テニプリkids!〜王子様25years after〜   作:ハネ太郎

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 時を越えて邂逅する、親子五人。

桜乃「ところで、さっきから気になっていたけど、その小さい子だれ?」
可南子「・・・りゅうざきかなこ、よんさいです」
リョーヘイ「僕たちの妹なんです」
リョーマ「・・・ってことは、俺たちの三人目の子か!」
桜乃「うは〜!(赤面)」

 可南子、リョーマ組とリョーヘイ組を交互に見回しキョロキョロ。
可南子「・・・にいちゃんたちが、もう一人いる」
桜夜「そりゃ同じ顔が並んでりゃ混乱するわな(笑)。可南子、そこの二人は子供のころのお父さんとお母さんだよ。タイムトラベルで会いに来たの」
リョーマ「そんなこと、小さい子に言って通じるかよ」
可南子「・・・わかった」
桜乃「一応、納得したみたいね」

 おもむろにリョーマに近づき、しげしげと見つめる可南子、続いて桜乃のもとへ。
リョーヘイ「可南子は人見知りだから、普段はこんなことしないんだけどな、やっぱり何か分かるんだ」
桜乃「かわいい〜♡ この子、髪色といい顔つきといい、お父さん(リョーマ)そっくり〜♡」
 未来の娘を抱っこする桜乃。
可南子「・・・お母さんと、おんなじ匂いがする」
 すっかり気を許し、胸に顔を埋める。
リョーマ「・・・お、俺にもちょっと・・・♡」
 小さい子の相手に慣れていないリョーマも、恐る恐る可南子の頭や背中を撫でてみる。
可南子「お父さんと、おんなじ手だ〜」
 場の空気が、すっかり和んだ。


第十四話「リョーヘイくんと翠子ちゃん」

 手塚翠子(みどりこ)。青春学園中等部女子テニス部の主将、三年生。父は25年前、同じく青学中等部の男子テニス部の主将を務めた、いわゆる「レジェンド世代」の一角、手塚国光。

 

 容姿端麗、頭脳明晰。性格は真面目で自他ともに厳しいが、同じような性格の父と比較して寛容さは大きい。小振りの長方形メガネの奥の眼光は鋭く、一部生徒たちからは恐れられているが、ふとした瞬間に見せる微笑みは女神級だと、性別関係なくファンも多い。

 

 

 

 ある日の下校時、越前リョーヘイは手塚翠子に声をかけられた。

「リョーヘイくん、今日は時間あるかしら?」

「え? あ、ハイ」

 入学式の日に会って以来、同じ「レジェンドの子」の仲間となった二人。リョーヘイ自身、彼女を「綺麗なお姉さん」だと認識していた。

 

「もし良ければ、これから私の家に遊びに来ませんか?」

「なんと! え、それって・・・もしかして! あ、いや、ぜひ行きます!」

 綺麗なお姉さんにこんな提案をされて、心が動かない思春期男子は・・・もしかしたらけっこういるかも知れないが、リョーヘイは動くタイプの人間だった。二つ返事で了解した。

「桜夜はいいんですか? ってどっちみちアイツさっき、友達と遊びに行っちゃったな」

「そう、それは残念です・・・」

 

 

 

 二人でバスに乗り、一路手塚翠子の家へ。

「しかし、大丈夫ですかね」

「何が?」

「父から聞いた話や、本で伝わっている話によると、翠子さんのお父さん、国光さんは、とてつもなく厳しい人だと・・・」

「ええ、厳しい方です」

「そんな人のところに、愛娘が男の友達連れてきたなんてことになったら・・・」

「別に知らない人じゃないですから(苦笑)。父の友人の息子さんなんですから、リョーヘイくんは。取り越し苦労ですよ」

 

 

 

 そうこうしている間に、翠子さんの家に到着。和風建築で平屋建て、母屋と離れがある豪邸だ。

 

「ふえ〜、テレビでしか見たことないや、こんな家」

 感嘆の声をあげつつ、リョーヘイはスマホで現在位置を確認。すると・・・。

 

