テニプリkids!〜王子様25years after〜   作:ハネ太郎

18 / 25
 作品紹介でも書きましたが、私のこの作品は、あくまできっかけに過ぎないと考えております。もし気に入られた方がおりましたら、私の許可など気にせずイラストなり漫画なり、自由に三次創作してください。「こんなの違う!」「私の好きな○○くん(の子供)が出てない!」などと不満を持たれましたら、私の小説よりもっと面白いと思われる「テニプリの次世代もの」をあなたの理想通りに創作してください。嫌味ではありませんよ?


第十七話「朋香と健児と大女優・回想編1」

 小坂田朋香の息子・健児は施設から引き取られた養子だった。さらになんと、父親は越前リョーマではないかという疑惑が浮上してきた。渦中の人・リョーマ曰く、母親つまり「今の奥さん以外で交際した女性」の心当たりは一人しかいないという・・・。その人の名は!

 

「「「刈谷めぐみ!!!」」」

 

 

 

「アンタたちが結婚するちょっと前に、リョーマ様は写真週刊誌に女優さんとのツーショットをスクープされてるのよ。そのお相手が刈谷めぐみ」

 朋香が興奮ぎみに話す。

「あー、そうだった。つっても昔のことだから色々忘れてるなぁ・・・。どんな記事だったっけ?」

「ハイハイ、お待ち下さい」

 リョーマの問いを受けた朋香、タブレット端末を操作する。

「リョーマ様がプロ入りしてからずっと、スポーツ新聞やら週刊誌やら、あなたに関する記事は全てここにスクラップしてあります」

「いくつになっても、ブレねえな〜、こいつw」

「そだね〜w」

 リョーマの初代応援団長たる朋香の初志貫徹ぶりを、微笑ましく、また頼もしく思う夫婦。

 

「はい、出ました! これですね」

 ‘プロテニスプレイヤー越前リョーマ、熱愛発覚!?’の見出しと本文、そしてホテルから出てくる男と女。腕まで組んでずいぶんと親密な関係に見えるが・・・。

「そうそう、思い出した。あいつ誰かに見せつけるかのように、わざわざ自分から引っ付いて来たんだ」

「・・・まるで写真を撮られるのを知っているかのよう・・・。記事になって大騒ぎになることは承知の上、計算ずくだったのね」

 桜乃は表面上はあくまで冷静につぶやく。しかし眼鏡の奥の視線は、軽い怒りで鋭く光っていた。

 

 

 

 今から15年前、越前リョーマ22歳。その頃既にプロテニスプレイヤーとして確固たる地位と名声をものにしていた彼であったが、人間関係は相変わらずストイックそのもの。変な友人も見当たらず、浮いた話のひとつもなかった。そんな彼に降って湧いた、「交際発覚! 相手は新進気鋭の若手女優」のゴシップ。当時のマスコミはこのネタに、待ってましたとばかりに一斉に飛びついた。

 

「当時はワイドショーでも女性週刊誌でも、リョーマくんとめぐみさんの話ばっかり。みんな好き勝手なこと言ってくれちゃってさ」

 桜乃がうんざりした表情で語る。彼女もまたその類いの報道に振り回された一人だったのである。

「でも結局、あの人とは別れて・・・。いや、そもそも、リョーマ様! 本当に交際してたんですか? たまたま一緒にいたのを利用されて・・・じゃなくて?」

「・・・心当たりがあるって言ったろ。不本意ながら、何度も一夜を共にしたこと、あるぜ」

「やっぱり!」

 朋香の問いに対するリョーマの回答は、もっとも考えたくないものだった。

 

 

 

「刈谷めぐみさん・・・。私も、一度だけ会ったことあるわ。女優さんらしくとても綺麗でオーラがある方、でも性格は・・・アレだった」

 桜乃が追憶する、あの日の出来事。

 

 熱愛報道からひと月あまり経った頃、試合中の大怪我で入院したリョーマは、そこで医師となっていた桜乃と奇跡の再会を果たした。彼女の指導で治療とリハビリを重ねて半年、やっと退院の目処がついた。

「その日は許可を取って、病院のレストランで退院の前祝いを、ふたりでしていたのよ・・・」

 

 

 

※回想シーン※

 

 駒綱(こまつな)総合病院一階のレストラン「あじわい」。見舞い客に患者付き添い、職員、医師、看護師。老若男女、様々な人が利用するこの店のメニューは、大手のファミレスにも負けない多彩なラインナップ。最近は店主の趣味でオーガニックハーブを研究しているらしい。内装その他もホテルのレストランのよう、ここが病院だと忘れてしまうと評判。

 

「参ったな、桜乃がせっかく気合入れてお洒落してきたのに、俺はこんなラフな格好で・・・」

「格式高いお店じゃないんだから、気にしないで。そのままでも充分素敵よ♡」

 

 久々の私服で白シャツにGパンのリョーマと、手持ちの中から最大限のお洒落セレクトをしてきた桜乃。

 

「利き手が自由に使える、この喜び!」

「私のおごりよ、たくさん食べてね♡」

 

 自身の回復を喜び、料理に舌鼓を打つリョーマと、その様を見て喜ぶ桜乃。リョーマのテーブルにはハーブソースのカットステーキにオニオンスープ、サラダとライスのセット。桜乃は生ハムサンドイッチ・スペシャルアソートとハーブティー。

