~side コウキ~
上空に、桃色と金色の光が交差する。
光が見えるだけで、俺には二人の姿は確認出来なかった。
それに、そんなことに思考をめぐらせている暇は、今の俺にはない。
「ハアアアァッ!!」
「うお……っ!」
アルフからの猛攻をギリギリで避ける。
幸いにもアルフの攻撃は直線的なので、攻撃の初動を見てからでも何とかなる。
バリアジャケットを纏っていない俺がアイツの攻撃を受けたら……、おそらくなのはの比ではないダメージを受けるだろう。
考えるだけで、冷や汗が出る。
「今回は逃がさないよ!! 確実に仕留めてやる!!」
「こえーよ!! 殺す気ですかアンタは!!」
口ではぶつくさ言いつつも、俺は必死にアルフの攻撃に含まれる『隙』を探す。
戦いが始まって五分が経とうとしていた。
魔法少女リリカルなのは ~凡人奮闘記~
第15話 「攻撃魔法」
アルフはどういうわけか接近戦しかしてこない。
使い魔として、敵を引き付けるのが目的なので、もともと射撃を練習していないのかもしれないが、とにかく俺にとっては好都合だ。
……正直、今の俺だと距離を取られるだけで詰むからな。
(コウキ!! 大丈夫!?)
何度目か分からない数のアルフの攻撃を防いでいると、ユーノから念話が飛んできた。
アイツには、結界の管理をやってもらっている。
(今のところは大丈夫。けど、このままじゃあジリ貧だな……)
(何とかして、攻撃を当てられればいいんだけどね……)
……正直、攻撃を当てたとしても、ただのパンチじゃ意味がない。
なにせ、相手は人じゃない。一人分の力だけじゃロクなダメージは与えられないだろう。
(ユーノ、少しアルフを引き付けてくれないか?)
(えっ? どうして?)
(たまにはお前が相手しろよ)
(ええ!?)
(……冗談だ。少し考えがある)
じゃあどうするか。
ユーノの話によると、『魔力ダメージ』と『物理ダメージ』ってのがあるらしい。
『魔力ダメージ』とは、名のごとく魔法弾などで与えるダメージのことで、なのはの『ディバインバスター』がそれだ。
対して『物理ダメージ』ってのは、殴ったり蹴ったりして与えるダメージのことで、これはまあよくあるものだ。
俺は魔法弾を作ることは出来ても、撃つことはできない。つまり今までは『物理ダメージ』のみだったのだが……。
俺の物理攻撃に『魔力ダメージ』を付加させることができれば……。
(とりあえず、ユーノはアルフの動きを一瞬でも止めてくれればいい)
(……分かった!!)
「おりゃああぁぁぁッ!!」
ーーーーーパリンッ!
ユーノとの念話を終わらせた、その瞬間。
アルフが俺のシールドを破った。
「ッ!? しまっ……!!」
「コウキッ!!」
ユーノの声も空しく、俺に向かってアルフが突っ込んできた。
「ガッ……! ッハ……ッ!!」
アルフのタックルは俺の腹に直撃。あまりの勢いに呼吸が出来ない。
そのまま俺は後方に吹っ飛び、ビルに突っ込みそうになる、が。
「ハアアァッ!!」
ユーノの魔法により、俺の身体がビルに突っ込む前に静止する。
「コウキ!! 大丈夫!?」
「……大丈夫、じゃない……。すげえ痛い……」
ユーノの魔法から開放されるも、あまりの痛みに立てなかった。
地面に膝を付き、荒く呼吸を繰り返す。腹を手で擦りながら、前を睨む。
向こうには、人間モードに戻ったアルフが、余裕の表情でこちらに向かってきていた。
「はぁ……、やっと割れたよ。アンタのシールド」
「…………」
「そんなちっぽけな魔力量のわりには、なかなかしぶとかったよ」
「……そりゃどうも」
ゆっくりとアルフがこちらに歩いてくる。その度に、俺との距離が縮まる。
……残り5、4、3、2……。
「「今だああああぁぁぁッッ!!」」
「えっ!?」
ユーノは拘束魔法である『バインド』をアルフにかけ、俺はなのはの『アクセルシューター』と同等の魔力弾を一つ、右手の前に生成する。
なのはと違い、今の俺では一つ作るのに精一杯だ。
ユーノのバインドは油断していたアルフを捕らえ、アルフの動きを封じる。
「な……ッ!? アンタ達、始めから仕組んでたのかい!?」
「……お前のタックルを受けるつもりなんてなかったけどな」
右手の前にある魔力弾の魔力密度を高めていく。
正確にはしばらく魔力弾を維持出来るようにする、と言ったほうが正しいのだが。
「コウキ早く! そこまで長い間持たないよ!!」
魔力弾の生成も終わり、アルフに向かって駆け出した、が。
「はああぁぁぁぁ!!」
「うわあ!!」
アルフは力任せにユーノのバインドを引きちぎってしまった。
俺はアルフに向かって右手を振り上げる。
「ラウンドシールド!!」
回避は間に合わないと見たか、アルフはシールドを展開する。
俺の拳が届く寸前、ギリギリでアルフのシールドが間に合った。
バチッっと、魔力がぶつかり合う音が響く。
「あはは! 遅かったねぇ!! たかがパンチ一つでシールドは破けないんじゃないかい?」
「うおおおぉぉぉ……ッ!!」
しかし、均衡は一瞬だった。
「いっけえええええぇぇぇぇぇぇッ!!」
「ガッ……!!」
アルフのシールドを破り、そのまま拳がアルフの頬に吸い込まれた。
モロに攻撃を受けたアルフは、そのまま後ろに飛び、地面を転がる。
『アクセルシューター』を腕に付加させて、パンチに『魔力ダメージ』と『物理ダメージ』の両方を生み出す、俺のオリジナル技。
名付けて……。
「『ダイレクトアクセル』。さっきのお返しだこの狼女」
「コウキ!! 油断しちゃダメだ! いつ襲ってくるか分からないよ!!」
「……分かってるって。今決め台詞吐いてたんだから、空気読めよ……」
とにかく、このまま余韻に浸っている暇はない。
さっさとジュエルシードを封印しなければ。
「ユーノ、ジュエルシードを「ハアアアァァァッ!!」ッ!?」
とっさに声の向きにシールドを展開する。
瞬間、アルフの拳がシールドにぶつかった。
「っぶねえな!!」
「アンタ達みたいな甘ちゃんに、負けてなんかいられないんだよッ!!」
バチッという音と共に、アルフとの距離を一度空ける。
「フェイト!! はやくジュエルシードをッ!!」
「なッ!?」
「そんな甘ちゃん達となんて、何も話す事なんてない!!」
なのはと向かい合っていたフェイトはハッと我に返ったように、なのはを無視してジュエルシードの元へと向かう。
「なのはッ!! 追いかけろ!」
「う、うん!!」
フェイトに続き、なのはもジュエルシードの元へと急ぐ。
俺のスピードじゃあ、フェイトには追いつけない。だから必然的になのはに頼るしかないのだが……。
「間に合ったか!?」
フェイトのバルディッシュとなのはのレイジングハートがほぼ同時にジュエルシードに触れた、その時。
ジュエルシードから発せられた『キイィィィィィィンッ!!』 と、耳を突き抜けるような音と共に。
「ぐうぅぅぅ!?」
物凄い爆風が、俺達を襲った。
皆さん、明けましておめでとうございます!
どうも、冬の目です。
更新サボっておいておめでとうも何もないのですがw
今年ものんびりと続けていけたらなぁ、と思います。
そんなわけで、今年もよろしくお願いします。
では、また次回!