首相官邸
翌日、五十嵐と特殊戦略作戦室はG対策センターとテレビ会議を行っていた。
黒木「あの怪獣は優れた飛翔能力を持ち、人間さえも明確に捕食対象と認識しています」
友満『おまけに、海外でも大きさ以外はほぼ同一といってもいい怪獣があちこちで目撃されています』
五十嵐「ご存知だと思いますが、先日アメリカでその怪獣がワシントンに白昼堂々と現れ、ホワイトハウスにいた大統領らを捕食したのです」
麻生『白昼堂々と!?あの怪獣は自衛隊からの報告では夜行性と記載されていたはずだ!何がどうなっているんだ!?』
黒木「現時点では何とも言えません。ですが、速やかに殲滅しなければならないのは事実です」
友満『そうですね。G対策センターの方でもあの生物は殲滅しなければならないでしょう』
結論は殲滅であった。
中国 北京
同じ頃、世界のあちこちで大きさはバラバラであるものの、姫神島の怪獣と同種族の怪獣が現れ、怪獣との戦闘経験を持たない他国の軍隊は怪獣に翻弄され、市民は恐怖のあまりにパニックを起こし、無政府状態と化していた。ここ、中国では共産党の情報統制のせいでさらにパニックが深刻になっていた。
市民A「(訳)と、鳥の化け物だぁああっ!!」
市民B「(訳)助けてくれぇえええっ!!」
怪獣「ギャアアアアッ!!」
情報統制故にいきなりの怪獣の出現に自分だけでも助かりたい一心故に市民はパニックに陥り、我先に逃げ惑ったが、冷静さを欠いた市民の行動は全て怪獣の思うつぼであった。その怪獣に関する知識がないが故、多くの市民が怪獣の餌食となった。避難誘導を行うはずの中国共産党も既に怪獣の襲撃で主要幹部は捕食され、中国の政治機能の中枢は麻痺したも同然になった。
首相官邸
そんな中、また外相が来た。
外相「総理、今度は中国やロシアといった近隣諸国やあちこちの国にも例の怪獣が現れ、大混乱に陥っています!」
五十嵐「被害状況はどうなっている?」
外相「確かな筋によると、中国では北京等の主要都市に怪獣が出没し、多くの市民はもちろん、中国共産党の主要幹部ほぼ全員までもが怪獣に捕食され、人民軍も怪獣に有効的な対策をとる事ができずに翻弄されているようです。もっとも、中国政府は怪獣の情報を隠蔽しているというアメリカ以上の悪手を打っているために怪獣によって市民は恐怖に駆られ、無政府状態に陥っています。また、ロシアでもアメリカと同様の状況になり、現在は副大統領が大統領に繰り上げされて対応にあたっています」
五十嵐「この状況下でさえも国民の生命よりも自国の見栄を優先するとは…!!」
外相「さらには、韓国と北朝鮮にさえも怪獣が出没して韓国は大混乱、北朝鮮に至っては首脳陣は全員捕食され、軍も指揮系統の乱れと栄養失調、怪獣との戦闘経験がないが故になすすべもないようです。ヨーロッパの方では、アドノア島から姿を消したアンギラスやゴロザウルスが怪獣と交戦し、EU各国はそれを支援しているようです」
五十嵐「アドノア島から姿を消した怪獣達が新たに現れた怪獣と?それにしても…、韓国と北朝鮮に中国が隣国である我々に助けを求めないのは反日感情故だろうな…。怪獣災害を他人事のように見つめ、くだらない感情を優先させるからいざという時に何もできないのだ!」
怪獣災害を始めとした脅威から国民を守る責任感が強い五十嵐にとって、国民より自国の見栄を優先させる大国のエゴや怪獣災害に見舞われても韓国や中国の反日感情剥き出しの姿勢は非常に許し難く、怪獣の方がよっぽど世界の危機について理解していると感心するほどであった。すると、端末に白神そっくりの男の映像が映った。
