葛葉家に生まれ落ちてたんだが…   作:ぎっしり腰

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ギリギリまで時間かかったのは初投稿です


やっぱり基礎動作を疎かにしてはいけない

「ふむ、リョウスケ刀術の方はどうじゃ?」

 

「へっ?」

 

「何を呆けておる。いくつか型を習ったんじゃろう?」

 

「は、はい。と言ってもまだ素振りしかしてませんよ?」

 

「一度見せてみい。と言っても剣道部に借りてこいとは言いにくいの。明日いつも使うてる木刀を持ってくるんじゃ」

 

「わかりました」

 

 

 

 

言われた通り翌日俺は木刀を持って通学した。芝原やダイチさんはともかくやり取りを知らない人からは剣道部に移籍したのかとしきりに聞かれてしまった。なんでだ?

 

 

 

「それが訓練用か…ふむ、中々良く出来とるの。重さや間合いもそっくりに作ってある。しかしいきなりこれから始めるのはお主でなければ酷であったろうに…」

 

「そうなんですか?」

 

「考えてもみい、竹刀も木刀も本物の刀に比べて扱いやすく出来ておる。それに比べてコレは重心までそっくりに作ってある故、扱い易いとは言い難いんじゃ」

 

「そう、ですね。まだまだ振るだけでもブレます」

 

「しかも葛葉流の刀術の型をやってるのじゃろ?噂でしか聞いたことがないんじゃが、葛葉流は対人を想定していないのではないかとな。そんな流派の型であるならば一筋縄ではいかんことは容易に想像できるわい」

 

「では一通り振ってみます」

 

 

ライゴウ爺さんに教わった通りの型を振ってみる。どうしても短銃術と組み合わせて使う型が出てきてしまい、バランスを崩してしまったがどうだろう?

 

 

「ふむ、思ってた以上に特殊な型じゃのぉ。確かに対人を想定しておらぬと言われるだけはある…」

 

「なあなぁ、リョウスケ。何やんのかなぁって思ったら向こうで習ってたヤツ古牧先生に見せてんのか?」

 

「そうですよ、昨日から言われてたんですよ」

 

「でもさー、確かに剣道部の連中とは全然違うんだな」

 

「まぁそれらしいのもあるんですけどね?ベースが古流な分急所狙いが露骨だったりするんですよ」

 

「なんだよそれ、おっかねぇなぁ…」

 

「そりゃ日本刀でやってた流派ってなるとそうでしょ」

 

「何やえらい事やってんなぁ、始めたてかいな?」

 

「あ、ヒナコさん」

 

「お疲れ様です」

 

「葛葉のお爺ちゃんから教えてもろてる型か?ウチには剣舞あらへんけどキレのいい型は見れるわぁ」

 

「そんな見せるほどのもんでもないですよ?爺さんに見せてもらった時のイメージはまだまだ遠いんですから」

 

「そうなんかぁ、中々目標高いんやねぇ」

 

「いや、そう焦らんでもよい。中々筋がええじゃないか。まだ振り始めて一月ほどと思えば十分じゃよ」

 

「そうなんですか。他人と比べる事も中々出来てないんで自信無かったんですよ」

 

「じゃろうなぁ。古今あらゆる武術が存在しておるがマイナーなモノはトコトンマイナーじゃし、中には門外不出として秘匿されとるモノすらあるからの。そういう儂の古牧流も本質で言えば人に伝えることはほぼ行っておらんからの」

 

「ですよねぇ。古武術って結構危険な技多いですもん。向こうでの稽古も打ち込みはほとんど出来ませんでしたからね」

 

「それも仕方あるまい、マイナー武術の宿命じゃよ…」

 

「うわぁ、おい、リョウスケ、先生が黄昏てるぞ」

 

「あかんで、あの背中。煤けてるやん」

 

「あー、で、先生、俺の素振りで何か気をつけないといけない事ってありますか?」

 

「んー?あぁ、そうじゃったの。型について言える事は儂には無い。葛葉流に詳しくない故に特殊な流派に口出しする事が悪影響をもたらす可能性すらあるからの。儂から言える事はいわゆる基本の太刀筋をなぞる回数を増やす事じゃの。基本動作を行うことによって刀を扱う事に必要な筋肉を鍛えることとなるからの」

 

「なるほど。使う筋肉は使って鍛えろって事ですね。ありがとうございます」

 

「すまんの、結局基本をやれとしか言えんかったわい。まぁ少しくらい自信が付いたら打ち込みの受け役くらいはしてやれるわい」

 

「その時はぜひお願いします」

 

「そう遠くない話になる事を期待しておるぞ」

 

「良かったじゃん。カッコよかったぜ」

 

「でもさぁ、リョウスケって色々やってるからか組み手やるとすっげぇ疲れるんだよなぁ」

 

「あー、せやなぁ。お爺ちゃんの教えってメンタル鍛えた分そっちから揺さぶってくる細かい技多いよなぁ」

 

「確かに…。そのくせフェイントとか全然釣られてくれないからなぁ…。先輩として自信無くしちゃうよ」

 

「いやぁ、俺だって中学まで親父にしごかれてましたけどここまで出来る同年代なんて居ませんでしたよ?それがここ一年でここまできてるってジェラシーっすよ」

 

「なんやの、芝原のジェラシーって気色悪いで」

 

「ほんとだよ」

 

「ひでー先輩たちだ…」

 

「ふぅ、楽しそうっすねぇあんた達は」

 

「おうお疲れさん、そろそろ上がろうぜ」

 

「邪魔したなぁ、片付け終わったらウチもそろそろ帰るわ。お疲れさん」

 

 

 

むぅ、慣れて無いからまたマメが潰れた。やっと重さに慣れてきたんだけどなぁ。おっと、そろそろバレンタインか。別に彼女居るわけでも無いし同級生なんて女子はおろか友人すらほとんどいないからなぁ…。…その分みんなが羨んでるヒナコさんと仲が良いって事で俺の精神衛生を保とう。まぁまだ彼女とか言ってる場合でも無いんだよなぁ。うーん、一応お菓子でも作ってベルベットルームへ遊びに行こうかな?

新たな仲魔は誰?力不足を自覚してしまったウズメンがバトン(スキル)をいくつか託します

  • クラマテングヨシツネ「師匠⁉︎」
  • キクリヒメ…ウズメ「私の上位互換…」
  • ネコマタ…ピクシー「被るじゃない‼︎」
  • ヌエ…フロスト「食べられちゃうホ?」

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