閉じた影時間は正に混沌だった。逃げ惑う弱いシャドウに我が物顔の強いシャドウ。そしてそいつらを気まぐれに倒しては食う悪魔が闊歩する。そんな有様だ。
「全然進まないな…」
「仕方ねぇよ。流石に俺っち達でも倒してもキリねぇもんな」
「そうよね…でも、普段と違う道がある様な気がするのよ。ねぇ、ヨッシーも違和感無い?」
「あん?細けー事わかんねぇんだよなぁ。階層自体が不定形だからよく分からんぜ」
「こう言う時に役に立たないんだから…。とにかく、リョウスケちゃん!アタシの事に賭けてみれる?」
「マジか?って事は閉じた時に行ける所が怪しいよな?よし、とりあえず今日…って言えるのか分からんが、今日のところは時間をしっかり計っておこう。とりあえず2時間経った位だな」
「そうね、今のところシャドウがざわついてる様子も無いし、行方不明者も差し迫って危ない訳じゃ無さそうだわ」
「よし、もう少し隠密行動だな」
「…そろそろリョウスケちゃんが忍者みたいになってきたわね」
「…リョウの字がいりゃあ俺っちもスケの兄貴にやられやしなかったんだろなー」
「流石に源平合戦の勝者には恐れ多すぎるぜ…。さ、行くか」
さらに調査を続けること2時間、あれだけいたシャドウ達は波が引く様に戻っていった。そろそろ再び影時間に突入かな?
ゴゴゴゴ…
外からすごい音が聞こえてきた。タルタロスが再び顔を覗かせたんだろう。それと同時に影時間が始まった訳なんだが…今のうちに休息を取ろう。エントランスにベルベットルームへの扉があるはずなんだが…シャドウの変化を見逃したく無い。仕方ないがタルタロス内で安全地帯を探すしか無いな。
「ふぃー、流石に疲れたわね」
「まぁ、ここまで探索続けた事なんて滅多に無いからな。幸い相手がそこまで強く無いって事だな」
「そうだな。リョウの字は準備がいいんだが、道具で回復すんのとはまたちげーもんな」
「そうね、私も気を張りっぱなしなのは久しぶりよ」
「オイラも疲れたホー」
現実世界における時間で言ってももう5時間位は潜ってるからな。そりゃ腹も減るよ。
「こんな事もあろうかとってな。俺の軽食とお前ら向けのオヤツだ。ま、軽めなのは勘弁してくれ。合流出来た時の事を考えたら必要だから全部出すわけにはいかんのさ。ま、明日の満月乗り越えたらパーっと食おう」
「いいわねぇ‼︎」
「そろそろ俺っちも酒なんてモノを一つ」
「あら、私もお酒は欲しいわね。日本神とは切り離せないわよ?」
「アタシはとびっきり甘いモノ‼︎」
「オイラはキンキンに冷たいヤツがいいホー!」
「分かった分かった、それも万事済んでからだ。ちょっと息を抜いたらまた一息入れなきゃならんな」
持ち込みのジュースと軽食でリフレッシュ。長期戦を想定しておいて良かった。流石にここからもう5時間はやってやれない事は無くても辛い事は辛いからな。
「そろそろ動き出そうか。切り替えはしないとな」
「だな。しっかし中々ホネのある異界だぜ…広くって仕方ねぇな」
「そうよねぇ…、マコトちゃんとか来れる時間帯のシャドウはそんなに強く無いケド…」
「広いわよねぇ…。メメントスもそうだけど、ニンゲンの深層心理って凄いのね」
「まぁ、ここに関して言えば『死』って概念はニンゲンと切り離せないからだろうな。結局どこまで掘り下げたとしても付き纏う。そして、最上部、この異界の中心に『死』を司るニュクスが居る。そういう事だろう」
「…やっぱりニンゲンって難しいわね」
「さ、そろそろ行くぞ。とりあえず調べるべきは閉じた後のもう少し上の方だな」
「ええ、そうね。今度は固まって動くのかしら?」
「ああ。ここまで見つからない位なら散開して動いた方が余計に息を潜めそうだからな」
リフレッシュした俺たちは再び訪れる影時間の終わりを待つ。その間にも活動部の連中が入ってくる事は無かった。という事は現実世界での捜索にリソースを割いたんだろう。
「さぁ、気合入れなきゃな。違和感と気配にもっと気を配るぞ」
「任せて!とりあえず違和感のあった所まで行きましょ‼︎」
ピクシーが覚えた違和感は僅かなモノだった様で比べて初めて違和感だと思った様だ。場所は行き止まり近くのフロアだった。何の手がかりも見つかってないから藁にもすがるそんな気持ちでフロアに踏み込んだその時だった。
キャー‼︎
…遠くから叫び声が聞こえてきた。アタリだがついでにピンチだ。
「急ぐぞ!」
「おうよ!」
さぁて何に追いかけられてるのやら…
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