結局この間と同じ様にコーヒーを準備する。あの時は山だったが今は街。趣きがあってアウトドアでのコーヒーもいいモノだが本当なら正当な味を楽しんで欲しかっただけにちょうどよかったな。
…様子を伺い続けている雅さんに声をかけよう。世話になってるしあの人ならクラマテングも無碍にはしないだろう。
「へぇ、コイツが峰津院の党首…ねぇ?」
「な、何か…?」
「…いや、何でもねぇよ」
「クラマテングは仲魔として闘った経験も豊富ですからね。東の葛葉、西の峰津院と言われていた事を思えば信じられないのでしょう」
「そうは言われても峰津院の技を捨てた選択をしたのはご先祖様だしなぁ…」
「いや、オレたちの働きでこの国に平和が訪れた結果なんだろ?それをとやかく言うつもりはねぇよ」
どうやら照れているらしい。クラマテングはその名の通りテングの中でも鞍馬山で修行していた修験者がベースの悪魔…妖怪だからだろうか随分と人間くさい所があるな。
「まぁ、今この
「…クラマテングさん。ありがとう、ご先祖様達もそう言ってくれて喜んでると思うよ」
「しかし、そうなるとお前さんの周りは随分キナくさいんだろうなぁ」
「そりゃそうだぜお師匠。ま、俺っちは楽しませてもらってるけどよ」
「…ウシワカ、ちったぁ落ち着くかと思ったが変んねぇなおメェはよ」
「すごい、鞍馬山の天狗と牛若丸…。お二方のやりとりがこの目で見れるなんて…‼︎」
雅さんは感動している様だ。まぁ、京都の人間じゃなくても感動するシチュエーションに違いないか。
「で、葛葉の。お前さんは何が目的なんだ?」
「…流石にここから先は僕は聞かない様にするよ。リョウスケ君、この場を設けてくれてありがとう」
「此方こそお世話になりっぱなしで…。気を遣ってもらって申し訳ありません」
「…お師匠、流石に前のめりすぎるぜ?」
「オレもウシワカに嗜められる様じゃオシマイかぁ?オレも錆びてたか」
名残惜しそうなまま雅さんは部屋を出て行った。
気を取り直して話を進める。どうにも仲魔になってくれそうな雰囲気って訳じゃあ無さそうなんだが…、となると何の様だろうか。
「…お前さんも初めて見た時よりは多少はやる様になったようじゃねぇか。ま、まだオレを連れてくには足りねぇけどな」
「多少強くなった自信は有りましたけど…だからこそクラマさんの強さが分かりますね。確かに勝てないでしょう。けど、オレは
「カカッ、それがわかる様なら問題ねぇな。よし、お前さんはライドウの子供みたいなもんだろ?鍛えてやらぁ。…ウシワカァ‼︎オメェも一緒だ‼︎」
「俺っち関係ねぇでしょうよ!」
「ああん?オメェ、師匠に成長した姿の一つや二つ見せてみる気概ねぇのか?」
「いや…その…俺っちはさぁ…」
「京の山奥にすら届いて来たんだぜ、一ノ谷、壇ノ浦…奥州は負け戦だったがよ。ま、それを含めて『ヨシツネ』っつー英雄が出来上がったんだ。見せてみながれ」
「おいおい、ここで始めるつもりか?流石に今は平成の世の中なんだ。むやみやたらに街中で騒ぎを起こすわけにもいかないんだよ。ヤタガラスだってもう無いんだ、それに他所の家でなんてもっての外だ」
「しゃあねぇ、『トラポート』だ。ウシワカなら懐かしいあの古寺へと行くぞ」
「へっ⁉︎」
クラマテングが唱えた魔法はトラポート。訪れた事のある所へとワープしてしまう魔法だ。ナントカの翼を放り投げて飛び去るようなタイプと違ってそれこそ空間を自分の場所と行きたい場所の空間を異次元空間を経由して移動するタイプの魔法らしい。
「ま、この寺には思い入れがあるからな。出口を作るだけの情報とマガツヒが工面出来るってもんよ」
「ちょ、ちょっと待っててくれ。流石に家主に一言声を掛けてから行かせてくれ。それに装備だって外してるんだからさ」
「仕方ねぇ、準備ができたら声をかけてくんな」
慌てて雅さんにお礼を告げると彼には魔法の効果が伝わりにくかった様でハッキリとしない様子だったが無理もないか。ここからいきなり山に連れていかれるとか言われても信じ難いだろう。とはいえ荷物を纏めて再びクラマテングに声を掛けるとしよう。
「もういいのか?じゃあ行くとするか。『トラポート』」
