4月11日
美鶴ちゃんから改めて連絡が有った。キタロー君は数日中に目覚めるだろうとさ。ま、想像通りで何よりだよ。しかし転入して即入院ってのも目立つだろうに…。
しばらくは無理もしないだろうし本当にヤバそうならまた連絡があるだろう。
4月12日
久々にルブランへと訪れた。マスターからは大学入って落ち着いたんならまたバイトに来ないかとありがたい誘いが来ている。実際問題ゲームと違ってシャドウや悪魔が落とすお金を使って良いのかよく分からないんだよな。それなら金目の物の方が岩井さんとかフミさんに買い取ってもらう方がよっぽどマシなんだよな。変な話メガテン準拠なら悪魔がマッカを落とすのも分かる。だがなぁ…シャドウが落としたお金なんて証明は出来ないけど本物でもないだろうに。ロンダリングまでするのも馬鹿馬鹿しいしなぁ。
と言うわけで俺の金欠をカバーする為にバイトは必要だ。ヤタガラス見たいなバックも無いしなぁ。一応桐条グループなら任せられない事もないけどそれも幾月が居なくなってからの話。当面は苦しいままだなぁ…。大学入ったしキョウジおじさんの探偵業も手伝おうかな?
「おう、よく来たな」
「またお願いしますよ」
「なぁに、頼むのはこっちの方さ。オマエが居るとフタバも楽しそうだしな」
「おーっす、元気してたかー?アタシは元気だ!…インドアだけどな」
「ははっ、フタバちゃん、ちょっとおっきくなったんじゃないか?」
「むむ?そうなのか?お母さんもそうじろうも何も言わないから分からなかった」
「そういえば…いつの間にかカウンターから顔が見えるようになってるな。早えもんだ」
「そうじろう…じじ臭いぞ」
「じじっ⁉︎まだそんなトシじゃねぇよ‼︎」
「そうじろうが怒ったー、スパイ基地に撤退だ‼︎」
双葉ちゃんはマスターを揶揄うと二階へと駆け出した。若葉さんに構ってもらえない事を納得できる程賢いからこそ甘えられる所に甘えてるんだろうな。…久しぶりに会うたびに何とか若葉さんの不幸を阻止してやりたくなる。打算的な事を言えば俺の活動とこの世界に対して認知「訶」学の専門家を失う事なんてとんでもない。一歩間違えばすぐ世界崩壊、滅亡の危機が隣り合わせしながら学生生活をエンジョイしてる様な世界だからな。
「ったく、はしゃぎやがって。すまねぇが2階の掃除しといてくれ。物は溜めてねぇがホコリはな」
「わかりました。若葉さん、まだ忙しいんですか?」
「ん?あぁ、そうだな。フタバの奴も学校に馴染めなくなって来たからウチで預かる事も増えたんだよ。フタバなりにワカバに気を遣ってやがるんだ。ったく、賢い子だよホント」
「まぁ、頭の回転とかはぶっちぎりですもんねぇ」
「…しかも仲の良かった子が転校しちまったらしくてなぁ。余計に楽しくないんだとよ」
「そりゃあ…仕方ないとはいえ寂しいでしょうに」
「…ま、ホントなら
「…あのフタバちゃんの兄貴は大変そうですね」
「違ぇねぇな」
「まーた、そうじろうと喋ってるのかー‼︎スパイ来てくれー‼︎」
「はいはい、今行きますとも」
「ったく大声出して。客が居たらどうすんだ」
この日はフタバちゃんの相手やマスターの手伝いをしていたらあっという間に過ぎた。この日常が壊れること無くワカバさんが生きてりゃマスターとくっつくかもな。…それこそ丸喜先生の都合の良い世界みたいだが与えられたモノと模索し尽くして勝ち取ったモノとは違う。
そりゃあペルソナ使いは身近に不幸を感じながら理不尽な抑圧を受けた人がほとんどだ。その抑圧を跳ね除けるだけのココロの強さが具現化した様なモノだから当たり前っちゃあそうなんだが、その理不尽を少し位和らげてやれたら良いよな。
4月20日
この1週間と言うと特筆する事は無かったな。流石に大学を1年の春から疎かにする訳にもいかないから重きをおいていたらあっという間だった。美鶴ちゃんによるともうキタロー君は退院したらしい。そしてもう1人ペルソナ使いが見つかったそうだ。それも学園生に。そのもう1人ってのは「伊織順平」。彼は3人組の様に推薦でも無ければ「岳羽ゆかり」の様に縁も無い。更に言えば「天田乾」の様な被害者ですら無い。本当に一般人が急に素養を発現したのだと言う。
…幾月の事だからペルソナ因子や影時間への適性を加味した受験内容にしていた気がしてならない。今までは眠っていた因子がキタロー君と接触した事によって目覚めたのかもしれない。
そりゃいきなりペルソナ使える様になったら全能感も覚えるし、同じく経験の無いキタロー君がワイルドの素養を持ってりゃ劣等感も抱くわなぁ。…流石に失敗する前に教育するのも理不尽過ぎるな。明彦君も真次君もフォローに回れるんだし。
ま、それはそれとしてバカをやるならみんな纏めて教育だな。新兵の責任は先任にも連帯責任だ。新人が来たのならやらなきゃならない事を疎かにしたのは三人組も同じ。俺もせっかく影時間に入れる様になったし異界なら魔法で治療もしやすい。…人と戦う事もあるだろうし経験しておいて損はないだろ。
4月21日
メメントスに向かおうと思いベルベットルームへと訪れると珍しくイゴールから話をしないかと誘われた。丁度キタロー君が訪れ始めた頃だからか話をしたいのだろうか?
「ほほ、ようこそ我がベルベットルームへ。新たな客人と出会いは済まされましたかな?」
「一方的にならな。向こうは気を失っていたから」
「左様でしたか。私と従者共々話をしたのですが、彼の客人は本人のペルソナとはまた別のペルソナをお持ちである事はご存知ですな?」
「ああ。ひょんなことから彼の中に封印される事になった『死神』、その一部が本人のペルソナ覚醒と共に目覚め始めたんだろう?そしてその『死神』をまた眠りにつかせる為の1週間だった訳だ」
「ええ、その通りでございます。ご覧になっては無いようですが、そのペルソナは『タナトス』。まさに死神ですな」
「大元を考えたら可愛い方なのかもな」
「ふむ、まさしく影時間の元凶となったシャドウ…いえ、リョウスケ様の分類では悪魔に該当するのでしたな、その悪魔は『死』そのものなのでしょう」
「はた迷惑な話だよ。『死』に取り憑かれた老人とバカの尻拭いをしなきゃならないんだから。なぁ、イゴール。その尻拭いに一番最初に
キタロー君の境遇については知っていた部分もあったが改めて調べると何とも悲惨なモノだ。まだヤルダバオトやイザナミがテコ入れしてた方が恨む相手が居るだけマシとさえ思ってしまった。だって
「なるほど。…私や従者が出来るのは運命に抗う手助けでございます。それ以上は出来ません。しかし、運命を壊すと言うならそれは生きたニンゲンになら出来るのやもしれません」
「ああ、そのつもりだ。ちょっとくらい先達として良い所見せてやりたいしな」
「ええ、私どもはそれを特等席で観させていただきますとも。…ところでリョウスケ様、私、貴方にはワイルドの素養があると申しましたが…『アスラおう』以外何かございましたか?」
…言われるまで忘れてた。確かに言われてたな。けれどペルソナを新たに獲得した事もなければ『アスラおう』もどうにもペルソナっぽく無い。どうなってるんだ?
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