荒療治も必要かな?
「…ダイチさん、ウチって部活アピールしなくていいんすか?」
「ええ?まぁ興味あるやつなら来るんじゃないの?」
「うーん、このノーテンキな部長め。一応ある程度部員いなきゃ部費とか問題ならないんですか?」
「ウチはエンジョイ系部活だしなぁ。そもそも高校の大会が少ないから仕方ないんだけどさ」
「まぁアピールが仲の良さとか楽しい合宿とか雰囲気を謳い出すとどう見てもヤベー企業のアピールにしか見えませんもんね…」
「あはは、そうだよなぁ。だから待つくらいでいいんじゃない?それにさ、お前も合気道以外の武術練習増えたよなぁ」
「…アレは俺って言うより古牧先生からのオファーなんですけどね…」
「ほら、話を聞きに来た新入生達にはちゃんと説明するからいいだろぉ?」
「うーん、なんかパフォーマンスでもやります?」
「あんまり向いてなくない?芝原ぶん投げるくらいしかないような…。そんなのやってたら怖がられちゃうよ?」
「…ですかね」
俺とダイチさんがうだうだとしているのは新入生を部活に取り込む為の説明会だ。知らない間に副部長と化した俺は部長のダイチさんとここにいるわけだ。アピールポイントを考えるほどブラック企業みたいな謳い文句しか出てこなくて軽い絶望感を覚えてるのが現状だな。
「あ、いた。アンタ、ヒナが居てもこんな姿見せてるの?」
「あ、アイリちゃん。ヒナコさんは黙ってても華やぐチカラがあったからなぁ。…まぁそれに釣られた連中はことごとく辞めてったんだけどさ」
「んー?この子誰?ヒナコさんとリョウスケの知り合い?」
「ほら、ヒナコさんの知り合いが一年生で来るって言ってたでしょ。伴アイリちゃんですよ」
「ほら、シャキッとしなさいよ!」
「えっとアイリちゃんは入ってくれるの?」
「…アタシは手を怪我するとダメだから」
「まぁピアノの為に東京来てるんだもんね、ヒナコさんからも聴いてるから大丈夫だよ」
「まぁ、気にしないで部員じゃなくても遊びに来てくれたら良いからさ」
「ほら、部長のお墨付きも貰えたから遊びに来なよ。知ってる先輩が居ると色々と便利だぞ。こう見えて試験成績はいいんだからな」
「うっ、試験…。分かった、ありがと…」
「まぁ、コイツと違って三年生は声かけにくいかもしんないけど気にしないでいいからねー」
「んじゃ、アイリちゃんまたねー」
「あの子がヒナコさんの知り合いかー。何となく仲良くなれそうな気するなぁ」
「でしょ?まぁ良くも悪くも年の差を埋めてくる子ですよ。っと、そこのガタイのいい一年生、どうだい、合気道で身体の使い方学んで見ないかい?」
「あ?俺っすか?」
「うわぁ、ホントすごいね、いいじゃん、ウチ楽しいよ?」
「俺は入るつもりねぇんで、アキお前は?」
「俺はボクシング部に決めているぞシンジ」
「振られちゃったなぁリョウスケ、あ、あの新入生代表やってたお嬢さんはどうかなぁ。ヒナコさんがやってたんだし入ってくんないかな?」
「…あの子アレでフェンシング有名なんですよ?そりゃあフェンシング部入るに決まってんでしょ」
「そっかぁ…じゃあしょうがないなぁ」
「あのよ、先輩、一年の俺が言うこっちゃねぇけどさ、こんな人が部長の席でいいのかよ?」
「分からんぞシンジ、やはり武道の部活なのだから1番強いのが理由かも知れん」
「いやいや君たち部員として部長への失礼な言動見過ごせないなぁ」
「えぇ、俺じゃなくてリョウスケが噛みつくの?」
「いやぁ、パフォーマンス的に丁度いいかなぁって。まぁ、高校生の部活に強くなれるってだけでどれだけ人集められるか知らないですけどね」
「おいおい、先輩、勝手な事言ってくれてんじゃねーか」
「お、釣れた」
「おい、シンジ!」
「アキは黙ってろよ、美鶴にも言うんじゃねーぞ」
「始めるなら武道場じゃないと。投げられたら危険だよ?」
「ああん⁉︎」
「(なんかリョウスケがここまで煽んの珍しいね、なんかあんの?)」
「(ま、持て余してそうだったなって言うのと、ちょっと思うところ有りましてね)ほら、道場は向こうだよ、心配しなくてもいいさ、場所は俺たちのホームかもしれないけど顧問の先生は武に関しては極めてニュートラルだ。それに気になるならお嬢様も招待すれば良いさ」
「…⁉︎シンジ、まだ始めるなよ、美鶴を呼んでくる」
「えぇ!すっごい大事にしたのねリョウスケ…。ちなみに自信はあんの?あの一年生おっかなくね?」
「一応言っときますけど俺らって良くも悪くも内輪でしか組み手やってないでしょ?教えてもらってる爺さん方がバケモンなのをいい加減自覚してほしいってのもあるんですよね…。まぁ、焚きつけたの俺なんで今回は俺がやりますけど」
「ふぅん?」
「荒垣!一体何があったんだ、明彦の説明では要領を得んぞ!」
「お、オーディエンスも来たねぇ。なぁに俺が招待したのさ、色々と持て余してそうだったからね」
「なんじゃい、お前さんにしては随分乱暴じゃの。まぁ、言わんとしとる事はわかるがの」
「まぁ体験会だと思ってくれればいいよ…。さぁ!」
「舐めてんじゃねーぞ!!」
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