バーチャルだけど現実 対戦(合法ロリ)編   作:道長(最近灯に目覚めた)

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 思ったより長くなったので前後編で分けます。
 出来れば今日か明日中に後編をあげたいです。


対戦編1(vs Azorius)

「はーい、それじゃあ連続コラボ最終回、はじめていきまーす。まずはゲストさんの自己紹介から」

「ソフィー・ライブラリアンなのです。よろしくなのです」

 

 さて、連続コラボも遂に最終回。トリを飾るのは妹の同期のライバー、ソフィーさんだった。

 アバターは青髪のスタイルのいい魔女。魔法図書館で司書をしてる設定らしい。

 

「今回はコラボ最終回ということで、対戦をメインにやっていくことになるのだが……。ソフィーさん、ウェルカムデッキはどれがいい?」

「必要ないのです。既に組んできているのです」

「ソフィーちゃんスッゴいやる気じゃん! よーし、早速やろう」

 

 腕まくりする仕草をしながら妹が意気揚々とデッキを取り出す。が。

 

「いえ。ソフィーはお兄さんとの対戦を所望するのです」

「えー、なんで?」

 

 見た目中学生の少女にすり寄る現役女子大学生がいた。身長は140cmあるかないか、ワンチャン小学生にも見える妹と同い年の彼女は、無感情な硝子玉のような目で妹を見つめて告げる。

 ちなみに妹はそこそこ有名な私立大学に一年在学してから、国立大学に入り直しているため、ソフィーさんの方が一学年上だったりする。

 その後もしつこく食い下がる妹にラチがあかないと思ったのか、バッサリとこう言った。

 

「推定ですが、正直スズさんではソフィーの相手にならないのです」

「――」

 

 笑顔のまま妹が固まる。

 誰もつっこまなかったが、まあまあ犯罪臭漂ってたからな? アバター同士ならそうでもないが、現実は非情である。

 妹もそうだがアバターと、いわゆる魂の特徴が特定されない程度には一致させる、というのがこの会社の方針なのだが、ソフィーさんにはそれが当てはまらなかった。

 ただしこの姿は変身魔法ということらしく、特定の条件を満たすとリアルに寄せたアバターに切り替わってしまう。

 例えばネットゲームで負けが込むとか、一定時間喋らなかったりとか。彼女の初バズりもこの変身が解けた切り抜きが原因らしい。

 社の方針と設定とはいえ、実績のない新人に立ち絵が最初から2パターン用意してあるのは、期待値の高さだったのか、はたまた社長の酔狂か。

 

「スズさんが黙ったのでお兄さん、よろしいですか?」

「……えぇ。フォーマットは『モダン』*1で大丈夫ですか?」

「問題ないのです」

 

 だが一番の人気の要因は通常時の冷静さと、想定外の事態が起きて取り乱した時とのギャップだろうが。

 今回それが見れるとは限らないが。

 

「いつまで呆けてるつもりだ。どけろ」

「はっ、えっ、あっ、うん。私どうしてればいいの?」

「その辺で踊ってろ」

「オーケー、盆踊りでいい?」

「構わん」

「よし、じゃあさっそく……って踊るか!久園先輩じゃあるまいし」

 

 踊ったのか、ゾノ。一体どのタイミングで何を踊った*2のやら。

 

「まあ、空気で構わんがな」

「それは不味いから」

「邪魔にならない程度に喋ってろ。アドバイス出来るほどは、やりこんでないだろう?」

 

 本来なら妹と初心者のソフィーさんで、わちゃわちゃ遊んでもらうつもりだった。打ち合わせでもソフィーさんは同意していた気がするんだが。

 マネージャーさんには急な予定変更もあり得る、と前もって言われていたが、まさか本当にこうなるとは。

 席に座ってデッキを取り出す。

 

 でも正直期待していた自分がいたのは事実だ。彼女がモダンのデッキを組んでくることに。

 

 

 

 


 

 

 

「では、よろしくお願いします」

「よろしくなのです」

「ダイスの上でいいですか?」

「大丈夫なのです」

 

 ダイスの結果は私が5、ソフィーさんが10。

 

「先攻を貰うのです」

 

 先攻はソフィーさん、マリガンチェック*3はお互いにキープ。

 1マナのハンデスがないのは残念だが〈致命的な一押し〉*4はあるし〈タルモゴイフ〉*5があるならキープだろう。

 

「アップキープ、ドロースキップ。〈霧深い雨林〉*6を置いて終わりなのです」

「おっ? アップキープドロー……、プロキシ*7じゃなくて本物か。大変だったんじゃないですか?」

「……安くはなかったのです」

 

 青緑のフェッチランド、盛りは越えたがまだまだ値段はする。

 

