流星降臨(葛葉ライドウ)   作:アズマケイ

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パーティ会場にて13

キョウジはイシュタムにトドメの一撃をいれた。イシュタムは絶叫する。

 

「───────ガッ?!」

 

イシュタムから禍々しいオーラを伴った最期の一撃に見舞われる。キョウジは七星剣による接近戦だったために避けきれずそれは頭部に至近距離で直撃した。その威力はすさまじく、弾け飛んだキョウジは向かいの壁に激突した。

 

「キョウジ!」

 

ずるずる体が落ちていく。星命はあわててそちらに向かった。滑落したキョウジは微動だにしない。腕が変な方向に曲がり、側頭部が割れて血肉が柘榴のように噴出し、裂けた頭蓋骨からなにからがあらわになっていた。即死だった。

 

ライドウと交戦しているダークサマナーは笑う。そして呪文を唱え始めた。

 

「リカームだ、次こそは安倍星命を狙え、イシュタム」

 

「これはイシュタムの残滓......なんてことだ。こんな力が」

 

「星命ッ!」

 

「こっちにきちゃいけない、ライドウ!イシュタムは死亡したとき、攻撃してきた相手に万能属性の魔法型ダメージを与えて即死させるみたいだ!きみまで倒れられたら完全に詰みだ!僕のことはいいから戦いに集中してくれ!葛葉キョウジだって葛葉の端くれだ、遺体さえ守り切れば復活できるよ!!」

 

星命は急いで土御門家の秘術の準備にとりかかる。だがそれは無防備になるも同然だ。本人がいうとおり護衛となる式神はライドウの使役する悪魔より実力はあっても、サイガやダークサマナーの使役する悪魔より弱い。時間稼ぎにしかならないだろう。ライドウがそれまでにイシュタムとダークサマナーを屠れなければ完全に詰みとなる。

 

「......ッ」

 

「ライドウッ!!」

 

ライドウは一瞬迷ったようだが、ライドウとふたたび星命に鋭い声が飛んだために前を向いて駆け出した。そんな若い2人のやりとりを見ていたダークサマナーが失笑する。

 

「それは俺の標的が安倍星命だと知った上での発言か。ずいぶんと舐められたものだ」

 

ライドウの怒りがダークサマナーに向いた。

 

「ライジュウ、行くぞ」

 

「アオーンッ!オレサマカラノ支援ダッ!!受ケ取レッ!!」

 

妖刀ムラマサが雷電を帯びていく。

 

「雷電忠義斬ッ!!」

 

「ぐッ......」

 

強烈な一撃だった。七星剣ですら物理的なダメージが通らないとなると、この男の体を構成しているのは悪魔由来の素材ではない。純粋に科学の力で作り上げられた人類の叡智なのだろう、そうなれば妖刀ムラマサの魔をたつ力は何の意味もなさなくなる。ただ弱点をついたことでダークサマナーは動かなくなった。

 

「ライジュウ、放電で相手を攻撃してくれ」

 

「マカセローッ!!」

 

「カンセイテイクン、葛葉ライドウに力を貸してやれ」

 

「我の出番はないのではなかったのか、サイガよ。この場に及んでヨワイゴトをいうでないわ......お前も老いたな」

 

「なに、あの男の方が贄に相応しいと思っただけだ」

 

「うむ......まあ、たしかに敵対するとはいえ、あの男の時代の国を護ろうとする生真面目さはなかなかに素質があるな」

 

「だろう」

 

「しかし、仮にもあやつらは敵対者......まったく、仕方のない奴だ、我が慈悲を授けよう。このような願い事は、これきりにしてもらいたいものだ」

 

ライドウは見たこともない悪魔から加護を受けたのを感じた。

 

「青龍偃月刀」

 

巨大な刀がイシュタム目掛けて振り下ろされる。会心の一撃が入ったのか、リカームによる半端な回復では間に合わなかったようで、イシュタムはふたたび断末魔をあげて倒れてしまった。

 

イシュタムから即死の万能魔法が飛んでくるが、カンセイテイクンと呼ばれた悪魔はそれすら両断してしまう。

 

カンセイテイクンの振り上げた斬撃が拡散する波動となり、イシュタムの残滓すら破壊してしまった。そしてダークサマナーにもそのダメージは通った。

 

「呪詛無効に物理貫通......なんて強さだ」

 

「どういうおつもりですか、サイガ子爵。あなたの目的とダークサマナーは一致しているのでは」

 

「一致していても共闘する理由にはなりえんさ。儂は結界さえ完成させることができるならば方法は問わない。あの男ひとりで達成条件を満たせるのならば、未来ある若者4人よりダークサマナーの方がよかろうよ」

 

サイガの言葉にライドウたちは言葉を失った。

 

「たった一人がパーティ会場の招待客、彼らに連なる守護霊、先祖たちに値するというんですか」

 

「そうか、お主らには視えないか。視えない方がいいこともあるだろう。ダークサマナーのきた時代にはよくあることのようだからな、それだけ抑えておけばいい。互いに譲れないものがある以上、これ以上譲歩することはできんよ」

 

ライドウと星命はダークサマナーを見上げた。

 

よほど強烈な一撃だったのか、ただでさえハルアキとの戦いで失われた片腕だったというのに、吹き飛んだ片足の姿で男はまだ立っていた。

 

「リカームだ、イシュタムよ。パーティの招待客を誰一人逃すなよ」

 

次の瞬間には男の姿はかききえている。先程みせた瞬間移動だと気づいたライドウたちは一斉に振り返った。男は奥にある螺旋階段にむかって走っていくのが見えた。

 

「まずい、一般人にイシュタムの即死魔法を発動されたらひとたまりもない!いそごう、ライドウ!」

 

「キョウジはッ!?」

 

「いつまで寝てるんだい、起きないか」

 

「いでえっ、なにしやがるんだ安倍星命ッ!!」

 

「このとおり蘇生は完了したよ。いそごう」

 

「どーなってんだ......」

 

「きみの第一目標であるダークサマナーが逃げたんだよ、はやく追おう」

 

「なにいっ!?ああくそ、やっぱりお前らだけじゃダメだったんじゃねえかッ!名前負けしやがって、今すぐ剥奪されやがれッ!!」

 

「イシュタムの即死魔法から蘇生させてあげたのになんていい草だ。やっぱり説教部屋用意してもらおうか、ヤタガラスにさ」

 

「キョウジにはないのか、説教部屋」

 

「ないよ、初代だもの」

 

「それはおかしい。葛葉の端くれなら懲罰も同じにすべきだ」

 

「だよねえ......キョウジの本家と同じ説教部屋にすべきだと意見書を出しておくよ。今回の事態が鎮圧できれば当事者たる僕らの意見はヤタガラスとはいえ無視できないはずだ」

 

「やめろォッ!!」

 

「───────サイガ子爵、あなたは」

 

「戻ってきた者の相手をするとしよう、どのみち勝者が決まった時点で儂の目的は達成されるのだからな」

 

「......」

 

「キョウジ、どうする」

 

星命に問われたキョウジは七星剣を振りかざしていった。

 

「あの野郎、一回俺様を殺しやがった。絶対ただじゃおかねぇッ!!」

 

ライドウたちはダークサマナーを追いかけて、南ウイング部を後にしたのだった。

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