テニプリkids!〜王子様25years after〜 作:ハネ太郎
「それは、何を隠そう、俺だ!」
大石「お・・・お前は!」
テニスコートのフェンスの上に人影が三つ。大人がひとりに子供二人と見えたそれは、実に見事なバランスで立っていた。子供二人の容姿をよく見ると、顔立ちといい褐色の肌といい、明らかに日本人のそれとは異なっていた。
「とぉ!」
真ん中の大人の声を合図に影が三つ、揃って飛び降りる。掛け声から跳ぶ姿勢、着地に至るまで、日曜朝のヒーロー番組でも中々見られないほどの完璧なシークエンス&完成度だ。
「大石、おっひさ〜☆」
大石「え、英二! 菊丸英二じゃないか!」
青学のOB、男子テニス部の元レギュラー部員にしてレジェンド世代、大石の相棒であった菊丸英二(40)だ!
菊丸「ひょっとして十数年前のリョーマの結婚式のとき以来? 俺達が顔合わせたの。変わってねぇな〜大石ぃ!」
大石「てめぇこの野郎、いきなり海外に移住しやがってこの野郎! 生きてたかこの野郎!」
ヘッドロックして頭をポコポコ、少々荒っぽいやり方で旧友との再会を喜ぶ大石。
リョーマ「お久しぶりです先輩、俺とはケープタウンの戦い以来ですね」
菊丸「・・・おお、あの大会か、懐かしいな!」
この会話に、リョーマの二人の子と、菊丸と共に現れた二人の子、計四名が一斉に声をあげ、同じ(ような)セリフを叫んだ。
「「「「ああ! 思い出した、決勝戦でお父さん(パパ)と闘った人だ!!」」」」
菊丸の横の二人は、やはり菊丸の娘だった!
学生テニスで数多の名選手を輩出したとされるレジェンド世代だが、実はプロになった人数はそれほど多くない。リョーマと菊丸はその数少ないプロとして、世界中のコートで度々激突してきたのである。彼らが言うケープタウンとは南アフリカ共和国の都市で、そこで行われたテニス大会の決勝戦のカードがこの両名だったのだ。
リョーマ「懐かしいっスね、もう何年前になるだろうか・・・。あの時は見事に先輩にしてやられました。よく考えたら、俺が引退を決めるひとつ前の試合になるのか・・・」
菊丸「思えば、あの時から既に、お前の体はもう・・・」
リョーマ「うん・・・まあ・・・。あ、いや、俺たちの話は後でいいんだってば。子供たちの話をしましょう。先輩、そちらの娘さんたちを紹介してくださいよ」
菊丸「よしきた! 二人とも俺の子で、アフリカから日本に留学させるために連れて来たぜ。髪の長いのが長女のレオ、髪の短いのが次女のリブラだ!」
リョーマ「・・・キラキラネーム?」
菊丸「キラキラネームゆーな! アフリカ人とのハーフなんだから別にいいだろ!」
大石「あ、そういやお前、海外遠征で現地でヨメさん見つけて、そのまま居座っちゃったんだったな」
レオは13歳、リブラは12歳。二人とも訛りこそあるが流暢な日本語で自己紹介する。
レオ「ジャンボ〜! はじめましてこんにちは、菊丸レオで〜す! 日本に来られて感激です」
リブラ「はじめまして、私は菊丸リブラといいます。パパはいつも言ってました、レオがティーンエイジャーになったらニッポンのセイガクに行くって」
岸田「二人とも、いわゆる留学生枠で入学したんだなこれが、我が校もえらく国際的になったもんよ」
レオ「セイガクには強いテニスプレイヤーが沢山いるんでしょ? アフリカで一番強い私達が挑戦しに来たよ」
大石「こりゃまた大きく出たな。二人とも、お父さんに鍛えてもらったのか?」
菊丸「あたぼうよ! 特に姉妹ダブルスは凄いぞ、俺とお前のゴールデンペアにも引けを取らないぞ!」
大石「ははは、そりゃ楽しみだ」
リョーマ「じゃあこっちの番な。俺の子、リョーヘイと桜夜。似てないけど一応双子で、今日入学したばかりのピッカピカの一年生(死語)です」
菊丸「おおっ、この子やっぱりリョーマの子だったか! さっき入学式でチラッと見て、もしやと思ったんだ! 俺たちといた、あの頃のおチビそのまんまだ〜!!」
リョーヘイ「ギャー!! なんなのこの人!? いきなり抱きついてきたんだけど!!」
その瞬間、リョーマ怒りの鉄拳が炸裂した。
菊丸「痛った〜!! いきなり何すんだ! 昔のお前はあんなに可愛かったのに、まさか先輩に手を上げるような凶暴キャラになるなんて!(泣)」
リョーマ「何すんだってそりゃこっちのセリフだ!! 人の息子にいきなり何セクハラしてくれんだアンタ!!(怒)」
菊丸「ただの挨拶だよ、スキンシップ、ボディランゲージだよ!!」
桜乃「よしよし怖かったわね〜(ナデナデ)」
桜夜「ほら泣かないの(ナデナデ)」
可南子「よしよし(ナデナデ)」
桜乃お母さんの胸で泣きじゃくるリョーヘイを、総出で慰める姉妹。
菊丸「んでこっちの子が桜乃ちゃんの娘の桜夜ちゃんか、これまたお母さんそっくりだな〜。・・・って、そんなあからさまに警戒しないでよ!? なんにもしないから!!(汗)」
「・・・・・」
桜乃&桜夜&可南子は無言で怪訝な表情で身構えている。
リョーマ「桜乃の娘って・・・。一応俺の娘でもあるんですけど・・・?」
「全く、いい年して騒がしい連中だ、こっちまで聞こえてきたぞ」
不意に、大人たちにとって聞き覚えのある声が響いてきた。一同が振り返り見る。そこにいたのは・・・。
リョーマ「あ・・・」
大石「お前は・・・!」
菊丸「て、手塚ー!!」
レジェンド世代の筆頭、青学男子テニス部の元部長、手塚国光(40)の登場だ!!