白神?『そうであろう。そもそも、人間というのは救いようのない生き物だ。他の動物は同族意識が強いのに、人間は同族と分かり合う事ができない上に自己中で平気で同族を殺し合い、騙し合うのだからな。今の韓国と中国の反日感情など、まさにその極みだ。おまけに地球の生態系を壊しているという、ただでさえ救い様がない罪をさらに重ねている。そんな生き物など、地球上から根絶してしまった方が地球生命のためだ』
五十嵐「このような発信先不明の通信を送る貴方は娘のエリカさんを殺された恨みで地獄から蘇った白神博士なのですか?」
ファット『白神?残念ながら人違いだ。私の名はファット、人間根絶を望む者だ。五十嵐総理、あなたは的確な指示と対応でよくぞこの危機を乗り越えようとしている。流石は度重なる怪獣災害に見舞われている国のトップとだけありますな。そこは賞賛しよう。だが、それを乗り越えても更なる地獄が待っているぞ…』
いかにも人間を憎悪しているファットは五十嵐の手腕と自衛隊の迅速な怪獣災害への対応を賞賛した後、通信を切った。
五十嵐「(あのファットという男、あの服装は科学者っぽいが、明らかに現代文明の人間ではない…。一体、何者なんだ…?)」
服装の段階でファットが普通の人間でない事を見抜いた五十嵐であった。そして、斎藤は土橋に怒られていた。
土橋「斎藤君、総理にあんなバカげた事を提案して叱られた君はあの怪獣の危険性がわかっていないのか!?」
斎藤「え、えっと…」
土橋「君は典型的な私利私欲を優先させる役人だ!こんな非常事態に君のような人間は必要ない!現時刻を以て審議官の職から解任する!!退職金もなしだ!」
斎藤「そ、そんなぁ!」
バカ官僚と叩かれた斎藤はクビにされるという末路を迎えた。
長崎県
会議の後、五十嵐は現場を訪れ、恩師が怪獣に食われてショックを受けていた。真弓と視線が合った。
真弓「総理…、現地に来られたのですか?」
五十嵐「はい。国政の最高責任者たる者、現場も知らねばなりません。恩師を怪獣に殺されて辛い心境である事は察しております…」
真弓「平田先生の死を悔やんでくれてありがとうございます、総理…」
五十嵐「傷心のあなたに鞭を打つような形で申し訳ないのですが、我々は一刻も早く、あの怪獣を駆除してこれ以上の犠牲者が出ないうちに国民を安心させなければなりません。どうか、鳥類学者としてのあなたの力をお貸ししてください」
真弓「総理…。わかりました、鳥類学者として梓や自衛隊の解析班と共にあの怪獣の特徴や生態を調べ上げてみます」
五十嵐「それと、ワシントンに白昼堂々と現れた同一種族と思われる怪獣の写真を渡しますので、こっちについても調べてみてください。では、私はこれで失礼します」
五十嵐の頼みに真弓は決心し、梓達と共に怪獣の死体の解剖と解析を進めた。
自衛隊員A「この怪獣の飛行速度は映像ではマッハ1ぐらいはあるな」
自衛隊員B「けど、幸いなのはミサイル数発で死ぬ事ぐらいだろうな。ゴジラとかはビクともしないけど、ミサイル数発でやられる怪獣は初めて見たぞ」
怪獣の死体を見て、梓と大前は足だけの死体と怪獣の足が一致している事に気付いた。
梓「先生、この怪獣の足は…」
大前「間違いない、ロシアで回収した足だけの死骸とピッタリ一致している」
梓「では、あの卵の中身は…」
大前「あの人食いトカゲの可能性も考えていたが、間違いなくこの生物だろう」
鳥よりは翼竜に近いこの怪獣だが、首の辺りに音叉状の骨が見つかった。
真弓「この骨、何なのかしら…?」
大前「今まで調べた生物にそんな骨はなかった…。一体、何のためにあるのだろうか…?」
奇妙な形の骨に首をかしげる一同であった。
梓「真弓、この写真は…」
真弓「総理からもらった、ワシントンに白昼堂々と現れた例の怪獣の写真よ」
エミー「白昼堂々と…?」
大きさもだが、目の色が違う事に気付いた。
