Fate/Grandwars 〜亜種聖杯大戦〜 作:ももももると
聖杯戦争。
それは、7人の魔術師と、
セイバー
アーチャー
ランサー
ライダー
アサシン
キャスター
バーサーカーの七基からなる英霊……サーヴァントによる、万能の願望器 聖杯を奪い合う血塗られた戦争。
そして、その聖杯を求め、今回の聖杯戦争の地 秋本市へと"兆し"を得た魔術師が開戦の時を今か今かと待っていた……
◇◆◇◆◇◆◇◆
「マジでなんでもあるなこの地下室……」
埃被った棚を開き、ある物が入った試験管を取り出す。
中身は水銀、あの文献に書いてある事が正しいなら、英霊召喚に必要なものだ。
英霊召喚について記された文献があるならば、それに必要な道具もあるはずだ と睨んで探し始めたが、まさか本当にあるとは思わなかった。
「で、これで魔法陣を引く……」
本に書かれていた通りに魔法陣を描く。
なんだかワクワクしてきている自分に少し嫌気が差す
「で…… 触媒? そんなもんは無いし、俺の召喚に応じてくれる英霊が来てくれる事を祈るしかないな」
用意は終わった、後は呼ぶだけ。
冬葵は魔法陣の前に立ち、静かに目を閉じる。
心は鏡面の水面の如し。落ち着かせ、邪念は捨てる。
そして、詠唱を口にする。
『素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
閉じよ
閉じよ
閉じよ
閉じよ
閉じよ
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する。
告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ ……だっけ?』
───────応答は無し。
魔法陣はうんともすんとも言わない。
「……失敗か?」
やはり無謀だった、触媒もなしに英霊を呼ぼうなんて。
そもそも自分が今からやろうとしている事は──────
諦めかけたその時、突如として魔法陣が赤い輝きを放つ。
巻き起こる風に煽られ、本や器具は散乱。片付けが一気に面倒な事になった。
「時間差かよ……!」
目も開けられない程に眩い光を放つ魔法陣から……
一人の男が姿を現した。
『───────お前がマスターか、酷い面構えだ』
白い髪に黒い肌。両手に握られた二丁拳銃。
彼が何の英霊なのかは分からないが、何処か感じる安心感。
『まぁいい、おかしなナリをしているがアーチャーだ。せいぜい上手く使え』
◇◆◇
時谷冬葵がアーチャーの召喚に成功した同刻、別の場所でも同様にサーヴァントの召喚が行われていた。
『───────アンタが新しい雇い主かい?』
魔法陣から現れるは、赤髪の女傑。顔に大きな傷を持つ彼女から投げ掛けられた問に、如何にも高級そうなスーツや時計を纏った厳格そうな男が答えた。
「その通り、我が名はランドルフ・ロメロ 貴様は█████・████だな? よくぞ我が召喚に応じてくれた」
過去の時代を生きた英雄を前にしても、男は臆すること無く淡々と答える。
「どんな厄介事かと思えば…… 聖杯戦争の駒かい となれば、まずはアンタに質問がある」
「よかろう。だが何を聞くかは分かっている 聖杯に対する願いであろう?」
「話が早いじゃないか いいねェ、そういう奴は嫌いじゃない。」
クラス ライダーに分類される英雄█████・████はニヤリと笑いながら答える。
「聖杯に対する願いなどない。 私は所謂コレクターと言うやつでね、お宝に目がない」
「なるほどねェ、聖杯を狙うのは願望叶える訳ではなく、単なるコレクションとしてって訳かい ハハハハハ!! いいじゃないか、気に入った! アンタとは上手くやれそうだ!」
「では、成立という事だな」
「あぁ、いいよクラスはライダー アンタが聖杯を手に入れられる様に、アタシも手を貸そうじゃないか!」
◆◇◆◇◆◇◆◇
〜別の場所〜
「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。」
魔法陣を前に、詠唱を唱える少女が一人。
そしてその背後には、両親と思わしき男女がその様子見守っている。
「汝、三大の言霊を纏う七天
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」
───────詠唱が終わり、魔法陣が光り輝く。
「遂に……始まるか」
「ええ、私たちの悲願はこの子に……」
『────応えよう、私は貴方のサーヴァント』
召喚陣から姿を現すは、獅子を模した頭部鎧を纏いし"騎士"。
そして身体程の大きさのある"聖槍"を携え、少女の召喚に応じた英霊のクラスは直ぐに見て取れた。
「クラスはランサー……?」
「ええ、貴方がマスターですね?」
「そうよ、私は────。」
「─────、良い名前ですね 少しの間ですが、よろしくお願いいたします」
「よくやった」
ずっと背後から見守っていた父親らしき男が、拍手と共に少女の元へと近寄り、声をかける。
「ありがとうございますお父様 これもお父様が用意してくれた触媒のお陰です」
「"ロンゴミニアド"、カムランの丘にて叛逆の騎士モードレッドとの戦いで使用したとされる聖槍…… 全てはお前をこの聖杯戦争で勝たせる為だ つまり、わかっているな?」
「……はい、聖杯は…… 必ず」
「よろしい 始まりは近い、戦いに備えろ 我が娘よ」
「はい、お父様」
◇◆◇◆◇◆◇◆
今回の聖杯戦争の地、秋本市の南側に聳え立つ岸慶山。
次々と間もなく始まるであろう聖杯戦争へと備えサーヴァントが召喚される中、その山奥に聳え立つ屋敷では、七騎目の最後のクラス キャスターが召喚された。
『召喚に応じ参上した、クラスは…… キャスターだ』
「ほっほっほ、これまた驚いたのぉ」
サーヴァント召喚の為自らが用意した召喚陣の前で、老人は、召喚陣から現れたサーヴァントを見て愉快そうに笑った。
「ケルト神話の英雄……██・████。 よもやキャスターで現界するとはな」
『どうやらこのクラスしか空いてなかったみたいでな、もっと早く召喚してくれれば自慢の槍と共に力を貸してやったんだが…… まぁ今回は勘弁してくれ』
キャスターの男は笑いながらそう言うと、役目を終えて光の消えた召喚陣のあった場所の上へと腰を掛けた。
「まさかお主程の英霊が儂に力を貸してくれるとはの」
『俺も正直 召喚に応えるかは悩んだぜ? だが、今回の聖杯戦争、どうもきな臭いんでな 特例だ。』
キャスターの男は笑いながらそう言うと、改めて向き直り、問答を目の前の老人へと行う
『で、俺は何をすればいい? 俺は令呪がある限りアンタとは主従関係だ 望むなら今すぐにでも他のマスターに……』
「静観だ」
『……』
「儂らから動く必要はない」
『まぁ、そうかい。俺のマスターであるアンタがそう言うなら暫くは静観という風にしておこう。だが、折角このクラスで現界したんだ、虫一匹入れないように屋敷の辺りに細工しといてやる』
そう言うと、キャスターは立ち上がって屋敷の外へと歩き始めた。
そんなキャスターの背中を見ながら、老人は呟く。
「キナ臭いか、儂もそれは同感じゃ。何故、聖杯が縁もゆかりも無いこの地を選んだのか……」