「み、翠子さん、見てください! ほら、この地図!」

「え? あ、まあ!」

「バスに乗っている間も全然気づかなかったけど、ここ、僕のウチの近所なんです!」

 手塚邸のあるエリアと越前・竜崎邸のあるエリアは、小高い丘に遮られて互いに認識出来ない位置にある。リョーヘイの開いた地図アプリは、自宅と現在位置を表示するタイプだったので、ようやく気付けたのだ。

「その気になれば、ここから歩いて帰れますね。・・・あ、そうだ! ちょっとあそこの高いところから見てみましょう!」

 

 リョーヘイの提案で、近くの坂を登った先の公園の展望台から町を見下ろす。

「あ、あれです! あのテニスコートがある四角い家がそうです!」

「ああ、あれが・・・。あの家については私もずっと昔から気になっていたんですよ。屋上にテニスコートを作るなんて、よっぽどテニス好きなお金持ちのお屋敷なんだろうなって。越前リョーマさんが建てたのなら、納得です。長年の謎が解けました」

 そう言って、優しく微笑む翠子。どきりとするリョーヘイ。

「噂は本当だった。これが女神級の微笑み・・・」

 

 

 

 ふたたび、手塚邸の玄関先へ帰ってきた二人。

「すいません、へんな寄り道させちゃって」

「いえ、いいんです。これなら次は、私がリョーヘイくんの家にお邪魔させてもらえますね。父にもこの事を伝えておかないと・・・」

 今度は翠子さんがうちに来るのか、今から部屋を片付ける算段をしなくては。リョーヘイは思案した。

 

 改めて、リョーヘイを自宅に招き入れる翠子。

「お邪魔します・・・」

 外観のみならす内装も家具調度品も、和のもので統一されている。いや、これはむしろ・・・。

「・・・大正浪漫?」

「父の、趣味です・・・」

 

 

 

「リョーヘイくんか! よく来てくれた、歓迎しよう!」

 執筆の場である離れの窓から、翠子の父の手塚国光が顔を出す。その口調は、心なしか喜びに溢れている。

「めっちゃ歓迎ムードだ・・・」

「ね、だから言いましたでしょ」

 

 渡り廊下を急ぎ足で通ってきた手塚、和室に通されたリョーヘイにお茶とお菓子を振る舞う。

「そんな、お父様が自らなさるなんて。秋田さんや柘植さんにやってもらえば宜しいのでは?」

「いや、それには及ばん。親友の息子が訪ねてきたというのに、暢気にふんぞり返っているわけにはいかんよ」

 ちなみに秋田さんというのはこの家の女中さんで、柘植さんは手塚国光の住み込みの弟子、いわば書生さんである。

 

「ごめんなさいリョーヘイくん。私が個人的にお話したかっただけなのに、お父様が・・・」

「いえ、しょうがないですよ。うちの父とは部活の先輩後輩という以上の、強い絆で結ばれていたそうですから」

 自分たちの父とその仲間たち、レジェンド世代。その逸話を聞けば聞くほど、彼らの実力、そして友情の強さに感服する。リョーヘイも翠子も、それに憧れつつも思いはひとつだった、

「自分たちも、そうなれるだろうか・・・」

 

 

 

「・・・どうやらおじさんは邪魔なようだ。これ以上野暮はしない、ゆっくりしていきたまえ」

 奥へ下がる手塚国光。

 

「国光さんは小説家で、翠子さんのお母さんは何をやってますか?」

「母は貿易関係の会社で働いています。今は出張で海の向こうです」

「うちの母も、呼ばれると治療のために世界中どこへでも行きます。父も昔は試合のため、今はテレビの仕事でやっぱり地方や海外に」

「お二方とも、お忙しいのですね」

「スケジュールをうまく調整して、二人とも夜不在なんて状況は作らないように、なるべくしてるそうなんですが。やっぱりうまくいかないときもありましたね」

「その時は、桜夜さんと協力して留守を守っていたのですね。それと、あの小さな妹さんのお世話も」

「お陰様で、家事全般には自信がありますよ、ははは」

 話に花が咲くふたり。

 

