「大分ウチの仕事にも慣れた頃だな。そろそろコーヒーの淹れ方から覚えてみるか?」
「いいんですか?」
「おう、お前さん随分こなれてて助かってるんだよ。来週あたりどうだ?」
「あー、来週はちょっとお世話になってる人と約束しててまして…」
「そうか、なら仕方ないわな。ま、まだ高校生なんだよな。苦学生ってわけでも無いんだし休みの日にバイトばっかってのもツマランわな」
「ありがとうございますマスター」
「そうは言ってもお前がいなけりゃ屋根裏部屋とか物置にもならなかったんだ」
「…いやぁ、あの惨状を見たらほっとけなかったんですもの」
「店の事はやれるんだがどうにもその辺は無精でなぁ。まぁ、また忘れた頃に頼むかも知れんがよろしくな」
「はは、お安い御用ですよ」
「んじゃ今日もお疲れさん、どうする、食って帰るか?」
「あ、いただきます!」
マーガレットさんたちをエスコートする日が来週に迫った中今日はルブランのバイトだった。総二郎さん(マスターって呼べって言われてる)に誘われてから早一月ほど。天城屋旅館の板さんたちに仕込まれたこともあって随分と店に慣れるのは早かったし、その様子を見てコーヒーの事から教えてくれるらしい。どうやらルブランではコーヒーをマスターしてからカレーを教えてくれるらしい。ってそりゃそうか、喫茶店だしな。とはいえ残念ながら予定が被ったからコレからすぐってわけにはいかないけれど新しい事にトライするってのは楽しみだな。
さてと、今日がお祭りの日になるんだが少し早くなるがもう待ち合わせの場所に行っておこう。待つのも甲斐性ってね。ま、あちらさんはこっちの世界の時間の概念なんて関係無さそうなんだけどな。
「申し訳ありません、待たせてしまいましたか?」
「いや、大丈夫だラヴェンツァ。そんな事は無いさ」
「おや?こういう時男性ならば「今来たところさ」と返すのが定番と私の世界では言われておりましたよ?」
「おや、やり直しますか?」
「いや、大丈夫だから。メアリの言ってる事は気にしなくて大丈夫だよマーガレットさん。それにメアリ、残念ながらそのネタはもう古いんだよ…」
「そうでございましたか、それは危うくリョウスケ様に恥をかかせてしまうところでした」
「あ、恥をかくのは俺なんだ…。まぁ、こんなところでコントやってても仕方ないし縁日の会場へ行こうじゃないか。3人とも食べたいものがあったら遠慮なく言ってくれよ」
「あ、あの。私はリンゴ飴と綿飴なるものに興味がございます…」
「ラヴェンツァは甘味ですか。でしたら、私はタコ焼きですわね。私たちの世界でいうアレを食すことができる機会なんて早々にありませんもの」
「従者の身でありながら僭越ではございますが、お二方は現世における祭りの作法というものがまだお分かりでは無い様子。まずは射的とくじ引きのラインナップを確認せねばなりません」
「メアリは随分と玄人志向だな…。まぁまずは腹ごしらえからってのが相場だと俺は思ってるんでな。とりあえずみんなで摘めそうなタコ焼き、焼きそばあたりから攻めようか」
屋台を色々と物色しているうちに分かったのだが、どうやら3人の姿はぼんやりとしか認識されていないらしく人目を引くこともなければ独り言を言ってる様にも見られていない。随分と気を遣ってくれているようだ。そろそろ腰を落ち着けて両手いっぱいの食べ物たちに取り掛かろうかというころラヴェンツァが何やら落ち着かない様子だったので声をかけてみた。
「ラヴェンツァたのしくなかったか?」
「いえ、もちろん楽しいのですが、何か物足りないような…」
「あ、あー、なるほど、なるほど。そういう事か。そうだな、みんな一緒の方が良いよな。もう少し買い込んでウチの屋上で食べようか。確か花火もあるはずだし遠くはなるけど見晴らしはいいし空いてるからな。そこならエリザベス達も呼んだらいいさ」
「…!!ふふっ、ありがとうございます。よろしいでしょうかお姉様?」
「仕方ありませんね、少し買い過ぎてしまいましたから私たちだけでは持て余してしまうかもしれませんし…ここはエリザベスとテオも協力させましょう」
「なんだかんだいっても姉妹なんだ、やっぱり一緒がいいんだろうな。メアリ、悪いけど構わないかい?」
「私は従者でございます、構いません。どうしてもと仰るならまたこのようなお出掛けの機会を設けられないこともありませんが」
「はは、今度こっちの連中と何か催すなら時期的にもクリスマスかな?その時は準備手伝ってくれないかい?」
「なぜ私が会ったこともない聖人の生誕を祝わなければならないのか甚だ疑問ではございますが、その様な催しがあるのならばお手伝いさせていただくのもやぶさかではありません」
「その時は頼むよ。よし、もう足りないものはないかな?じゃあ帰ろうか。ま、ここまで来たんだフルーツ飴くらいつまみ食いしてもバチは当たらんさ、どうぞラヴェンツァ。…コレは失礼、お二人ももちろんどうぞ」
「ふふ、そこまで仰るならいただきます。…なるほど、このような味だったのですね、知識でしか知らないものを体験するのは良いものですね」
急遽予定を変更し、事務所ビルまで戻ることにした。個人的にリンゴ飴とかは食べながら帰るものって認識があるからそれを3人に勧めてみた。黙々と3人が飴を食べてる絵面ってのは中々シュールな物があるけど俺以外にははっきり見えてないらしいしいいだろう。丁度食べ終わった頃ビルの近くまで来た辺りでラヴェンツァはエリザベスに知らせに行くと先に行ってしまった。
「じゃあ俺たちはそこで飲み物買ってから屋上行こうか。お祭りの食べ物美味しいんだけど喉乾くからなぁ」
「そういえばリョウスケ様はカレーの修行中と伺いましたが進捗はいかがでしょうか?」
「…どこでみたんだ?まだまだその段階じゃないんだ。その前段階の修行ってとこだな。ま、そう遠くないうちにマスターしてご馳走するさ」
「それは良い事を聞きました」
「ま、今はコレ持って上行こうじゃないの」
さっきはああ言ったけど花火なんて本当にあるのかわからんまま適当に理由つけたんだよなぁ…なんとかなってくれれば良いけど。
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