テニプリkids!〜王子様25years after〜 作:ハネ太郎
ここは越前&竜崎邸。リョーヘイと桜夜が、家族にレギュラージャージを披露。そこにもうひとり・・・。
「父さん、母さん、これが今の青学ジャージだよ」
リョーヘイが着てみせる。
「お父さんたちの頃とは、デザインがまた変わってるのね」
桜夜の発言通り、リョーマたちレジェンド世代が着ていた、いわゆる「青学ジャージ」とは使われている色(青白ツートンカラーに赤ライン)は同じだが、曲線を多用したり幾何学模様をアクセントで入れたりと、かなり変化している。なお、同様に桜夜の着ている女テニのレギュラージャージは、男子のそれの青部分を赤に、赤ラインをシャンパンゴールドにしてある。
「リョーにいちゃんとけんにいが、ペアルックしてる〜」
「違う違う! どこでそんな言葉覚えるの!?」
可南子の爆弾発言にリョーヘイ、大いに焦る。実際には二人ともレギュラージャージを着ているだけ。
「リョーヘイと同じチームでプレイできるなんて、感慨深いぜ。リョーマ様、また試合見に来てくださいね」
そのペアルックの相手、「けんにい」こと小坂田健児は、リョーマ&桜乃夫妻の旧友、小坂田朋香の息子。母親の影響でリョーマを様付けで呼ぶ。家族ぐるみの付き合いで越前竜崎三兄妹とも幼なじみ、リョーヘイ&桜夜とは小学生時代から共にテニスの腕を競う。ただ、同じチーム・グループに入るのはこれが初となる。
「それにしたって、なにも青学に入ってることを黙っていることないだろ」
「いやー、ビックリサプライズ狙ってたらタイミングを逃しちゃったんでw」
「朋香、元気してる? ラインはやり取りしてるんだけど、なかなか会えなくって」
桜乃がボヤきつつも友の近況を尋ねると。
「母さんなら、また遊びに行くって言ってました。いつがいいですか?」
「いつでもいいよ。何なら、今からでも」
「ほんとですか!?」
その言葉を待っていたかのように、健児はどこかへ電話。数分後・・・。
「桜乃〜! リョーマ様〜! お久しゅうございます〜!」
小坂田朋香が入ってきた!
「早っ! まさかの出番待ち!?」
中等部時代、リョーマを推しメンとして桜乃と共に青学テニス部を支えた名サポーター。レジェンド世代の活躍を間近で見てきた、語り部のひとりである。
「ったく、バレバレなんだよ。わざわざ外に隠れててさ」
「いや〜、犬のマエストロちゃんに吠えかけられて大変でした」
「朋香〜! 会いたかったよ〜!」
「お互い偉くなっちゃったもんね〜、なかなかタイミングが合わなくって(涙)」
手を取り合い、抱きしめ合うふたり、少女時代からの友情は変わらない。
「あの朋香が、今や敏腕女社長だもんなぁ」
「いやぁ、亡くなったダンナの事業を引き継いだだけでして」
「でも朋香が社長さんになってから、業績右肩上がりだもん。使わせて貰ってるよ、『働く女性のための化粧品シリーズ』!」
小坂田朋香は、リョーマ桜乃夫妻より前に、勤務先「マジカル化粧品」の当時の社長に見い出されて跡取り御曹司と玉の輿結婚、夫の社長就任後は副社長として事業を支えてきた。さらに夫の急逝後はそのまま社長になり、数々のアイデアと行動力で会社を急成長させたのだ。
先ほど名前の出た「働く女性のための化粧品」も彼女の提案で開発された、同社の主力製品。従来品と比べて「お化粧にかかる時間が半分、効果は据え置き」という画期的なシロモノなのだ。
「人の良さそうなダンナさんだったな。まさかあんなに早く亡くなるとは・・・」
「まあ、元から病弱なのは分かっていましたがね・・・。ただ、自分自身、長く生きられないのはなんとなく分かってたらしいです」
「小さかったから父さんの記憶はあんまりないけど、あったかい人だった、ってのは覚えてる」
故人に思いを馳せるリョーマと朋香、そして健児。
「今更だけど、シングルマザーで子育てと社長を両立させるの大変だったでしょ?」
「託児所を社内に設けて、他の社員の子と一緒に育てたのよ。たまたまパートさんに保育士資格持ってる人がいたのもラッキーだったわ」
友の苦労を思う桜乃の質問が、朋香の立志伝のページをめくる。
「・・・で? 今日は何の用だ? ただ遊びに来たというだけじゃなさそうだな」
「!」
リョーマの指摘は図星だったようだ。朋香は子供たちの方をチラ見して、
「それが、その・・・。ちょっと大人の話なもんで・・・」
「・・・わかった」
リョーマ、子供たちの方に近づき、桜夜に小遣いを渡す。
「なるべく遠くの方で遊んできなさい」
「え、いいの!? こんなに貰っちゃって!!」
万札をポンと出されて驚く桜夜。
「お前ら四人が街で遊ぶのに、それだけあれば十分だろ」
「駅前で遊んでくるね!」
「おう、あんまり羽目を外しすぎるなよ!」
バス停に向かう桜夜、リョーヘイ、可南子、健児。子供たちを見送るリョーマ、去っていくその背中が見えなくなるのを確認する。
「・・・これでよし、さあ話ができるぞ」
「お手数かけます」
ダイニングテーブルで、向かい合わせに座る二人と一人。上座の右にリョーマ、左に桜乃、反対側に朋香。
朋香が話し始めた。
「健児は私が直に産んだ子じゃなくて、施設から赤ん坊の時に引き取った子だっていうのは、もう話したかしら?」
「あ〜、確かダンナさんが不妊体質で、治療を待ってはいられないからって・・・メールで見たことあるかも」
「読めてきたぞ・・・。その健児を施設に預けた元の親とトラブルになっちゃった! そうだろ?」
「あ、いや〜、元の親がらみと言えばそうなんですけど・・・」
微妙に外したようだ。
「率直に申しあげます。ズバリ、健児の父親はリョーマ様、あなただという匿名の情報がありました・・・」
「それって隠し子ってこと!? 朋香! いくらあなたでも言っていい冗談と悪い冗談が・・・」
友の突然の問題発言に動揺した桜乃は、その一方で横目で見た夫の変化を見逃さなかった。
「・・・リョーマくん? なんで顔色が悪いの?」
さらに夫の手を取る。
「心拍数、脈拍が上昇、掌部の発汗を確認・・・」
これぞ、世界的名医にして夫の主治医たる桜乃の面目躍如。
「・・・俺の子を産む可能性のある女と言えば、心当たりは一人しかいない・・・」
苦々しい表情で、リョーマはつぶやく。
「・・・あ、まさか!」
「昔、リョーマ様とスキャンダルがあった、あの女優さん・・・!」
リョーマと長い付き合いの女二人も、なにかを思い出したようだ。
「皆で一斉にその名を呼ぶか。せーの・・・」
「「「刈谷めぐみ!!!」」」
つづく
リョーマの過去に関係する「刈谷めぐみ」とは何者か!? 本当に健児はリョーマの子なのか? 夫妻は記憶の旅をする・・・。次回「朋香と健児と大女優・回想編1」お楽しみに!