テニプリkids!〜王子様25years after〜 作:ハネ太郎
桜乃「ところで、さっきから気になっていたけど、その小さい子だれ?」
可南子「・・・りゅうざきかなこ、よんさいです」
リョーヘイ「僕たちの妹なんです」
リョーマ「・・・ってことは、俺たちの三人目の子か!」
桜乃「うは〜!(赤面)」
可南子、リョーマ組とリョーヘイ組を交互に見回しキョロキョロ。
可南子「・・・にいちゃんたちが、もう一人いる」
桜夜「そりゃ同じ顔が並んでりゃ混乱するわな(笑)。可南子、そこの二人は子供のころのお父さんとお母さんだよ。タイムトラベルで会いに来たの」
リョーマ「そんなこと、小さい子に言って通じるかよ」
可南子「・・・わかった」
桜乃「一応、納得したみたいね」
おもむろにリョーマに近づき、しげしげと見つめる可南子、続いて桜乃のもとへ。
リョーヘイ「可南子は人見知りだから、普段はこんなことしないんだけどな、やっぱり何か分かるんだ」
桜乃「かわいい〜♡ この子、髪色といい顔つきといい、お父さん(リョーマ)そっくり〜♡」
未来の娘を抱っこする桜乃。
可南子「・・・お母さんと、おんなじ匂いがする」
すっかり気を許し、胸に顔を埋める。
リョーマ「・・・お、俺にもちょっと・・・♡」
小さい子の相手に慣れていないリョーマも、恐る恐る可南子の頭や背中を撫でてみる。
可南子「お父さんと、おんなじ手だ〜」
場の空気が、すっかり和んだ。
手塚
容姿端麗、頭脳明晰。性格は真面目で自他ともに厳しいが、同じような性格の父と比較して寛容さは大きい。小振りの長方形メガネの奥の眼光は鋭く、一部生徒たちからは恐れられているが、ふとした瞬間に見せる微笑みは女神級だと、性別関係なくファンも多い。
ある日の下校時、越前リョーヘイは手塚翠子に声をかけられた。
「リョーヘイくん、今日は時間あるかしら?」
「え? あ、ハイ」
入学式の日に会って以来、同じ「レジェンドの子」の仲間となった二人。リョーヘイ自身、彼女を「綺麗なお姉さん」だと認識していた。
「もし良ければ、これから私の家に遊びに来ませんか?」
「なんと! え、それって・・・もしかして! あ、いや、ぜひ行きます!」
綺麗なお姉さんにこんな提案をされて、心が動かない思春期男子は・・・もしかしたらけっこういるかも知れないが、リョーヘイは動くタイプの人間だった。二つ返事で了解した。
「桜夜はいいんですか? ってどっちみちアイツさっき、友達と遊びに行っちゃったな」
「そう、それは残念です・・・」
二人でバスに乗り、一路手塚翠子の家へ。
「しかし、大丈夫ですかね」
「何が?」
「父から聞いた話や、本で伝わっている話によると、翠子さんのお父さん、国光さんは、とてつもなく厳しい人だと・・・」
「ええ、厳しい方です」
「そんな人のところに、愛娘が男の友達連れてきたなんてことになったら・・・」
「別に知らない人じゃないですから(苦笑)。父の友人の息子さんなんですから、リョーヘイくんは。取り越し苦労ですよ」
そうこうしている間に、翠子さんの家に到着。和風建築で平屋建て、母屋と離れがある豪邸だ。
「ふえ〜、テレビでしか見たことないや、こんな家」
感嘆の声をあげつつ、リョーヘイはスマホで現在位置を確認。すると・・・。
「み、翠子さん、見てください! ほら、この地図!」
「え? あ、まあ!」
「バスに乗っている間も全然気づかなかったけど、ここ、僕のウチの近所なんです!」
手塚邸のあるエリアと越前・竜崎邸のあるエリアは、小高い丘に遮られて互いに認識出来ない位置にある。リョーヘイの開いた地図アプリは、自宅と現在位置を表示するタイプだったので、ようやく気付けたのだ。
「その気になれば、ここから歩いて帰れますね。・・・あ、そうだ! ちょっとあそこの高いところから見てみましょう!」
リョーヘイの提案で、近くの坂を登った先の公園の展望台から町を見下ろす。
「あ、あれです! あのテニスコートがある四角い家がそうです!」
「ああ、あれが・・・。あの家については私もずっと昔から気になっていたんですよ。屋上にテニスコートを作るなんて、よっぽどテニス好きなお金持ちのお屋敷なんだろうなって。越前リョーマさんが建てたのなら、納得です。長年の謎が解けました」
そう言って、優しく微笑む翠子。どきりとするリョーヘイ。
「噂は本当だった。これが女神級の微笑み・・・」
ふたたび、手塚邸の玄関先へ帰ってきた二人。
「すいません、へんな寄り道させちゃって」
「いえ、いいんです。これなら次は、私がリョーヘイくんの家にお邪魔させてもらえますね。父にもこの事を伝えておかないと・・・」
今度は翠子さんがうちに来るのか、今から部屋を片付ける算段をしなくては。リョーヘイは思案した。
改めて、リョーヘイを自宅に招き入れる翠子。
「お邪魔します・・・」
外観のみならす内装も家具調度品も、和のもので統一されている。いや、これはむしろ・・・。
「・・・大正浪漫?」
「父の、趣味です・・・」
「リョーヘイくんか! よく来てくれた、歓迎しよう!」
執筆の場である離れの窓から、翠子の父の手塚国光が顔を出す。その口調は、心なしか喜びに溢れている。
「めっちゃ歓迎ムードだ・・・」
