~side コウキ~
すずかからの提案で、外でお茶会を開くことになった。
外って言っても、すずかの屋敷の敷地内、というか、家の前なんだけど。周りは丁寧に手入れされた芝生で覆われており、俺達が今居る位置は、庭にある道が一箇所に集まる場所だ。
……なぜわざわざ移動したし。こんな広い庭のど真ん中でお茶会とかシュールすぎるわ。
あと、周りに猫が異常なほどたくさん居る。すずかが猫好きなのは知ってたけどよ、この数はすげえわ。ざっと十以上は居るんじゃね?
「相変わらず、すずかの家は猫天国よねえ」
「えへへ……」
「猫天国に変わりは無いが、猫アレルギーとか持ってたら死ねる」
「た、確かに……。にゃはは」
きっとクシャミとかあらゆるものが止まらなくなるんだろうな……。考えただけでも恐ろしい。
「まあ、猫が可愛いことは認めるけどな」
「うん……、でも、里親が決まってる子も居るから、お別れもしなきゃいけないんだけどね……」
「そっか……、なんか寂しいね……」
いかにもなのはが言いそうなセリフが返ってきた。俺はその言葉をなのはが言うことを予想していましたよ。
ちなみに、さっきからユーノはぐったりしている。何故かって? 俺が『全身雑巾絞りの刑』を処したからだ。コーヒーを無駄にしようとした罪は大きい。
さすがになのは達に
「やめたげてよぉ!!」
と涙目で言われたので、若干痛いぐらいにしたけど。まあそれでも、ユーノからすればかなり恐かったんだろう。アレは多分泣いてたね!
「さて、ちょっと俺その辺うろうろしてきていい? なんか探検したくなった」
「アンタは子供か」
「いや子供ですけど」
本当はお茶会に退屈してきただけなんだけどね。まあ、ちょっと探検したいことに変わりはないけど。
とにかく、アリサのツッコミを適当に流し、俺は庭を散策することに。
「つっても、すずかの家の庭なんてあまり知らないしなあ……」
そりゃそうだ。逆に、俺がすずかの家の庭について色々知ってたら、多分ストーカーか何かかと思われるに違いない。
さてどうしようかとしばらく歩いていると、一匹の鈴の付いた首輪を付けた猫が俺の足元を通り抜けていった。
なんだアイツ? ネズミでも見つけたか?
「……まあ、暇つぶしにはなりそうだ」
とりあえず、俺はその猫の跡を追うことにした。
~side コウキ 了~
魔法少女リリカルなのは ~凡人奮闘記~
第10話 「出会い②」
~side なのは~
コウキ君が探検に行ってしまったので、私達は三人でゆったりと紅茶を飲む。アリサちゃんとすずかちゃんはさっきから猫に夢中です。
それにしても、コウキ君って本当に自由っていうか何というか……、常にマイペースだよね。アリサちゃんがコウキ君にツッコミを入れてる所しか見たことないもん。
……まあ、それがコウキ君で、別に嫌だとかそういうのじゃない。むしろ……。
……コウキ君、どこ行ったのかな?
「やっぱり、私はこの子猫達が大きくなっていくのは嬉しいな」
「……そうなんだ」
お母さんが自分の子供の成長を見るのが嬉しいのと一緒なのかな?
すずかちゃん、なんだかこの子猫達のお母さんみたい。
「……それにしても、ユーノ君、大丈夫?」
「…………」
「……返事がないわね」
「うん……」
(くっそう。コウキの奴、無茶苦茶だよ……)
念話でユーノ君が愚痴を零す。でも、念話だったらコウキ君にも聞こえちゃうんじゃ?
にゃはは、とにかく大丈夫じゃないみたい。
自分の席に座り直し、残っていたお茶を飲み干す。ふうっと一息ついた、その時。
ジュエルシードの気配が突然現れた。
「ッ!!」
(なのは!)
この感じ……。
多分、すずかちゃんの家の庭からだ……!
(ど、どうしよう?)
(僕に任せて!)
ユーノ君が急にジュエルシードの気配がする方向へ走り出しました。これは多分、ユーノ君を探すっていう理由で抜け出して、ってことなのかな?
「ユーノ、どうかしたの?」
「さ、さあ……? ユーノ君、何か見つけたのかも」
「何かって?」
「う、うーん……、……ゴミ、とか?」
「「…………」」
ごめんユーノ君! 変な嘘ついちゃった!
「そ、そういう訳だから、ちょっと探してくるね!」
「「いってらっしゃい」」
ゴミという発言のおかげか、アリサちゃん達が付いてくることはありませんでした。
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「結界魔法は僕の得意分野だから任せて!!」
とユーノ君が言ったので、素直に任せます。さすがにこのまま封印はできないよね。アリサちゃん達にバレちゃう。
結界魔法っていうのは、結界を張った内部と外部の時間経過をズラす魔法らしいです。外からは中の様子は分からないとかなんとか。
結界も張り終え、しばらくすると、突然森の奥から光が漏れてきました。ずいぶんと大きいです。
「あれ何かな?」
「さ、さあ?」
とりあえず身構える。前みたいなお犬さんかもしれないし。
けど、私が予想していたのとは全然違いました。
「にゃ~」
「「…………」」
現れたのは、猫。それもただの猫ではなく、とてつもなく大きな猫。周りに立ってる木よりももっと大きい。
「え、えーと……。ユーノ君、どうする?」
「そ、そうだね。とりあえず、このままっていうのもダメだから、封印を「ヒャッハアアアアアアッ!!」って今度は何!?」
なんか猫の上からよーく聞き覚えのある声が……。分かりたくないけど、分かっちゃった。
「……コウキ君?」
「ライド・オンッッ!! ってなのはか」
コウキ君はこちらに気づくと、優雅に手を振ってきました。
何故かコウキ君は猫の上に乗っていて、さっきから一人テンションが上がってる。私としては、どうしてそうなったのかを今すぐ聞きたいんだけど。
「って! コウキ君! 何してるの!? 早く降りてきて!!」
「こんな高さから降りたら間違いなく死にます」
じゃあなんで登ってるの!?
「と、とにかく! レイジングハート!!」
レイジングハートを呼ぶ。この子猫自体はあまり害はなさそうなので、とりあえずジュエルシードの封印を……。
「うおっ!? なんだ!?」
「えっ……?」
突然、背後から一つの魔力弾が飛んできました。それは私を狙ったんじゃなくて、あの大きな猫を狙っています。もちろん私が撃ったものではありません。
その魔力弾は猫に直撃して、猫は痛そうな声を上げています。
あとコウキ君もびっくりしてます。
「バルディッシュ、フォトン・ランサー」
後ろを振り返ると、そこには金髪のとても綺麗な、でもなんだかとても寂しそうな目をした女の子が、木の上に立っていました。
~side なのは 了~
フェイト登場。
どうも、冬の目です。
本当はもう少し話を進めるつもりでしたが、ちょっとキリがいいのでここまで。
では、また次回!