのは?」

「『コントロール』は相手が動けなくなったところに少数の脅威を投げ込んで勝つ。要は打ち消しやロックをメインに相手の勝ち筋を弾いて、何も出来なくなった所に神ジェイスや5テフェあたりのアドを稼げるフィニッシャーを出す。主に青の優秀なカードを集めた『アーキタイプ』」

 

 これも言葉にするのは簡単だが、実行するのは難しい。

 

「でもそんなキレイなゲームなんてそう多くない。そもそも打ち消してばかりでは絶対に勝てないから、どこかで無理をしなくてはいけない場面がある。この勝ちにいく判断と、何を打ち消すかの判断が難しい」

 

 だから敢えて2~3マナ帯で処理を強要させるカードを採用したデッキもある。『石鍛冶の神秘家』とか『時を解す者、テフェリー』こと『ゲスハゲ』とか。テフェリーは特にストレスなく使える。

 相手はストレスがマッハだが。

 

「……あぁ。私は除去をうったせいでクリーチャー出せなかったけど、『コントロール』は自分から動くと打ち消せなくなるわけね」

「コンセプトに背く動きをしてるわけだから、当然スキが出来る。だが、打ち消し呪文だっていつもあるわけではないから、どこかでアドを稼がなくてはいけない。神ジェイスやテフェリーが採用される理由だな。あと、どの『アーキタイプ』もメタ読みを求められるが、『コントロール』と『ミッドレンジ』は特にそれが重要だ」

「アクションゲームでもキャラ対策は大事だからな。受けキャラは特にそうだ」

 

 ゾノの言葉を参考にすると、対戦ゲームを良くやる人にとっては『アーキタイプ』=使用キャラや装備。メタ読み=キャラ及び装備対策、あるいは立ち回りと言うと分かりやすいか?

 

「環境に刺さるカードじゃないと、とてもコントロールなんて出来ないからな。あと『ミッドレンジ』以上にデッキ単価が高くなりがちだ。これもMTGに入り込める人向けの『アーキタイプ』となる。有名なのは伝統的な『白青コントロール』か。初手で白青土地が出たら高確率で『コントロール』だと思っていい」

「防御は最大の攻撃、って感じか?『コントロール』は。俺にはちょいと気が長すぎるな」

「私は嫌いではないかな?でも疲れそう」

「同じく長期戦を意識するが、かけた時間を攻撃に転換するのが『ランプ』だ。代表は各種『トロン』や緑のマナクリーチャー、マナアーティファクトを採用するデッキ。可能な限り高速でマナを溜め込み、準備が出来次第、高マナ域の強力なスペルを上から叩きつけるデッキ。性質上『ミッドレンジ』と『コントロール』の中間くらいのゲームスピードになる」

 

 モダンを代表するデッキで根強い人気がある。『トロン』が流行ってる環境は良環境、下位に沈んでいる時は禁止カードが出る可能性があるとも言われる。

 

「『コントロール』を見るにこれも難易度高そうだけど……」

「どうだろう、案外投げキャラみたいじゃない?」

「序盤の凌ぎ方を覚えるのに苦労するが、最終的には攻めのデッキだからな。終始読み合う『コントロール』より負担は軽い。苦しいのは前半のマナ加速部分、後半に溜め込んだマナの使用先を引けるかどうかだな」

 

 回ったときは読み合い拒否の蹂躙が出来るが、噛み合わなかった時の『ランプ』は本当に悲惨だ。

 

「回れば生半可なメタカードなんぞものともせず踏み潰す。ただしどうしても事故率は高い。高マナのスペルを序盤に引くと全く動けず、後半に土地やマナ周りのカードを引くとなにも出来ない。キープ基準も経験に大きく依存する」

 

 それと『ランプ』に使われるファッティは『ランプ』以外で採用されることが少ないため、マナクリーチャー以外はそこそこ安く組める。『エルドラージトロン』もアーティファクトを妥協すれば安いパーツが多い。

 

「最後は時の運、真理だな」

「前半の組み立て作業が難しいってわけね」

「『アグロ』がナイフなら『ミッドレンジ』はこれから弾を装填する拳銃やライフル、『コントロール』と『ランプ』は繊細なスナイパーライフル、乗り込み前の戦車だな。主流のデッキは大体この4つに分けられる」

 

 基本的には『アグロ』は『コントロール』と『ランプ』に強く、『ミッドレンジ』は『アグロ』に強く、『コントロール』と『ランプ』は『ミッドレンジ』に強いという構図が出来上がる。

 これでメタが一回りするわけだ。例外はあるが。

 

「ん?『撹乱的アグロ』と『コンボ』は?」

「その2つはあまりに独特過ぎてな。前者は当てはまるデッキがかなり少ないし、後者は逆に膨大だ。『撹乱的アグロ』からいこう。『撹乱的アグロ』自体が耳慣れない言葉だと思うが、一番分かりやすい言い換えは『クロックパーミッション』かね?」

