「エリザベスの事を気にしてたら疲れるぞ?ま、今はウチのフロストを愛でてるから気にしないでいいさ」
「は、はい。…でもあのフロスト?って悪魔、いえ、仲魔どこかで見た事あるような?」
「まぁ愛くるしい見た目してるからな。大方どこかのデザイナーの前に姿を現した時にインスピレーションを与えたんだろうさ」
「なるほど、そういう事もあるんですね」
「そりゃな、今よりまだ世界が神秘を信じていた時代が有ったのさ。とはいえ、フロストは雪の妖精が具現化したもの、自然が持つ厳しさを忘れちゃいけないからな」
「そうなんですね。他の仲魔はどんな名前なんですか?」
「エリザベスと喋ってる正に妖精って姿をしてるのがピクシー。その隣で舞う様に佇んでいるのがアメノウズメ。そして、こっちの鎧武者がヨシツネだ」
「ピクシー、アメノウズメ、ヨシツネ…すごい、僕でも名前を知ってる。というかヨシツネって?」
「ヨシツネは源平合戦の英雄源義経が現代に語り継がれるまでに英霊としての格を得た存在…かな?」
「はっは、俺っちはヨシツネさ。コンゴトモヨロシク!」
ヨシツネは愛想良くマコト君に挨拶をするが、あまりのネームバリューのせいか少し緊張してる様に見える。
「は、はい。よろしくお願いします」
「おいおい、俺っち達は悪魔だけど取って食うわけじゃねぇんだから力抜きな?」
「ヨシツネはこの時代における知名度を認識してほしいね。日本人なら誰でも名前知ってるレベルなんだからそうなるのも無理はないって」
「そんなもんかねぇ?我が事はよく分からんのよ」
「ま、ウズメもそうだけど神本人って訳じゃない。コイツら以外にも同じ名前姿の悪魔が存在する事もあるんだが…不思議だろう?」
「確かに。ピクシーやジャックフロストはともかくアメノウズメなんかは固有名詞ですもんね。祀られている所から居なくなっちゃったんじゃないかって思ったんですよ」
ま、同じ名前の悪魔がいっぱい出てくるって不思議だよな。俺なりの解釈でしか無いけど解釈できる人間が俺以外ほとんどいなくなってるからなぁ…。
「神話の登場人物や英雄、神様仏様…どんなカテゴリーであれヒトが想像で作り上げた存在ってのは色んな側面を持ってるのさ。そのうちの一つ一つがワケミタマとして現界する…。そんなワケミタマの一つを仲魔にしてるって訳だ」
「へぇー、じゃあ神社やお寺から居なくなった訳じゃないんですね」
「そういう事」
「どうせ殆どのニンゲンに俺たちゃ見えやしねーけどよ」
「加えてヨシツネが言った通り、今の世の中、一般人が目にすることなんてほぼ有り得ない。それこそ異界化した空間でしか出て来れる環境に無いのさ」
「…」
「さて、仲魔はこれで以上だ。何か質問でも?」
「どうやって仲魔になってもらったんですか?」
「一般的な方法は悪魔との交渉の末だ。悪魔が要求する供物を捧げる事で仲魔になってもらう…これがそうだな。だが、この方法には重大な欠点がある。分かるか?」
「えっと…交渉のテーブルに着いてもらえない?」
「なかなか分かってるな。根本的に話ができる悪魔としか成立しないのさ。この間のレギオンなんかあの日でも理性的な方だったんだぞ?」
「え⁉︎同じ単語の連続位しか発してませんでしたよ?」
「普段の連中なんて単語すら話せないんだから。あの日は満月だったろ?月の魔力が豊富な日にはそんな事もあるのさ」
「そうなんですね。…僕たちでも交渉って可能なんでしょうか?」
「可能かどうかって話なら可能だ。これに関しては断定してもいい。が、その為の道具が何もかも足りない。俺が使ってるやつも今んとこ有るだけだから供出する気も無いしな」
「あん?俺っち達悪魔と契約希望か?やめとけやめとけ。リョウの字よぉ、少なくとも最低条件が抜けてるじゃねーか」
「順番に説明するんだよ。ま、その交渉のテーブルに着くかどうかってのは…結局のところパワープレイなのさ。要するに力ずくさ」
