バーチャルだけど現実 対戦(合法ロリ)編   作:道長(最近灯に目覚めた)

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 前話が黒以外前の焼き直しだったのに、それでも感想を書いてくださった方がいて驚きました。とても嬉しかったです。
 そしてアンケートも回答してくださる方がまさかの100名超え。評価までしてくださった方、ありがとうございます。
 これは書かせてもらうしかありませんね。もう少しお付き合いください。


カラーパイ2(赤緑無)

「さて、今回は前の話の続きだな。そう、『黒』には様々なデッキがあってだな」

「違うでしょ」

 

 冷たい視線が突き刺さる。その目は対妹氷河期とも言える、高校生時代を思い起こさせた。妹の態度が軟化しつつある今、再びあの生ゴミを見るような目で見られたら、心が粉砕骨折をする自信があった。

 

「……『赤』だったな」

「そうだよ」

「色の役割的にはイメージ通りだと思うが」

「いや。分かんないって」

「つまり煉獄さーーーん! ってことだ」

「もっと分からんわ!」

 

 見たところまんま『赤』を象徴する様に見える。詳しくは知らんが。

 

「結局前と同じ感じか。『赤』は自由で感情的な色だ。己の心に耳を傾け、自分にとって一番愉しいこと、正しいことのために行動する」

「なーんか『黒』と似てるね。ただの自己中じゃん」

「友好色だしな。他の3色が少なからず全体主義寄りの色のなのに対して、『赤』と『黒』は個人主義の色だからな。『白』から見れば『赤』と『黒』は同類に見えるのかもしれん。ただ『黒』から見れば『赤』と『白』の方が近しく見える」

「なにそれ、ありえないんですけど。時間は守るし、配信内容は必ず打ち合わせするし、SNSにも出来うる限り注意を払ってる私が、あの自由人と似てるとか言われたら……キレる」

「あー、うん。すまん、変なスイッチ押したか。それよりお前がSNS利用してることに私は驚きだよ」

「今時SNSくらい普通でしょ。曲がりなりにも動画配信してるんだし」

 

 お前の私生活なんか誰も興味無いわ。と思ったが、動画の宣伝と横の繋がりを考えると妥当だと気がついた。何より、今の妹を下手に刺激すると流れ弾が飛んでくる可能性が高い。

 元々はグータラの癖に対人関係やキャンパスライフでも、模範的な態度で日々を過ごしている妹。そのせいか、何かの切っ掛けで私以外に対して感情的になるとヒッジョーに尾を引く。今思えばあの冷たい目も、誰にも当たれないから私に全部ぶつけていたのだと思う。

 

「傍目から見れば社会全体を第一とするか、個人の意思を第一に考えるかの違いだな」

「いくら個人の意思が大事だからって限度があると思うよ」

「まあ、『赤』にとってはルールなんてクソ喰らえだからな。『黒』ですら自分に利益があるなら規則は破らん。正直『黒』も『赤』と同類扱いされるのは心外だ。外から見ると矛盾まみれに見えるくらい自由でありたい色だと思ってくれ。『赤』の最優先事項は人生を謳歌することであり、それの最善の近道は自分に正直であることだと思ってるんだ。混沌と感情、そして衝動を象徴する色だが、その根幹は至ってシンプルだ」

「私とは絶対合わないね」

「実は『白』と相性いいんだぞ? 『赤』って」

「ウッソ!?」

「エヴィン」

「は?」

「忘れてくれ」

 

 いかん。つい余計なことを言ってしまった。

 

「……クリーチャーはパワー偏重で速攻が得意。ソーサリーとインスタントは何より『稲妻』に代表される火力呪文だろう。これ抜きに『赤』は語れん。そして意外に思うかもしれんが、ドロー関係が結構優秀な色だったりする」

「なんで『白』は出来ないのに『赤』は出来るわけ?」

「アドバンテージを稼ぐドロースペルはあまりないがな。捨ててドローか、ドローしてから捨てるようなものが多い。それはそれで強いんだが。そしてエンチャントを『青』以外で唯一、直接破壊出来ない色になってしまった。使うのも苦手だ。アーティファクトは使うのも得意だが、破壊するのはもっと得意という関係。形の無いものは壊せないというのも『赤』の特徴だ。逆に形あるものは壊せるということで、相手の土地への干渉、破壊を現在許されてるのは『赤』だけだ」