 

 

 いつしか話題は部活のことに。

「桜夜は、女子部でうまくやってますか?」

「ええ、みんなともすぐに仲良くなれました。テニスの実力も申し分なし、レギュラーで出場枠を得るのも夢ではないでしょう」

「翠子さん、率直にお伺いします」

「な、なんでしょう」

「・・・テニス、強いですか?」

「・・・ええ、私、強いですよ〜とっても」

 自信に満ちた微笑みで返す。

 

 リョーヘイの語気に、力が入る。

「先生が言っていた、月に一度の交流日。男子と女子の試合があるなら、いずれはあなたとも戦うことになるはずです」

「キミに相応の実力があれば、そうなりますわ」

「その時が楽しみです!」

「私も・・・」

 目の前のライバルに熱い視線をぶつけ合うふたり。

 

「まあ、交流日とはまた別に、私はキミと交流したいのですけれど」

「ええっ!? それはどういう・・・」

 学校でも噂の美少女に、家に招待されて、二人きりの時にこの発言。リョーヘイは思い切り動揺した、夢ではあるまいかと。

 彼の期待を裏付けるかのように、翠子はリョーヘイを抱きしめる。

「・・・キミみたいな弟が、ずっと欲しかったの。もちろん桜夜さんも、他の後輩たちともども、私の妹です」

「おとーと・・・ああ、そういう・・・」

 ガッカリしないわけではなかった、しかしハグ付きでこんな事言われると、やっぱり嬉しい。

「じゃ・・・これからもよろしくおねがいします、お姉ちゃん・・・」

 

 その様子を、手塚国光は物陰からじっと観察していた。

 

 

 

 楽しい時間は早く過ぎる。帰宅の途につくリョーヘイ。

「お邪魔しました」

「リョーヘイくん、待ちたまえ」

 手塚国光に呼び止められた。

 

 リョーヘイをじっと見つめる手塚。

「ふむ・・・いい目をしている。見れば見るほどお父さんにそっくりだ。リョーヘイくん、姉弟力を合わせ、お父さんのように、『青学の魂』を受け継ぐ部員になってほしい」

「は、はあ・・・」

 青学の魂とはなんなのか。精神的なナニモノカなのだろうが、リョーヘイにはいまいちピンとこなかった。

「後で父さんに聞いてみよう・・・」

 

 

 

 その夜。越前&竜崎邸の応接室にて、ふたりの男が言い争いをしていた。

「・・・アンタいきなり夜ヒトんちに押しかけて、何言い出すんだ!!」

 越前リョーマの声が響き渡る。

「・・・いや、だからもう一度言うぞ。うちの翠子をお前のところのリョーヘイくんに嫁がせたいというんだ」

「お父様、やめてください!」

 手塚国光の突拍子も無い提案を、娘の翠子が必死に止める。リョーヘイ&桜夜はそれを呆れ顔で見ていた。

「かわいい娘を、何処の馬の骨とも分からん男にやるつもりはない。その点、お前のところなら安心して・・・」

「いや、分かるよ!? 俺も娘を二人持つ父親として、アンタの言いたい事はよーっく分かる! でもなぁ、こういうのは当人たちの気持ちが最優先だろうが!」

「あるいは、リョーヘイくんがうちへ婿入りするのも悪くないか・・・」

「人の話聞けよ。しまいにゃどつくぞオッサン(怒)」

「オッサンって・・・言うに事欠いて貴様は! 自分も同じだけ歳を重ねたのを忘れたのか!」

「何言ってんすか。おれはギリギリ37歳(アラサー)。部長は40歳(アラフォー)、この差はかなーり大きいっすよ〜?」

「ぐぬぬぬ・・・」

 

 男たちの夜は更けていく・・・。

 

               つづく




 またまたリョーヘイに女の影が! しかし今度は嵐の予感!? 走れ桜夜、弟のピンチを救えるのは君だ! 次回「いとしのフライパン娘」お楽しみに!
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