「……これ一万近くするフェッチランドじゃ」

「モダンで〈ウーロ〉*8、レガシーで〈オーコ〉*9が禁止になったから、もっと値段は下がるはずだがな。正直〈コアトル〉*10と〈夏の帳〉*11だけなら緑を入れる理由が薄い」

 

 しばらくはショップ側も下げないだろうが、この値段なら同じ対抗色フェッチの〈沸騰する小湖〉*12の方を買うし。

 

「……〈怒り狂う山峡〉*13をタップイン。ターンエンド」

「エンド時に〈霧深い雨林〉を起動するのです。ライフが19になって〈島〉*14。青1マナで〈選択〉*15。占術は……そのままでドロー」

「あらためてターンエンドで」

「ソフィーのターンなのです。アップキープ、ドロー。〈溢れかえる岸辺〉*16を置いて終わりなのです」

「ターンを貰います。アップキープ、ドロー。〈黒割れの崖〉を置きます。これは黒赤のファストランド。場の土地が2枚以下ならアンタップイン出来ます」

「把握したのです」

 

 さて。〈霧深い雨林〉から出てきたのが〈島〉なら、デッキはもう決まったようなものだろう。

 

「『青白コントロール/Azorius Control』ですか。随分渋いものを選ばれましたね」

「……もしかしたら『青赤果敢』かも知れないのです」

「そしたら〈霧深い雨林〉や〈溢れかえる岸辺〉は赤のフェッチランドですし、〈島〉からの初動〈選択〉はほぼありません。それに〈僧院の速槍〉*17、〈スプライトのドラゴン〉*18がこのターン出てこないなら、『青赤果敢』はほぼ負けですよ」

 

 何より『青赤果敢』で『ジャンド』を相手取るのはキツい。一方『青白コントロール』なら、どちらかと言えば有利に戦える。

 表情には出さないようにしてるが恐らく当たりだろう。

 

(しかしアゾリウスか。〈致命的な一押し〉が現状死に札になったな。まあ、それは〈歴戦の紅蓮術士〉*19の弾に出来るからいいとして)

 

 ここでのアクションを〈タルモゴイフ〉にするか、〈死の飢えのタイタン、クロクサ〉にするか、今引いてきた〈思考囲い〉*20にするか。

 

「黒赤2マナ、〈死の飢えのタイタン、クロクサ〉をキャスト。出た時の効果でソフィーさんが自分の手札から1枚選んで捨てる。それが土地なら3点ダメージ。この〈クロクサ〉は脱出してないので、この後墓地にいきます。通りますか?」

「脱出というのは?」

「墓地にあるこのカード以外の、墓地にある5枚のカードを追放して黒2マナ、赤2マナの合計4マナを払うと場に出てきます」

「6/6が2マナで出てきたからうわって思ったけど、やっぱり相応に重いんだ」

「これは1~2枚差すには丁度いいカードだな」

 

 対になるはずの〈ウーロ〉は1マナ多い癖に4枚差しもザラだったし、倍の値段で取り引きされてたがな。

 〈クロクサ〉を選んだ理由だが、まず打ち消さないし捨てたカードで多少情報が得られるからだ。『コントロール』相手に〈タルモゴイフ〉や〈思考囲い〉を闇雲に使うのは勿体なさすぎる。

 この対面なら最低限どちらかは通したい。

 

「……通るのです。捨てるのはこれです」

「では〈クロクサ〉を墓地へ」

 

 捨てられたのは2マナの打ち消し呪文〈マナ漏出〉*21。〈タルモゴイフ〉や〈思考囲い〉を唱えていたら間違いなく打ち消されていた。ここで捨てたということは、最低もう1枚は打ち消しを構えているはず。

 

「ターンエンド」

「宣言時に〈溢れかえる岸辺〉を起動、〈神聖なる泉〉*22をタップインするのです」

「何もありません。そのままどうぞ」

「ターンを貰うのです。アップキープドロー。メインフェイズに〈島〉を置くのです」

「どうぞ」

「青白含む3マナ〈時を解す者、テフェリー〉*23。+1の忠誠度能力を起動、忠誠度が5に。これでソフィーはソーサリーをお兄さんのターンに唱えられるのです。そしてお兄さんは〈テフェリー〉が場にいる限り、インスタントタイミングで呪文が唱えられないのです」

「……なるほど、効果は分かりました。対応ありません」

「ソフィーのターンはこれで終わりなのです」

「私のターンですね。アップキープ、ドロー」

 

 一応の2択か。〈思考囲い〉、〈タルモゴイフ〉のダブルアクション。もう1つは〈歴戦の紅蓮術士〉で〈致命的な一押し〉ともう一枚スペルを切って、横に広げつつデッキを掘る。

