魔法少女リリカルなのは 〜凡人奮闘記〜   作:冬の目

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第17話 「仲介」

~side --~

 

 

 

 

何もない空間。

空も、海も、大地さえない空間に、大きな戦艦のようなものが一隻、静かに浮いていた。

 

 

「第47管理外世界『地球』……。そこで次元震があったわ」

 

 

艦内の一際大きな空間で、モニタを見ながら中央の席に座っている緑色の髪をした女性が話す。傍らには、まだ幼いと言える少年が静かに佇んでいた。

 

 

「艦長、この二人はどうしましょう?」

 

 

少年が『艦長』と呼ぶ女性に、モニタを指差しながら訪ねる。

モニタには、それぞれバリアジャケットを身につけているなのはとフェイトが映っていた。

そして、その隣に、小さくコウキも映っている。

 

 

「ちゃんと見てないからよく分からないけど、二人とも相当魔力量があるはずよ。ぜひ我が『アースラ』の一員として引き入れたい所だけど……」

 

緑髪の女性は一つ嘆息をし、そして苦笑しながら続ける。

 

 

「まずは二人の確保が優先。そのときはクロノ、頼んだわよ」

 

「任せて下さい」

 

 

クロノと呼ばれた少年が、手にカードを持ちながら平然と答える。

 

 

「僕は、そのためにここに居るんだから」

 

「ふふっ、そうねぇ。……ところでクロノ?」

 

 

女性はモニタにコウキを大きく映し出し、興味深そうにそれを眺める。

 

 

「彼のこと、どう思うかしら?」

 

「コイツですか?」

 

「ええ」

 

 

クロノは一瞬考えるも、すぐにふぅっと息を吐いて淡々と答えた。

 

 

「ただの魔力量の少ない少年だと思いますけど?」

 

「そうねぇ。私もそう思ってたんだけど……、これを見て」

 

 

次にモニタに映し出されたのは、先日コウキがジュエルシードの暴走を止めた時の映像。

クロノももうすでに見ているので、ただ首をかしげるだけだ。

 

 

「この時、実はジュエルシードの暴走は止まってなんかなかったわ。後から分かったことだけどね」

 

「え? でも魔力の奔流は完全に止まってましたよ?」

 

「ええ、魔力の奔流『だけ』が完全に止まっているわ」

 

 

今だに首をかしげるクロノに嘆息しつつ、女性は言葉を続ける。

 

 

「つまり、ジュエルシードを力で抑え込んだのよ、この子」

 

「……そんなことが可能なのですか?」

 

「普通じゃ無理ね、こんな魔力量の少ない子ならなおさら」

 

 

モニタにジュエルシードの暴走が止まったと驚くコウキの姿が映る。

女性はそれを見て笑みを浮かべる。

 

 

「おそらくなんらかの『レアスキル』持ち。ふふっ、この子もなかなか注目すべきよね?」

 

「は、はぁ……」

 

 

まあ確かに、管理局は万年人数不足ですけど、と誰にも聞こえないような声でクロノが呟く。

 

 

「とにかく、クロノはその時まで待機、いいわね?」

 

「分かりました」

 

 

そんなやりとりを見ながら、船員の一人である茶髪の女性がパネルを叩きながらふふっと微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのは ~凡人奮闘記~

    第17話 「仲介」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アリサ~」

 

「……な、何よコウキ」

 

 

ジュエルシードの暴走の翌日、放課後に妙なテンションでアリサに話しかけるコウキが居た。

アリサが何事かと引き気味に答える。

 

 

「なのはがさ~、話があるんだってさ~」

 

 

コウキのこの態度はアリサを出来るだけ怒らせないようにしているのだろうか? 少なくとも、こんな態度ではアリサの逆鱗に触れかねない。

予想通り、『なのは』という単語を聞いたアリサは急に不機嫌そうな表情をコウキに向ける。

 

 

「……あんな分からず屋と話すことなんてないわよ」

 

「そんなこと言わずにさ~、ちょっと「いい加減にしないとキレるわよ?」……すみませんでした」

 

 

気づけばコウキは床に突っ伏していた。この土下座である。

 

 

「と、とにかく! なのはが呼んでんだよ!! すずかも付いてきてくれ!」

 

 

コウキが強引にアリサとすずかの手を取る。

 

 

「ちょ、ちょっと!!」

 

「コ、コウキ君!?」

 

 

コウキに手を引かれながら、アリサとすずかが引きずられていく。

驚きながらも、微妙に頬を赤くしている二人がいた。

 

