~side --~
「『バルディッシュ』、フォトンランサー」
(Photon lancer. Full auto fire.)
金髪の少女は、コウキが乗っている巨大な猫へと再び魔力弾を放つ。先程は一発だけだったが、今度は違う。幾つもの電撃が猫へと迫る。なのはとユーノは咄嗟の事により、反応出来ない。
「コウキ君! 危ないッ!!」
なのはが叫ぶが、避けるにはあまりにも時間が足りない。思わず目を閉じてしまう。
猫に直撃するかと思われた、その時。
「ラウンドシールド!」
「……えっ!?」
『紫色』の魔力光が魔方陣を展開。少女から放たれた魔力弾と相殺した。
シールドを展開したのは、なんと猫の上に乗っているコウキだった。
魔法少女リリカルなのは ~凡人奮闘記~
第11話 「出会い③」
「コウキ君!? 魔法使えたの!?」
「……この前、ユーノから教えてもらってな」
街に被害が及んだ前回の事件の後、コウキは一つでも魔法を覚えようと、ユーノに相談を持ちかけていた。そこで、ユーノから「まずは自衛の為の魔法が大切だよ」と言われ、シールドの魔法を教えてもらっていたのだ。
コウキ自身、魔法が使えないわけではない。
「でも、今の攻撃……。もしかして、新たな魔法使い……!?」
「驚くのは後だユーノ! なのは! とにかくレイジングハートを頼む!」
「う、うん!! レイジングハート、お願い!」
(Stand by ready. Set up.)
なのはが光に包まれ、バリアジャケットを身に纏う。
(Flier fin.)
なのはの靴から羽が生え、宙に浮く。なのはが持つ飛行魔法の一つである。
幾つものジュエルシードを封印してきたなのはは、既にあらゆる魔法を覚えていた。確かに、レイジングハートという有能なデバイスがあってこそだが、こうも簡単に飛行魔法を操るあたり、なのはの才能が伺える。
(Wide area protection.)
再び襲ってきた魔力弾に対し、猫の前に立ったなのはが自身の防御魔法で相殺する。
「……二人の魔導師……」
少女は少し驚くも、すぐにまた攻撃態勢に戻る。今度は猫の足元に一発、魔力弾を放つ。
「ニャッ!!」
「うおっ!?」
体制を崩した巨大な猫はそのまま木をなぎ倒しながら、盛大に倒れた。
「コウキ君!! 大丈夫!?」
「……まあ、なんとかな……」
猫に乗っていたコウキも倒れたが、幸いにも木に捕まっており、無事だった。
少女はこちらに接近、なのはの正面にある木の枝に降り立つ。対し、なのははレイジングハートを構えた。
「……同系の『魔導師』……」
「えっ?」
「『ロストロギア』の探索者……」
冷めた目でなのはを見下ろし、独り言のように少女が呟いた。
「……どういうことです?」
そして、状況を掴みきれていない少年が一人。
そこでユーノが解説に入った。
「……間違いなく、僕と同じ世界の住人だよ」
「つまり、魔法使いってことか?」
「そう。それに、ジュエルシードの正体も知ってるみたいだ……!」
ユーノとコウキが話している間も、なのはと少女は睨み合い、動かない。
やがて、少女が動く。
「バルディッシュ」
(Yes sir. Scythe form.)
『バルディッシュ』と呼ばれた少女のデバイスが、斧から鎌へと変形する。先端に、金色の魔力光が刃を形成している。
「申し訳ないけど、頂いていきます」
「っ!?」
少女はなのはに接近、相手を斬る体制に入る。
「えっ? 頂いていく(意味深)?」
残念ながら、漫才をしている暇は無い。レイジングハートが咄嗟に飛行魔法を発動。なのはは少女が繰り出した横一閃を何とか避けた。
だが、少女は手を休めない。
(Arc saver.)
なのはに魔力刃を飛ばす。
対し、なのはは『プロテクション』を発動。そして上に回避する。
しかし、少女はそれを読んでいたのか、なのはに急接近。バルディッシュを振り下ろした。
「くうっ!!」
咄嗟にレイジングハートで、なのははなんとか少女の攻撃を受け止めた。
「どうして、いきなりこんな……!!」
なのはは訴える。
どうして、攻撃するのか。
どうして、ジュエルシードを集めているのか。
しかし。
「答えても、意味は無いから……」
「っ!!」
少女は拒絶する。
二人は一度距離を離し、お互いのデバイスを向け合う。
位置は先程と同じ、猫を庇うなのはと、木の枝に乗る少女。
(Device mode. 『Photon Lancer』 Get set.)
(Shooting mode. 『Dvine Buster』 Stand by.)
共に攻撃態勢に入る。が。
「にゃああ……」
「あっ……」
突如目を覚ました猫に、なのはは気を取られてしまった。なのはに隙が生まれる。
そして、少女はそれを見逃さなかった。
「…………ごめんね」
(Fire.)
少女は一言呟き、そしてなのはに魔力弾を撃ち出した。
「しまっ……!!」
魔力弾がなのはに迫る。猫に気を取られていたなのはは、反応に遅れてしまう。
避けることも、防ぐことも出来ない。
そして、直撃するかと思われたが。
「再びッ! ラウンドシールドッ!!」
なのはの前に立ったコウキが魔力弾を防いだ。
「コウキ君!!」
「空中戦じゃあ、俺は全く干渉できないからな……。さっきまで空気でした」
「そ、そうなんだ……」
「そうです。……っとまあ、今はそれよりも」
コウキはなのはとの会話を中断し、少女に向きなおす。
しばし睨み合いが続き、沈黙が流れた。
やがて、ため息を一つついて、コウキが口を開いた。
「あの猫のジュエルシードは、お前にやるよ」
「えっ…………?」
コウキの発言に、少女は思わず目を丸くする。
さらに、味方からも講義の声が上がった。
「ちょっ、コウキ!? 何を考えてるんだ!?」
「急にどうしたの!?」
「……まあ聞けよ」
腰に手を当て、何故か得意気な様子でコウキが話し始めた。
「なのはが勝てない相手に、ユーノが勝てるのか?」
「そ、それは……」
「さっきの一撃が当たってたら、完全になのはもKOされてたよな?」
「に、にゃああ……」
「それに、まあまず俺は勝てないから」
それは胸を張って言えることなの? とユーノはツッコみたくなったが、あえて言わなかった。
「ここは素直に負けを認めて、平和にいきましょうや」
「で、でも……!」
一通り説明が終わったところで、まだなのはは不満そうだった。
しかし、コウキはニヤリと笑みを浮かべる。
「……なのは、アイツもジュエルシードを追ってるんだろ?」
「え? う、うん。多分……」
「だったら……」
嫌な笑みを浮かべたまま、コウキは少女を見上げた。
「今度出会った時に、アイツをぶっ飛ばしてやればいい」
((け、ケンカ売ってるーーーーー!?))
自分の戦いじゃないので、この男、どこまでも無責任である。言い換えれば外道である。
「………………」
しかし、少女はそんなコウキのウザい顔もお構いなしに猫の元へ行き、ジュエルシードの封印をする。
そしてなのはをしばらく見た後、どこかへと飛んでいってしまった。
「…………ふう」
コウキはゆっくりと緊張を解く。なのはも疲れたのか、ぐったりとしていた。
「なのはでさえも敵わない相手か……」
さて、どうしたもんかねと、コウキはまた嘆息した。
~side -- 了~
しかし、戦闘模写って難しいねw
どうも、冬の目です。
謎の少女……、一体何テスタロッサなんだ……!?
では、また次回!