手塚「お前たち、久しぶりだな・・・」
みどりこ「お、お父様!? どうしてこちらに!」
「お父様!?」
大石「そうだ、君の事をすっかり忘れていたよ。みんな、彼女は・・・」
手塚「俺の娘だ」
リョーマ「娘!?」
みどりこ「手塚
岸田「うちの女子テニス部の部長をやってもらっているよ」
菊丸「って事は親子二代で『手塚部長』か! 凄いな!!」
翠子「それでお父様、どうしてこちらに。原稿の締め切りは宜しいのですか?」
手塚「心配しなくても、ちゃんと間に合わせるさ・・・。気まぐれに母校が見たくなってな、そうしたら懐かしい連中に会えた」
大石「虫の知らせってやつか? 相変わらず鋭いやつだ」
リョーマ「部長・・・お久しぶりです!」
手塚「越前・・・それから竜崎。お前達、夫婦揃って変わりなさそうで何よりだな」
桜乃「ええ、おかげ様で」
大石「かつてこの青学で青春を燃やしたテニス部員の俺たちが」
リョーマ「大人になって、親になり」
手塚「その子供にテニスを教えて、母校のテニス部に入れる」
菊丸「考える事はみんな一緒だな、なあおチビ!」
昔の仲間が集まったので、ついつい昔のアダ名が出てしまった菊丸である。
リョーマ「え、ええ、まあ・・・」
何故かここで言葉を濁すリョーマであった。
談笑する男たち四人を遠巻きに見つめる子供たち。
リョーヘイ「か、母さん・・・。つまり、この人たちが・・・!」
桜夜「お父さんと共に、伝説を作った・・・!」
桜乃「『彼ら』を語らずしてレジェンド世代を語るなかれ! そう、いつでも伝説の中心にいた、あの人たちこそ・・・」
手塚「俺が部長だ!!」
大石「俺が副部長!!」
菊丸「そして俺と大石でダブルスの名手、ゴールデンペア!」
リョーマ「俺は・・・誰が呼んだかスーパールーキー、テニスの王子様! なんてね」
四人「俺たちが、青学メンバーだ!!」
子供たち「わー!!(パチパチパチ)」
桜乃「本当はあと五人いるんだけどね♡」
菊丸は手塚たちに娘たちを紹介、さらに娘たちに青学メンバーを紹介する。いつしかレオとリブラは一同に見せるように、ラケットの素振りやら試し打ちやらを始めた。その様子を遠巻きに見ていたリョーマに、リョーヘイが尋ねる。
リョーヘイ「・・・父さん、今日、車で来た?」
リョーマ「ああ」
リョーヘイ「車には確か、ラケットとウェアが二人分、積んであったよね・・・?」
リョーマ「だな。・・・何考えてるお前!? まさか・・・」
桜夜「リョーヘイも、同じこと考えていたの?」
リョーヘイ「桜夜も? さっすが僕たち双子!」
双子は意を決して、菊丸の娘たちに話しかけた。
リョーヘイ「レオちゃんとリブラちゃんだっけ? もしよかったら僕たちと・・・」
桜夜「今から試合してください! できればダブルスで!」
つづく
唐突に始まった子供たちのエキシビションマッチ! 敵は強いぞ越前姉弟! お手並み拝見菊丸姉妹! そして子供達以上に盛り上がる親たち! 次回「越前姉弟vs菊丸姉妹」お楽しみに!