真弓「何だか、ワシントンに白昼堂々と現れたこの怪獣の目に遮光板のようなものができてる…」
大前「遮光板?」
その頃、自衛隊は怪獣殲滅のための作戦を立てており、黒木も現地に赴いていた。
麻生『黒木君、あの怪獣の殲滅作戦はどうするのだね?』
黒木「姫神島周囲に護衛艦隊、姫神島の船員の最後の通信にあった『鮫』に警戒して潜水艦、湾内には航空機部隊と試作運用されているグリフォン部隊、スーパーXⅣ、姫神島に隣接している五島列島に陸上部隊を配置します。夕暮れと同時に勝負をかけます!」
麻生『鳥はあの怪獣で間違いないが、鮫は一体何なのか…?』
五十嵐『作戦を実行する前にどうしても伝えたい事がある。あの怪獣が翼長100m以上になれば白昼堂々と活動できるようになる。故に我々に猶予はない』
黒木「わかりました。あの怪獣が光が苦手なうちに何としても全滅させます」
怪獣が活動しない日中の間に護衛艦隊や潜水艦、陸上部隊に航空機部隊といった自衛隊の戦力を展開し、逃げ場を塞いだ。その際、潜水艦の乗組員は姫神島の沿岸の様子に気付いた。
乗組員A「そういや、姫神島の海には魚はおろか、イソギンチャクやヒトデといった海の生き物さえも綺麗さっぱりいないな…」
乗組員B「あるのは海藻だけ…。ほんと、海の砂漠のようだ…」
他にもシャチでさえやらない、身体の大半を食われて死んだクジラの死体もあり、姫神島の船員が最後に言った『鮫』の海の生き物を全て餌と認識して捕食する貪欲さが伺えた。同じ頃、結城は新城と佐藤を連れて支度をしていた。その勝手な行為は当然、麻生の耳にも入った。
麻生『お前という奴は、また勝手にやらかす気か!?』
結城「つったってよ、ハイパーメカキングギドラの試運転も兼ねて黒木の作戦に参加するのさ。チビゴジの育ての親も来てるんだろ?」
麻生『何だ!?そのチビゴジというのか!』
結城「バース島にいた頃のチビの事さ。俺にも懐いたチビゴジが立派なゴジラになったのも拝みたいからな。それに、育ての親を助けるためにアドノア島から駆け付けたなら、案外姫神島近海で待機してたりしてな。それに、あの環礁の中に入ってるのは長き眠りについた古代怪獣だったりして」
麻生『縁起でもない事を言うな!』
頭にきた麻生は通信を切った。
佐藤「確か、あのゴジラは五条梓さんを親だと思い込んでいるんでしたっけ?」
結城「ああ、そうさ。バース島に住んでいたチビゴジの頃に育ての親と会っていたら、もっとチビゴジも喜んでただろうな」
新城「だが、今回の怪獣騒ぎは世界のあちこちで起こってるからな…」
結城「ま、怪獣騒ぎを他人事と見ていた他の国ではプテラコウモリにどうにもならねえだろうがな」
佐藤「そのプテラコウモリって?」
結城「世界のあちこちで現れてる怪獣のあだ名さ。あの怪獣は鳥だとか言われてるが、俺はむしろ翼竜やコウモリに近いと見ているけどな」
新城「確かに、あの怪獣は鳥というよりは翼竜やコウモリに近いが…」
結城「さて、夕暮れになったらヤングエリートの手腕も見せてもらおうか…」
エミーとM11に操縦をレクチャーしてもらいつつ、夕暮れを待っていた。
環礁
同じ頃、環礁の方も石板の先端のようなものが見つかって掘り進めていた。
拓也「これ、何だろうな…?」
草薙『引き上げ用のヘリコプターがチャーターできた。今、こちらへ向かっている』
米森「了解」
石板に触ってみると、何かを感じた。
雅子「ねえ、どうしたの?」
米森「体温と同じだ」
さらには、石板から鼓動みたいなものを感じ、未希も超能力で何かに気付いた。
未希「ガメラが…、ガメラが目覚めている…!」
雅子「ガメラが!?」
石板に亀裂が走って崩れた。
草薙『どうした?』
未希「草薙さん、ガメラが目覚めようとしています!」