「そういえば兄さんのデッキも手札と場と墓地には干渉してきたけど、土地だけは破壊しなかったよね」

「下手にマナ基盤を弄るカードを刷ると、ゲームにならなくなる。良くも悪くも土地は聖域なんだ。主なデッキ紹介に移ろう。まずは間違いなく『バーン』だろう。『稲妻』に代表される3点火力と軽量クリーチャーを次々繰り出して、噛み合えば3ターン目に勝負が決まる。赤の速攻を語る上で忘れてはいけないのが『スライ』だ。初期の『赤』、というよりはマジック全体に革命を起こした黎明期のデッキだ。『赤』に速攻というイメージを定着させたのは彼等の功績が大きい。コントロールもあるにはあるが、基本的には息切れしやすい色だからあまり多くない。コンボデッキは火力との相性がいいということで結構見るな。例えば『青赤ストーム』か」

「聞きたいことは色々あるけど、彼等って?」

「『スライ』という名前は使用者であるポール・スライから来ている。構築したのはマジック最初期の偉大なデッキビルダーにして、マナカーブ理論の提唱者ジェイ・シュナイダー。ちなみにジェイ・シュナイダーはのちに『シュナイダーポックス』というデッキを産み出してる」

「人の名前がデッキ名になるんだ。なんかスゴい!」

「当時はネットが発展してなかったから、デッキの区分が今ほど体系化されてなかったというのも背景にある。何より皆それぞれの独自理論と視点でデッキ構築をしてたからな。コピーデッキからのチューニングしか出来ない私から見れば、当時のプレインズウォーカー達は全員名ビルダーよ」

 

 今ではネットの発達と体系化がされ過ぎて特異な名前がデッキ名になることはめったにないがな。ビルダーにとっては寂しい時代になってしまったのかも知れない。

 人の名前を冠したデッキと言えば『ヤソコン』というのもあるが、あれはデッキブランドの一種だし、ヤソ専用だから別枠だろう。

 

「続いて『緑』といこう。これも分かりやすい色な気がするな。まあ、大自然のことだな」

「これはイメージどおりだね」

「『緑』は自然そのものであり、受容の色だ。あらゆる事象を自然のサイクルの一部として捉え、他者との共存を望む」

「へえ、優しい色なんだね。仲良く出来そう」

「全体主義的な色、だが、言っただろう? 自然そのものと」

「……?」

 

 どうにも思い当たらないようだ。妹は不思議そうに首を傾げている。

 ……嫌いなものの長所は中々認めたがらないが、一度受け入れたものに対しての視野が狭くなるからな。人間誰しもそうなんだが、こいつはそれを露骨に出しすぎる。正直過ぎるのも考えものか。

 

「自然災害も緑の一側面だということだ。」

「あ、なるほど。でもお天道様には勝てないって言うし」

「弱肉強食も緑における真理のひとつだ。生命を慈しみはするが、弱者が淘汰され、強者の糧になることを当然のことだと思ってる。また文明を忌み嫌う。ここが『白』との決定的な違いだな。逆に人には初めから役割が定められており、運命は変えられないと考えていることが両者の共通点だ」

「なーんか説明に悪意を感じるんだけど」

「私が嫌いな色No.1とNo.2だからな。そりゃ悪意も混ざるさ」

「解説者失格じゃん!」

「人間が人間である限り完璧で公正な判断は不可能だ」

「そうあろうと努力しようよ!」

「善処しよう。『緑』の特徴だが、とにかくクリーチャーと土地、マナ加速の色だ。クリーチャーの優秀さは『タルモゴイフ』でよく分かったろう?」

「うん。嫌というほどね」

「クリーチャーが絡めば何でも出来る、というのが『緑』だよ。そしてそれを活かしきる土地のサーチも『緑』の得意分野だ。その一方生命を慈しむという考えからクリーチャー除去はほぼ皆無。エンチャントは除去も利用も得意という二面性を持つ。アーティファクトは破壊するだけ。なによりマナの扱いは5色の中で最も得意。一時的なマナ加速力は『赤』、『黒』も可能だが、安定感は緑が随一だな」

「じゃあクリーチャー主体のデッキが多いのかな?」

 

 色のイメージもそうだが、動きも分かりやすいデッキが多い色だからか妹の反応は悪くない。友人(膝邪魔)も最初は『集合した中隊』を使うビートダウンデッキだったようだし。

