かつてないほどの苦戦を強いられている。エリザベスも強かったがどこか手加減を感じた。まさかエリザベスの優しさをこんな時に身をもって感じるとはな。
現状有効打もフロストによる付与を施したヨシツネの攻撃とウズメの魔法くらいか。それでもダメージと言える程でもない。ここに一石を投じるならば…俺に宿るアスラおうを使うしかないか。それでも本物のアスラおうを驚かせる位がせいぜいだろう。今こうして考える余裕がある程に膠着しているのも向こうさんが勝負を決めるつもりが無いからに過ぎない。
「カーッ‼︎なるほど、こんな感じか。何とか『チャージ』の感覚分かった。けど、これで八艘跳びかましたらもう俺っちもカンバンだぜ?」
「カンバン?ああ、ヨッシーも振り絞ってるもんね。アタシも回復してもらって何とかだもんね…」
「この後の事なんて考える余裕すら無い…ここまでこんな追い込まれた事が無かったのは良かったのかね?」
「どうかしら、ニンゲンの世界からすれば危機がなくって良かったんじゃ無い?」
「そうかもな。…悪いな、お膳立て頼む」
「かっ、任せろ。俺っちは負け戦ほど燃えるのよ」
「サマナーだもん、仲魔に任せなさい」
「ふふ、そろそろ私じゃ力不足かもしれないけれど、やれるところまで付き合うわよ」
「よかろう、ヌシらの覚悟しかと見届けよう。ワレを楽しませてみよ‼︎」
全くいい仲魔達だよ。使役関係とはいえ信頼を築けたのが良かったのだろう。そんな仲魔達がアスラおうに立ち向かって俺に必要な時間を稼いでくれている。
「俺の中で聞いてるんだろう、アスラおう。依代が不甲斐ない所為で目の前のアスラおうよりも力の無い分霊なのは申し訳なく思ってる。けど、窮鼠猫を噛むって言うだろ?少しでも良い、力を貸してくれ。そして、あのツエー奴をビックリさせてやろうじゃないのさ」
『…フン、ワレはワケミタマとしては極小も良いところよ。そのワレとヌシで像に宿っておったワケミタマに一泡なんぞ吹かせられるものか』
「おいおい、目の前のアスラおうと違って随分と卑屈じゃないか。俺の身体借りてたんなら少しくらい賃料として頼むぜ?」
『何を言うか。偶に使うておったではないか』
「そりゃお前さんを俺と誤認していたこれまでと俺とお前が協力して攻撃するんじゃ全然違うだろ?フロストとヨシツネの合体技見てたろ?どっちかだけじゃあそこまでアスラおうに肉薄なんて出来やしなかった。戦力として2人合わせたよりも効果的だったのは協力が上手くいったからさ」
『…ヌシは何をするつもりだ』
「とりあえずあんたが本当の意味で俺と協力、正しく憑依した『アスラおう』の力を把握しないと何とも言えない」
『…ヌシらは馬鹿げておる。そんな薄氷の可能性とすら言えない事象に期待をしてああして身を削っておるのか』
「俺から言うのもなんだが、信じてもらってるのさ。頼られてる。もちろん俺もアンタの事を信じてるぜ?」
『……フンッ、ワレの事はヴィローチャナと呼べ。今ヌシが相対しておるワレこそが真の王なる姿よ。このワレ程度で王を語るには他のアスラ王に申し訳がたたぬ』
「‼︎頼むぜヴィローチャナ。…有効打、ありそうか?」
まさか名を教えてくれるとは。なんだかんだで3年以上も一緒だった事に違いはなかったから気に入ってくれたのだろうか?まぁ、今は好感触を得られた事を喜ぼう。
『強さと言うならワレの時点でほぼ完成しておる。真なるワレに関しては弱点なぞ有ろうはずが無い。せいぜいこの場を作り上げ、顕現しておる時間くらいだろうて。…しかし、ヌシは時間切れまで指を咥えて耐えるだけのツマラン男では無いのだろう?』
「もちろん、今こうして時間を稼いでもらってるのも準備の為さ。…ヴィローチャナが協力してくれるなら可能性も高まる」
『…ヌシがワレを喚んで偶に使っておった万物屠り。真なるワレに有効打を入れたいなら万能属性しかあるまいよ。となるとワレが使えたのは幸いよの』
「やっぱりソレだよな。でも…
『そうよ、先の合体技を見て思うところがある。ワレもヌシと合わせて見たい』
「…憑依の度合いを深めるってコトか?」
『そうなる。今はほぼワレはヌシの傀儡よ。しかも傀儡が動く事に従順で無いときた。そこをワレがヌシの動きを手助けする様に力を貸す。さらにヌシの身体を使って万物屠りを放てばかつてのモノとは比べ物にならんだろうて』
