葛葉家に生まれ落ちてたんだが…   作:ぎっしり腰

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真っ青な部屋に招かれたので初投稿です。


肩幅と長鼻

「話…ですか?」

 

『そう、話してみたまえ。君は随分と数奇な体験をしているんだろう?いまこのベルベットルームには私しか居ない。部屋の主人であるイゴールや他の住人にも伝わらないから安心したまえ。もちろん無理に話せとは言わないがね。』

 

いきなり核心を突いてくるんだな…でも、そうだな。誰にも話さないでいられるとは思ってもいなかったんだ。そうか、誰かに聞いて欲しかったから無意識のうちに将門塚に行こうとしたのかもしれない。現実世界の住人より話やすいのは間違いないもんな。わざわざセッティングまでしてもらえたんだ、こうなったら話してみるか。

 

 

「…何から言えばいいか分からないですけど、今日?起きた時自分の中にいままで無かったはずの記憶があったんです。そして記憶の持ち主は『葛葉涼介君…だね。』…はい。俺、葛葉リョウスケと同じ名前でした。…」

 

そして俺はフィレモンに自分の中で起きたことやこの状況についての自分なりの考察を語った。彼は難しい顔をしているものの時折頷いている。…とはいえここからが本題みたいなもんだからな…

 

 

「そして、その記憶の中にこの世界で起きた出来事を物語として体験していた記憶もあるんです。涼介はパラレルワールドについての研究をしていました。そして世界は認知できていないだけで無数に枝分かれしているとも…。ニュースから俺の耳に飛び込んできたのは物語の中でよく聞いた名前だったんですよ。涼介の世界ではいなかったはずの人物たちの名前です。」

 

『なるほど、その物語を知っていたのならこの世界では力に目覚める事ができるかもしれない、このベルベットルームがあるかもしれない。そう思ったわけだね。』

 

「と言ってもこの状況がどういった理由で成り立っているのかはわかりません。けれども俺は、今この瞬間を生きている俺は俺以外の生き方はできそうにないんです。」

 

 

『……なるほど、目覚めた力が随分と大きいと思ったんだ。思ってた以上に状況を把握できているんだね。…君を招いたのは君がどこへ向かうのか聞いてみたかったんだよ。少し前にこの世界で暗躍した這い寄る混沌(ニャルラトホテプ)の名を持つ彼のように君という存在がこの世界には刺激が強すぎるのではないか知りたかったんだ。この世界を外から見た事がある存在と話ができたのはよかったよ。…それに君の事もよく分かった。君は君なんだね。それ以上でもそれ以下でもなく君は君として精一杯生きようと決意している。その思いこそが君が人間である証だよ。それがわかったからもう僕は安心できる。』

 

 

「ははは、安心していただけてよかった。……最初から気にはなっていたんですけど、このベルベットルームは列車の中なんですね。」

 

『この部屋は君の状況を表しているからね。君は旅の途中だ。そして列車の旅は終点とそこまでに停車駅もある。…これから君が立ち向かわなければならない困難が一つではないかもしれないことの表れなのかもしれないと思うとあまり風情にひたってもいられないね。さて、随分話し込んでしまったよ。せっかくだから彼のことを紹介しておこう。イゴール、今日は部屋を貸してくれてありがとう。』

 

「ほほほ、ただいま紹介に預かりましたワタクシイゴールと申すものです。遅ればせながらようこそ我がベルベットルームへ。客人のお陰で久々にフィレモン様と同席させていただく事ができました。フィレモン様、またいつでもこの部屋をお使いください。」

 

 

『…ありがとうイゴール。けれどもうこの部屋は君のものだ。彼があまりにも数奇な体験をしていたものだからね。これは最初で最後さ。それにもう君も従者を持つ身なんだ、あんまり畏まらないでくれたまえ。ほら彼女たちの事も紹介してくれないか?』

 

 

「……!失礼いたしました。お前たち、このお方はフィレモン様。かつてワタクシの主人であらせられた方であり、ベルベットルームの主人の前任者でございます。フィレモン様そしてお客人、彼女たちは長姉マーガレット、次女エリザベス、次弟テオドア、そして末妹のラヴェンツァでございます。ワタクシの補佐として頼りになる者達でございます。」

 

 

『君も立派に主人をやっているようで安心したよ。名残惜しいが私はそろそろお暇するよ。過去の存在があまり我が物顔をするのは気持ちの良いものではないからね。イゴール今日はありがとう、君にこの部屋を任せてよかった。それではリョウスケ君さようなら、また会う日まで達者でいてくれたまえ。』

 

 

そう言い残すとフィレモンはいつのまにか合ったドアから出て行ってしまった。

 

「…えっと、俺はどうすれば良いのかな?」

 

「ほほほ、こうしてこの部屋に訪れなさったのも何かの縁でございます。これはこのベルベットルームの鍵、お客人はこの部屋に訪れる必要があったということ。それもワタクシの従者が集うことは滅多にございません。お客人がよろしければは是非この者たちの話し相手になってはいただけませんか?この者たちにとってだけでなくお客人にとっても良き糧となることでございましょう。こちらがこのベルベットルームの鍵でございます。訪れたいと願った時この鍵が部屋への入り口へと導いてくれるでしょう。」

 

 

「これがベルベットルームの鍵、ありがとうイゴールさん。」

 

「ほほほ、ワタクシのことはイゴールで構いません。ついでと言っては何でございますがお客人のこれからの旅路を占って見せましょう。」

 

 

…すごい一日だ、今日という日は忘れられそうにないな。

 

 

 




…イゴールさんとフィレモンさんのやり取りは想像です。キャラあってなくても許してクレメンス…

新たな仲魔は誰?力不足を自覚してしまったウズメンがバトン(スキル)をいくつか託します

  • クラマテングヨシツネ「師匠⁉︎」
  • キクリヒメ…ウズメ「私の上位互換…」
  • ネコマタ…ピクシー「被るじゃない‼︎」
  • ヌエ…フロスト「食べられちゃうホ?」
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