 

 

 

 

 

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「…………」

 

「……あ、あのね、アリサちゃん」

 

 

場所は変わって、なのはが座る席の前にアリサ、すずか、コウキが集まる。

ムスっとそっぽを向くアリサ。対して、オロオロとコウキに不安気な表情を向けるなのは。

 

 

「…………」

 

 

けれど、コウキは首を横に振るだけ。「自分で話せ」とでも言っているのか。

否、コウキはただ話せないだけなのだ。

なのはが話そうとしているのは、もちろん『フェイト』のこと。

ここでコウキが会話に入れば、すかさず「なんでコウキが知ってるのよ?」というツッコミが入ってくるに違いないからだ。それでは新たないざこざに発展しかねない。コウキとしてもそれは避けたい。

 

つまり、なのはから話すしかないのだ。

 

 

「えっとね、私、ずっと友達のことで悩んでたの」

 

「友達?」

 

「うん……。その子が心を開いてくれなくて、どうすればいいか全然分からなくて……。それをずっと悩んでたの」

 

「…………」

 

 

アリサは顎に手を置き、しばらく黙り込む。それをコウキとなのはの2人が黙って見つめる。

そして、大きなため息を吐いて、アリサが怒った表情になる。

が、そこには暗い感情は全く見えなかった。

 

 

「もう! そんなことなら私達にさっさと相談すればよかったじゃない!」

 

 

それを見て、ホッと胸を撫で下ろしたのはコウキである。

すずかもアリサの後ろで静かに微笑んでいた。

 

 

「あ、うん……! ごめんね、アリサちゃん、すずかちゃん」

 

 

さっきまで張り詰めていた空気が一気に解けていくのが分かる。4人の表情は様々ではあるが、そのどれもに暗いイメージを持つものはなかった。

 

 

「はぁ……、本当良かったわ。お前らがケンカしてるとこっちまでハラハラするからな」

 

「うん、ありがとうコウキ君」

 

 

しかし、安心した瞬間に油断してしまうのが人間な訳で。

 

 

「俺は何もしてないだろ? そんなことよりアリサ、すずか。『フェイト』のことで何かアドバイスないか?」

 

「そうねぇ……、やっぱり思ってることを正直に…………ん?」

 

 

ここでコウキがボロを出してしまうのだ。

 

 

「コウキ君? …………『フェイト』って誰かなぁ?」

 

「…………えっ」

 

 

すずかが物凄い笑顔でコウキに迫っていく。

そのコウキの顔から、一気に血の気が引いていくのが見て取れた。

 

 

「え、アレ? フェイト? お、俺フェイトなんて単語言ったっけ?」

 

「言ってたよ? それはもうはっきりと」

 

「す、すずかちゃん怖い……」

 

 

コウキの隣でなのはがブルブルと震えていた。

それは教室にいた他のクラスメイトにも伝わったようで、すずかを一目見てはサッサと教室を去っていく。

 

 

「……じゃあ、何? アンタは事情を知っていながら、それでも私達に隠してたわけ? 二人だけの秘密にしてたわけ?」

 

「い、いや……、そういうわけじゃないって。さ、さっき、そう! 俺も知ったのはついさっきで」

 

 

ーーーーーーーーバキッ!!

 

その時、コウキの横、なのはの反対側から何かが折れるような爆音が響いた。

見れば、そこには静かにすずかが立っている。

 

そう、すずかが立っている。

……それだけならまだよかったが、そのすずかの隣がいけなかった。

そこには大量のゴミ、いや、正確にはさっきまで『机』であったであろう木片が転がっていた。

すずかの手にはその木片の一部が握られている。

 

コウキは悟った。

「あ、コレ死亡フラグだわ」と。

 

 

「コウキ君……? 嘘ついたら……、分かるよね?」

 

「すいませんでしたあああああぁぁぁぁぁぁッッ!!」

 

 

……そこには、少女達の前で情けなくも教室の床に額をこすりつけている少年がいた。

何とも頭の低い男である。

 

 

 




キレた時に一番怖いのはすずかだと思う。

どうも、冬の目です。
今更ですが、ちょっと前に出てきたコウキの『ダイレクトアクセル』。

ぶっちゃけるとスバルさんの『ディバインバスター』とほぼ変わらないんですよねw
射程としてはスバルさん以下でしょうが。

まあ、そこんところも考えてはいるんですがね……
それを書く日はいつになるのやら……

では、また次回!
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