 打ち消しを警戒しなくていいから、クロックが2以上残る前提なら後者も悪くない。が、裏目が怖すぎてやる意味がない。

 

「〈新緑の地下墓地〉置いて即起動、〈沼〉*24を出して残りライフ19。1つよろしいですか?」

「なんですか?」

 

 〈テフェリー〉を出したあたりから「ふふーん」と、鼻歌でも歌いそうな雰囲気を醸し出しているソフィー嬢。表情はあまり変わっていないためなんとなくではあるが。

 〈時を解す者、テフェリー〉は確かに強力なカードだ。実際、コイツ1枚で詰むデッキは少なくない。

 

「多分〈否定の力〉*25握ってらっしゃいますよね?」

「……どうしてそう思うのです?」

「土地フルタップで相手にターンを渡しつつ、忠誠度を保ったまま〈テフェリー〉を守る手段なんて、それくらいしかないですから。ただし私は採用していませんが、〈突然の衰微〉*26は打ち消されないのでご注意を」

「そうなのですか。覚えておくのです」

「恐らく〈血編み髪のエルフ〉*27に対しての牽制と、クリーチャーに対しての後出し-3即起動からの返し〈レン6〉*28-1能力での除去を嫌ったんでしょうね」

「……」

 

 この沈黙は図星っぽいなー。どちらも『ジャンド』の主力だから意識するのは正しい。

 しかしだ。

 

「〈沼〉をタップして黒1マナ、〈思考囲い〉。対応なければ手札を見せてください」

「っ……」

 

 一瞬だが顔色が変わった。

 ハンデスに対して〈否定の力〉をうちますか? というわけである。対応しないなら手札を見られた上で1枚落とされるが、〈否定の力〉をうつなら1マナで1:2交換である。

 こちらとしてはどっちでもおいしいし、ソフィー嬢はどっちもやられたくない。

 

 しばらくの沈黙。

 

「通る、のです」

「では拝見」

 

 手札は〈虹色の眺望〉*29の土地が1枚と、〈否定の力〉、〈謎めいた命令〉*30、〈ドミナリアの英雄、テフェリー〉*31

 

「これハンデス引かなきゃ負けてましたね」

「……早く、選ぶのです」

「まあ、焦らずに。勢いでなんとかなる手札じゃないんですよ。こちらは」

「自分の兄ながら性格悪いなー。知ってたけど」

 

 煽りでもなんでもなく、事実だから仕方ない。ここで迷わず〈謎めいた命令〉を選べるような神手札なら問題ないのだが。

 まぁ、ほぼ1択なんですけどね。

 

「〈ドミナリアの英雄、テフェリー〉で。ライフを2点失います。残り17」

 

 静かに〈ドミナリアの英雄、テフェリー〉が墓地に捨てられた。+1でドローしつつ土地2枚をアンタップ? ちょっと強すぎない? 2回も起動されたら負けに近い。

 まだわからないが、ガードをあげるポイントとタイミングを誤ったように思う。『ジャンド』はソーサリータイミングだけでもそれなりに動けるし、なんなら〈血編み髪のエルフ〉だって『速攻』持ちだから最低限の仕事はできる。

 

「緑含む2マナで〈タルモゴイフ〉墓地は土地、クリーチャー、ソーサリー、インスタント、プレインズウォーカーだから5/6」

「いやおかしいでしょ、そのカード」

 

 一見すると有利に見えるが、まだ五分から、こちらが微妙に不利だ。〈時を解す者、テフェリー〉によって『続唱』が封じられてるのは厳しいし、次のターンに-3起動で〈タルモゴイフ〉は間違いなく処理される。

 

「ターンエンド」

 

 とにかくゲームはまだ始まったばかりなのだ。

 

