「それに、今のところタルタロスって殆ど調査出来てないんだろう?なんせ、扉が開かないんだから」
誰からも聞いていないのに困ってる原因を言い当てられ困惑した様子の美鶴ちゃん。俺が知ってるのはズルみたいなもんだしな。ま、それだけじゃ無いけど。
「なっ⁉︎ご存知だったのですか?それとも荒垣から相談でも?」
「知ってたと言えば知ってたね。それに予測もつく」
「予測ッスか?」
「ああ、まず君たちの戦力だ。バックアップも満足に居ないのに本格的な調査は大変だよ?特に終わりが見えない異界はね」
「あー、なるほどッスね。確かに岳羽も勘定に入れてやっとこさ4人は厳しいッスよ」
「だろう?だからメインは影時間のパトロールになってるだろうと予測ができる」
「なるほど、確かに我々の活動は迷い込んだ人が居ないか見回ってシャドウの討伐をしています。現状、タルタロスでは扉の変化を確認するくらいしかしてませんね」
「そうなるのも仕方ないからね。俺から言わせれば良く腐らずに続けてると思うよ」
「けど、先輩も渋谷の異界探索してらっしゃるのですよね?」
「ご無沙汰だったけどね。あそこに限らず集合無意識が生み出した異界は出来るだけ把握しておきたいからね。…終わりは全く見えないけど」
「そういや手伝って欲しいって言ってましたもんねぇ」
「シンジ、そうなのか?リョウスケさん俺も手伝いますよ」
「明彦、他のところで腕試ししたいのが透けて見えてるぞ」
「あー、センパイが俺だけに声かけた理由が分かったッス」
「なっ⁉︎俺では不足ですか?」
「真次君でも十分とは…いや、俺ですらまだまだ力不足だからねぇ。タルタロスでもそうだろうけど進めば進むほど出てくるシャドウは強くなるからなぁ。タルタロスは分からないけど、人が持つ深層意識って深くなればなるほどシンプルで共通してくるからね、集合無意識が構成している異界も同様に深層程強くなるんだろうさ」
「葛葉先輩ですらまだ…それは仲魔の皆さんと合わせてもですか?」
「不甲斐ない事になるけどまだまだだね、深さもそうだけどフロアの広さも中々のもんでね。色々試行錯誤しながら少しずつやってるから時間がかかるのさ。…偶に出てくる悪魔も厄介極まりないからさ」
「……」
「ほらよ、アキ、桐条、俺たちはとりあえず影時間何とかしてから考えようぜ」
「ふっ、荒垣に言われるとはな」
「ああ、シンジも変わったな」
「けっ、ウルセーよ」
「ふふ、ま、とにかく、タルタロスが動きを見せた頃俺も動くさ。そうでなくてもヤバけりゃ呼んでくれたらいい。オカルト対策としての活動を本格化出来てるかも知れないし」
「それは…‼︎何よりの朗報ですね」
「ああ、そうだな」
「…幾月のヤローはどうすんですか?」
「ん、理事長は理事長で目的があるだろうから動き出すだろうね。さながら今は色んなところに種蒔きしてる様なモノさ。そうしてやっと馬脚を表すだろうね。…とは言えムーンライトブリッジの事件から周りを騙してきたんだ。気をつけるに越した事はないね」
「ケッ、アイツに見せる隙なんてねぇッスよ」
「…しかし、幾月さんはペルソナ使いでもありませんし、影時間ならばペルソナを使える我々が遅れを取る事も無いのでは?」
「甘い、甘いよ美鶴ちゃん。ペルソナ使いに善悪なんて必要無い。必要なのは強い意志の力ときっかけだ。自らの目的に邁進している人間…その目の前に障害が現れたらどうすると思う?」
「…立ち向かいます。まさか⁉︎」
「そう、そのタイミングで打開を図る可能性もある」
「マジかよ…」
「可能性さ。そもそもあれだけ嘘をついている人間、能力が無いってのも信憑性に欠ける」
「…確かに。私もお父様も信頼しておりました。そこまで取り入る事が出来る人間ならば備えていても不思議じゃありませんね」
…真次君が居るから言いにくいけど制御薬の改良が後押しになったかもな。野望を持つ人間は寿命をベットする事は無いけど、そのリスクが無くなったら?それに人工ペルソナ使いだって手駒の作成と言うよりは自らに対してリスクを減らすための人体実験だと考えた方がよっぽど自然だ。
「まぁ、最悪の事態を考えたらそんなところじゃないかって俺の予想さ」
「…美鶴、シンジ俺たちがやる事に何か変わりが出るのか?」
「ったく、悩んでる俺がバカみてぇじゃねぇか」
「ああ、私たちは目の前の事をやるべきだな。…幾月さんが力を隠しているのと同様に私たちも先輩が力を貸してくれる」
「だろう、やはりトレーニングに限るな。力を高めておく事が何よりの備えだ」
「「はぁ…」」
「ま、やる事なんてそうそう大きく変わらないってことさ」
「まぁ、まだ被害者だってゼロじゃねーしな。そういや、聞きたかったんスけど、無気力症候群って治るんスか?その辺先輩はどう考えてるのか聞きたいッスね」
「そうですね、私も聞きたいです」
ふむ、そう言えばその話はしてこなかったか。予測でしかないケド構わないみたいなので話してみようか。
「影時間のシャドウが何によって生み出された存在なのかによるかな。人間のもう一つの人格とも言えるシャドウ、つまりシャドウがおかしくなると本人に影響が出ることは分かるかな?」
「って事は俺たちが倒してるのはマズイのですか?」
「いや、影時間のシャドウはまた別だと思う。メメントス見たいな集合無意識なら人のシャドウってもいるんだ。それでこの無気力症候群はシャドウが迷い込んだ人を襲って引き起こされる事例だろう?」
「はい、我々の救助が間に合わず…」
「影時間の範囲に対して実働部隊が少なすぎるからね…。それで、ペルソナの様なシャドウへの対抗手段が無いとシャドウに襲われ、その人のシャドウが抜き取られる…とでも言うのかな。シャドウの行動原理は分からないけどそうなったら人は抜け殻の様になってしまう…だろうね」
「そ、そうだったのですか⁉︎では、その抜き出されたシャドウを戻してやれば…」
「可能性の一つではあるよ。そのシャドウがどこにいるのか分からないけど」
「いえ、私たちではその可能性すら分かりませんでしたから」
「…一応ここだけの話ね」
「お父様にも話してはいけませんか?」
「武治さんは良くても周りがね。権力者に知られると厄介なのさ。なんせ、ほぼ完全犯罪だよ?口封じにはもってこいだろう?」
「「「…」」」
「だからこそ集合無意識を放置出来ないって分かってくれたかな?」
そう、俺が危惧しているのは『改心』。プロセスとしては無気力症候群も同じだと思っている。…人工ペルソナ使いのカードを持つ桐条に気づかれてしまうことがどれだけ危険か。武治さんはともかくグループ全体で後ろ暗い所もあるからな。3人は思いもやらない話で固まっちゃったな。もう少し話したいんだが、大丈夫かな?
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