「前言ってたよね? 『デルバー』だっけ?」

「一番有名なのはそれだな。1~2マナのクリーチャーを出して殴りつつ、相手の致命打や邪魔なクリーチャーを打ち消しや除去で捌く」

「……それ難しくない? 色んな意味で」

「なんでですか先輩?」

 

 そう。そもそも成立させるのが難しい『アーキタイプ』だ。

 

「前提条件に1~2ターン目にクロック、ある程度パワーがあるクリーチャーと、それを守り、相手のライフを0にするまで敗北を引き伸ばせる、打ち消しなり除去が必要だ。これも0~1マナくらいのものが望ましい」

「……そんな呪文あるの?」

「だから『デルバー』の主戦場はレガシーなんだ。モダンのカードプールで『クロックパーミッション』を行うのはかなり難しい。だったら打ち消しの分でクリーチャーを並べた方が早い」

「確かに普通の『アグロ』とは毛色が違うな」

 

 Willや目眩まし等、0マナで妨害出来る打ち消しの存在がなければ『クロックパーミッション』は難しい。返し1マナの致命的な一押しが本当に致命傷なのだ。

 

「あとは『Death&Taxes』がある意味『撹乱的アグロ』か?あれも独特過ぎて分類が難しい」

「それも前聞いたね」

「出したクリーチャーで除去やロックを行うから何とも言えない。扱いも難しい」

「んー、『クロックパーミッション』するなら普通に『アグロ』にした方が楽じゃね? どっちにしろやられる前にやるなら」

 

 あまりに都合が良すぎるゾノの疑問。

 ……計算して言ってるのか、それとも素で疑問に思っているのか分かりにくい。どちらにせよ良い着眼点なので利用させてもらうが。

 

「それをさせてくれないのが『コンボデッキ』の存在だ」

 

 これが最も好き嫌いの分かれるカテゴリーだろう。

 

「いわゆる即死ギミックや、無限ループを達成することを前面に押し出した『アーキタイプ』、方法は様々だがロクなものがない。例えば3~4ターン目で、更地にクリーチャーが出てきたと思ったら即死したり」

「一体何が起きた!?」

「欄干のスパイ着地、自身の効果で生け贄に。効果でデッキを上から捲って、土地が出るまでデッキを墓地送り、土地がないから全て墓地へ。あとは墓地でガチャガチャやって12点ドレインと合計16点のクロックで殴り倒す」

「それ大丈夫なの!?」

「あらゆる対策が刺さるがやられて気持ちの良いものではないな。正直○イプどころか公開○ナニー見せられる気分だ」

「言い方ァ!」

「もちろん異様に難しいのもあるけどな。手札、墓地、マナ、デッキ全てを駆動させて回す『ピットサイクル』。ライブラリー修繕を繰り返してデッキをループさせる『サニーサイドアップ』なんかは一人回しのお友達だ」

 

 でもアレにだけは対戦相手いらんでしょ。

 読み合いもクソも何もないんだよ。欄干のスパイか、密告人引けるかどうかしかないし。

 最初に思い付いた人はスゴいけど。

 

「別な例だと、『アドグレイス』はデッキを引ききって土地を火力にするスペルで勝つ。『ヘリオッドカンパニー』は無限ライフと無限火力を勝ち筋にしてる」

「それが『クロックパーミッション』が出来た理由か。殴るだけじゃ間に合わない」

「ゾノが納得してくれて何より。レガシーで普通に殴り倒そうとすると『コンボ』の方が早くなる。だから打ち消しを積む『クロックパーミッション』が『ビートダウン』の基準になってる」

 

 『黒赤ビートダウン』なんかは3ターン目に殴り倒すのも不可能じゃないんだけどね。だが、それくらい早くないと、ノーガードでコンボと張り合えない。

 ちなみにヴィンテージだと1ターン目黒蓮Mox土地修繕からの荒廃鋼の巨像2ターンキル布陣が、黒蓮Mox土地ダク・フェイデンからのコントロール奪取Time Walkで負けることがあるらしい。

 

「今までの『アーキタイプ』はナイフとか銃、戦車だったが、『コンボ』はミサイル、『撹乱的アグロ』は工作員といった感じだ」

「『コンボ』だけ別世界だね。工作員ってことは『撹乱的アグロ』は『コンボ』に強いってことね」

「あくまで私見だけどな」

 

 こう言ってる間にも環境は動いているし、私よりMTGを分かっている人は山程いる。

 それでもどうやって始めればいいか迷っている人が、少しでも参考にしてくれればと思う。

 

「散々私意と偏見にまみれたことを言ったが、誰になんと言われようが自分が好きで勝てる、デッキ選びはそれが一番だと思う」




 次回は遂に青担当が登場。
 ちなみに久園先輩の下の名前は悪男です。妹の扱いが悪い? マルドゥカラーならこんなもんでしょう。前がアブザンなので鬱憤が溜まってたのかと。
 次回はエスパーカラーだし仲良く出来ますかねぇ?

 前回は久しぶりに評価いただいちゃいました。感想とはまた違った嬉しさがありますね。


 カップ焼きそば書く時間がない……。すまぬ……。すまぬ……。


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