テニプリkids!〜王子様25years after〜 作:ハネ太郎
反撃を開始した越前リョーヘイ&竜崎桜夜ペア。その行く末を固唾を呑んで見守っていた越前・竜崎夫妻は、自分たちの末の娘・可南子がいないことに気付いた。
桜乃「あ、いたいた、可南子ちゃーん!」
なんのことはない、すぐ近くの木の陰に隠れていた。
桜乃「カナちゃん、お母さんのところにおいで・・・」
しかし、お母さんが近づくと、可南子は全力で逃げ出した!
桜乃「か、カナちゃん!?(汗)」
かなこ は にげだした! しかし まわりこまれて しまった!
先回りしたリョーマお父さんにあっさり捕まった。
リョーマ「どうしたの、カナちゃん。お母さんが呼んでるよ?」
可南子「・・・お母さん、いま、お仕事してるの」
緊張した表情で答える娘。
リョーマ「・・・え? あ、そうか! 桜乃、その白衣脱げ!」
桜乃「え、え!?」
リョーマ「お仕事してるときのお母さん、怖いもんなぁ。邪魔しちゃいけないよな」
可南子「うん」
桜乃「そ、そんなに・・・!?」
リョーマ「自覚なかったのかよ」
岸田「そりゃお医者さんだもんね、手元が狂ったりしたら大ごとだもん、周囲への態度も自然と厳しくなるよ」
桜乃は慌てて白衣を脱ぎ捨てた。
桜乃「ほ、ほら、可南子ちゃん。お母さんお仕事終わったから、もう大丈夫よ」
途端に表情が緩み、お母さんに抱かれる可南子。
リョーマ「上の子二人が小さい頃、お母さんの仕事中もまとわりついて来たのとは対照的だな」
手塚「賢い娘さんじゃないか」
リョーマ「いやあ、賢すぎて親としては恐ろしいほどですよ、ははは・・・」
口ではそう言いつつも、しっかりドヤ顔しているお父さんであった。
ダブルブロックを警戒して、キクマル・ランチャーを出せなくなった菊丸ペア。しかし、彼女たちの凄さはこれだけではなかった。
今度は越前ペアの反撃の番だ。何度目かの打ち合いのあと、桜夜が低い姿勢からショット!
桜夜「ブロッサムレイン!」
ちなみに技の名前は完全にフィーリング、語感だけで決めている。「バンドとかの名前と同じじゃないか」とお父さんに突っ込まれるオマケ付き。
いずれにせよ、桜夜渾身の一撃は、
リブラ「イノセント・ウォール!」
リブラの防御技の前に、あえなく玉砕。
リョーヘイ「スターダスト・アベニュー!」
弾かれたボールをリョーヘイがすかさず拾って打つも、
リブラ「イノセント・ウォール!」
やっぱり跳ね返された。
大石「最強の鉾(レオ)に最強の盾(リブラ)か。英二、ある意味お前さんらしい、単純にして明快なコンセプトだな」
菊丸「単純なのが一番手ごわいんだぜ! このまま守り勝つ!」
しかし双子は怯まない。
リョーヘイ「フォーメーション、
桜夜「オーケイ!」
双子はまた陣形を変化させる。桜夜が前衛、リョーヘイが後衛になった。
大石「菊丸姉妹は姉が攻撃役、妹が防御役。役割分担がはっきりしている」
岸田「それに対して越前さんとこは、時と場合に応じて役割が入れ替わる。何から何まで対照的だね、いやあ目が離せない」
さらなる打ち合いのあと、自陣に落下したボールを捉えんと、ネットギリギリのラインまで接近する桜夜。すかさずイノセント・ウォールで防御せんとするリブラ。前衛同士、他に類を見ないほどの至近距離。
桜夜「インパクトボム!」
リブラのラケットめがけて衝撃的なショットを叩きつける。跳ね返されたがそれも計算のうち。大きく宙を舞うボール、そこへ後方から大ジャンプしたリョーヘイが、
リョーヘイ「ミーティアー!」
振り下ろす強烈スマッシュ。見事、姉妹の間隙を突き、得点。双子の勝ちパターンのひとつだ。
双子の猛攻は止まらない。
桜夜「リョーヘイ、今度は
リョーヘイ「え、あれ!? 大丈夫かな・・・? まだ実戦では使った覚えないよ」
桜夜「だからじゃない。何事もチャレンジよ」
リョーヘイ「・・・フォーメーション変更、Qの01」
桜夜「そうそう、そうやって話が分かるから好きよリョーヘイ♡」
リョーヘイ「調子いいんだから」
今度はリョーヘイが前衛、桜夜が後衛になった。
レオ「まだ何かやる気なの!?」
リブラ「もうヤダよ〜カンベンしてよ〜!」
菊丸「諦めるな、折れるな! 心が折れたら終わりだぞ!(汗)」
とはいえ辟易しているのは英二お父さんも同じだった。
桜夜のサーブをレオが撃ち返した、次の瞬間。リョーヘイが不思議な動きを見せた。向かってくるボールを打つのではなく、手にしたラケットをコツンと
桜乃「り、リョーマくん、あ、あれ!」
双子の技にいち早く反応したのは桜乃だった。
リョーマ「・・・ああ、間違いない。あれは・・・俺たちの技だ! アイツら、どこでアレを知ったんだ!?」
血相を変える二人。
手塚「どういう事だ? お前が教えたんじゃないのか?」
リョーマ「いや、教えた覚えがないから驚いてんスよ」