「そう、リョウの字くれーのウデがなきゃ取って食われてポイも有るんだぜ?」
「…それは怖いですね」
「俺っち達リョウの字の仲魔だけ見てりゃそう思えねーかも知れんが、基本的に野良の悪魔なんて居たら真っ先にリョウの字の討伐対象よ。ヒトを食ったりしてチカラ付けたらめんどくせーからな。お前さんらペルソナ使い…悪魔から見りゃご馳走だから気をつけろよ?」
「え?そうなんですか?」
いきなり切り込みやがって、順番に喋ってる途中だったろうに。ヨシツネを責める様な視線を向けてもなしのつぶて、これ以上は無駄か。
「…まぁ、ペルソナの力ってのは精神力に依存してる。精神力の高いニンゲンってのは生体マグネタイト…俺はマガツヒって呼んでるヤツをたっぷり持ってるニンゲンなのさ。そしてそのマガツヒってのは…」
「悪魔にとって大事なご飯…そりゃ僕たちがご馳走なわけですね」
「そういう事。そうならないでくれよ?俺も出来るだけ沸いて出た悪魔を潰しちゃ居るんだけどな。ま、影時間だけならこれから先はそうそう無いだろう」
「どうしてですか?」
「そりゃ影時間は主人が居るからな。それも強大な。そいつが目覚め始めた今、他所からちょっかいかけられる様な悪魔も減るさ。そういう意味ではそこまで心配しなくていい」
「…ちょっとホッとしました。僕たちだけじゃあのレギオンでも大変そうですし」
「ああ、アイツらか。俺たちはあっさり倒しに行ったけど理由が有ってな。速攻を極めないと強烈な呪殺魔法を使ってくるからなのさ。あと見境なく暴れ回るのもめんどくさいし」
「え…じゃあ、僕たちだけだったら?」
「…分からん。運が良けりゃ怪我人程度で済んだかもしれんが、ひょっとしたら再起不能、下手すりゃあ死人の可能性だってあるんだ」
「…」
そう、レギオンとか外道にカテゴライズされる連中は『ムド』を遠慮なく使ってくる。しかも悪魔の呪詛だ、抵抗するなら対策は必須だろう。もしそれがなかったら…考えたく無いね。
「ま、分かったろう?リスクが高すぎるって事を。基本的にエサと見て襲ってくるやつを腕っぷしで返り討ちに出来て初めて交渉が始められるのさ。強くはなれるがそんな奴ら相手してまで得られる成長が必要なほど差し迫っているかい?」
「いや、まだ…」
「だろう?まだ焦る時間じゃ無いさ。昼にも似たようなことは言ったんだが、ペルソナ使いにとって大事なのはココロの力を鍛える事。特に君はワイルドの力を持ってる。今は色んな人との出会いとコミュニケーションを大事にすると良い。他人を知る事は自分の世界を広げる事になるから」
「まだよく分からないですけど、そうなんですね。…リョウスケさんとの話はいつも不思議ですね」
「ははっ。まぁ、違う
「失礼ですね、我が客人はリョウスケ様ほど精神がニブくなく繊細、なのですから」
「はいはい、じゃあな。…
「?はい、ありがとうございました」
つい喋りすぎてしまうな。
「過保護な先達ですね」
「うるさいぞ」
…エリザベスにも言われてしまったな。
新たな仲魔は誰?力不足を自覚してしまったウズメンがバトン(スキル)をいくつか託します
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クラマテングヨシツネ「師匠⁉︎」
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キクリヒメ…ウズメ「私の上位互換…」
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ネコマタ…ピクシー「被るじゃない‼︎」
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ヌエ…フロスト「食べられちゃうホ?」