そんな二人が会ったらどうなるんでしょうかね。
柱。
それは鬼殺隊における、最高位の称号。
呼吸を極め実力に秀でた剣士九人からなる、文字通り鬼殺隊を支える存在のことらしい。今は、カナエ、冨岡を含め六名しかいないそうだが。
そんな彼等が、半年に一度集い情報共有をし合う場こそが、柱合会議であるとのこと。
鬼殺隊の活動方針を決める、極めて重要な会議。
柱ではない隊士は原則として参加が許されていないらしい。
故に、隊士ではない一般人が招かれる事は、極めて異例の事態であるとカナエから告げられた。
「着きました、アノスさん。ここが、お館様のお屋敷……産屋敷邸になります」
一週間後。
事後処理部隊『隠』に連れられ、俺ははカナエと共に柱合会議の場―――産屋敷邸を訪れていた。
とりあえず、ここ一週間は蝶屋敷に泊まらせてもらった。蝶屋敷は、鬼殺隊隊員が負傷した時の病院の役割も果たしているらしい。
蝶屋敷では、この世界の時代の文化や言葉を教えてもらったり、胡蝶しのぶの作業現場を見学したりしていた。
胡蝶しのぶは鬼殺隊の中でも異質な存在で、非力により首が斬れないので、特注の日輪刀で毒を鬼の体に注入することで、鬼を殺している。彼女は薬や毒に造詣が深いようで、鬼殺隊の中でも重要な立ち位置だ。
日輪刀も特別なものらしく、鞘の中で毒を調合できるという優れものらしい。一度その刀を作った者に会ってみたいものだ。
カナエは昨日はずっと寝ていた。目立った外傷はないとはいえ、肺の傷はかなり深い。柱を引退することになるかもしれないと彼女は言っていた。
全集中の呼吸の元である肺を傷つけられたのだ。仕方ないのかもしれぬ。
まあそんなこんなで柱合会議の日にちになった。
カナエは歩けるほどには回復したが、体を少しでも激しく動かすと、体に激しい痛みが走るらしい。
日常的に過ごすには、問題ないらしいが。
それにしても、もう動けるとは、なかなかの回復力だ。
産屋敷邸に着くと、入り口に一人の男が立っていた。
二つの柄の羽織を組み合わせたような羽織を羽織っている。
「あら、冨岡くん。久しぶりね」
「……胡蝶か」
冨岡と呼ばれた男はこちらを振り向く。
「この人は冨岡義勇といって、鬼殺隊の柱の一人、水柱を務めています」
カナエが親切にも説明してくれた。
確か、柱は極めた呼吸の流派に従って肩書を持つのだったか。
つまり、彼は水の呼吸を極めた者か。
「その男は誰だ」
義勇が俺についてカナエに聞く。
この様子だと、俺のことはまだ伝えられていないと考えているのが妥当か。
「この人はアノスさんといって、私を助けてくれた人よ。上弦の弐から私を守ってくれたの」
上弦の弐、という言葉が出た瞬間、冨岡の瞳に驚きの感情が現れる。
やはり、奴はそう簡単には倒せないやつだったらしい。
「彼については柱合会議でも話されるわ。とりあえず会議の場へ急ぎましょう」
とりあえず話を切り上げ、俺たちは産屋敷邸の庭に向かった。
そこには何人かもうそろっていた。あれが柱なのだろう。
「派手に遅いぞ!胡蝶!冨岡!」
そのうちの一人が冨岡とカナエに話しかける。
全身に宝石をつけた男だ。なるほど、男自身もなかなか派手だ。
「ごめんなさい。ところで、御館様は?」
カナエが派手な男に聞く。御館様が鬼殺隊の最高管理者というのはカナエからすでに聞いている。
「御館様ならまだだァ。ところで胡蝶、そいつは誰だァ。柱でもない人間がこんなところに何の用だ」
と俺を指さしたのは、全身傷だらけの男だ。なかなか凶悪そうな顔をしている。
「彼は私の命の恩人よ。そのことについては、御館様から話されるから、それまで待ちましょう」
とカナエが答えた。心なしか俺を見る目がきつくなったような気がするな。別に何もやっていないのに、どういうことだ?
「南無……。カナエを救っていただき感謝する」
盲目の男が俺に感謝する。常に涙を流しているのだが、涙が出やすい体質なのだろうか?
それはさておき、おそらくこの男が鬼殺隊の中で最も強い男なのだろう。にじみ出る雰囲気がほかの者たちとは違う。勇者学院の者たちとも互角に張り合えるだろう。
俺がそう思っていると、屋敷の奥から声がかけられた。
「よく来てくれた、カナエ、義勇。これで皆、揃ったようだね」
魔王学院の大正コソコソ噂話
アノス様は実は剣を使うのはあまり得意ではないんだぞ!
なのに魔剣大会で優勝したんだ!