流星降臨(葛葉ライドウ)   作:アズマケイ

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パーティ会場にて3

俺の目の前には八角ドームがあったはずなのだが、扉を開いたはずが先程のパーティ会場の中心に立っていることに気付く。

 

「ああもうまたかよっ!あんときの同じ場所をぐるぐる回る結界!!」

 

「どうやらサイガはよほど私たちを明治政府の結界とやらの起点に近づけたくはないようですね。この異界に私たち以外の人間は見受けられません」

 

ドミニオンはそういって天井を見上げた。

 

「この国と我々の信仰はまだ日が浅い上にこの国の国教でもないのに西洋の結界を参照にしているために親和性がまるでない......結界というにはいささか脆弱がすぎ......」

 

「ドミニオン?」

 

「......いえね、ふと思ったのですが、ハルアキ。もし幻覚にかかったとはいえ殉国とやらのために死を選んだならば、この結界を強化することにはなるのでしょうか?」

 

「えっ、あ、あー、多分なるんじゃ?」

 

「なるほど......ならばこの時代はまだこの国の人々は仏教や神道が基盤にある。人が死ねば黄泉に行くわけですね。ならば無理矢理黄泉の国から引き摺り出された魂も幻覚にかけられたならば有効というわけですね」

 

「ま、まさかサイガ子爵はそれを狙って?」

 

「250人程度の魂でこの国を守護できるわけがありません。有名人ならばそれなりの血筋があつまる。その代々続いてきた魂を根こそぎ殉国の徒にしてしまえば話は変わってくるのではありませんか?この国はそれだけの歴史がある。当然、死者の数もまたそれなりにいるはず。転生を考えても全てが黄泉の国からいなくなっていると考える必要はないでしょうからね」

 

俺は血の気がひいた。

 

「はやく、はやく帰らねえとっ!!ああくそ、俺たちがあの場にいればすぐに対応できたのに!!」

 

「私はもちろん、この国にはまだ存在しないはずの破魔の力を使えるハルアキはやはりサイガにとって脅威以外の何者でもないというわけですね。急ぎましょう」

 

「わかってるよ!サイガは俺たちをこっから出す気はないみてーだけどな!!」

 

ここが現実世界ではないと看破した瞬間に湧き出す悪魔たち。俺はプラズマソードを構えた。

 

「マグネタイトもつかなあ......」

 

「極力消費を抑えながら戦う他ありませんね」

 

「ああもう、まだサイガやアルカードたちがいるってのに!!破魔もちの悪魔や人間俺たち以外に誰もいねえんだぞ、勘弁してくれよッ!!」

 

俺の叫びなど知らないとばかりに、悪魔の軍勢が俺たち目掛けて襲い掛かってきたのだった。

 

 

俺の武器であるプラズマソードは、超高温状態で維持されるイオン核と自由電子の集合体をプラズマと呼ぶ。 プラズマソードはこの現象を用いた近接兵装である。

 

コアの周囲に形成されたプラズマを力場によって保持し、斬撃とプラズマによる燃焼効果で、目標を切り裂きつつ火傷を負わせることが出来る。

 

基本的に大正時代にあるものは大抵ダメージを負わせることができる。逆を言えばダメージが通らないのは、そもそも物理ダメージを受け付けない耐性をもつ悪魔か、その悪魔由来の材料で作られた装備の人間だけだろう。

 

つまり、今相手をしている片腕の男のような人間......いやサイボーグだけだ。

 

あの時腕が切断できたのは爆弾が仕込んであっただけだと思い知らされる硬さだった。プラズマソードがかけることはないが、神父の服から晒された硬質な腕は傷ひとつついてはいなかった。舌打ちした俺は男の体を蹴り飛ばして反転、距離を取る。

 

「いってえ......サイボーグかと思ったけど、あれか?アンドロイド?」

 

若干痺れが残る足に愚痴ると男が笑った。

 

「サイボーグとアンドロイドの違いなど自我の主体が人間か機械かの違いにすぎない。そういう意味では俺は紛れもなくサイボーグだ、安心しろ。あたっている」

 

「首狙っても平気な人間がどこにいるんだよッ!!」

 

男は不敵に笑った。

 

「笑っていられるのも今のうちですよ。前の戦闘であなたの弱点は割れています。───────ジオダインッ!」

 

放たれた雷がびりびりと空気を裂き、大気をまっ二つに引き裂くような烈しい振動があり、赤い火箭(かせん)が竿を継ぎ足すように、ジグザグと鋭くっつ走った。世界の終わりを告げる火柱みたいに直立する。

 

焦げ付いた匂いがする。男は行動不能になった。しめた、麻痺になったようだ。

 

「ナイス、ドミニオン。助かる!弱点がわかればこっちのもんだ!こい、ケツアルカトルッ!!」

 

「アッオーンッ!会イタカッタゾ、ハルアキッ!」

 

「マハジオダインで畳み掛けてくれ」

 

「ガッテンショウチノスケッ!!」

 

落雷がひときわ激しく轟いた。男のまわりで光と影がほんの一瞬ひとつになった。

 

今まで出会ったことのないくらい激しい雷だった。あまりにも激しすぎて、最初は幻想的な夢を見ているのかと思った。群青色の夜の中を短い光が何度も走り、そのたびにガラスの食器棚が倒れ粉々に砕けるような音がした。

 

「ぐうっ───────」

 

男のうめく声がする。俺は二体の魔力を底上げするアイテムを探ったのだった。

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