クラマテングが仲魔となってくれるには俺のスペックが足りなかった様だ。それでも見込みがない訳ではないみたいだからこそ稽古を付けてくれたんだろう。まぁ…稽古といってもぶっ飛ばされるだけだったけどな。それもエリザベスとのやり取りで慣れたもんだしな…悲しいけど。
そして、夕方に差し掛かるころ俺はクラマテングの下を去った。
そして改めて峰津院の家へと帰ってきた。…話が気になって仕方ないのか雅さんが既にスタンバイしてるぞ。実は悪魔関係に興味津々な人だったんだなぁ。
「ねぇ、リョウスケ君…テングは本当に居たのかい?」
「…随分がっついてますね。まぁ、気になるのも分かりますけど」
「何だい、構わないじゃないか。僕に悪魔が存在するって教えたのは君だよ?それに、鞍馬山のテングなんて無茶苦茶有名じゃないか。それに土産話を期待させたのも君だろ?」
「そうですけど、あんまりにもがっつかれて驚いたんですよ…。それで、クラマテングですか。きちんと会えましたよ」
「っと、その言い方だと仲魔にはなってもらえなかったのかい?」
「ええ。もう少し俺自身が戦える様になってからなら考えてもいいって感じの話でしたね」
「ふぅん、そうなのか。やっぱりテングだけあって強いのかい?」
「戦闘面で言うならお見せした2人の仲魔よりもよっぽどですね。魔法の相性があるので実際に戦うとまた話は変わりますけど」
「へぇ…そういう事もあるのか。で、義経伝説の話は聞いた?」
「…そんな話はしなかったですね。確かに鞍馬山の天狗は伝承に出てきますし、その伝承によってクラマテングが形成されてる部分もありますけど、それとクラマテング本人が同じって事にはなりませんよ。それこそ記憶があったとしても伝説上のヨシツネとの関係性でしょうね」
「えっと…伝説上の登場人物になると話が変わるのかい?」
「そうですね、伝説、伝承に語られた人物って人々に話をされる事でカタチ創られるんですよ。その辺りは神話と一緒ですけど、その物語の中の人物像って実際とは解離しているわけですよね。人間にはどだい無理な逸話だって残ったりしてるじゃないですか」
「まぁ…ロマンは無いけど、言いたい事は分かるよ。実際の源義経と義経伝説の義経はある意味で別人って訳だね」
「そうですね。便宜上伝説になってる様な人物は英雄や英霊と言ったカタチで悪魔となっていますね」
「ん?英雄も悪魔なのかい?」
「これまた便宜上なんですけどね。物語によく出てくる様なヤギ頭の悪魔はバフォメットっていうちゃんとした名前があるんですよ。俺や歴々の悪魔召喚師が言う悪魔って個を確立している精神生命体みたいな奴らの総称ですよ」
「なるほどね…悪魔っていいイメージのない言葉だったけど、君が使うのは総称としてだったんだ。…って事は英雄も仲魔になるのかい?」
「なるでしょう。もちろん、相手が出す条件を全て満たせばですけどね」
「うわぁ…それはまたすごい話だなぁ。いやぁ、リョウスケ君が来て一番楽しんだのは僕かも知れないなぁ。疲れてるのにごめんね」
「あはは、大丈夫ですよ。短い間でしたけどお世話になりました」
「あっという間だったね。明日帰っちゃうのか。ま、学生の本分も忘れちゃいけないからね。次来る時までには僕も少し家捜ししておくよ」
「ありがとうございます」
雅さんとの話もそこそこに峰津院に滞在する最後の夜は終わった。明日からはまた東京だ。流石に八十稲羽に寄る時間もないからな。そろそろ高3。また学園には色々と入ってくるんだろうな…。
新たな仲魔は誰?力不足を自覚してしまったウズメンがバトン(スキル)をいくつか託します
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