ゲームじゃ無いと不便な魔法だけど現実で無制限に使えるなんて甘い事は無かったか。クラマテングもほぼ拠点に帰る為だけに使う様だしな。異界の中でなら使いようがあるかも知れんが現世で使う為に異界をいちいち広げなきゃならない魔法は使えないな。京都の街で短距離だからこそ影響も少なそうだが濫用する訳には行かないな。…実質ターミナルシステムの代用だとするなら要らないリスクを背負い込みたくはない。
「さぁ、始めるとするかい?」
「ああ、是非とも挑ませてもらう。来い!」
俺は仲魔を召喚しクラマテングに挑む。
「ケケッ、コッパァ!来やがれ!」
クラマテングは眷属とでも言うべきコッパテングを呼びつけるとその号令に馳せ参じた悪魔が3体。これで4対4…。数的優位は無くなったか。
「カッ、動揺しねぇのは褒めてやるが新米にしちゃあ可愛げがねぇ…なぁ‼︎」
クラマテングは1対1をお望みのようだ。どうやらヨシツネと迷ったようだが俺の前にきた。
クラマテングは錫杖を取り出し振り下ろしてくる。技の鋭さは流石の一言に尽きる。ヨシツネと討ち合いをしていない頃なら受けられなかっただろうな。
まだ様子見程度の打ち合いだ。とはいえ、甘い所を見せる訳には行かないな。
「こちらから行かせてもらおうか」
ヴィローチャナにマガツヒを注ぐ感覚…。それだけでも俺の身体能力は向上する。短銃による牽制をしつつ俺から踏み込む‼︎
「ほぉ、少しはやるじゃねぇの」
「当たり前だ、俺っちとどれだけやってると思いやがる」
「…⁉︎驚いたぜ、もうコッパ共を片づけやがったのか‼︎」
「ふふーんだ。アタシ達だってやるのよ」
「…こりゃあオレ切り替えねぇといけねぇか」
クラマテングが
「…空気が変わったな。ビリビリと刺す様にすら感じるマガツヒだ」
『おい、ありゃさっきまでとは別モンだぞ‼︎』
「お師匠め、もうそのモードかよ⁉︎」
どうやら本気モードって所か。戦闘担当の仲魔も警戒している。顔見知りのヨシツネすら冷や汗を浮かべていそうな様子だ。
「おいおい、落ち着け。俺とヨシツネが前、ピクシーは後。ウズメはラクカジャを使った後にフロストと交代だ!」
「カカッ、そう、それでこそ召喚師、デビルサマナーよ‼︎いっとうハラが座ってなきゃ務まらねぇのよ‼︎」
仲魔達は指示通りに動く。俺とヨシツネ2人がかりで斬りかかっても受けられる。俺はともかくヨシツネは太刀筋を完全に把握されている。…でもそれは
「ピクシー、雷撃で隙を作れ!」
「まっかせなさい、ジオンガ!」
「ぐぅっ…」
「助かるぜピの字。さて、お師匠。俺っちも成長したところ見せねぇとな。八艘跳び‼︎」
「マズ…、ぐわぁぁぁぁ!」
弱点を突く事で出来た隙に大技を叩き込む。ま、基本だわな。
「やるじゃねえか…、侮ってたのはオレだったか?だが…もう終わ…っ⁉︎」
「いいや、まだ終わらせない」
せっかくの攻勢、畳み掛けるのも基本だろう?
『行くぜ‼︎』
「ヴィローチャナ‼︎」
『万物屠り‼︎』
「ぐおおおお…」
「えげつねぇなリョウの字…」
「挑む身分だ、与えられたチャンスを逃す訳にはいかないだろ?」
「効いたぜぇ…、なるほどオマエは確かにサマナーだ。その容赦のなさ、ライドウの奴にそっくりじゃねぇか」
少しは認められたかな?とはいえまだやる気なら更に後先考えないで絞り出す必要がありそうだな。
「まぁ、認めてやってもいいんだが…、オレももう少し楽しんだって良いだろう?」
…やっぱりまだ終わりとはいかないか。もう一踏ん張りしますかね。
ソウルハッカーズ2やってるんですがリョウスケ君ほぼリンゴちゃん式サマナーで草。まぁAionが生まれる世界とソフィアが生まれる世界、メガテンの世界はどうとでもなる可能性があるからセーフでしょう。
新たな仲魔は誰?力不足を自覚してしまったウズメンがバトン(スキル)をいくつか託します
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クラマテングヨシツネ「師匠⁉︎」
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キクリヒメ…ウズメ「私の上位互換…」
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ネコマタ…ピクシー「被るじゃない‼︎」
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ヌエ…フロスト「食べられちゃうホ?」