6月7日
不思議なもんだな、こうして閉じていく異界を内側から見るのは。あれだけ群がってきたシャドウもあっという間にどこかに行ってしまった。静かなもんだ…。
「ピクシーとヨシツネは何処かしらね?」
「タルタロス内にいるとは思うんだがな…。しかし、閉じた異界ってのは更にも増してあらゆる気配がしないな」
「そうね…、黄泉比良坂とはまた違うけれどやっぱり静かね」
「…オイラこんな空気耐えられないホー。陽気な方が楽しいホー」
「これだけ静かだと動くモノの気配、
シャドウすら隠れなきゃならない理由はそこか?目立つと狩られる…、だとするとピクシー達との合流を急ぐべきだな。
「…アイツらとの繋がりは上だな。急ぐぞ!」
もし予想が当たっていたら厄介だな。あり得るな、現世との繋がりが薄い時間帯の分強いシャドウや悪魔が出てくるのかもしれん。
フロアを駆け上がっていくと剣戟の音と雷が落ちたような音が聞こえてきた。このフロアにいる様だ。しかも何かと戦ってる。やはり予想が当たっていたか。
「ちっ、ちったあホネのある奴らじゃねーか」
「むー、数は少ないケド…!」
「待たせたな!っとコイツは天使か…」
「リョウの字!」
「リョウスケちゃん!」
「フジョウナルモノニスクイォォォォ‼︎」
天使系悪魔との対峙は初めてだな。コイツは、アークエンジェルか。メシア教勢力の存在は確認できてないしはぐれか?あー、学園のホールは教会系だったからソッチか?…流石に聖遺物で実験してたから寄ってきたとかじゃないだろうな?上級天使なんてまだ勝てるか分からんぞ…。
「助かるぜ、コイツら中々丈夫でよ。ピの字のジオ系はいい感じなんだが相互に回復しやがってさ…」
「なるほど。たしかにタフだな。一撃も重いし…何より神聖魔法が厄介だ」
「リョウの字は気をつけろよ?アイツらの文字通り昇天させられちまうからよ」
俺とヨシツネは軽口を叩きながらアークエンジェルの群に切り込む。元々のタフさに加えて回復能力があるから一気に決めないとズルズル長引くな。ハマを喰らうなんて体験なんかは少なくとも俺自身で試したくないし、いつ他の横槍が来るか分からん。
「ヴィローチャナ‼︎」
『おうおう、ワレを使う程でも無かろうて』
「慣らし運転さ。お前も天使は嫌いだろう?」
『カカッ、確かに。哀れな人形どもよ、ワレが浄土送りしてやろうぞ』
「さぁ、行くぞ!」
『おうともよ…、冥界波‼︎』
「ヒュー!すげぇな旦那。リョウの字、まだ行けそうか?」
「おう、合わせるぞ。ウズメ、タルカジャ頼む」
「任せて」
「いよっし、憂さ晴らしといくぜぇ‼︎」
「行くぞヨシツネ‼︎葛葉流刀術…十文字斬り‼︎」
「シトナルワレラガフジョウナルモノタチニィィィィ‼︎」
畳み掛けた事でタフなアークエンジェル達を倒し切ることが出来た。流石に悪魔、コイツらでもこんなに手こずるか。こんな奴らですら序の口だろうな…。
「よし、場所を変えるぞ。騒いだ分また別の奴らがやってきそうだ」
「そりゃいけねぇや」
「そうね、大人しくしましょ!」
「ああ、そこでこれまでの話を聞かせてくれ」
俺たちはアークエンジェルと戦った場所から急いで離れた。やはりエントランスに近づくほど強い気配は薄いな。とはいえいつ湧いて出てくるか分からないからみんな気を抜いてない。
まだ閉じてから1時間も経ってないが結構な気配がゴロゴロしてる。こりゃ上から降りてきてやがるか?閉じた分セキュリティに穴が出来てるのかもしれん。だから悪魔も出てきてるのかもな。
「で、何か見つかったか?」
「俺っちはピの字が動きやすい様掻き回してただけなんだが…、どうにも俺っち以外に向かってる連中はいたかもしれねぇな」
「アタシも飛び回ったけど確かに探し回ってるようなシャドウ居たわ。ひょっとして…」
「迷い込んでる子が居るな。…一般人なら良かったんだが、目の前の暴れてるヨシツネより優先されてるって事からやっぱりペルソナ使い候補だろうな」
「候補なの?どうしてリョウスケちゃん」
「まず覚醒者なら完全に逃げに徹するのが不自然だ。閉じる前ですら戦闘の気配が無かったんだ、戦う術が無いからこそだろう」
「なるほど。確かにそうかもなぁ…、って最悪じゃねぇか⁉︎」
「ああ、シャドウも悪魔も性質として残虐な面がある。逃げ惑うエサなんて食いつくに決まってるさ」
「どうするのよ⁉︎」
「落ち着けピクシー。今この閉じた時間で捜索を派手にやった所で俺たちが悪魔引き連れていっちゃあ意味が無いからな。しばらくは悪魔やシャドウの頭数を減らそう」
「後ろからバッサリ行くホー‼︎」
「ジャの字よぉ、バッサリやるのは俺っちじゃねーか」
「オイラが付与してやるホー」
「ったく調子がいいねぇ」
「魔法よりも忍び寄ってバッサリの方が良いだろ。不意打ちで先手を取った上で畳み掛ける。なぁにいつもの事じゃないか」
「…そうね」
「だな」
「ヨシツネ、お前に目もくれなかったシャドウはどっちに行ったか分かるか?」
「…上だな。そうだ、上だ‼︎」
「なる程、実際保護、合流は現実世界が影時間に入ってからの方が良いんだが…見つけられても居ない今皮算用だな」
「そうね、でも私たちの安全が先よ?メディア」
「ありがとうウズメ。よし、バレない様に上へと進もうか」
心理的なモノだろう、パニックになった人間は奥へ奥へと逃げてしまうらしい。今回の遭難者も御多分に洩れずその通りらしい。しかも虫の知らせで安全なルートが見えると来たら…、最悪もう一泊だな。ま、明けるまでの時間次第かもしれんが。
…閉じてから1時間か。ここで焦っちゃならん、落ち着かないと助けられるものもそうはいかなくなる。さぁ、慎重に進んでいくか。
新たな仲魔は誰?力不足を自覚してしまったウズメンがバトン(スキル)をいくつか託します
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