*1
MTGにおける階級のようなもの。2003年発売、ミラディン以降のカードが使用可能

*2
通称クソノダンス

*3
初期手札が気に入らないなら、全てデッキに戻してシャッフル後に引き直せる。満足いくまで繰り返せるが、行った回数分手札をデッキに戻す

*4
黒1マナのインスタント。2マナ以下のクリーチャー一体を破壊。パーマネントが離れたターンなら4マナまで対象にできる

*5
緑含む2マナのクリーチャー。*/*1。お互いの墓地にあるカードの種類分パワーとタフネスが上がる。殴る頃には大抵3/4か4/5になっている。軽くてデカイ。

*6
青緑のフェッチランド。ライフ1点とタップして生け贄にすることで〈島〉か〈森〉を含む土地をフィールドに持ってこれる

*7
誤解を恐れず言えばコピーカード

*8
3点ライフゲインと1ドロー、土地おかわりはやりすぎた

*9
あらゆるものを鹿にする。なんならあのMoxですら

*10
青緑の2マナクリーチャー。氷雪パーマネントを要求するとは言え瞬速飛行触死1ドローは盛り過ぎ。ただ、これのために3色にするにはマナ基盤がタイトすぎる

*11
緑1マナで唱えたターン、青と黒への呪禁を得つつ呪文が打ち消されなくなる。更に1ドロー。緑1マナでこれは強すぎる。なぜ1ドローを付けた

*12
青赤フェッチランド

*13
土地。赤緑のミシェラランド。タップインの2色土地だが、赤緑含む4マナ払うとクリーチャーになれる。『ジャンド』の密かなフィニッシャー

*14
青の基本土地

*15
青1マナのインスタント。占術1を行い1ドロー。デッキトップを見て欲しいカードならそのまま引いていいし、要らなかったらデッキボトムに送ればいい。モダンでは貴重かつ優秀な1マナドロースペル

*16
白青フェッチランド

*17
速攻果敢の赤1マナ1/2クリーチャー。詳細は省くが3ターンも殴られるとほぼ負ける。

*18
青赤2マナ1/1速攻飛行持ちクリーチャー。これも詳細は省くが、放置してると5/5になってることもザラ

*19
赤2マナ含む3マナクリーチャー。2/2。手札を2枚捨てて2ドロー。捨てられた手札が土地以外ならその枚数分1/1トークンを出す。捨てなくてもドロー出来るため、手札がこれ1枚の時に出すと2ドローする2/2クリーチャーに。そうでなくても不要牌を切ってデッキを掘れるし、更には赤含む5マナでフラッシュバックして1/1トークンを2つ出す。腐る場面が少ない優良クリーチャー

*20
黒1マナのソーサリー。相手の手札を見て、土地以外のカード1枚を選んで捨てさせ2点ライフロス。下環境でも優秀なハンデススペル

*21
青含む2マナインスタント。対象の呪文のコントローラーが追加で3マナ払わない限りその呪文を打ち消す。序盤ならほぼ打ち消せる。青系コントロールの序盤における生命線。

*22
〈平地〉と〈島〉の基本土地タイプを持つ白青のショックランド。アンタップインすると2点ライフロス

*23
白青含む3マナのプレインズウォーカー。初期忠誠度4。+1でソーサリーをインスタントタイミングで唱えられるようになる。-3でパーマネントのバウンスと1ドロー。最大の特徴は常在効果で相手がインスタントタイミングで呪文が唱えられなくなること。このカードの登場あたりから環境がおかしくなった

*24
黒の基本土地

*25
青含む3マナインスタント。クリーチャー以外の呪文を打ち消して追放。マナを支払わなくても、手札の青のカードを1枚追放すれば唱えられるピッチスペル。あの〈Force of Will〉の調整版。素打ちに耐え得る優秀なマナコストと、打ち消した呪文が追放されることから本家より優秀な部分も。値段も調整版になっており、中々お高い

*26
黒緑含む2マナインスタント。3マナ以下の土地以外のパーマネントを破壊する。打ち消されない。青の天敵

*27
赤緑含む4マナクリーチャー。3/2。速攻。続唱。続唱によって唱えられた時、3マナ以下の呪文が出るまでデッキをめくり続け、3マナ以下の呪文が出たらマナコスト支払わずに唱えられる。速攻も相まって1枚で2枚以上の仕事をするパワーカード。ただし続唱の仕様上〈時を解す者、テフェリー〉の常在効果に引っ掛かり、今の状態ではただの速攻クリーチャーに。それでも決して弱くはないのだが

*28
赤緑2マナのプレインズウォーカー。初期忠誠度3。+1で墓地の土地を1枚回収。-1で1点バーン。-7で手札の土地を、墓地にあるソーサリーとインスタントとして唱えられる紋章を得る。詳しくは書かないが、ヴィンテージでも採用実績がある時点で察してください

*29
基本土地のみ持ってこれるフェッチランド

*30
青3マナ含む4マナインスタント。効果は呪文の打ち消し、1ドロー、バウンス、相手のコントロールするクリーチャーを全タップ。重いが強い。青含むコントロールにはよく採用されるが、最も有名なのはあの『ヤソコン』だろう。1回ならともかく何回も使われると心が折れる

*31
白青含む5マナのプレインズウォーカー。初期忠誠度4。+1で1ドロー土地2枚アンタップ。-3で対象のパーマネントをそのオーナーのデッキの上から3番目にバウンス。-8でドローするたびに対戦相手のコントロールするパーマネントを1枚追放する。要は強い。青の欲しいもの全てが詰まっている。MTGのハゲは何故ここまで強いのか




 朝見たらオリジナルの日刊に載っててビックリ。こんなニッチ作品でも載るんですね。
 皆様のおかげです。ありがとうございます。

 後編も可能な限り早くあげられるように頑張ります。





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