我ながら間抜けな質問をしてしまったと、軽く自己嫌悪に陥る手塚であった。
リョーマ「先輩がたはもう卒業しちゃった後だから、知らないですかね。俺たちが二年と三年のころ、ミックスダブルス大会がありまして。何故か、俺と桜乃が組んで出る事になっちまったんです」
桜乃「でも、私の実力じゃ、普通にやっていては彼の足を引っ張るだけ・・・そこで苦肉の策として考え出したのが、あれなんです」
リョーマ「桜乃を前衛に置いて、ひたすら妨害に徹しさせる。今、リョーヘイがやってるように、相手が打ってきた球にラケットを当てて失速させる」
桜乃「それをリョーマくんがすかさず拾って打つ。桜夜ちゃんがやってるみたいに」
大石「予測不能の反撃が飛んでくるのだから、実際やられた方はたまったもんじゃないな・・・」
リョーマ「この作戦は見事に図に当たり、結局優勝までしちまったんだよな、桜乃」
桜乃「・・・それは翌年の話だよ」
リョーマ「あれ!?」
桜乃「最初の年は・・・途中まで勝ち進んでたのに、私が怪我をしちゃって・・・パートナーをチェンジする選択肢もあったのに、あなたが出した結論は・・・棄権」
ー 回想シーン ー
桜乃(少女)「ごめんなさい・・・せっかく、勝ち進んでたのに、私のせいで・・・」
リョーマ(少年)「別にお前のせいじゃねぇよ桜乃、落ち着け!」
ライバル「やめちゃうのか? 優勝候補だったのにな、残念だなぁ」
リョーマ「・・・あんなトロフィーのひとつやふたつ、くれてやるよ。欲しけりゃ勝手に取れば?」
桜乃「!」
リョーマ「・・・そう。優勝なんかいつでもできるんだよ、俺たちは!・・・でも、それはお前がいなけりゃ何にもならない、他のやつがパートナーじゃダメなんだ」
桜乃「・・・・・!」
言葉もなく、ただ涙を流す桜乃。
リョーマ「俺たち、最強だったじゃん、なあ。次やっても、誰が相手でも、お前となら勝てる。そう、思わせてくれて・・・さんきゅ。だから、今は自分を責めてないで・・・怪我を治すことだけ考えろ。治ったら、また、ダブルスしような」
ー 回想終わり ー
桜乃「私は悔しくて悲しくて、いっぱい泣いたけど、あなたはそんな私を必死に、優しく、力強く抱きしめて、慰めてくれたのよ・・・」
リョーマ「・・・お前、よくそんな細かいこと憶えてるなぁ(苦笑)」
桜乃「忘れないわよ、あなたとの事だもの」
大石「やれやれ・・・見せつけてくれちゃって。スポーツ界屈指のオシドリ夫婦は、一日にしてならず、か・・・」
夫妻は、ひどく赤面した。
そして試合は終わった。
リョーヘイ「まだまだだねっ☆」
桜夜「まだまだだよっ♡」
父から受け継いだキメ台詞をアレンジし、高らかに勝利を謳い上げる双子。
桜乃「わーい、勝った勝った〜♡」
可南子「わーい」
リョーマ「まあ結果的にですが、親のカタキを子供たちで取らせてもらいました。どうスか先輩方?」
手塚「むう・・・見事だ」
大石「言葉も出ないね、恐れ入った。なあ英二?」
菊丸「くっ・・・完敗だ。流石は・・・リョーマの子供だ」
レオ「やっぱり世界は広かったのね・・・・くくっ」
リブラ「でも全力で戦えて楽しかった〜♪」
岸田「いやあお見事、お見事。菊丸姉妹、敗れたりとはいえ完成度の高いダブルスを見せてもらった。うちの新戦力として申し分ないよ、即レギュラーも夢じゃないね」
菊丸姉妹「やったあ!」
桜夜「先生、私は〜?」
岸田「もちろん桜夜ちゃんも強いのはわかったよ。でもね・・・少なくとも学校の部活動やその大会で、姉弟ダブルスが活躍する機会は、今後中々ないんじゃないかな〜? だって男女別だもんね、テニス部」
桜夜「ガ~ン!」
リョーヘイ「そういうオチかー!」
翠子「我が青学女子テニス部は、皆さんを歓迎します」
桜夜「レオちゃん、リブラちゃん、そして部長、これから一緒に頑張りましょう!」
翠子「・・・もちろんリョーヘイくんも。今日から仲間ですよ♡」
女子テニス部部長・手塚翠子と共に、コートの中央で円陣を組む、菊丸レオ、菊丸リブラ、竜崎桜夜、そして越前リョーヘイ。
翠子「我ら、この日、この時、この地に集いし、運命に導かれし、レジェンドの子ら! 父母より受け継ぎし縁でもって、今ここに新たなる絆を結ばんとす!」
四人の少女と一人の少年は手を重ね合わせた。
翠子「生まれ育ちは異なれど、我らの思いはひとつ!」
さらにラケットをそれぞれ天に掲げ、騎士団の誓いのごとく重ね合わせた。
翠子「目指すは全国制覇、そして・・・新たなる伝説となること!」
五人「青学ー! ファイト、オー! ファイト、オー!」
越前姉弟とその仲間たちの物語は、ここから始まる。
つづく
子ども達の入学祝いに親たちの同窓会も加わり、寿司屋で盛大な宴が始まった。その席で明らかにされた、レジェンド世代の衝撃の真実とは!? 次回「レジェンドかく語りき」お楽しみに!