4月9日
…今日は満月。月の魔力ってのはバカに出来ない。それも満月ともなれば、だ。気のせいだろうかやけに大きく見えるな。影時間とメメントスで迷ったんだが俺はメメントスに行く事にした。キタロー君が初めて訪れるにはピッタリの日で有る事には間違いないんだが、今日の段階で俺が居ても仕方ない。
「うーん、なんかザワザワしてるね」
「リョウの字、こんな事あったか?」
「メメントスに出てくるシャドウが軒並み強くなってるな。こんな事は初めてだ」
「…それに、何かしら…鎖の音?」
「鎖の…音?…⁉︎マズイ‼︎」
「どうしたのよ?」
「いいから‼︎アイツか!逃げるぞ‼︎」
「何だ何だ、説明してくれんだろうな?」
「もちろん。でも今は逃げるぞ。幸い満月のせいかシャドウも俺たちに然程興味ナシだ。…あと少し走るぞ」
「リョウスケ速いホー」
「…アンタも飛べば?」
「‼︎オイラすっかり忘れてたホー」
俺は急いですっかりメメントスの出入り口になっているベルベットルームへと戻ってきた。途中気の抜けそうなやり取りが聞こえたが気にしてない。マイペースなのは悪魔ならではだ。実際問題走るって言っても俺しか走らないしな。
「リョウの字、なんだってんだよ」
「そうよ、リョウスケちゃん説明してくれない?」
「何かメメントスで動きがございましたか?尋常ではない様子でしたが…」
「マーガレットか。ちょうどいい、説明させてもらうとするよ。アイツは『刈り取る者』。影時間の元凶が活発になりつつあるからこそ動き出したシャドウだ」
「えっと、影時間のヌシが活発なったらなんでメメントスにも出てくるの?」
「直接的な関係はないだろう。ただ、影時間が動き出した事によって『刈り取る者』ってシャドウが形作られたんだろうな。アレは人の無意識の中にある死って概念だけを抜き取って凝縮したシャドウ。影時間で象られたアイツは他の集合無意識でも同じく『刈り取る者』として存在できるようになったんだろう」
「なるほど、ニンゲンは命ある者ですから死からは逃れられません。そうなると集合無意識には必ず含まれる要素…その要素がシャドウとして現れたわけですか」
「ああ、そういう意味でいうなら関係は無くは無いのかな?」
「リョウの字よぉ、あんだけ慌てたって事は奴さん強えのかい?」
「ま、ニンゲンなら誰しもが持つ意識だからな。俺だって考えた事あるし。そんな意識からできたシャドウ…集合無意識による異界が有るからそこでうろついているけど現界する様なら悪魔にカテゴライズできるレベルだろう。それも強い方だな」
「なるほどねぇ。だからリョウスケ君も慌てた訳だったのね」
「まぁな。ぶっちゃけ倒したところでも根絶できる訳ないしなぁ。リスクだけデカくてリターンが分からんもの。これから忙しくなるって時に戦う相手じゃないだろ」
「リョウの字がそう判断したなら文句ないぜ。ま、剣戟を交えて見たいってのは覚えておいて欲しいけどよ」
「そうだなぁ、メメントスでも出てきたならタルタロスにも居るだろう。これから先の他の集合無意識であってもだ…。慌てる事はないぞヨシツネ」
「そいつはいい。じゃあ俺っちはそんな先の話であってもいの一番に選ばれる仲魔で有りたいね」
「メンツに悩める位仲魔が増えるなら歓迎だよ…」
仲魔達に大凡の説明を終えた所マーガレットから質問があった。ま、この『刈り取る者』についての考えはゲームとして知っていただけで無くサマナーとして動いていた時も考えていたしこうして影時間と共に現れたんだから大体合ってるだろう。新しいシャドウ…まさにイレギュラーシャドウだし明らかにネガティブサイドの象徴だから余計にベルベットルームの住人達は情報が無かった様だ。
「なるほど、『刈り取る者』ですか。この話はエリザベスには…?」
「いや、してない。鎖の音と姿の確認は今日が初めてだ。ま、そういう奴が居るって話だけでも客人に聞かせてやってくれ」
「かしこまりました。出現する原因はご存知でしょうか?」
「異界毎に違いはあるだろう。けど一番ダメなのは状態や情報が変わらない事だろうな。特に俺みたいなマガツヒ放出量の多いサマナーや保有量の多いペルソナ使い何かが1箇所から動きを見せないと呼び水になる可能性はある」
「なるほど…。注意としましては場所を変える事ですか?」
「切り替わりが有れば良いはずだ。タルタロスは上に登る塔、メメントスは終わりの見えない穴として違いはあれど細かく見れば階層に分かれている。階層を切り替えたと認識できれば『刈り取る者』が彷徨いだすまでの時間をリセットできるんだと思うぞ」
「それだけ分かっているなら然程脅威ではありませんか?」
「いや、これはあくまでも基本的な事。シャドウにしろ悪魔にしろこっちが想定する基本なんてあってない様なもんだ。イレギュラーはある。それこそ今日みたいな満月だったりフロア自体がザワついていればその限りじゃ無くすぐ現れるだろうよ」
「…今のリョウスケ様でも回避を選択されると言うので有れば客人には注意喚起しておく必要がありそうですね」
「ああ。備えも無いなら脇目も振らず逃げ一択だ。俺に言わせりゃ腕試しとかバカみたいな理由以外で相手をする必要も無いさ」
「ふふ、エリザベスをあそこまで追い詰めたお方とは思えないわね」
「それなりにチカラを持ったからこそ使い所を考えてるだけさ。さて、今日は帰るよ。メメントスで満月の影響が有ったんだ、外を大きく異界化している影時間でも何かあったかもしれんしな。だとするとそっちメインで動いてる子達からの連絡が有るかもしれんし」
「確かに…主人もエリザベスもどことなく忙しない様子」
「客人に何か有ったとしたら…?」
「有り得ますわね。私の方でも確認しておきます」
「俺もな。じゃあ」
ベルベットルームからの帰路、時刻は丁度深夜を回った所で俺の携帯電話が鳴り響く…。画面には桐条美鶴の名前。影時間が現実世界で時間が動いていない証を実感した所で電話に出る。
「もしもし?」
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