「ほら、一切れやるよ。あ〜ん☆」

「あ〜ん♡」

 ブランク7年を感じさせないふたり。再会した直後は多少ギクシャクしていたが、その後半年のあいだに学生時代以上の絆を育んだ。かつての恋人同士から医師と患者、苦楽を共にした戦友、彼らの関係を表す言葉は様々。

 

 

 

 青春学園中等部を卒業、それを期にお互い交際を打ち切り、夢のためにそれぞれの道を歩んだ二人。

 リョーマは相変わらず日本とアメリカを往復しながら、青学高等部のテニス部で活躍、その後プロデビューしながら大学も通った。現在は入院につき休学中。

 桜乃はスポーツ選手の怪我を専門に扱う医師になるため、ドイツに留学。当地の高名な医師グウェン教授の弟子となり、直に教えを請うことに。教授についてヨーロッパ各所で修業、メキメキと頭角を表した彼女は、異例の飛び級という形で免許を取得した。通常は研修医となるのが関の山であるはずの22歳という若年で、スタッフを指揮する立場の医師として活動していたのはそのため。

 

 

 

「ふー、ごちそう様でした。病院メシじゃないメシはやっぱいいな〜」

「一息ついたら、質問に答えて。・・・あの女優さんとは、本当に何もなかったの? あの時は私を落ち着かせるために、あえて嘘を言ったのよね?」

 桜乃の質問で、和やかな空気が吹き飛んだ。リョーマの顔から笑顔が消えた。

 

 元カレの女性関係を追及する自分は、ひどく嫌な女に思われるだろう。リョーマに嫌われる覚悟で、それでも桜乃は、事実を確かめずにはいられなかった。

「・・・やっぱり怖いわ、女のカン。もう白状するしかないか。今から言うから、聞きたくなければ耳をふさげ」

「・・・私、逃げない。逃げないから、教えて・・・」

 

 リョーマの告げた真実・・・刈谷めぐみとは男と女の関係で、同棲までしていた・・・それは、桜乃を床に転げ落ちさせるには十分過ぎた。

「こら、いい大人がこんなところで寝るな、起きろ!」

「〜〜〜〜〜!」

「言わんこっちゃない。ショックで言葉も出ねえかよ。なら、ついでにいいこと教えてやる。俺はアイツと別れることに決めた」

「!!」

 

「おい、あれ越前リョーマじゃないか? 有名なテニス選手の」

「えー、似てるだけじゃない?」

 周囲の客たちが騒ぎはじめた。

 

「ほら、みんな見てるから。こんなとこパパラッチに撮られて記事にされたら、また大騒ぎだぞ」

 リョーマは、ようやく桜乃を着席させた。

「・・・別れるって本当?」

「ああ。アイツと付き合って、俺には何の得もなかったし、楽しくもなかった。ワガママでさんざん振り回してくれやがってさ。・・・だいたいアイツ、俺が入院してる半年のあいだ、一回も見舞いに来なかったんだぜ」

「あ・・・!」

「桜乃、もし俺がいま別の、遠くの病院に移ることになったら、お前はどうする? 追いかけて転勤する以外で」

「!・・・そうね、朝とか、夜寝る前とか、挨拶や励ましのメールやラインを送るわね・・・。それもなかった・・・の?」

「なかった! 要はその程度の関係だったんだよ、俺とアイツは」

「そう・・・」

 ほっとしたと同時に、彼にそんな雑な扱いをする交際相手に怒りを感じる桜乃。

(女優だかなんだか知らないけど、私の大事なリョーマくんを何だと思ってるの・・・!)

 

「・・・桜乃の方が、ずっといい」

「え!?」

「桜乃は俺を、心の底から心配してくれる、理解してくれる、気遣ってくれる、愛してくれる」

「・・・」

「あの当時も思ってたけど、今また強く感じる。お前と恋人同士だったあの頃は、凄く幸せだったな、って」

「・・・私も、あなたといた頃、凄く、幸せだったよ・・・」

 リョーマの突然の告白に、涙声になる桜乃。

「もう一度、俺たち、やり直さないか? 恋人同士になろう! あの頃から俺も、大人になった。もっとずっと、お前を愛してやれる」

「・・・私で、いいの?」

「お前しかいない、俺には。正式なプロポーズは先の話になるけど・・・結婚を前提に。お願いします。主治医としてだけじゃなく、妻として、俺を支えてください・・・」

 桜乃の前にひざまずき、手を取るリョーマ。涙が溢れて止まらない桜乃の返事は。

「奥さんがお医者さんって、結構大変なのよ。夜遅かったり朝早かったり、生活リズムが合わなくて・・・」

「アスリートの妻も、ハードな稼業だぜ。夫は試合で世界中を飛び回ることになる・・・」

「・・・私、待ってるから。ううん、もう、医療スタッフとして付いていく! 世界中どこへでも! それならいいでしょ?」

「・・・子供ができるまでの間な」

「うん! 決まりね! ・・・不束か者ですが、よろしくおねがいします・・・」

「桜乃・・・♡」

「リョーマくん・・・♡」

 

 

 

「もうそんないい人見つけたの!? プレイボーイなイメージなかったのに、分からないもんだわね!」

 

 ひしと抱き合う二人を引き裂くような、怒気をはらんだ女の声が、レストランにこだました。

 

              つづく




 恋人同士に戻ったリョーマと桜乃の前に現れたのは何者か。小坂田健児とリョーマの関係はどうなった? 次回「朋香と健児と大女優・回想編2」お楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。