「ね、だから言いましたでしょ」
渡り廊下を急ぎ足で通ってきた手塚、和室に通されたリョーヘイにお茶とお菓子を振る舞う。
「そんな、お父様が自らなさるなんて。秋田さんや柘植さんにやってもらえば宜しいのでは?」
「いや、それには及ばん。親友の息子が訪ねてきたというのに、暢気にふんぞり返っているわけにはいかんよ」
ちなみに秋田さんというのはこの家の女中さんで、柘植さんは手塚国光の住み込みの弟子、いわば書生さんである。
「ごめんなさいリョーヘイくん。私が個人的にお話したかっただけなのに、お父様が・・・」
「いえ、しょうがないですよ。うちの父とは部活の先輩後輩という以上の、強い絆で結ばれていたそうですから」
自分たちの父とその仲間たち、レジェンド世代。その逸話を聞けば聞くほど、彼らの実力、そして友情の強さに感服する。リョーヘイも翠子も、それに憧れつつも思いはひとつだった、
「自分たちも、そうなれるだろうか・・・」
「・・・どうやらおじさんは邪魔なようだ。これ以上野暮はしない、ゆっくりしていきたまえ」
奥へ下がる手塚国光。
「国光さんは小説家で、翠子さんのお母さんは何をやってますか?」
「母は貿易関係の会社で働いています。今は出張で海の向こうです」
「うちの母も、呼ばれると治療のために世界中どこへでも行きます。父も昔は試合のため、今はテレビの仕事でやっぱり地方や海外に」
「お二方とも、お忙しいのですね」
「スケジュールをうまく調整して、二人とも夜不在なんて状況は作らないように、なるべくしてるそうなんですが。やっぱりうまくいかないときもありましたね」
「その時は、桜夜さんと協力して留守を守っていたのですね。それと、あの小さな妹さんのお世話も」
「お陰様で、家事全般には自信がありますよ、ははは」
話に花が咲くふたり。
いつしか話題は部活のことに。
「桜夜は、女子部でうまくやってますか?」
「ええ、みんなともすぐに仲良くなれました。テニスの実力も申し分なし、レギュラーで出場枠を得るのも夢ではないでしょう」
「翠子さん、率直にお伺いします」
「な、なんでしょう」
「・・・テニス、強いですか?」
「・・・ええ、私、強いですよ〜とっても」
自信に満ちた微笑みで返す。
リョーヘイの語気に、力が入る。
「先生が言っていた、月に一度の交流日。男子と女子の試合があるなら、いずれはあなたとも戦うことになるはずです」
「キミに相応の実力があれば、そうなりますわ」
「その時が楽しみです!」
「私も・・・」
目の前のライバルに熱い視線をぶつけ合うふたり。
「まあ、交流日とはまた別に、私はキミと交流したいのですけれど」
「ええっ!? それはどういう・・・」
学校でも噂の美少女に、家に招待されて、二人きりの時にこの発言。リョーヘイは思い切り動揺した、夢ではあるまいかと。
彼の期待を裏付けるかのように、翠子はリョーヘイを抱きしめる。
「・・・キミみたいな弟が、ずっと欲しかったの。もちろん桜夜さんも、他の後輩たちともども、私の妹です」
「おとーと・・・ああ、そういう・・・」
ガッカリしないわけではなかった、しかしハグ付きでこんな事言われると、やっぱり嬉しい。
「じゃ・・・これからもよろしくおねがいします、お姉ちゃん・・・」
その様子を、手塚国光は物陰からじっと観察していた。
楽しい時間は早く過ぎる。帰宅の途につくリョーヘイ。
「お邪魔しました」
「リョーヘイくん、待ちたまえ」
手塚国光に呼び止められた。
リョーヘイをじっと見つめる手塚。
「ふむ・・・いい目をしている。見れば見るほどお父さんにそっくりだ。リョーヘイくん、姉弟力を合わせ、お父さんのように、『青学の魂』を受け継ぐ部員になってほしい」
「は、はあ・・・」
青学の魂とはなんなのか。精神的なナニモノカなのだろうが、リョーヘイにはいまいちピンとこなかった。
「後で父さんに聞いてみよう・・・」
その夜。越前&竜崎邸の応接室にて、ふたりの男が言い争いをしていた。
「・・・アンタいきなり夜ヒトんちに押しかけて、何言い出すんだ!!」
越前リョーマの声が響き渡る。
「・・・いや、だからもう一度言うぞ。うちの翠子をお前のところのリョーヘイくんに嫁がせたいというんだ」
「お父様、やめてください!」
手塚国光の突拍子も無い提案を、娘の翠子が必死に止める。リョーヘイ&桜夜はそれを呆れ顔で見ていた。
「かわいい娘を、何処の馬の骨とも分からん男にやるつもりはない。その点、お前のところなら安心して・・・」
「いや、分かるよ!? 俺も娘を二人持つ父親として、アンタの言いたい事はよーっく分かる! でもなぁ、こういうのは当人たちの気持ちが最優先だろうが!」
「あるいは、リョーヘイくんがうちへ婿入りするのも悪くないか・・・」
「人の話聞けよ。しまいにゃどつくぞオッサン(怒)」
「オッサンって・・・言うに事欠いて貴様は! 自分も同じだけ歳を重ねたのを忘れたのか!」
「何言ってんすか。おれはギリギリ
「ぐぬぬぬ・・・」
男たちの夜は更けていく・・・。
つづく
またまたリョーヘイに女の影が! しかし今度は嵐の予感!? 走れ桜夜、弟のピンチを救えるのは君だ! 次回「いとしのフライパン娘」お楽しみに!