それと同時に環礁が振動し始めて環礁が光り出した。
米森「あああああっ!!」
環礁の上にいた人物は超能力で浮いているコスモス以外は全員、振動で海に投げ出された。そして、米森達はそんな中で巨大な亀の怪獣、ガメラの姿を見た。
コスモス「時のゆりかごに眠りし最後の希望が遂に目覚めた…」
長崎県
姫神島の包囲が終わり、無人ドローンを使って怪獣を刺激しないように姫神島に潜む怪獣の巣を発見、夕暮れになって目覚めるのを待っていた。
真弓「念には念を入れているのですね、黒木特佐」
黒木「はい。いくらか分析が終わっているとはいえ、海外での襲撃事例を見れば油断のならない相手です。ここで仕留めなければ、最悪の事態に陥ります」
大迫「この照明弾、どがん事に使うんですか?」
黒木「あの怪獣は翼長100m以上になるまでは光を嫌うので、錯乱のためのものです」
梓「そこも抜かりはないようですね」
遂に夕暮れになり、巣にしている洞穴で眠っている怪獣の体温に変化が生じた。
自衛隊員「怪獣の体温の上昇を確認、そろそろ目覚める頃です」
黒木「ドローンは退避、ヘリ部隊とグリフォン部隊を展開、島から飛び立ったところを一気に殲滅します」
展開は終わり、攻撃の指示さえあればいつでも作戦開始が可能であった。ところが、黒木の所へ報告が来た。
自衛隊員「黒木特佐、環礁調査のメンバーがヘリでこちらに来ています」
黒木「環礁の方で何かあったようだ。メンバーをここへ通せ」
早速、環礁調査のメンバーが来て、環礁の中に怪獣、ガメラがいた事を報告した。
黒木「環礁の正体は亀の怪獣だとでもいうのか?」
米森「ガメラが姫神島に一直線で向かっているんです!」
自衛隊員「そもそも、どうやってその怪獣の名前を?」
雅子「コスモスが教えてくれたのよ」
黒木「コスモスが?では、あの鳥とか言われている怪獣の名前も知っているのか?」
コスモス「はい、世界のあちこちで出没している怪獣はギャオスといいます」
黒木「ギャオスか…。各員に通達、あの殲滅対象の怪獣をギャオスと呼称する」
自衛隊員「了解。ガメラについてはどうしますか?」
黒木「敵か味方かわからない以上、ガメラも警戒対象とする」
そこへ、また報告が入った。
自衛隊員「黒木特佐、ギャオスが飛び立ちました!」
黒木「よし、攻撃開始!」
島に4頭いたギャオスが飛び立ったため、すぐさま黒木は攻撃指示を出し、攻撃を開始した。
ギャオス「ギャアアアアッ!!」
攻撃の前に照明弾を投下してからギャオスの頭上で炸裂し、ギャオスが強い光で錯乱している間に攻撃を仕掛けた。グリフォン部隊やヘリ部隊、護衛艦隊に陸上部隊からの猛攻で混乱状態にあったギャオスはあっという間に2頭も撃墜された。しかし、その直後に護衛艦隊の数隻が海から放たれた光線みたいなもので真っ二つに切られた。
自衛隊員「謎の光線で護衛艦隊が数隻真っ二つにされました!」
黒木「やはり鮫も来たか…!潜水艦も攻撃開始!」
潜水艦も敵を発見し、魚雷を発射した。その攻撃した敵は魚雷を回避すべく、トビウオのように海から出て、その正体が明らかとなった。
自衛隊員「ヒレとか以外はギャオスにそっくり…!」
コスモス「あれもギャオスです」
真弓「あの鮫みたいな怪獣もギャオスですって!?」
護衛艦を真っ二つにした後、3匹も現れた海棲ギャオスは乗組員に襲い掛かった。
海棲ギャオス「ギャアアアアッ!!」
逃げ場がない乗組員は死を覚悟し、他の護衛艦と潜水艦は急いで攻撃して撃沈された護衛艦の乗組員を助けようとした。ところが、海から巨大な亀が海棲ギャオスの前に立ちはだかった。
ガメラ「クオオオオン!!」
海棲ギャオス「ギャアアアアッ!!」
