流星降臨(葛葉ライドウ)   作:アズマケイ

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パーティ会場にて9

今、まさに、八角ドームの結界は臨界点を越えようとしている。そのために必要な殉国の徒に相応しい人間はドミニオンの見立てによれば、あと少しといったところだ。その完成にはあと数人の犠牲者の魂と異界側の八角ドームに寄生している死神オルクスをどうにかする必要がある。

 

死神オルクスはどんどん力を蓄え、とうとう八角ドーム周辺だけが異界から現実世界に侵食してきてしまい、一時的に繋がってしまっているのだ。つまり、俺はようやく救援が得られたわけである。

 

俺はとりあえず2人に敵について所感を伝えた。

 

オルクスは火炎と電撃が弱点で、呪殺は無効化される。しかもこちらは全体攻撃で与えるダメージが常時減少し、物理攻撃をしても会心の一撃が入らない。

 

火炎と雷電属性の最大火力でひたすら攻撃するしかない。他の属性で攻撃するよりも高いダメージを与えられる。ただ、オルクスは、マハムドオンを高確率で毎ターン発動してくるため、呪詛弱点の悪魔は絶対に外し、体力を回復できる悪魔がいると安定して戦える。

 

オルクスは、俺の知る悪魔の中でもトップクラスにHPが高く、通常で「雄叫び」を所持するサポート型の悪魔のようだ。耐性面は、「物理」「氷結」「衝撃」に耐を所持し、「呪殺」を無効化できる。「火炎」と「雷電」に弱点の耐性を所持するが、弱点を補うパッシブを所持し、サポートが安定しやすいため非常に厄介だ。

 

しかもオルクスは、味方全体に対して、全体攻撃の被ダメージを軽減する効果を付与できる。被ダメージの軽減率は、自分の味方の弱点数で変動し、最大で50%と非常に大きい。

 

「雄叫び」をメインウェポンとし、敵からの攻撃ダメージを下げつつ、味方の火力を上げることができる、サポート悪魔の動きをしてくる。

 

相方のヘカトンケイルもまたサポート悪魔のためか、互いが互いをサポートすることでえげつないほどに硬い悪魔になっていた。

 

なにせヘカトンケイルもまた自身が生存している限り、敵から受ける全体攻撃ダメージを軽減できる能力がある。そのためこちらの悪魔が貫通もちでなかったり、属性ダメージ軽減と合わせると、かなり低いダメージに抑えられてしまうのだ。

 

しかもこのヘカトンケイルはHPの高さを活かして、「リディア」や「サマリカーム」等でサポートしたり、耐久に特化したスキル構成をしている。

 

ヘカトンケイルの弱点は疾風属性だ。オルクスもヘカトンケイルも能力を生かすためか、弱点をあえて消していないのがまだマシってレベルである。そのせいでサポート魔法を覚えてしまっているが、ダメージソースがないのは真面目にキツい。

 

じりじりとではあるが回復よりダメージは増えているはずだった。

 

「そんな状況でよくヘカトンケイルを落とせたね」

 

「これ以上は正直俺の使役できる悪魔じゃキツいです。よりによって異界側の結界の起点にオルクスが憑依しているせいで常時マグネタイトが供給されてるせいで魔力切れが期待できない」

 

「一番倒さなきゃいけない悪魔なのに......」

 

「そうなんですよ、ああもうどうすりゃいいんだ正直わかりません」

 

「つまり、ダメージソースの魔法が全滅したら詰みなのか」

 

「そういうことですね、あんまり考えたくないけど」

 

「よく今まで一人で持ち堪えられたね、ハルアキ.....」

 

「トドメをさしてくれたのは、葛葉キョウジさんでした」

 

俺の言葉に一瞬に沈黙がおりた。

 

「葛葉......キョウジが......?」

 

「里の歌舞伎者が......?」

 

『それはほんとうなのか、ハルアキ。あのキョウジが協力しただと?なにか弱みでも握られたんじゃあるまいな?』

 

「えっ、何ですかその反応っ!?ほんとですってば!!俺の今のパーティだとダメージソースの雷電に貫通持ちがいないんです。そのせいで苦戦してたら、葛葉キョウジさんが助けてくれたんですよ!仲魔に自爆特攻させてまで!!だから俺はせめて回復させてくれって無理言ってサマリカームを全員に......」

 

「自爆特攻?ええと、つまり、あれかな、ハルアキ。葛葉キョウジが君を助けるためにわざわざ仲魔を自爆させることで大ダメージを与えてとどめをさしてくれたっていいたいんだね?」

 

「はい、そうです!そういうことです!念入りに自動で魔法の底上げがしてあって、仲魔にコンセントレイトを命じてあったみたいで、三体の自爆特攻で片付けてました。俺のせいで仲魔が尽きちゃったのに、サイガとの戦いに時間が惜しいからってそのまま行こうとするから無理矢理引き留めたんです!!」

 

必死で説明する俺を見かねたのか、安倍さんはポンポンと俺の肩をたたいてきた。

 

「わかった、わかったから落ち着いてくれるかな、ハルアキ。なにも僕らは君が嘘をついてると思ってるわけじゃないよ。ただ君が思ったより単......いや素直な受け取り方をするんだなあと思っただけだから。うん」

 

「素直?それって褒めてませんよね?単純とか単細胞とか言おうとしましたよね、安倍さん」

 

「それがわかるなら、葛葉キョウジがどんなやつか教えたのになんでそんな解釈になるのさ......」 

 

「え?」

 

「え、じゃないよ、え、じゃ。なんだい、その間抜けな返事は。君がすべきなのは止めることだよ、無理でも回復なんてするべきじゃなかった。そうすればこれ以上場を掻き乱だされることはなかったのに!!」

 

「......あ」

 

「やっと思い出したね、ハルアキ?戦いの最中でアドレナリン全開で気分が高揚していたからだろうけどさ。今度からは気をつけるんだよ。もし葛葉キョウジの好奇心がきみに向いていたら、今頃君は冥府の住人だったんだからね」

 

「最奥のダークサマナーとサイガと葛葉キョウジの三つ巴に首をつっこむには、この死神オルクスを倒さなきゃならないのか。これは骨が折れそうだ」

 

「ごめんなさい、めっちゃ余計なことしちゃってましたね俺......」

 

「ごめんで済むなら警察はいらないからね、ハルアキ」

 

「はい......」

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