眠ったと思ったらベルベットルームにいた。なるほど、知ってはいたがビックリするなコレ。まぁ、鍵の所有者だから招いたり近くに扉を置けるようになってるんだろう。エリザベスやマーガレットよりラヴェンツァやカロリーヌとジュスティーヌはホント色んなところに扉置いてたからな。…流石にハワイには無かったハズだけど。
「現世に悪魔が現れてしまいましたか…」
「まぁ、かなり特殊なケースだったけどな。まずベースがジャックフロストって言う自然現象の一面が悪魔となったヤツって事。加えてウチの蔵にユニーク個体として生まれるきっかけみたいな品があった事。おまけに冬の寒い日としておあつらえ向きだった。ま、召喚する位に状況が整ってた訳だったんだ」
「なるほど、その様なケースが。リョウスケ様あけましておめでとうございますね」
「マーガレットもあけましておめでとう。滅多にある事じゃないさ」
「ふふ、頻繁に起きてしまっては困ってしまいます。リョウスケ様、あけましておめでとうございます」
「おっと、ラヴェンツァもあけましておめでとう。そうだな、しょっちゅうあるならサマナーが廃れる事もなかったか」
「ふむ、場所などの要因はございましたか?」
「基本的に龍脈とか霊的なスポットの方が可能性高いだろうな。そう言う場所ってこの時代じゃあかつてのサマナーの末裔が居を構えたりしてる場合が多いんだ。そんな連中が居るからこそ所縁のある悪魔が現出する事になるんだと思う」
「なるほど。となると、リョウスケ様から見たタルタロス…かの異界化は何が原因であるとお考えでしょう?」
「エリザベスとしちゃ気になるわな。推測が多くを占めてるんだが、始まりとしては権力者が全能感による勘違いで手を出しちゃいけない所を突いたってとこだろう。ま、制御できると思ってる人間ほどあっさり操られたりするもんさ」
「…何故ニンゲンはその様な行いを?」
ここの住人は根本的にニンゲンの味方だからな。どうにも愚かさが信じられないのかもしれない。
「シャドウやペルソナ、引いては悪魔の力なんてまさに超常現象と言ってもおかしくないからな。ヒトは科学でそう言った神秘を駆逐してきた歴史も確かにある…だからこそ権力者は自分なら大丈夫って過信できるのさ」
メタ的な知識で補完してる部分も有るがスタートとしてはこんなモンだったハズ。
「ここからは想像なんだが、魔に魅入られたんだろうな。元々は利用が目的だったんだろうがいつの間にか利用されていたんだろう」
「…恐ろしいモノですね。願わくばニンゲンには力に溺れずいてもらいたいモノでございます」
「ま、皆が皆そうって訳じゃないさ。さ、湿っぽい話はもうやめよう。せっかくのめでたい日だからな」
ヘビーな話題は今日じゃなくてもいいじゃないか。挨拶もそこそこに退出を促された。どうやら朝が近いらしい。普段訪れる時と時間の流れはまた違うようだ。
元日が例の豪雪で閉ざされていた分の反動か三ヶ日は去年よりも賑わった気がする。そんな中予定通りヒナコさんと合流出来たんだがせっかくの機会だからと奉納舞をお願いした。…アメノウズメも見ているしな。
「任しとき!」
男前な返事に対して舞は見事なモノだった。去年のソレよりも迫力が増した様な気がする。
(うふふ、この私が気に入った舞だもの。少しくらいサービスしても構わないでしょ?)
どうやらヒナコさんにアメノウズメから何かしらのご利益があったらしい。迫力が増した理由はどうやらそこの様だ。
「ス、スゲー!ヒナコさんなんか無茶苦茶キレイになってんじゃん!」
「ふわぁ…」
「…か、カッコいい」
「……」
ダイチさんだけじゃなく八十稲羽の3人組も心を動かされた様だ。完二君なんて語彙が死んでる。
「ほぉ、見事いや、美事なもんじゃ。いや、こりゃええもんを納めて頂いたわ」
「ウチも此処にはお世話なりましたから。それになんや、えらい身が引き締まる気がしたもんですから粗相してへんか心配ですわ」
(あら、何となく勘づいたのかしら?)
(舞踊の大家らしいからヒナコさん自身気付いてない霊感はあるかもしれないからな。何か勘働でもしたかもよ)
「ヒナコお姉さん‼︎スゴいスゴい‼︎」
「おねーさん、いやもうヒナコお姉様だわ…凄すぎるよ…」
「………」
「ありゃー、完二壊れちゃった?」
「ホントだ。…えい‼︎」
「うわっ⁉︎な、何だよ‼︎」
「完二くん固まっちゃってたから」
「いや、でも…あ、あの、凄かったッス‼︎」
「えへへ、おおきに。ウチも中々のモンやったやろ」
謙遜してる風なのにドヤ顔、実にヒナコさんらしいな。舞を終えたヒナコさんも合流して八十稲羽の商店街をみんなでうろついた。食べ盛りの千枝ちゃんと完二君が惣菜大学の前でするアピールときたら…。
「あー、楽しかった!おにーさん達ごちそうさま!お節は肉が足りないのよね」
「千枝、季節感ないよ?」
「俺も愛家の中華の方が好きっすよ」
どうやら八十稲羽の面々にお節はまだ早い様だ。ま、子供の頃は辛い食卓には違いないか。…まだ商店街は活気がある。玩具屋や酒屋だってハレの日だからって賑わってるな。難しい話だな、ジュネス見たいな商業施設が出来た方が嬉しいって人間は少なくないだろう。仮に出店が取り止められたとてこの規模の商店街とこの八十稲羽の町が成長していくのは難しいだろう。
「ほら、おにーさん、考え事してないで‼︎」
「おっと、悪い悪い」
正月らしく凧揚げをしていながらつい考えにふけってしまったら千枝ちゃんに怒られた。いかん、此処にくるとどうにも考え事をしてしまう様だ。
「オイラこんな風に雪降らせて喜ばれるの初めてホー」
フロストに山に雪を降らせて遊んだりもした。ダイチさんなんかはちょっと不思議そうな反応してたけどついこの間ヘンな事あったばかりだからそう言うモノと思った様だ。しかし改めて悪魔の持つ力の恐ろしさを感じるよな。言っちゃなんだがゲームじゃ良く出る雑魚キャラのフロストでもこうして気象に影響を持つんだから。
「ヒホ?」
(何でもない、お疲れさん)
「こんなシゴトならいくらでもいいホー」
冬休みはこんな風に穏やかに過ぎた。…ライホー君は出直すとか言ってたからまた出てくるんだろうか。都市部で大豪雪なんてやられるとたまらんよなぁ。出来ればこっちでお願いしたいが仮にもフロスト族、気まぐれだろうからなぁ。
さて、東京に帰ったら義経詣でだな。おかげさまで助かったのは間違いないし。俺に渡した意図も気になる。…もし、仲魔になってくれる様なら心強いしクラマテングとの話にも繋がるだろうしどうにか協力を得たいものだがな。
新たな仲魔は誰?力不足を自覚してしまったウズメンがバトン(スキル)をいくつか託します
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クラマテングヨシツネ「師匠⁉︎」
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キクリヒメ…ウズメ「私の上位互換…」
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ネコマタ…ピクシー「被るじゃない‼︎」
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ヌエ…フロスト「食べられちゃうホ?」