海棲ギャオスのうちの1匹はガメラの剛腕の直撃を受けて吹っ飛ばされ、近くの岩に串刺しにされて絶命した。すぐさま海棲ギャオスの1匹はガメラを泳ぐスピードで翻弄しようとしたが、ガメラは甲羅にこもった後、回転して渦を発生させ、海棲ギャオスを引き寄せた。
ガメラ「クオオオオン!!」
海棲ギャオス「ギャアアアアッ!!」
そのまま海棲ギャオスはガメラに顎を掴まれ、引き裂かれて死亡した。最後の1匹となった海棲ギャオスは逃げ出そうとしたが、黒くて太い長い尾に吹っ飛ばされた。
海棲ギャオス「ギャアアアアッ!!」
海面から打ち上げられた後に青い光が海棲ギャオスに直撃し、そのまま爆散した。
梓「あれは…!」
最後の1匹となった海棲ギャオスの息の根を止めたのはゴジラであった。怪獣がどんどん登場しても黒木はうろたえずにグリフォン部隊を始めとした航空部隊に攻撃と追撃を命じ、1頭を撃破したが、最後の1頭が包囲網から逃げ出そうとしていた。
黒木「逃げられると思うな…!」
それこそ、黒木の想定内であった。最後の1頭を撃破するため、ステルスを解除してハイパーメカキングギドラが姿を現した。
結城「これで終わりだぜ!」
連続で放たれるレーザー光線はギャオスに命中し、ギャオスは爆散した。
自衛隊員「これにて、一段落だな…」
黒木「いや、まだ一段落ではない」
ガメラも警戒対象故、ギャオスを全滅させても警戒は解除されなかった。ギャオスが全滅した後、ゴジラはガメラに視線を向けた。
ゴジラ「グオオオン…」
拓也「なあ、ゴジラとガメラは何をしてるんだ?」
未希「話しかけているみたい…」
コスモス「ゴジラは『君は一体、何者なんだ?』と言っています」
ゴジラの問いかけにもガメラは見向きも応じもせず、ただ空を眺めていた。その後、ガメラは海に沈んでから首と両手両足を甲羅に引っ込め、両手両足から噴煙とバーナーみたいなものを吹かせて海中から飛び出し、円盤のように高速回転してキィイインという音を立てながらどこかへ飛び去ってしまった。
米森「空まで飛んだだと!?」
黒木「これでは、ひっくり返して集中攻撃というのもできないな…」
ゴジラもまた、海中に沈んでどこかへ行ってしまった。怪獣がいなくなり、自衛隊や関係者はほっとした。
大迫「一時はどうなるかと思ったばね!」
自衛隊員「アクシデントはありましたが、ギャオス殲滅作戦は成功ですね」
黒木「ああ。とりあえずは成功だ」
自衛隊員「ところで、結局ガメラは我々の味方だったのでしょうか…?ガメラが来てくれたおかげで今作戦の死者はいませんでしたし…」
黒木「それは結果に過ぎない。今回は戦場が孤島だったから結果的に死者が出なかっただけだ。もしも奴が我々の事を考慮せずに都市部でギャオスと交戦していたら、きっと万単位での死傷者が出る」
ところが、緊急連絡が入った。
黒木「はい、黒木です。何!?朝鮮半島から姫神島の個体とほぼ同サイズのギャオスが4羽飛来した!?わかりました」
真弓「何があったのですか?」
黒木「作戦中に朝鮮半島から姫神島の個体とほぼ同サイズのギャオスが飛来したとの報告が入りました」
真弓「何ですって!?」
黒木「(だが、このタイミングで飛来するのはただの偶然にしては引っかかる所もある…。未来人に操られていたキングギドラのように、ギャオスも何者かが操作、あるいは誘導しているとでもいうのか…?)」
ギャオス殲滅作戦中に朝鮮半島から飛来したギャオスについて、黒木は引っかかっていた。海棲ギャオスの光線らしきもので真っ二つにされた護衛艦を見て、関係者は疑問に思っていた。
真弓「どうやったらこんなに綺麗に切断できる?」
米森「俺も同じ質問をしようと思っていたところだ」
光線で切断されたのであれば、溶けている痕跡があるのだが、海棲ギャオスの光線らしきもので切られた護衛艦の断面は溶けた痕跡がない、綺麗なものであった。
