葛葉家に生まれ落ちてたんだが…   作:ぎっしり腰

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急に寒くなったので初投稿です


力を持て余しがちな者達

ベルベットルームの鍵に催促される様な気がする…。歩みを早めてキョウジおじさんと住んでる家、まぁ事務所も入った雑居ビルなんだが、そのビルの屋上に何故か佇む青い扉を開けて中に入る。

 

 

「久方ぶりでございます。我々姉妹もまたリョウスケ様が気軽に訪れる日を待ち遠しく思っておりました」

 

「全くでございます。もう少し客人としての自覚をお持ちになってはいかがですか?」

 

「ふふ、エリザベスお姉様はいつも気にしてらしたんですよ。リョウスケ様が帰ってきた時の為に気合を入れてテオ兄様と手合わせしておりましたもの」

 

それでテオがここに居ないのか。…もしかして、視界の端に見える青いボロ雑巾もしかしてテオの成れの果て?気合を入れたエリザベス…お、恐ろしい。

 

「ラヴェンツァ、なんて事を言うのですか‼︎ネタバレをする悪い子にはこうです」

 

「ふぉねぇしゃま、やめへぇくらひゃい!ひょうしゅけしゃまふぁみふぇいまふ」

 

「いいえ、この口が悪いのですからこうです。えい」

 

「あー、エリザベス、その辺にしてやってくれないか?お土産にハンバーガーいっぱい買ってきたし」

 

「さぁ、いただきましょう。ラヴェンツァ、姉上を呼んできてもらえるかしら?」

 

「エリザベスお姉様、ひどいです…。はぁ、呼んで参ります、リョウスケ様、しばしお待ちください」

 

「あはは、よろしく。話は揃ってからにしようか」

 

 

 

ラヴェンツァがマーガレットを呼びに行っている間抜け駆けしようとするエリザベスからハンバーガーを守りながら準備を進めていた。

 

「あら、エリザベス抜け駆けですか?」

 

「いえ?リョウスケ様に限ってありえないとは思いますが毒見の役を買って出ただけですわ」

 

「…」

 

「あらあら、リョウスケ様の苦労が手にとる様に分かるわね。全くせっかくなんですから揃っていただきましょう。テオ、いつまで寝てるのかしら?」

 

「(取り分が少なくなると姉上が…)いえ、せっかくですので私もいただきましょう。リョウスケ様ありがとうございます」

 

いつの間にかボロ雑巾がなくなっている‼︎ちょいちょいエリザベスが牽制してたのは取り分を増やす為だったのか…

 

「まぁ、またたまに持って来るから。それより、お待たせ」

 

「そうですね、いただきましょうか」

 

「エリザベス…、はあ、貴女らしいわね。リョウスケ様、またよろしくお願いしますわ」

 

「ええ、リョウスケ様、また貴方の歩みを見せていただきます」

 

 

 

 

久々とはいえ結構な量を持ってきたんだがなぁ。…こういった色んな思い出をラヴェンツァが持っていれば「ジョーカー」にカロリーヌとジュスティーヌとして色んなところに連れて行かれた時、何か感じるところがあるかも知れないのか?

 

 

「さて、とりあえずまたここに来てメメントスにも行ける様になった訳なんだが、とりあえずは慣らし運転からだな。…エリザベス、お手柔らかに頼めるかな?」

 

「ふむ、自ずから私を選んだことは流石ですね。仕方ありません、付き合って差し上げましょう。…私としてもちょうど良い所ではありました」

 

「ん、何かあるのか?」

 

「いえ、主人様によると新たなる客人の気配が強くなりつつあるとの事でして、私かテオが担当することになりそう、と申し付けられておりまして」

 

「ええ、私はまだ手を離すことができない案件があり、ラヴェンツァもメメントスに詳しくなって欲しい我々の想いとの兼ね合いがございまして。エリザベスとテオドアに任せても良いだろうとの判断が下されたのです」

 

 

なるほど、いずれにせよエリザベスかテオがイゴールの補佐を務める訳か。まぁ、2人揃っているならテオが盾になってくれるだろう。…じゃ無いと俺基準で手加減を覚えたって自信満々なのが裏目になりそうだしな。

 

 

「そうなのか、じゃあ来年は中々相手してもらえなさそうだな」

 

「あら、ご安心ください。私たちが担当することになるであろう客人とバッティングさえしなければ存分にお相手いたしますので」

 

「……よろしく」

 

 

甘かった。よくよく考えたら力を司る者としてその力を見せるだけの相手なんて中々いないわけで、丈夫さだけは自信のある俺なんて都合がいいわけだ。

 

「ええ、おかげさまでニンゲンを相手にする自信がつきました」

 

「そうですね、リョウスケ様のお陰で私もお姉様達に引けを取らない自信が付きました」

 

「あー、流石に相手の事見極めてやってからにしてくれよ?…俺を基準にしてまだ見ぬ後輩に恨まれたくないぞ」

 

「そうでしょうか?」

 

「ふむ、まずは私とテオで試してみましょう。その機会は直ぐですからね」

 

 

すまない、これからベルベットルームを訪れる後輩達よ…、立ちはだかる壁は高くなってしまったかもしれない。

 

 

 

「それじゃ俺は戻るとするよ。近々メメントスに行くからよろしくなラヴェンツァ」

 

「はい、お待ちしております」

 

「あら、私よりもラヴェンツァですか。そうですか…」

 

「待て待て、不穏なオーラを纏うんじゃない。エリザベスとの訓練が先だから安心?してくれ」

 

「ふむ、殊勝な心がけですね」

 

「そりゃ、死ぬほどキツイけど死ぬ事は無いからな」

 

「では許して差し上げましょう。…お待ちしておりますので」

 

 

 

 

俺はベルベットルームを出た。今日はこうして色んな人と話が出来て良かったな。高校生としての生活が終わっても異界や悪魔関連の事件なんて流石にほっとけないしな。…葛葉の一員としてもだ。何と言っても俺がオレである為にも俺がやりたい事をやらなきゃならない。この世界で生きていくんだからな。

 

 

……?

 




リョウスケ君はステータスが耐速型です(嘘)

新たな仲魔は誰?力不足を自覚してしまったウズメンがバトン(スキル)をいくつか託します

  • クラマテングヨシツネ「師匠⁉︎」
  • キクリヒメ…ウズメ「私の上位互換…」
  • ネコマタ…ピクシー「被るじゃない‼︎」
  • ヌエ…フロスト「食べられちゃうホ?」

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