「…なるほど、それなら多少は芽があるか。とはいえ、リスクはありそうだな」
『いくらヌシがサマナーとしてレベルが上がっておるとはいえまだまだワレほどの力や耐久を持っておる訳では無いからの。多少はガタが来るかもしれん』
「ま、だろうな。…五体満足で終わるよな?」
『それは大丈夫だろう。ま、ヘタをすると真なるワレに与えられたダメージより重いかもしれんが』
「マジか…、はぁやってやるしか無いか。アスラおうが言う俺の中に眠るペルソナを使う事考えたら尻込みしてる場合じゃないか。…よし、やってやるよ。そろそろ駆けつけないと時間稼いでくれた意味もなくなる」
『ふん、そう思うのならさっさと真なるワレを使いこなせるまでに成長するのだ』
「まったく、退屈しなさそうな相棒だよ」
俺たちがアスラおうの元へと向かうとタイミングを見計らっていたのだろう、アスラおうは俺の仲魔達をまとめて吹き飛ばして来た。
「すまねぇ、向こうの温情で何とか場が保ってただけだった。俺っちもまだまだ強くならねぇといけねぇな」
「ゴメンなさい、アタシももうダメ…」
「私も気合い入れてたけどホンモノの闘神には敵わなかったわ…」
「もう少しだけそうして見ててくれ。少なくとも一泡吹かせる所まではな。フロスト、お前も出て来い」
「ヒーホー、オイラも応援するホー」
「ほう、まだ楽しませてくれるのか?ヌシの仲魔達は惜しかったが、ヌシはどうであろう?」
「はっ、アスラおう、アンタも時間いっぱいだろう?俺の…俺たちのありったけを見せてやるよ。なぁ、ヴィローチャナ」
「ほう、ヌシの中におるワレは名を明かしたか。随分と気に入ったようではないか。見せてみよ!ワレ、アスラの王に‼︎」
ふふん、どうやら真っ正面から受け止めてくれるらしい。お言葉に甘えて全力でぶちかます。なるほど、この感覚が憑依を深くするって事か。すごい全能感だな。だが、身体のレベルを上げたからこそ目の前のアスラおうがとんでもないって余計に思い知らされた。
『ワレの動きをなぞれば良い』
身体の動かし方がなんとなく分かる。このまま言われた通りだけでなく、そうすればいいと直感を信じてマガツヒを乗せられるだけ乗せてやった。
『ワレの前に万物一切の命無し』
「アスラ憑依術万物屠り‼︎」
「ヌゥ⁉︎」
正真正銘のありったけ。身体も酷使し、さらにはマガツヒまで絞り切った。仲間達の声が遠くに聞こえる。視界もハッキリとしない…。そんな状態でもはっきりと認識出来たモノが目の前を舞っている。
「ふふ、私達姉妹以外に負ける事は許しませんよ?妹の雪辱を晴らす機会が無くなってしまうのは困りますから。今回は特に良きココロを見せてくださったのでサービスです。それではまた
「…ちゃん!」
「…の字‼︎」
『呼ばれておるぞ』
どうやら振り絞り過ぎたらしいがマーガレットが助けてくれたらしい。こりゃあ頭が上がらない。身体の方もひどい筋肉痛以外特に問題無いな。今すぐ動けなくも無い。
「聞こえてるよ。心配かけたな」
目を開けると異界は閉じていた。なんだろう、目の前の阿修羅像が心なしか満足気な表情に見えるが…気のせいだろうか?
「さて、どうなったんだ?」
気を失ってたみたいだし、現状の把握をしないといけない。
ボツセリフ
俺の身体をお前にに貸すぞ!…女の名前に間違えられて軍人殴りそう
初代メガテンのカオスヒーローっぽいですが合体まではしてませんので。そろそろ人間辞めそうな肉体レベルにはなりつつありますが
新たな仲魔は誰?力不足を自覚してしまったウズメンがバトン(スキル)をいくつか託します
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クラマテングヨシツネ「師匠⁉︎」
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キクリヒメ…ウズメ「私の上位互換…」
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ネコマタ…ピクシー「被るじゃない‼︎」
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ヌエ…フロスト「食べられちゃうホ?」