 ……それなのになぜ、私に『ジャンド』を勧めたのだろうか。

 

「まぁいいか。そうだな。シンプルなビートダウンや、大型クリーチャーを出すランプデッキ、どちらも得意だ。ただ安定しやすいマナ基盤を利用してのコントロールも存在する。4色使う『土地コントロール』というアーキタイプがあるが、実質はほとんど『緑』と『青』のデッキだ。もちろん大量のマナはコンボデッキにも利用される。『赤』が混じるし、毛色は若干違うが『タイタンヴァラクート』も『緑』だからこそ成立するコンボデッキだ」

「……何か『緑』だけやたら短くない?」

「クリーチャーとマナが回り優秀、それだけ覚えてたら『緑』は十分だからな。良くも悪くもクリーチャーが主体の色だ。強いて言うなら色メタがやたら強い」

「色メタ?」

「対抗色がマジック最強色の『青』と、『赤』と並んでその次点とも言われる『黒』だからな。仕方がないとは言え『夏の帳』はやりすぎだ」

「ふーん。よく分からないけど、打ち消しもハンデスも好きになれない私は大歓迎だけどね」

「だからといって1マナで打ち消し+1ドローは無い。……これで5色は終わりか」

 

 何をするにしても半端な時間だ。特定のデッキをクローズアップするには足りないし、配信も終わるに終われない。

 

「一応『無色』について話すか」

「色が無いカードもあるんだ」

「あるのは主にアーティファクトだな。どの色でも使える分、性能は若干抑え目。ただ便利なのには間違いないし、無色であることの強さを把握出来てなかった頃のアーティファクト関連は、正気とは思えないカードパワーに設定されてる。今でこそ灰色だが、昔のアーティファクトは枠が茶色だったことから、色が出る土地を入れないアーティファクトデッキは『茶単』なんて呼ばれる」

「どれくらい強いの?」

「『パワー9』の内6枚はアーティファクトだぞ」

「……控え目にいってヤバくない?」

「ヤバイぞ」

 

 『Mishra's Workshop』とか何を考えて刷ったんだ。2マナ土地ですら強すぎるということで、規制がかかるんだぞ?

 3マナ出る土地とか一周回って笑えてくる。

 

「それと有名なのは『エルドラージ』だな。無色をテーマにした特殊なカテゴリーだ。マナコストは高いがスペルは軒並み強力。ビッグマナを代表するデッキだ」

「それはコンセプトが分かりやすいね」

 

 比較的回しやすいデッキだが、特性上いわゆる「右手が光る人向け」の部分が、どうしても拭いきれない構築が多いため、好き嫌いがはっきりするアーキタイプだ。私は正直、親の敵レベルでヘイトを向けてる側。

 

「ちなみに勘違いしがちだが、土地は基本的には無色のパーマネントだから気をつけろ」

「色のついたマナを出すのに? ちょっと驚き」

「友人とやったとき、色マナが出る土地は有色のパーマネントだと勘違いして、『全ては塵』が「ぼくのかんがえたさいきょうのじゅもん」になってた。自分が使うカードくらいはWikiで調べることをオススメする」

「大事なことだね。……まだ終わるには早いけど大事なお知らせなのでここで言っておきます。私と兄さんだけでやってきたMTG関連の配信ですが、次回は他のVtuberの方とコラボしまーす。詳細は別で知らせるね」

「コラボか。じゃあ私もお役御免か」

 

 やっと肩の荷を下ろせるなと、思わず大きく息を吐く。楽しかったが時間が縛られるし、不特定多数に観られるのでストレスを感じていたのも事実だ。

 あとは妹中心に適当にやって貰えれば――

 

「何言ってるの。兄さんもやるんだよ?」

「お前バカだろ。絶対バカだろ」

 

 大丈夫? 今背負わせた荷物、可燃性だったりしない?

 カチカチ山のタヌキみたいなことにならない?




 もうちょいカードの種類を解説した方が良いのでしょうが、次はマジックを始めるにあたって最も大事なことの一つ、フォーマットについて書こうかなと思います。
 書こうとは思うのですが……。



質問、要望はこちらへ

会社から提案された相手は? (あまり差がなければ予定通り進行します)

  • 緑(予定通りフォーマットの説明)
  • 青(目と目が合ったら勝負の合図)
  • 赤(プランC?ねぇよそんなもん)
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