筑波生命工学研究所
自衛隊が環礁調査組から得た情報は政府やG対策センター、筑波生命工学研究所にも伝えられた。ここでは、桐島がギャオスとジーダスの細胞の遺伝子を調べていた。
桐島「どうなっているんだ…?ギャオスは今までの怪獣にも増して謎だらけだ…」
ふと、誰かいる事に気付いて視線を向けると、ファットがいた。
桐島「白神博士?」
ファット「私は白神ではない、ファットだ」
桐島「やはり、見間違いではなかった…」
ファット「君は命の倫理を守ろうとする正義感と科学を人のために役立てようという志を持っているが、それは利用され、裏切られるだけだ。それを味わうぐらいならばさっさと私と共に人間に見切りをつけて滅ぼすがいい」
桐島「あなたのおっしゃる事は事実かも知れません…。ですが、それを止めようとする人だっているはずです。あなたはどうして人間が信じられないのですか?」
ファット「……君にその理由を言ったところで理解できるはずもない」
そう言ってファットはどこかへ行ってしまった。
桐島「(理由は言わなかったけど…、あの人は白神博士に見た目が似てるだけでなく、あの瞳から感じる悲しみ、狂気…、白神博士と同じ悲しみを味わった人だ…)」
洞窟
どこかの山の中でファットは女と共にカプセルに入っている3つの頭を持つギャオスを見つめていた。培養液の色で体色はわからないが、明らかに普通のギャオスとは思えない怪獣であった。
女「どこへ行ってたの?」
ファット「これから人間を根絶しようとする老人の軽い散歩だ、アキレ」
アキレ「もう、こうやってフラッといなくなるんだから…」
ファット「地球生命もバトラも甘すぎるのだ。人間など、この地球上から根絶しなければならないというのに、奴等はやり方がぬるいのだ…!私は人間を根絶させるためであれば、人間などやめてやる…!」
強い決意をしているファットであるが、その隙間をアキレは察していた。
これで今回の話は終わりです。
今回はあちこちの国がギャオスに襲撃されて大混乱に陥っているのとギャオス殲滅作戦、ガメラ覚醒とゴジラとガメラの遭遇を描きました。
海棲ギャオスは漫画でしか出ていない上に自分はその漫画を持っていないのですが、面白そうで海中戦も描けると思い、出してみる事にしました。
平成ゴジラシリーズでは怪獣災害は日本でしか起こっていなかったため、EU諸国などはもちろん、アメリカやロシア、中国といった大国でもギャオスが現れればまともな対応もできずにギャオスの増殖を許して苦戦するだろうと思い、こんな感じにしました。また、ギャオスの解析をせずに力押しで挑む上に見栄を張って日本からの応援をしないアメリカとロシア、杜撰な対応と共産党の主要幹部が全てギャオスに食われたために中枢が麻痺して無政府状態になった中国、反日感情故に日本からの応援をせずにギャオスによって壊滅的な被害を受けた韓国と政府機能が完全に喪失した北朝鮮といった、現代での政治情勢やそれぞれの国のエゴも描いています。
自衛隊の活躍は平成ガメラシリーズでも描かれていたため、その流れを汲む形で東宝自衛隊ではあるものの、色々なアクシデントはあれど姫神島のギャオスを全滅させるという成果を上げる活躍をし、今後も色々と活躍するシーンを入れます。
白神博士そっくりな男の名前がファットだと判明しましたが、由来は白神博士の苗字を英語読みしたホワイトとゴッドを合わせ、少し呼び方を変えてファットとしました。
ファットに付き添っている女性はアキレですが、ローマ字読みで逆さまに読んでみると…。
次の話はギャオスの次なる解析と新たに飛来したギャオスとの戦闘になります。そして、フライングする形になりますが、ガメラ3のある人物ととある舞台が出てくる事になります。