テニプリkids!〜王子様25years after〜 作:ハネ太郎
河村寿司で行われる、元青学メンバーとその家族のプチ同窓会。
盛り上がるにつれ、出席者たちの位置も変化してきた。最初は各家族ごとだったのが、だんだん大人同士と子供同士に分けられてきた。
「レオちゃんたちはアフリカ人とハーフっていうけど、具体的にどこの国の人?」
先の試合で出来た新たなる友とさらなる友好を深めんと、リョーヘイが質問する。
「お前の母ちゃん
「それ以上イクナイ!」
すかさずギリギリのラインのネタをぶちこむ桜夜を止めるリョーヘイ。双子の力関係が良くわかる。
「エチオピアです」
菊丸リブラが回答する。
「ああ、あのまんじゅうで有名な・・・」
「???」
桜夜のジョークは通じなかった。リアクションに困る姉妹。エチオピア饅頭というのが、かつて本当にあったのだが、当然それは日本でしか通用しないネタである。
菊丸とのケンカからようやく落ち着きを取り戻したリョーマ、子供たちに質問。
「桜夜、リョーヘイ。忘れるところだった・・・お前ら、さっきの技は、どこで知った?」
「さっきのって?」
「リョーヘイが敵の球をつついて落とし、桜夜がそれを撃つ戦法だ。あれは父さんたちが学生時代に編み出した技で、お前ら含めて他人に教えた覚えがないんだが」
「ネットで」
「ネットで!?」
鞄からタブレットを取り出し、桜夜が答える。
「より正確には、動画サイトね。お父さんの名前で検索したら出ていたの、学生時代にお母さんと組んだミックスダブルス大会の映像。他にもお宝映像が山程!」
そう言うと桜夜は、動画サイトのアプリを開き「越前リョーマ お宝」で検索。多数ヒットした検索結果から選択したのは・・・。
タイトル【お宝映像 越前リョーマの学生時代 ミックスダブルス大会その1 一緒にダブルスしてる三つ編み眼鏡っ娘はのちの奥さんらしいよwww】
画面の中にいたのは、まごう事なく彼らの父、越前リョーマの少年時代の姿だった。そしてその傍らには母、竜崎桜乃の姿。
自分たちのよく知る頃の友人の、しかし自分たちが知らない姿。その光景に、かつての仲間たちも大いに沸いた。
「わー! おチビだったころのおチビだー!」
「なんだそりゃ・・・中二、中三だから先輩たちといたときより、少しばかり背が伸びてるでしょう流石に」
「桜乃ちゃんカワイイ、この頃からもう眼鏡掛けてるんだ〜!」
「学問に目覚めて秀才キャラにチェンジしたあとだから、その映像は三年生のときのか」
二年生の途中、夏頃に起きたある事件がきっかけで、彼女は医者を目指すことになったのだ。三つ編みに眼鏡がベストマッチだ。
「おお! これぞまさしく、さっき子供たちがやってた戦法だ! 桜乃ちゃんが必死に球に食らいついて! その後ろの越前が巧みに攻撃、まさしく夫婦の共同作業だ!」
「いやぁっ! 恥ずかしい、見ないでください〜!(涙)」
慌てて映像鑑賞会を全力で止めにかかる桜乃であった。
「え〜、ことほど左様に、末恐ろしいお子様たちであります(汗)」
父の映像から技を完コピしてしまった我が子ら。リョーマは頼もしくも恐ろしくも感じていた。
「おじさん達青学メンバーと、お母さんはいつも一緒だったんですよね?」
今度はリョーヘイが質問する。それに答える手塚。
「そうだ。伝統的に女子マネージャーを置く習慣がなかったから、あくまでサポーターという扱いだったがな。もうひとりの友人、小坂田朋香と共に、我々を応援してくれてたんだ。先生の孫娘だからといって、特別扱いはしなかったがね」
「もっとも二人とも、本命は越前リョーマだったがな」
続けて大石が証言する。
「・・・そしてお母さんは、テニス部のおふくろさん、もしくはマドンナとしてメンバーを支え、みんながお母さんのハートを射止めんと競い合った! ですよね」
「!?」
続く桜夜の一言が、場の空気を変えた。
「あ、あれ!?(汗)おかしいなぁ、てっきり私達、お母さんはモテモテだとばっかり・・・」
※以下の描写は回想ではなく、桜夜ならびにリョーヘイの妄想に基づくもの、なので実際の当人たちとは大きく異なる場合があります※
「皆さん、今日もお疲れ様でした〜」
「桜乃ちゃん、これからデートしない?」
「あっ、ずりーぞタカさん! 俺が先に狙ってたのに!」
「桃城、抜け駆けなしなのはおめーも一緒だろうが!」
「うるせぇマムシ!」
「え〜と・・・」
「あんな連中はほおっておけ。それより今後の部の方針について、意見が聞きたい」
「そう言って何処へ連れて行く気かな? 権力乱用はよくないよ」
「すみません皆さん! 今日は不二先輩との約束があるんです!」
「そんな〜」
と、そこへ桜乃の服の裾を掴む誰かが。
「・・・俺のことも忘れんなよ」
「リョーマくん・・・」
※妄想シーン終わり※
「・・・という風に、試合の外では愛をめぐるバトルが繰り広げられていたと・・・」
「だったら良かったんだけどね〜(苦笑)」
「違うの!?」
双子の見解を、母は笑って否定した。
「男世界に女がひとり・・・いや朋香さんも含めてふたりか。ともあれそんな状況で何も起きないハズがなく・・・」
「ごめんね〜、お母さん地味で根暗だからモテなかったのよ〜」
※あくまで本人の見解です※
「現実はなかなか、少女漫画や乙女ゲームのようにはいかないのよ」
「もちろん仲間ではあったけどね! 先生の孫娘とかいう以前に、苦楽を共にしてきた、大切な仲間だ!」
大石が力強く言い切る。
「そう、今だから言えるが・・・君たちのお母さんは魅力的な少女だったよ。我々のために献身的に尽くしてくれた。ただ問題は我々がな・・・。おじさんも人のことは言えないが、この連中、揃いも揃って色恋沙汰は二の次三の次なやつばかりでな・・・」
今度は手塚の証言だ。
「そうそう、オレらの世界でラブと言ったらフィフティーンラブでしたからね」
父のリョーマがダメ押しする。
「そんな・・・伝説の男たちがそんな愛のない世界にいたなんて・・・」
母のラブロマンス話を期待していた桜夜、がっくりと肩を落とす。
「っていうか、当時から桜乃ちゃんがリョーマのこと好きだったの、みんな知ってたもんね。知らぬは当人たちばかりなり」
「だったらもう少し、助け舟出す行動してくださいよ! な〜んかお邪魔虫なことしかしてなかったような・・・」
一同、大笑いである。
つづく
ようやくキッズも参戦だ、どこまで続くか同窓会! そんな中、現・女子テニス部の部長から当然の疑問が? 次回「まぼろしの女子部」お楽しみに!