葛葉家に生まれ落ちてたんだが…   作:ぎっしり腰

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大和君が勝手に動き出しかけたので初投稿です。


お酒はほどほどにしよう

 

 

7月1日

 

顔合わせをした日から中々時間が取れない日が続いてしまった。あっという間に満月を1週間後に控えている。しかも残念な事にその日は東京から離れなければならない事になってしまった。まぁ、今のマコト君達なら大丈夫だろう。

 

 

「ふぅ、しっかし暑いな。こう蒸すと本格的な夏は想像するだけでウンザリする」

 

 

つい独り言を言ってしまう位に茹だる様な暑さにやられている。そう、俺はいま京都に来ている。しかも丸っと来週までの予定だ。大学で伝承なんかを自分の足で探す体験みたいな課外学習らしい。…例年ツチノコとかカッパの目撃談やはてはUFOについてレポートが有ったらしいがそのレベルで自由らしい。

 

 

「やあ、久しぶりだね。…なんだか雰囲気変わったかな?」

 

「お久しぶりです、雅さん。今回はよろしくお願いします」

 

 

そうとなれば自前のツテを使う方が良いに決まってる。しかも相手は旧家も旧家。葛葉家並みに連綿と続く峰津院家だ。

 

「面白い大学だねぇ。そうやってかき集めるのかい?」

 

「今年はたまたま京都だっただけみたいですよ。去年は奈良だったり、その前は四国や東北、なんて年もあったらしいですから」

 

「そりゃまた。…キミのとこの先生、事情を知ってる人なのかい?」

 

「いえ、むしろオカルト否定派として始めた研究らしいんですけどどうにも否定しにくいデータが定期的に拾えてしまうのが悔しいらしくて」

 

「あっはっは、さもありなん。こうしてサマナーのキミまで居るんだ、カガクで解明できない事の一つや二つや三つ位出てくるだろうに」

 

「ま、流石に直接的な話は持っていかないですよ?多くの人の目に晒す訳には行きませんからね。せいぜい先祖が活躍した事件のわらべ唄位ですとも」

 

「それが良い、下手に刺激してワンサカ出てこられても峰津院としても困るもの。サマナーのマトモな戦力もリョウスケ君位だろう?」

 

「メリットだけを見せつけて迫って取り返しつかない顛末…なんてあり得る話ですからね。」

 

「過ぎたる力は恐ろしいね…。君に言うことじゃないが気をつけて。何にも出来ない大人が言うことじゃないか…」

 

「いえ、雅さんには助けてもらってます。俺の言う事を信じてくれたのもそうですし、峰津院家が持ってる書物をこうして読ませてもらえるんですから」

 

「お役目を忘れたとはいえ同じ目的の為に身体を張っていたんだから。今はこうしたカタチでしか支援できないのが心苦しい位だよ」

 

 

ありがたい話だ。現在で「人間の技」を紡いでいるのは過去お役目を務めていた家が残している書物と…縁の深い仲魔が覚えている程度。葛葉は古武術として落とし込んだ部分があるから助かる方だ。サマナーが廃れたからこそ他家に公開してくれているのもあるんだろう。

 

 

やはり峰津院は陰陽道系のデビルサマナーだったようだ。葛葉が神道系だから全然違うな。まず契約と召喚の流れが違う。

 

葛葉流の契約と言えば交渉が基本だ。まぁ相手も悪魔だから荒っぽい事も含むんだが。そして契約を結んだワケミタマをマガツヒで満たした封魔管に居を移してもらい、戦闘となれば解き放ち共闘する。前提として裏切られても痛い目に合わせるだけの実力が無いと伴わないスタイルなんだ。中には先祖のお陰で友好関係にある種族なんかはオマケしてくれてる位か。

 

 

対して峰津院の陰陽道による悪魔の使役は式神としての召喚らしい。ベタな悪魔ならイヌガミ、マカミ、シキオウジ。そしてオニにフウキ、スイキ、キンキ…とっておきのオンギョウキ。コイツらが峰津院というか陰陽道系サマナーが好んで使う悪魔みたいだ。どちらかと言えば同じ名前で複数同時に存在しても問題の無い様な悪魔が多いようだな。

 

 

「なるほど。いや、面白いな」

 

「むー、リョウスケちゃんが浮気の算段してるわよ!」

 

「あら、イケナイ人ね」

 

「おいおい、参考になるかどうか分からないから学んでるだけだっての」

 

「カッカッ、リョウの字、それこそ浮気を詰められてるみてーだぞ?」

 

「そうよそうよ!お詫びに何か持ってこーい!」

 

「全く。ほら、酒買っておいたから呑んでな。もう少し読ませてくれ」

 

「仕方ないわねぇ…。あっ、コレ美味しそう!」

 

「…ちょろいぞピの字」

 

「うるさいわねぇ。せっかく現界出来るんだから楽しんだって良いでしょ!」

 

「…いやぁ、どうにも京都の街ってのは落ち着かなくてよぉ」

 

たしかにヨシツネはコッチに来てからというもの落ち着かない様子だった。歴史を考えるのなら当然か。鞍馬の山にはおっかない天狗の師匠に、魑魅魍魎蔓延る古都京都で権力争いに負けた()()こそがヨシツネを神格化させたようなモノだしな。…まさしく判官贔屓だな。

 

「それに…この気配…」

 

「なんだなんだ、酒の香りと上質なマガツヒに釣られてくりゃあ懐かしい顔じゃねぇか。ウシワカァ、俺はお前さんをあの程度の軍勢に遅れを取る様な鍛え方してねぇぞ?」

 

「ゲッ⁉︎お、お師匠⁉︎」

 

「あー、どうも。クラマテングさん、お久しぶりです」

 

「クラマ君じゃない。呑みましょう?ほらほら、ヨシツネ君と積もる話もあるでしょう?」

 

「なんだよ、コイツらもう出来上がってんのか?ったく羨ましいぜ。…俺ぁもう飲まねぇって決めたんだ。ウシワカと酌み交わすってのは愉しそうだが、まだな」

 

「あー、クラマったらまーだ引きずってるの?まぁでもあの時はヤタガラスの連中に追いかけ回されてライドウちゃんに誅滅されかけたんだっけ?」

 

「思い出させるな‼︎後にも先にもあんなおっかない思いしたのはあの時こっきりなんだよ…」

 

「お、お師匠何したんですか…」

 

「クラマの奴酔っ払って台風持ってきたのよ。呑みすぎて風が足りないとか言い出して。当然そんな事すれば目をつけられるわよね?」

 

「…あの時ゃ俺もどうかしてたんだよ」

 

「そりゃあダメでしょうよ…」

 

 

 

どうやら酒の失敗は悪魔もするらしい。…規模が全然違う様だけどな。

新たな仲魔は誰?力不足を自覚してしまったウズメンがバトン(スキル)をいくつか託します

  • クラマテングヨシツネ「師匠⁉︎」
  • キクリヒメ…ウズメ「私の上位互換…」
  • ネコマタ…ピクシー「被るじゃない‼︎」
  • ヌエ…フロスト「食べられちゃうホ?」
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